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『エヴァンゲリオン新劇場版:序』ネタバレ感想・解説・考察!基本はリメイクも考察しがいのある映画

【評価】基本に忠実なリメイクも、謎が多く非常に楽しめた

映画『エヴァンゲリオン新劇場版:序』は、かつて一世を風靡した大人気ロボットアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の事実的なリメイク作に相当し、同時に新劇場版シリーズ四部作の幕開けともなった作品です。

本作に関しては基本的なストーリー構成そのものが原則アニメ版に基づいているためリメイクの色彩が強めですが、一方で旧作の世界線とは明らかに異なる細かな違いが多数存在するため、当時から単なるリメイクには留まらない作品であると見なされていました。

基本部分は以前の作品で人気を博した安定感のある脚本で構成されている一方、作画や演出がしっかりとモダンにアレンジされており、本作からエヴァに入る方だけでなく旧作を親しんでいた方にもお勧めしたい作品です。

今回はそんな『エヴァンゲリオン新劇場版:序』の個人的な感想や考察を書いていきます!なお、ネタバレには注意してください。

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映画『エヴァンゲリオン新劇場版:序』を観て学んだこと・感じたこと

・安定したストーリーと美しくアレンジされた絵の調和が見事
・旧世界線との違いを匂わせる演出に考察が止まらない
・主要キャストの安定した演技は流石

映画『エヴァンゲリオン新劇場版:序』の基本情報

公開日2007年9月1日
監督庵野秀明
摩砂雪
鶴巻和哉
脚本庵野秀明
出演者碇シンジ(緒方恵美)
綾波レイ(林原めぐみ)
葛城ミサト(三石琴乃)
赤木リツコ(山口由里子)
碇ゲンドウ(立木文彦)
冬月コウゾウ(清川元夢)

映画『エヴァンゲリオン新劇場版:序』のあらすじ・内容

映画『エヴァンゲリオン新劇場版:序』のあらすじ・内容映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」 (C)カラー・GAINAX

セカンドインパクトの後遺症により、総人口の約半数を失った人類。

大きく傷つき、さらに使徒という驚異的な存在に晒されることになった人類は、特務機関NERVを設立し汎用人型決戦兵器・エヴァンゲリオンを擁して彼らに対抗する道を選択する。

 

一方、ネルフに所属する父によって第三新東京市へと呼び出された碇シンジは、現地で使徒の襲来を目撃した。

訳も分からず逃げまどっているシンジに対し、彼を知っていると思われる葛城ミサトが声をかけ、ネルフの本拠であるジオフロントへと連行する。

そこでシンジを待ち受けていたのは、ようやく再会を果たした父からの非情な出撃命令であった…。

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映画『エヴァンゲリオン新劇場版:序』のネタバレ感想

基本ストーリーは旧アニメと同じも演出や作画が大幅進化

基本ストーリーは旧アニメと同じも演出や作画が大幅進化映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」 (C)カラー・GAINAX

まず、本作に関しては「新劇場版」と銘打たれている一方で、基本的なストーリーに関しては旧作とほぼ変化がありません。シンジが唐突にエヴァに載せられ、初号機の暴走によって使途を打倒し、そのまま続く使途を二体迎撃するというのはお馴染みの展開です。

なので本作からエヴァを見始めたとしても全く問題ないでしょう。特に来年にはシンエヴァの公開も迫っていますので、この機会にエヴァの世界に触れてみる、あるいは旧作視聴済みとはいえ予習をしてみるなど、忠実なリメイクだからこその見方が多数存在します。

 

さらに、良い意味で変化しているところが多数存在するのも本作の特徴です。分かりやすいところで言えば、何より最新の技術と潤沢な予算によって製作された作画・演出面でしょう。

旧作を視聴済みの方は分かると思いますが、90年代末の画には現代から考えるとやや古さを感じてしまいます。もちろん旧作の画に味があることは否定しませんが、やはり最新のアニメと比べてしまうと、なかなか見劣りする面があります。

 

加えて、後々からすれば大ヒット作になったエヴァも、放送当時は単なる一アニメに過ぎませんでした。したがって、放送回によっては作画崩壊一歩手前のような状態になっている場面さえ存在します。

このあたりについては、新劇場版でほぼ完全に改善されていると断言してしまっていいかもしれません。本作では原則として旧作の原画を再利用することによって再現性を高めつつ、デジタル技術やCGグラフィックを全面的に取り入れることで非常にハイクオリティな映像を作り出すことに成功しています。

2019年現在から見ればもはや12年前の作品ということになってしまいますが、そうした時代ゆえの古さは全く感じることなく作品を楽しむことができるでしょう。

本作以降の破やQに関しては、旧作からほぼ完全に分離したストーリーになってしまうので立ち位置が変わってきますが、この作品は良くも悪くも忠実なリメイク作として楽しむことができると思います。それゆえに旧作ファンにとっては少し退屈かもしれませんが、実はぼーっと見ていると気が付かないだけで、細かな違いはこれでもかというほど存在しているのです。

【解説】使途の数や呼び名など、細かな違いは多数存在している

【解説】使途の数や呼び名など、細かな違いは多数存在している映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」 (C)カラー・GAINAX

ここでは旧アニメの世界と本作を含む新劇場版の世界が、全く異なるものであることを表しているとされる数々の細かな違いを解説していきます。

まず、最初に作品の根幹にかかわる一見些細ながら重大な違いについて触れていきましょう。実は本作を含む新劇場版の「年代設定」に関しては、作中で一切明かされていないというのをご存知でしょうか。気になる方は作品をもう一度見直してみていただいても構わないのですが、具体的に「○○年」と時系列を特定できる情報は何一つないはずです。

しかし、本作に少し詳しい方であれば「あれ、エヴァの時系列って西暦2015年という設定ではなかった?」という考えに至るかもしれません。実はこれも正解で、より正確に言えば「旧作世界線では時系列が2015年と明言されている」ということになるのです。

つまり、かつては明かされていたはずの時系列が伏せられていることになります。これが何を意味しているのかは現状で分かりませんが、今後の展開を追ううえで重要なポイントになる可能性は否めません。

 

また、本作内でもかなり謎の多い存在として知られている「使徒」についても、細かな改変が非常に目立ちます。分かりやすいところだけでも

・使徒につけられていた固有名詞が消失している
・使徒の数が一体増加している
・ネルフ側が使徒襲来を予見している
・リリスに関する設定が異なる

など、かなり多量の改変が行なわれていることを実感できるでしょう。

このあたりを総合してくと、後にも述べますが単に便宜的な改変に留まらない意図的な設定の変更が行われている可能性を検討しないわけにはいかないでしょう。人類補完計画に関する報告書の数字が進んでいることからも、使徒に関する設定は作品の根幹を左右する可能性が高いです。

 

ただ、上記のように作品を考えるうえで重要と思わしき伏線となるような改変がある一方で、どうやら本筋とはあまり関連がなさそうな小ネタ的改変も多数存在します。

例えばミサトの乗っていたルノーのナンバーが「33-10(ミサト)」に書き換えられていたり、作中に登場するコンビニや飲料の名称が実在するものになっていたりと、遊び心あふれるものから商業的なマーケティングを意識したものまで様々です。

こうした違いについてはここで書いた以外にも無数に存在するので、マニアを自負する方は旧アニメ版と交互に見比べて比較・検討しながら細かな違いを探していくのも楽しいかもしれませんね。

【考察】なぜ、明らかに早いタイミングで渚カヲルが登場した?

【考察】なぜ、明らかに早いタイミングで渚カヲルが登場した?映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」 (C)カラー・GAINAX

上記で触れた違いとも関連するのですが、個人的にはとにかく「渚カヲル」の早期登場が印象に残りました。カヲルというキャラクターについてはエヴァでも屈指の人気を誇るということで知名度も抜群なのですが、一方でアニメにおける出番は極めて限定的なものでした。

カヲル自身は最後の使徒でもあったため、当初はフィフスチルドレンとして壊滅的な状態にあったネルフに送り込まれるものの、一連の戦闘で傷心していたシンジに殺されることでその役割を終えています。以上のような経緯から、そもそも終盤のごく限定的な部分でしか出番がなかったのです。

しかしながら、その中性的な外観やミステリアスな性格から非常に注目され、わずかな出番しか与えられていない上に活躍らしい活躍すらもなかったにもかかわらず、キャラクター人気投票でも常に上位にランクインするほどの看板キャラクターに成長しました。特に本作を題材としたパチンコやパチスロ機では、彼に関わる何かしらの演出が登場するだけで大当たりが確定するなど、特別なキャラクターとして位置づけられています。

 

そして、本作ではそのカヲルが旧作では影も形も見せていなかった第五使徒討伐後というかなり早いタイミングで登場しています。流石に直接ネルフに出現してシンジたちと交流をもったわけではないものの、月面で棺より目覚めて覚醒したカヲルは「変わらないな、君は。会えるのを楽しみにしているよ、碇シンジ君。」と、かなり意味深なセリフを残して出番を終えているのです。

先にも述べたようにカヲルについては分かっていることが非常に少なく、本作でチラッと映し出されただけでも

・なぜ月面で覚醒したのか
・そもそもなぜ月面にネルフの基地があるのか
・シンジを知っているような口ぶりに違和感しかない

など、謎が謎を呼ぶような展開の連続になっています。

 

ただし、ややひねくれた見方をしてしまえば「人気キャラのカヲルに意味深なことを言わせることで、彼をチラ見せするような効果を期待している」というような解釈も不可能ではありません。実際、先にも述べたようにカヲル人気は非常に高いものがあり、彼の存在は作品全体の人気をも左右しかねないからです。

もっとも、カヲルの本性についてはシンエヴァ公開前のこの段階でもほとんどが謎に包まれているといっても過言ではありません。こうした謎の数々が全て解けるのか、はたまた何もわからないまま物語は終局してしまうのか。エヴァという作品だけに、どう転ぶかが全く分からないのが実情です。

【考察】新劇場版はループなのか、パラレルワールドなのか

【考察】新劇場版はループなのか、パラレルワールドなのか映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」 (C)カラー・GAINAX

さて、ここまで様々な視点から本作と旧アニメ版を比較して考察を加えてきました。その中でも明らかに作品の根幹部を左右するような改変が目立つなど、製作陣の意図としては単なるリメイクで終わらせる気などさらさらないことが伝わってきます。

こうした点を考えて、新劇場版世界線全体に関する考察を改めて整理していきましょう。現在ではシンエヴァの予告映像までが公開されている状況にありますが、新劇場版に関しては「ループ説」と「パラレルワールド説」の二通りが有力な仮説となっています。

まず、両者に共通する事項としては「単純に考えて旧作と重複しつつも、明らかにそのままなぞっているわけではない」というものがあります。これは何も本作に限ったことではなく、むしろ破やQにおいて顕著なことなのですが、「完全に同じではないが似通った要素が非常に多い」という点こそがポイントなのです。ループとパラレルワールドについては詳しく説明していきますが、両者ともにこの部分を説明できるだけの説得力を有している仮説になります。

 

先にループ説を解説していきましょう。そもそも「ループ」とは文字通り「繰り返し」を意味しており、同じ出来事を何度も体験することを指すSF用語になります。

何度も同じ出来事を体感する一方で、些細な部分や主体的行動の変化をもって物語にアクセントをつけることが多く、本作で言えば先ほど説明してきたような些細な違いが当てはまります。有名どころの映画でいえば『バタフライ・エフェクト』や『時をかける少女』などがありますね。

一方で本作には「時間旅行」の概念があるようには思えないので、繰り返しのトリガーが一体何なのか・なぜ繰り返されているのかという部分を説明しなければなりません。

 

次に、もう一つのパラレルワールド説を解説していきます。パラレルワールドとは「並行世界」を意味しており、作中で展開されているのと限りなく似た世界がもう一つ存在することを指すSF用語になります。

難しい言葉を使うと「多世界解釈」ということになるのですが、要は「我々の知らない同じような世界がもう一つあり、そこではやはり我々と同じような人々が生活をしている」ということです。これを物語の世界に落とし込む場合、「あったかもしれない世界」として並行世界における現実との差を演出に利用することが多いです。分かりやすく例えれば『ラ・ラ・ランド』におけるセブとミアが「結ばれていた場合の世界線」というような感じでしょうか。

ただし、当然パラレルワールド説にも問題は存在し、本作で何度か示唆されている「繰り返し」を感じさせるような演出をどう説明するのか、このあたりはやはりループ説と同様にまだまだ確定に至ることができない大きな障害でしょう。

以上のように、新劇場版と旧アニメ版の関係性は激論が交わされるものの、まだ公式には全くもって謎に包まれているという他ないでしょう。

【評価】基本に忠実なリメイクも、謎が多く非常に楽しめた

【評価】基本に忠実なリメイクも、謎が多く非常に楽しめた映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」 (C)カラー・GAINAX

ここまでの内容をまとめて本作を評価していくと、大きな挑戦こそないものの極めて安定していたハイクオリティな映画作品であるというのが個人的な意見かもしれません。そもそも脚本自体は言うまでもなく傑作なのですし、その上で作画が見直されれば言うことはないでしょう。

また、細かなことですが原作の良さを損なうような「ダメ改変」が全くなかったのも大変好印象でした。初めてのエヴァ・新劇場版の導入としての「序」と、サブタイトルが象徴するように導線としての役割には最適な作品でしょう。

もっとも、強いて難点を挙げるなら本作は良くも悪くも安定しており、あまりチャレンジングな工夫は見られませんでした。これは導入作であることを意識しての方向付けであることは理解しているのですが、やはり既存ファンからするとどうしてもアっと言わされるような展開が見てみたかったという思いはあります。もちろん、細かく見ていくと実に考察しがいのある作品であるのは事実なのですが。

 

ただし、若干次回作のネタバレ気味にはなってしまいますが、こうした既存ファンの想いは「破」において見事にスクリーン上で表現されることになります。旧劇場版のように複雑で極めて理解が難しいエヴァを愛する方はともかく、ごく一般的なアニメファンであれば次作をシリーズ最高傑作に推す方が多数派のような気さえします。実際、筆者も次作はかなり好きですし。

そう考えていくと、本作と次作の「破」は、両方セットで評価を下すのが最適なようにも思えます。この二作品をセットで考えるとエンタメとしての傑出度が極めて高いことに気づかされますし、エヴァに強い思い入れがなければこのあたりをシリーズとしての「全盛期」と認識してしまってもよいのかもしれません。

(Written by とーじん)

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※2020年3月現在の情報です。

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