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映画『イエスタデイ』ネタバレ感想・解説・考察!ビートルズが存在しない世界で巻き起こる不思議なラブコメ映画!

映画「イエスタデイ」のネタバレ感想

映画「イエスタデイ」は世界的な大停電によって世界からビートルズが消失し、売れないミュージシャンのジャック以外誰も知らない状況になるというユニークな設定で描く映画です。

ビートルズの懐かしい名曲の数々はもちろん、彼らの楽曲によって成功を収めるジャックの姿やそれによる葛藤、そして純粋な愛情を描くラブストーリーでもあります。

今回は映画「イエスタデイ」のネタバレ感想・解説・考察を書いていきます。

映画「イエスタデイ」を観て学んだ事・感じた事

・ビートルズの楽曲が持つ普遍性と純粋な愛情を描いたストーリーの組み合わせ
・誠実なものが幸せになるというおとぎ話のような展開が素敵
・音楽センスが際立つダニー・ポイルとロマンチックなストーリーが得意なリチャード・カーティスのコンビ

映画「イエスタデイ」の作品情報

公開日2019年10月11日
監督ダニー・ポイル
脚本リチャード・カーティス
出演者ジャック・マリック(ヒメーシュ・パテル)
エリー・アップルトン(リリー・ジェームズ)
ロッキー(ジョエル・フライ)
デブラ・ハマー(ケイト・マッキノン)
エド・シーラン(本人)

映画「イエスタデイ」のあらすじ・内容

映画「イエスタデイ」のあらすじ・内容(C)Universal Pictures

売れないミュージシャンのジャックはライブ活動を続けるも、自分の才能に限界を感じていました。しかし、マネージャー兼ドライバーの幼馴染エリーはそんな彼を応援し続けます。

音楽の夢を諦めかけていたジャックでしたが、ある日の帰り道世界中が同時に12秒間停電するという事態が発生。暗闇の中自転車で走っていたジャックはトラックに衝突してしまいます。

目を覚ましたジャックでしたが、その世界はビートルズが存在していない世界になっていました。そんな中でビートルズを知っているのはジャック一人だけ。

ジャックはビートルズの楽曲をライブで歌い大反響を招くと、一気にスターダムへと駆け上がっていくのですが…。

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映画「イエスタデイ」のネタバレ感想

映画「イエスタデイ」のネタバレ感想(C)Universal Pictures

映画「イエスタデイ」は「もしもビートルズが世界に存在していなかったら」「そして、自分一人だけがビートルズを知っていたとしたら」という分かりやすいコンセプトの下、ビートルズの輝かしい音楽にのせて送るロマンチックなラブストーリーです。

映画全体を彩るビートルズの名曲の数々はもちろん、「ラブ・アクチュアリー」の脚本を務めたリチャード・カーティスや、「トレイン・スポッティング」で抜群なセンスが光るダニー・ポイルがタッグを組んだ魅力あふれる映画となっています。

 

昨年にはクイーンの歴史を描いた「ボヘミアン・ラプソディ」や今年公開のエルトン・ジョンを描いた「ロケットマン」など、伝説的ミュージシャンの歴史を掘り起こす伝記映画が大ヒットを記録している背景もあり、その流れからこの映画「イエスタデイ」が制作されたと想像できます。

ただ、映画「イエスタデイ」はこれらの音楽伝記映画とは異なるアプローチからビートルズの功績を讃えるという表現方法を採用しています。これがまた映画「イエスタデイ」の魅力を存分に溢れさせており、「ビートルズの存在感」以外の要素も盛り込まれたエンタメ作品に昇華されています。

ビートルズファンはもちろんのこと、ビートルズをそこまで知らなくても心がキュンとするようなラブストーリーは必見です。ここでは映画「イエスタデイ」の感想を1つ1つの項目に分けて書いていきます。

【解説】ビートルズが存在しないことを示すシーン

【解説】ビートルズが存在しないことを示すシーン(C)Universal Pictures

まず、映画「イエスタデイ」のストーリー上のキーになっているのは、「ビートルズの存在が世界から消えている」ということです。それをシーンとして描写しているのですが、何とも分かりやすく附に落ちる表現を巧みに駆使しており、そこで心を掴まれてしまいます。

何と言っても一番分かりやすいのが「ビートルズ」とネットで検索してみると「カブトムシ」の画像がヒットすることです。これほど現代的で明確なやり方はないと思いました。

さらには、ビートルズのついでにコカ・コーラもなくなっていたのですが、「コーラ(COKE)」と検索すると「コカイン」がヒットして、コロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルの画像が出てくるのもユニークです。

ジャックが家族の前で「let it be」を演奏しようとしたときでも、誰も一発で曲名を覚えられない。「let him be」「let leave me」などと間違えたりもします。

何気ない会話の一言がビートルズの歌詞になっているなど、ファンなら反射的に感づくようなシーンも盛り込まれています。

ストーリー上は世界中で起きた大停電によってビートルズがこの世から消失してしまうというかなり不条理な設定ではあるのですが、それでもこのようなユニークなシーンを散りばめることによって観客を楽しませてくれるので、余計な引っ掛かりもなくストーリーに集中することができます。

 

そもそもビートルズが消失した原因を探っていくような映画ではないので、そこを詳細に説明されても興ざめだったりするので、そこは軽めに流しといて、主人公だけがビートルズを知っているという状態の中で、他の全ての人は知らないという構図を作り、観客と主人公が同じ気持ちになってストーリーを歩んでいくことができます。

映画らしい不条理な設定をいかに観客に馴染ませるかという問題で、映画「イエスタデイ」は見事な解決策を示していると思いました。だからこそ余計なことに気を取られずにビートルズの名曲たちを純粋に楽しみ、ジャックが辿る不思議な人生に興味を持って映画を見ることができています。

【解説】ビートルズが持つ普遍性とおとぎ話のようなストーリー

【解説】ビートルズが持つ普遍性とおとぎ話のようなストーリー(C)Universal Pictures

映画「イエスタデイ」のストーリー全体は、まるでおとぎ話のような構成になっています。「ビートルズがこの世から消失してしまう」というコンセプトもそうなのですが、やはり象徴的なのは映画の中でジャックが辿っていくストーリーにあります。

自分だけがビートルズを知っている状態のジャックは彼らの音楽を使って大成功を収めます。大衆を熱狂の渦に巻き込み、音楽界を席巻していくことになります。

しかし、大きな成功の裏で葛藤も抱えていたジャックは最終的に自分が歌っているのは「他人が作った楽曲である」ことを観衆の前で打ち明け、ミュージシャンの道を諦めてマネージャーのデブラと決別、幼馴染のエリーと幸せな過程を築きます。

まるで「正直者が救われる」というシンプルな世界観。そして、他人の楽曲を使って成功を収めるという言ってみれば卑怯なやり方を自らが否定し、改心したジャックがハッピーエンドを迎えるのです。

 

おとぎ話のような構成になっている映画ですが、それがビートルズとマッチしてこの映画を際立たせています。

やはりビートルズは歴史に残る偉大な音楽家であり、その楽曲には普遍性があります。この普遍性を持つ音楽と普遍的なストーリーの組み合わせは本当に抜群です。映画「イエスタデイ」の象徴的な魅力や、ディテールを気にしなくても存分に楽しめるハイコンセプトな内容、これらが映画の魅力を最大限にまで高めていると思いました。

偉大な音楽家の功績を辿っていく伝記映画を作ろうと思ったとき、役者がその音楽家を演じて、人物にフォーカスが当たる作り方をしてきましたが、ビートルズを描く上でキーになっている普遍性を表現するためには人物を中心に描くのではなく、ビートルズの音楽に普遍的なストーリーを合わせるという手法がベストなのではないかと思わせられます。

 

そして、ポップミュージック界の象徴でもあるビートルズの素晴らしい名曲の数々。これが現代の世の中でも熱狂を巻き起こすという描写は時代に左右されないビートルズの普遍性を証明しているといえます。

映画「ビューティフル・ボーイ」でもジョン・レノンの楽曲「Beautiful Boy」が映画を彩っていましたが、映画音楽としての相性の良さや映画の芯となるようなメッセージを実感させてくれる普遍的なメッセージはビートルズの音楽の持つ偉大な功績の1つかもしれません。

【解説】主人公ジャックが抱える葛藤と出した答え

【解説】主人公ジャックが抱える葛藤と出した答え(C)Universal Pictures

主人公のジャックは、売れないミュージシャンとして冴えない音楽活動を続けていました。そんな中でふって湧いたチャンス。世界で自分だけがビートルズを知っているというシチュエーションの中、ビートルズの楽曲を真似して演奏するだけで大成功を収めてしまいます。

ジャック自身は根っからの悪人というキャラクターでもないため、この成功に対してこれまでの冴えない日々と比べて一時は大喜びするのですが、次第に「この成功は本物か?」と葛藤に苛まれます。

「Hey Jude」の歌詞がしっくりこないという理由で「Hey Dude」に変えられてしまったり、知っているからこそ分かる「Abbey Road」も平凡すぎるという理由で却下されてしまう始末。

やはり偉大な楽曲には偉大な音楽家の存在があることを感じさせてくれます。それだけの器がジャックには足りませんでした。そして、最終的にジャックはこの大成功と決別し、幼馴染と結婚する平凡な幸せを選びます。

 

一時は自分の生き方を見失って葛藤していたジャックでしたが、これこそが自分にこそふさわしい幸せだという答えを見つけることに成功します。

映画の終盤にジョン・レノンが登場しジャックに「何かを得るということは何かを失うこと」という言葉を残します。

確かに音楽的な成功はこれまで売れない音楽生活を送っていたジャックにとって、喉から手がでるほど欲しいものでしょう。しかし、それによって幼馴染のエリーを失うことになってしまいます。

ジョン・レノンの言葉は逆も真なりでもあり、何を失ったとしても、それと同時に何かを得ることができる。成功を捨てたジャックはエリートの幸せな家庭を得ることに成功しました。

 

幸せの価値観という観点で、アーティストとしての成功は絶対的な価値を持つように錯覚してしまいます。しかし、平凡ながらも愛する人と共に生きることの幸せを得ることも人生にとって重要なことです。

そんなメッセージを映画「イエスタデイ」では感じさせてくれますし、音楽家としての大成功と幼馴染とを天秤にかけ、幼馴染を選ぶというロマンチックな展開も魅力的です。この辺は脚本を書いたリチャード・カーティスが得意とする、ロマンチック・コメディの優しいメッセージにきめきを感じさせてくれる映画だと思いました。

【解説】音楽シーンに対する明確な皮肉を盛り込む

【解説】音楽シーンに対する明確な皮肉を盛り込む(C)Universal Pictures

ビートルズの楽曲によって世界的な大スターになるジャックは、ロサンゼルスの敏腕マネージャー・デブラをビジネスパートナーに選び、プロデュースを行なっていくのですが、ここに音楽シーンに対する皮肉が盛り込まれています。

地味な見た目のジャックを華やかに彩り、マーケティングの力によってヒットさせようとします。

このようなアーティストの作品よりもビジネス的な戦略が前に来ている状態を描いており、確かに現代ではそれが正しいのかもしれませんが、本質的な部分が抜け落ちているという皮肉を盛り込んでいます。

ビートルズの楽曲には愛や平和が歌われていたものが多くありましたが、やはり音楽はお金儲けをするためのツールではなく、人々の心に訴えかけ、感情を揺さぶり、幸せにするために存在しているということを知らせてくれます。

かなりロマンチックでシビアなショービジネスの世界では甘い考えとなってしまうのかもしれませんが、やはりファンが求めているのはビジネス的に裏打ちされたエンターテインメントよりもアーティストから湧き出る豊かな創造性なのかもしれません。

 

劇中ではジャックの他に2人がビートルズの存在を覚えていました。彼らはビートルズの楽曲を再び世界に引き戻してくれたジャックに感謝をし、それを受けたジャックはこれ以上の成功を収めて地位や名声を得ることはダメだと改心します。

映画「イエスタデイ」では、音楽の持つ本質的な役割が抜け落ちている音楽シーンに対する批評性を帯びた作品という側面もあるように思えます。

【解説】エド・シーランが本人役で登場!

【解説】エド・シーランが本人役で登場!(C)Universal Pictures

映画「イエスタデイ」のサプライズの1つが世界的人気のアーティスト・エド・シーランが本人役で出演していることです。

イギリス出身のエド・シーランにとって、ビートルズは憧れの存在でもあるでしょう。ジャックがビートルズの楽曲を本人を前にして歌い絶賛するのも面白いですね。

映画終盤のウェンブリー・スタジアムでのライブ映像は臨場感満点です。作品の世界観をよりリアルにする効果を持ちながら、観客にさまざまなサービスを提供してくれるエド・シーランの存在がフレッシュなキャスト陣とは対極的な存在感を放っており、この映画のアクセントになっています。

【考察】大停電でビートルズが消えるというシーンから考えること

【考察】大停電でビートルズが消えるというシーンから考えること(C)Universal Pictures

この映画の中心は「ビートルズの偉大な功績に対する賞賛」と「普遍的なストーリーで描くロマンチックラブストーリー」なのですが、この映画のきっかけとなる世界的な停電によってビートルズがこの世から消失するというシーンについて考えていきます。

シーン自体は不条理な展開で描かれているのですが、何もこういった話は映画の中だけで起きることではありません。

ビートルズは確かに音楽史に残る偉大なミュージシャンです。彼らが活躍したのは1960年代から70年代にかけて、リアルタイムで彼らの音楽を体験した人は少なくとも今は50代以上ではないでしょうか。

若い人はリアルタイムでビートルズと時代を共有したことはなく、中には楽曲を聞いたことがないという世代も多いはずです。

偉大な芸術作品を残した伝説的音楽グループであるはずのビートルズですが、どうしても時代を経るごとにちょっとずつ消失しているのは間違いないでしょう。今では簡単に音楽配信サービスでビートルズの楽曲が聴くこともできますが、その音楽の背景や当時の時代など、そういった周辺に残る情報は消えゆくものなのかもしれません。

音楽は作品として残るかもしれませんが、それらを作った人物の情報は次第に忘れられてくことでしょう。映画「イエスタデイ」のキーになるシーンには、こういった文化の喪失という問題を象徴しているのではないかと思いました。

 

ただ、アーティスト自身が喪失と戦うことは非常に難しいことです。誰かが語り継いでいかなければ情報は次第に消えていき、たとえ偉大な音楽家であっても記憶に空白が生まれてしまうものです。

映画「イエスタデイ」はそのような課題を向き合う中でビートルズの音楽を残す、再び注目させるという思いを映画という形で表現しているのかもしれません。

映画「イエスタデイ」!ビートルズの名曲で送る素敵なラブストーリー

映画「イエスタデイ」はどんな映画かと言われれば主人公ジャックの物語と言えます。彼が体験する夢や友情、愛情全てを盛り込んだハートフルな物語をビートルズの名曲たちが持つ普遍性が華麗に彩ります。

ビートルズへの愛に溢れながらロマンチックなストーリーに心奪われるかもしれません。ビートルズの偉大さを讃えながら、この不思議な物語を楽しんでみましょう。

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