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映画『マッドマックス』ネタバレ感想・解説・考察!普段の倫理観が破壊されるほどの名作バイオレンス映画!

「狂気の限界」と「狂ったマックス」。主人公、狂気の復讐

映画『マッドマックス』は、メル・ギブソンの出世作となったオーストラリア産バイオレンス映画で、その衝撃的な内容で一世を風靡しました。

倫理観の崩壊した近未来世界の凄惨さ、残忍な暴走族をとり締まる警察隊M.F.P.の隊員や車両や装備の魅力、そしてメル・ギブソン演じるマックスが狂気におよんでいく復讐劇が強烈な作品でした。

今回は映画「マッドマックス」をネタバレと解説を含め、感想を書いていこうと思います。

目次

映画「マッドマックス」を観て学んだ事・感じた事

・現代の常識をやぶる凄惨な世界観
・マックスやグースというM.F.P.隊員の恰好よさ!
・終盤でのマックスの復讐劇、その常軌を逸した凄惨さ

映画「マッドマックス」の作品情報

公開日1979年
監督ジョージ・ミラー
脚本ジョージ・ミラー
ジェームズ・マッカウスランド
出演者マックス(メル・ギブソン)
グース(スティーヴ・ビズレー)
トーカッター(ヒュー・キース・バーン)
ジョニー・ザ・ボーイ(ティム・バーンズ)
ジェシー(ジョアン・サミュエル)

映画「マッドマックス」のあらすじ・内容

映画「マッドマックス」のあらすじ・内容© Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved

近未来世界のオーストラリア。風紀は乱れ、暴走族が幅をきかせています。

ある日、トーカッターをリーダーとする暴走族のひとりであるナイトライダーが警官を殺し、V8仕様の車両を奪って公道を爆走します。

ナイトライダーを追撃する機動警察隊M.F.P.(メイン・フォース・パトロール)ですが、彼に追いつく事が出来ずに1台、また1台と脱落。しかし最後に残ったM.F.P.のエース隊員マックスがナイトライダーに追いつき、テイル・トゥ・ノーズで彼を追い詰めます。恐怖したナイトライダーは必死に逃げますが、その果てに大破炎上します。

ナイトライダーの死を知ったトーカッターは、M.F.P.への復讐を誓います。マックスの親友グースはバイクのブレーキに細工をされて事故、そして焼かれます。

次の標的はマックスで、マックスは愛する妻と子供を殺されてしまいます。暴走族との対決の日々に嫌気がさし、M.F.P.をやめる決心をしていたマックスですが、怒りに燃えてM.F.P.のガレージからV8に改造されたインターセプターを無断で持ち出し、トーカッター一味をひとりずつ殺していくのです…。

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映画「マッドマックス」のネタバレ感想

常識的な倫理観が破壊される!

常識的な倫理観が破壊される!© Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved

70年代公開の映画ながら、いまだに多くの人を魅了してやまない映画「マッドマックス」ですが、僕もはげしく魅了された一人でした。特にはじめて「マッドマックス」を見た時の衝撃といったら言葉に出来ないほどに大きなもので、まさに衝撃。画面から目を話す事が出来なくなるとはこの事ではないかというほどの鮮烈な体験だったのです。

なぜそこまで衝撃を覚えたのでしょう。この映画の魅力は語りつくせないほどにありますが、僕にとってもっとも衝撃だったのは倫理観の崩壊した世界、この描かれ方にありました。凄まじい緊張感なのです。この映画は警察の機動部隊と暴走族の対決を軸に話が展開していきますが、その暴走族の暴力描写が尋常ではありません。

ナイトライダーが死んだ後、トーカッターら暴走族はナイトライダーの死体を小さな駅まで取りに行きます。弔いの意味もあってか、暴走族たちは小さな町で傍若無人にふるまいます。それに恐怖した市民が建物に逃げ込むと、暴走族たちは建物に侵入して彼を引きずり出し、足をバイクに括って引きずります。

その光景を見た別の若者も犠牲になります。恐怖のあまり車で逃げ出した男女がバイクで追跡され、斧を振り下ろされて車が破壊。男は引きずりだされ女は暴行されて正気を失います。恐怖の描写が凄まじいのです。

マッドマックスの戦慄は虚構と思えない所にあるのでは?

マッドマックスの戦慄は虚構と思えない所にあるのでは?© Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved

この映画で描かれた凄惨なシーンの何が衝撃だったのかというと、これらはやろうと思えば日常でも普通に出来てしまう事であり、またそれは実際に起きている事でもあるという点でした。

たんに恐怖を描写するなら、どんなにむごたらしいものでも、映画ならいくらでも作る事が出来てしまいます。ところが、もしそれが現実感のない出来事である場合、その恐怖は映画を見ている時間だけのものになるでしょう。ところが、マッドマックスの恐怖は違います。現実でもありうることなので、映画を観終わったあともその恐怖の余韻が続くのです。

痛ましい事ですが、暴走族グループによるリンチ事件、集団レイプ事件、逆恨みからの私刑…こういった事は、現実の社会でも実際に起きています。最近でいえば、高速道路で迷惑運転をして相手の車を止め、止めた車両の運転手に殴り掛かってきた人がいましたが、ああいう事って実際にあるのですよね。

たしかに非日常ではあるけれども、現実にありうる恐怖だという点が、マッドマックスの恐怖をリアリティあるものにしていたように感じました。最初にマッドマックスを見た時の特異性、それはこのリアリティのある恐怖でした。虚構といって済ましてしまう事のできない恐怖だったのです。

死ぬ瞬間の目!マッドマックスの映像表現の秀逸さ

死ぬ瞬間の目!マッドマックスの映像表現の秀逸さ© Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved

映画「マッドマックス」の持つリアリティある説得力は、映像表現御部分でもぞんぶんに発揮されていました。それを象徴するシーンが二つあり、一つはナイトライダーが事故車両に突っ込んで大破炎上するシーン、もう一つが先ほど書いた女性暴行シーンです。

まず、ナイトライダーが大破炎上するシーンです。彼が事故車両を認してからそこに激突して大破炎上するまでは、ほんの一瞬のことです。実際の突発的な事故も、このぐらい一瞬で起きてしまうのでしょうね。おそらく、考えている間もない事なのでしょうが、その瞬間にナイトライダーが驚きとも恐怖とも区別がつかない形相で目を見開くシーンが映ります。

一瞬なのですが、この形相がどれほどの恐怖であったのかを言葉や話ではなく、映像として伝えているのです。このシーン、僕は「見て」はいたのですが、とにかく一瞬の事なので、恐怖の印象だけが残っていてシーンとしては記憶出来ていなかったのです。「あ、こういうカットがあるんだ」と知ったのは映画を何度も観た時の事で、それぐらい一瞬です。サブリミナル効果に近いものと言えるかも知れません。

ちなみに、目を見開くこの恐怖描写は、映画終盤でトーカッターが車に激突するシーンでも使われていました。実に効果的で、観ているこちらにその恐怖がどれほどのものだったのかを、言葉も伏線もなしに一瞬で伝えてくれます。

【解説】カラスという象徴の使用

さて、もうひとつの映像表現である、男への暴行と女性のレイプシーンです。男たちが嫌がる女を集団で引きずり出すシーンまでは映されていますが、さすがにその先までは映されていません。劇場公開映画でレイプシーンが描かれた映画というと、「告発の行方」あたりを思い出しますが、あれもそこまで過激な描写ではありませんでした。

結局、劇場公開映画で、リアリティある凄惨な暴行シーンやレイプシーンは映す事が出来ないという事なのでしょう。仮にそのシーンがなくとも、マッドマックスの暴力表現は既にマックスを超えていますしね。

実際のレイプシーンのかわりに使われたシーンは、カラスが大映しになって羽ばたくというものでした。カラスは死肉を食べるという事から、西洋では不屈の象徴として使われる事のあるイコンです。僕がはじめてこの映画を見たころ、そういう知識はありませんでしたが、それでもカラスを象徴として用いたこのシーンは実に巧みな表現だったと感じました。象徴の使用は高度な映像表現のひとつですが、バイオレンス映画と言えど、力技なだけの映画ではないと感じた瞬間でした。

M.F.P.のバイク乗り・グースの格好よさが光る!

M.F.P.のバイク乗り・グースの格好よさが光る!© Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved

これほどにも凶悪な暴走族なので、彼らに立ち向かっていく機動警察隊の隊員たちの恰好よさが光ります!中でも僕が最初に魅了されたのは、M.F.P.唯一のバイク乗りであるグースでした。主役を食ってしまうほど恰好良いのです。

グースを演じるのはスティーヴ・ビズレー。オーストラリアの俳優さんなのでハリウッド作品への登場が少なく、そのため知名度は低いですが、金髪にきたえられた身体にちょい悪系のルックスと見た目だけでも魅力満載です。しかしそういうルックスだけでなく、しぐさやファッションも素晴らしいのです。

たとえば、冒頭のナイトライダー追撃シーンです。ダイナーで飯を食べていたグースですが、その横をナイトライダーとインターセプターが猛スピードで突き抜けていきます。グースはそれを見て急いで店を飛び出し、車のボンネットの上を転がり、バイクにまたがります。

そしてタイヤ痕をつけ、後輪を振りながらものすごいスタート。普通なら車をよけていくじゃないですか。そうしない立ち居振る舞いの素晴らしさ、これを恰好よいと思わない人がいるでしょうか。

 

そして、ナイトライダーを追走しきれずに転倒したシーンも秀逸です。

市民から「何事だい?」と訊かれたグースは、さっとフェイスガードを取って、にやけながらこう答えます。「I don’t know, man. I just got here myself(俺にも分からん、俺も今来たところだ)」。自分が事故で倒れているという状況で軽口を叩くこの余裕、格好良すぎました。ルックスだけでなく、こういう図太さや強さに男性的な魅力を感じました。グース最高です。

【ネタバレ】伝説になったマッドマックスの車とバイク

【ネタバレ】伝説になったマッドマックスの車とバイク© Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved

こうしたグースの人間的な格好よさは、バイクやファッションといった「もの」にも表象としてあらわされているように感じました。

まずはファッションです。グースは黒のライダースを着て、バイクと同じ色のシルバーのジェットヘルメット、それにフェイスマスクをつけ、ライダースブーツの上からレッグガード、ティアドロップ型のサングラスをかけています。えらくスパルタンなのです。恰好だけならここまでシビれなかったかも知れませんが、あのふてぶてしく男くさい魅力満載のグースなので、これらのファッションが強さの象徴として機能したのかもしれません。

そして、グースと言えばあのシルバーの追撃車両です。あのバイクは、カワサキのZ1000がベースだそうです。カウルの形状、バックステップの取り付けにクロスマフラーなど、単為バイクだけでなく、そのカスタマイズが素晴らしく恰好よいのです。バックステップをつけたZ1000のクラッチを操作してグースがエンジンを始動するシーンがあるのですが、この格好よさは、戦闘機を始動させるパイロットに匹敵するものがありました。Z1000をグース仕様に改造する人が世界中で後を絶たなかったのも、無理のないところではないでしょうか。

 

ちなみに、この映画に登場するバイクの多くはグースのマシンと同じKAWASAKI Z1000です。暴走族側の主要キャラはトーカッター、ババ、ジョニーの3人ですが、全員Z1000でした。格下のジョニーはバックステップがついていないなど、微妙にランク付けがされているのも細かい所へのこだわりを感じました。

そして、車両関係でいうと、このあとシリーズの代名詞にもなっていったマックス操るV8はフォード・ファルコンXB GT351がベース車だそうです。

迫力あるカーチェイス・シーンの実態

迫力あるカーチェイス・シーンの実態© Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved

マニア心をくすぐるマシンが疾走しまくるこの映画ですが、マシン自体でなく、その挙動も見事でスピード感が強烈なのです。

カーチェイス・シーンで迫力を出すというと、最後に車両が大破炎上するものをよく見ますが、そういうシーンのある映画やテレビ番組をあまりにたくさん観てきたもので、驚かなくなってしまった自分がいます。酒場で喧嘩になるシーンみたいなもので、マンネリなのですね。ところが、マッドマックスの場合、カーチェイスのスピード感は尋常ではありません。フィルムを速回ししたのかと思ったほどのシーンがいくつもあるほどです。

 

特に印象に残っているシーンはグースがバイクを飛ばすシーンと、マックスが暴走族の首領トーカッターの真後ろにV8マシンをくっつけて煽るシーンのふたつで、この速度感は尋常ではありません。

グースの走行シーンでバイクのスピードメーターが一瞬映りこみますが、その速度計が示しているのは180キロ。僕はバイクに乗っていた事があるのですが、400ccのバイクだと、140キロを超えるとハンドルが持って行かれそうになり、かなりの恐怖感、車の140キロとは次元が違うのですよね。

ちなみに、この映画のグースの走行シーンのスタントを務めたテリー・ギブソンによると、グースの走行シーンでは220キロで走ったそうです。サーキットでなく、公道でこれは日本では高速道路ですら撮影不可能。オーストラリア映画だからこそ出来た撮影だったのでしょう。

「狂気の限界」と「狂ったマックス」。主人公、狂気の復讐

「狂気の限界」と「狂ったマックス」。主人公、狂気の復讐© Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved

恐怖以外の何ものでもない暴走族は、M.F.P.に復讐していきます。まずは、一度は逮捕されるも市民が恐がって訴訟を起こさなかった事で釈放されたジョニーと、マックスの親友グースとの確執。グースはバイクに細工をされて事故に逢い、さらに車の下敷きになった所で焼き殺されます。

そして、マックスです。彼は暴走族のリーダーであるトーカッター本人といざこざが起き、逃げる妻と子供が集団でバイクに轢き殺されます。隠れる所のまったくない道路上を走って逃げる絶望感。M.F.P.をやめる決心をしていたマックスですが、復讐心に燃え、この世界で最後の1台となったV8マシンを無断で警察のガレージから持ち出し、暴走族をひとりずつ殺していきます。

復讐の過程で、暴走族の群れにV8で突っ込んでいき、バイクもろとも暴走族が橋の下の川に落ちていくシーンがありますが、ここが有名な「スタントマンが死んだ」という噂になったシーンです。転倒したスタントマンの後頭部にバイクがぶつかるので、そう言われても納得してしまうカットではあったのです。公開当初、日本では事実のように語られていたのですよね。

 

さらに、サブリーダー格のババを射殺(このシーンではカラスではなく鷹が象徴として使われます。猛禽類なので肉を食うわけで、つまりババが絶命したという表現でしょう)、逃げるトーカッターに対しては、テール・トゥ・ノーズで彼のバイクを前に押しだし、トラックと正面衝突させます。

このシーンのスタントもバイクがトラックと正面総突という凄さです。そして盟友グースを殺したジョニーは、爆発寸前の車に手錠でつなぎ、のこぎりを渡して「お前の足なら5分で切り落とせる」と言って立ち去ります。

この映画のタイトル「マッドマックス」ですが、こうした異常とも言える復讐行動からダブルミーニングになっているのでしょうね。

映画「マッドマックス」はバイオレンス映画の金字塔となった大傑作!

映画「マッドマックス」はバイオレンス映画の金字塔となった大傑作!© Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved

マッドマックスは、本作と次作「マッドマックス2」の2本が、どちらも映画史上に残るほどの金字塔のような映画で、映画好きならこの2本は必見と思います。

ホッケーマスク、プロテクター、モヒカンといった一種独特なパンキッシュな世界を作り出したのは第2作ですが、リアリティーある恐怖という意味では、圧倒的にこの第1作ではないでしょうか。

人生で何度観なおしたか分からないほど素晴らしい映画、これは大おすすめの1本です!

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