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映画『レッド・スパロー』ネタバレ感想・解説・考察!アクションは少ない一味違ったスパイ映画

映画『レッド・スパロー』のあらすじ・内容

映画『レッド・スパロー』は2018年に公開されたアメリカのスパイ映画です。『X-MEN』シリーズや『ハンガー・ゲーム』に出演したジェニファー・ローレンスの過激で血みどろな演技が話題となりました。

元CIA工作員が残した、衝撃的なスパイ活動の実体験から描いたシナリオと、本作に登場するスパイ養成学校の実態は、衝撃的ながらも目がそらせないでしょう。

そんな映画『レッド・スパロー』ですが、この記事では本作の個人的な感想や解説、考察を書いていきます。ネタバレを含む内容となっていますので、映画を未視聴な方はご注意下さい。

映画「レッド・スパロー」を観て学んだこと・感じたこと

・アクションシーンはないが、スパイ同士の騙し合いがスリリングである映画
・逆境にも負けず、大切なものを守るために何でも利用するの強い意志
・国家間のスパイである「スパロー(雀)」に自由はあるのだろうか

映画『レッド・スパロー』の作品情報

公開日2018年3月30日
監督フランシス・ローレンス
脚本ジャスティン・ヘイス
出演者ドミニカ・エゴロワ(ジェニファー・ローレンス/牛田裕子)
ネイト・ナッシュ(ジョエル・エドガートン/小松史法)
ワーニャ・エゴロフ(マティアス・スーナールツ/てらそままさき)
監督官(シャーロット・ランプリング/谷育子)

映画『レッド・スパロー』のあらすじ・内容

映画『レッド・スパロー』のあらすじ・内容

非凡な美貌を備えたドミニカはロシアのバレリーナ。そんなドミニカは、バレエの公演中に舞台のパートナーとの接触事故で足に大怪我を負い、バレリーナの道を絶たれてしまいます。

その後、ある事件をきっかけに、ドミニカの叔父であるワーニャはドミニカの才能に目をつけ罠を仕掛けます。

そして、ワーニャの策略によりドミニカはロシアが極秘裏に組織した特殊機関に入ることになりました。その特殊機関とは、自らの肉体や誘惑を利用したスパイを育成する機関。通称「スパロー」と呼ばれるスパイを育成する機関でした。

その特殊機関でスパイの才能を開花させたドミニカは、CIAのナッシュという男に接触し、国内に潜伏するスパイ、「モグラ」の情報を聞き出す任務を与えられます。過酷な任務に身を投じるドミニカですが、無事に任務を達成できるのかー。

映画『レッド・スパロー』のネタバレ感想

【解説】緊張感が抜けない、一味違ったスリリングを楽しめるスパイ映画!

【解説】緊張感が抜けない、一味違ったスリリングを楽しめるスパイ映画!(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

映画『レッド・スパロー』はアクションはほとんどないですが、実際の元CIAを下地にしたスリリングなスパイ映画です。容姿に優れたバレエ出身のドミニカが、欲望と陰謀の中で、ハニートラップを駆使して周囲を騙していく物語でした。

主人公のドミニカがアメリカとロシアのどちら側についているかわからず、最後まで展開が読めないところが本作の魅力の一つだと思います。他にもシナリオだけでなく、ドミニカを演じているジェニファー・ロレンスの大胆な演技はバイオレンス且つ刺激的です。本作はR-15の作品ですが、「そこまでするのか!」というほどジェニファー・ローレンスさんが体を張っています。刺激的なシナリオとキャストの熱演により、映画全体に凄まじい緊張感を醸し出していました。

 

そんな終始緊張感漂うスパイ映画「レッド・スパロー」ですが、ところどころでショッキングなシーンも多いです。「スパロー」養成学校での授業風景は、気味が悪く背筋がぞわっとくるようなシーンが多く、時折出てくる暴力描写も中々きついものがあります。痛いシーンやグロテスクな描写が苦手な人にとっては、少しきつい映像かもしれません。

本作は主人公であるドミニカが、基本的に絶体絶命の立場にいることが多く、一歩間違えば死んでしまうような状態や、死よりも恐ろしい拷問が待ち受けています。自分のことではないにせよ、常に死が隣り合わせにあるドミニカの状態を見ていると、思わず手に汗を握ってしまいますね。

実際の本編では、ドミニカもネイトも拷問を受けますが、あまりにも痛々しすぎて、思わず画面から目を離したくなるほどです。こういう情け容赦のない残酷なシーンもあるからこそ、本作はスパイ映画として緊張感を漂わせる映画となっているのだと思います。

 

また、「レッド・スパロー」は、シナリオ自体も最後まで先が読めない構成になっています。まず主人公であるドミニカが最後までアメリカとロシア、どちら側につくのかが分からなく、ちょっともやもやする感覚を抱くこともあります。その上、シナリオも他の映画より若干複雑のため、一度見ただけでは分からないとこもあるはずです。2回鑑賞する場合は、伏線などを意識してみると、本作の面白さが増すと思います。

『レッド・スパロー』は、アクションが多い王道のスパイ映画ではないかもしれませんが、ある意味本当のスパイらしく、複雑な話で誰が味方か敵かが分からないので、これはこれで緊張感があって面白いです。なので、アクションが多めの従来のスパイ映画とは一味違う面白さを体験ができると思います。

【解説】アクションは少なめだが、緊迫したシーンの連続が魅力的

【解説】アクションは少なめだが、緊迫したシーンの連続が魅力的(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

「レッド・スパロー」の魅力は、何と言っても異常とも言えるほどの緊張感にあります。例えば、スパイ映画の金字塔である「ミッション・イン・ポッシブル」は、シナリオは複雑なものの、アクションが豊富で誰もが楽しめる作りになっています。しかし、同じスパイ映画とは言え、「レッド・スパロー」は「ミッション・イン・ポッシブル」とは正反対の映画です。

まず、映画の冒頭を少し見ただけでも、この映画が平和に終わることはないだろうと予感できます。ドミニカがバレエの舞台で怪我を負うシーンは痛々しく、足の傷口も生々しいです。特に後半のネイトの拷問シーンは、見ているこっちまで痛くなるような映像でした。

そして誰もが印象に残り、不気味に感じたのがスパイ養成学校での授業シーン。あまりお茶の間で見たくないようなシーンの連発でしたよね。人によっては前半だけで不快感を覚える人も多いはずです。

しかし、このような生々しく不気味なシーンがあるからこそ、一味違った強烈なスパイ映画に仕上がっているのです。スパイ映画の型破り的な作品であり、表現的にも非常に攻め込んだ作りとなっています。グロテスクな描写や暴力、そして不快に感じるほどのエロティックなシーンが作り込まれているからこそ、『レッド・スパロー』という映画は魅力的な映画になっています。

 

そして、本作の緊迫したシーンの連続は、グロテスクや不快なシーンだけが理由ではありません。緊迫したシーンの理由には、ドミニカの凛とした態度と行動にもあると思います。映画を見ていくと、ドミニカ自身がアメリカとロシアのどちらかにつくのかがラスト付近までわかりません。アメリカ側も十分怪しいですし、ロシアのスパイはもっと怪しく感じます。

そのような状態の中で、ドミニカが泣き言を言わずに、周囲を騙していく姿は静かですが圧巻されます。自らの自由や母の安全を第一に、自分の体も厭わずに淡々と任務を実行していくドミニカの姿は、凄まじいものです。

映画を見ている時は、過激な描写とシナリオの複雑さで意識できませんでしたが、ドミニカは軍人顔負けの鋼の意思をもっていると改めて思いました。一般的な人であれば、スパロー養成学校の授業に参加させられただけで音を上げてしまうでしょう。

周囲の人間が誰も全く信用できず、いつ自分の命が失われるか分からない状態の中では、ドミニカの精神力と行動力は尋常でないものです。その尋常でないドミニカの鋼の精神力が、混沌とした狂気の中で輝いています。

【解説】ジェニファー・ローレンスの演技が凄まじい

【解説】ジェニファー・ローレンスの演技が凄まじい(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

『レッド・スパロー』は、ドミニカの凄まじい意志と行動力に目が離せない映画ですが、そのドミニカを演じているジェニファー・ローレンスの演技が素晴らしいです。綺麗な容姿をしているので、一層この殺伐とした映画の中で異彩を放っています。

そして何より注目すべきなのは、彼女の凄まじい女優魂です。彼女の凄まじい女優魂がなければ、この映画を撮影することは難しかったと思います。ジェニファー・ローレンスは『ハンガー・ゲーム』や『X-MEN』で実力を発揮されていますね。

 

本作の冒頭であるバレエのシーンですが、フランシス・ローレンス監督は初めは代役を考えていたそうです。その理由はジェニファー・ローレンスはダンスができないということからでした。

しかし、ドミニカという登場人物は、バレエの経験を活かしたスパイとなるので、ジェニファー・ローレンスさんはどうしてもバレエをやる必要があると考えたそうです。そして、実際にバレエのレッスンを1日3時間行い、本作の演技に挑みました。

まさに体当たりな役作りで、ただただ感嘆します。バレエのシーンだけでなく、スパロー養成学校のシーンも「よく撮れたな」と思うようなシーンがたくさんありました。流石にフルヌードのシーンは、ジェニファー・ローレンスさんも躊躇したらしいですが、それでもやり切って映画を完成させました。正直、凄すぎて言葉もでないくらいです。

『レッド・スパロー』のリアルで生々しいシーンの数々は、ジェニファー・ローレンスさんなしでは成し得なかったことは間違いないです。結果的に彼女の素晴らしい女優魂が、本作の魅力を最大限に引き出したと言っても過言ではありません。

【考察】モグラに真実を知られたドミニカ!最後の電話は誰?それが意味することとは?

【考察】モグラに真実を知られたドミニカ!最後の電話は誰?それが意味することとは?(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

『レッド・スパロー』を鑑賞し終えた後に一番に疑問に思うところが、ラストのドミニカが受け取った電話だと思います。

このラストシーンでは、誰がドミニカに電話をかけてきたのかはハッキリと描写されておらず、ドミニカとの会話もありませんでした。果たして、このラストシーンの電話の主は誰だったのでしょうか。そして、この電話はどんな意味を持っているのでしょう。

この電話のシーンの鍵となるのが、ドミニカが最後に電話している時に流れる音楽です。この音楽は、実は作中でドミニカが初めてネイトと夜を過ごした時に流れた音楽でした。そのため、最後の電話の主はネイトである可能性が非常に高いです。

しかし、最後の電話の主がネイトでも疑問に思うところがありますよね。それは、ネイトとドミニカの関係です。ネイトが最後にドミニカに電話をかけてきた理由や、どういう関係だったのかはあの電話だけではわかりません。

 

ここからは個人的な推測ですが、2通りのパターンがあると思います。1つはドミニカとネイトは秘密裏で純粋な関係を保っていたいたこと。つまり、最後のネイトの電話はプライベートだということです。

2つ目は、ドミニカがダブルスパイとして、ネイトとスパイとして接触しているという推測。作中の最後にドミニカは、アメリカへロシアの情報を流すスパイと接触しました。そのスパイは、自らが明かした通りコルチノイ将軍です。コルチノイ将軍はドミニカがアメリカとロシアを利用し、自分の運命を縛り付けていた叔父のワーニャを殺したことを知っています。つまり、コルチノイ将軍はドミニカがワーニャをはめたことを知っているので、彼女の弱みを握っていることになりますよね。

いくら、アメリカ側のスパイだとしても、ロシアの将軍としてドミニカの罪を告発することもできるわけです。反対にドミニカはコルチノイ将軍がスパイであることを知りました。要は、お互いに命を握り合っている状態になっているということです。

そのため、ドミニカはダブルスパイとして暗躍し続けなければならない事態に陥っている可能性があります。それらの可能性を考慮すると、ネイトとの電話もスパイ絡みの電話だったのではないのではないでしょうか。

 

個人的には後者の方が現実的で、この映画の結末らしい終わり方のような気がします。もし、最後のプライベートなら少しは明るい話として終わったのですが、とてもじゃないですがそんな明るい話で終わるような映画ではなかったですよね。

しかし、はやり直接的な描写がないので、最後のシーンやドミニカのその後は、想像の域であることには変わりません。ドミニカは最後にどうなったかということは、人によって違うことを思い浮かべると思いますが、読者の皆様はどう思いますでしょうか。

【考察】ラストシーンから見てドミニカはに自由になれたのだろうか?

【考察】ラストシーンから見てドミニカはに自由になれたのだろうか?(C)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

作中におけるドミニカの願いは、あくまで自らの自由と自信の母親の安全であることはわかると思います。ドミニカの願いはあくまで個人的なものであり、国家の利益などは気にもとめてません。国家はドミニカにとって、あくまで利用できるかできないかの関係でしかないでしょう。

自分の運命を縛り付けていた叔父のワーニャをアメリカとロシアをうまく利用し、ついにワーニャを消したドミニカ。果たしてドミニカはこれで本当に自由になったのでしょうか。

 

個人的にはドミニカは自由になっていないと思います。ドミニカが自由になっていない理由として、前項で述べた最後のラストシーンがありますよね。あの電話のラストシーンは、恐らくネイトが電話をかけていた人物でしょうが、個人的にはネイトと関係を持ってダブルスパイをドミニカは続けざるを得なかったと思います。

さらには、ドミニカが叔父のワーニャを嵌めたことを知っている、コルチノイの存在も無視できません。以上のことからドミニカは自由になどなっていないと思います。あの電話は、ドミニカがスパイであるという鎖から逃れられない象徴のようなものではないでしょうか。

もう一つ付け加えると、最後の電話シーンの前のバレエのシーンも印象的です。ドミニカの代わりとしてバレエの演技をする女性を後に、ドミニカはバレエの会場から暗い通路を通って後にします。

これは、ドミニカがもう表の社会に戻ることができず、スパイという暗い世界に身を通じて行くしかないということを暗示しているのではないでしょうか。かつての輝かしいバレリーナとしてのドミニカは違う人に取って代われ、自分はスパイとして生き続けていくしかないということを、最後のシーンは意味していると思います。

 

最後の電話のシーンとバレエ会場を後にするシーンを含めて、ドミニカは自由になどなっていません。だから『レッド・スパロー』はハッピーエンドではなく、ドミニカはスパイから逃げることはできないという、虚しい終わり方だったのではないかと思います。

ドミニカの胸中は最後まで直接描写されたわけではありませんが、ある意味ドミニカは諦めの境地に至ってしまったとも考えられます。最後のバレエ会場を自ら去っていくことと、その時のドミニカの表情、そしてベッドで気怠そうに電話をとったシーンからそのような印象を個人的には受けました。ドミニカは非常に強い女性だったのですが、同時にとても虚しい運命を背負ってしまった女性でもあったのです。

そう考えると「レッド・スパロー」となったドミニカという女性の話は、とても悲しく恐ろしい物語なのかもしれません。

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