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『エヴァンゲリオン新劇場版:破』ネタバレ感想・解説・考察!謎多きマリの正体って?エンタメエヴァの最高傑作

【考察】謎多きパイロット・マリが出現した意味と正体は?

映画『エヴァンゲリオン新劇場版:破』は、かつて一世を風靡した大人気ロボットアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のリメイク版として作成され、同時に新劇場版シリーズ四部作の第二作ともなった作品です。

前作の『エヴァンゲリオン新劇場版:序』については、ストーリーの大半が事実上旧作をなぞっておりほぼ完全なリメイク版だったものの、本作については共通する部分こそあれど実質的にはオリジナルストーリーが展開されていきます。

その意味で言えば、本作はもはやリメイク作というにはストーリーが完全に分岐してしまっているので、既に旧作を視聴済みの方であっても「完全新作」としてこの作品を楽しむことができるでしょう。

今回はそんな『エヴァンゲリオン新劇場版:破』の個人的な感想や考察を書いていきます!なお、ネタバレには注意してください。

映画『エヴァンゲリオン新劇場版:破』を観て学んだこと・感じたこと

・新キャラに新設定に、考察しがいのある要素が満載!
・エンタメとしての出来も極めて良い
・素晴らしい作品がゆえに絶望を感じることも…

映画『エヴァンゲリオン新劇場版:破』の作品情報

公開日2009年6月27日
監督庵野秀明
摩砂雪
鶴巻和哉
脚本庵野秀明
出演者碇シンジ(緒方恵美)
綾波レイ(林原めぐみ)
式波・アスカ・ラングレー(宮村優子)
真希波・マリ・イラストリアス(坂本真綾)
葛城ミサト(三石琴乃)
赤木リツコ(山口由里子)
碇ゲンドウ(立木文彦)

映画『エヴァンゲリオン新劇場版:破』のあらすじ・内容

映画『エヴァンゲリオン新劇場版:破』のあらすじ・内容

旧ネルフ基地において、捕獲することで実験対象として用いられていた第三使徒が暴走してしまいました。

そこでこの事件を食い止めるべく、マリが搭乗するエヴァ仮設五号機が出撃。なんとか使徒を打倒することに成功したものの、仮設にすぎなかったエヴァは大きな損害を受け、マリもすんでのところで脱出するほどでした。

こうした激闘が繰り広げられている一方、日本ではシンジが父であるゲンドウとともに母の墓参りへと出かけていました。

その帰路で、海上に現れた第七使徒の姿を確認するも、空中から出現したエヴァ弐号機が見事にこれを打倒します。こうして出現した二人の「新パイロット」によって、物語は大きく動き出すことになるのです。

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映画『エヴァンゲリオン新劇場版:破』のネタバレ感想

【解説】当初は序と同様、リメイクによる総集編を製作する予定だった?

【解説】当初は序と同様、リメイクによる総集編を製作する予定だった?

この作品は冒頭でも説明したように、前作とは一転してほぼオリジナルのストーリーが展開されています。しかし、これは決してこのシリーズを企画したような初期段階で決まっていたものではなく、前作の制作後になってようやく構想が持ち上がってきたようです。

監督の一人である鶴巻によると、当初構想されていた破は「いうほど破でもない」というほどの、想像する限りでは前作のような展開をしていたのでしょう。しかし、ここで庵野監督は「これでは駄目だ」と思ったのか、全面的にストーリーを見直すことになったのです。

普通の映画や監督であれば、四部作の二作目製作段階において、いきなり作風を一変させるというのは考えられないことです。ましてや前作の序は興行収入・観客評価の面でも成功という他なく、これだけのギャンブルを仕掛けるにはかなりの思い切りが必要だったでしょう。

 

しかし、庵野秀明とエヴァの発想であると考えれば、実はそれほど驚くべきことでもありません。実際、旧劇場版の「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを君に」においても、当初は完全新作を志向したもののスケジュールが押しすぎてとても製作しきれず、最終的には監督らが緊急記者会見を開き全面謝罪した後、公開時期をずらして急遽二作の劇場版作品をもっていったん完結編を製作するという運びになっています。

これも配給関係者ならびにファンを困惑・激怒させたことは言うまでもなく、監督は自分が「納得できない」と判断すればどれだけの損害を被っても、作品構想を変え得る人物であるということがわかるでしょう。

もっとも、本作に関して言えばその判断はバッチリ当たったというべきで、個人的にはエヴァの全映像作品の中でも、最も出来のいい部類に入る作品であると考えています。本記事は考察が中心なので魅力そのものについては多くを語りませんが、一見すればその素晴らしさには気づいていただけたはずです。

【考察】謎多きパイロット・マリが出現した意味と正体は?

【考察】謎多きパイロット・マリが出現した意味と正体は?

今作が「実質的に完全新作」であることはすでに触れましたが、それを端的に表しているキャラクターの存在がマリという女性パイロットです。彼女に関しては旧作世界線でその存在は全く触れられておらず、本作が初登場のキャラクターということになります。

しかし、マリはただ単に初登場のキャラだから謎が多いわけではなく、作中で見せるその行動や言動にとにかく謎が多いのです。ここでは、その細かい点について解説していきましょう。

まず、彼女は単にエヴァのいちパイロットというだけではなく、その操作技術や機能理解という点で卓越した才能を有しています。彼女はほぼ初見でエヴァ二号機を乗りこなしただけでなく、この機体に隠された「ザ・ビースト」という裏コードを知っていました。この機能については作戦監督者の立場であるミサトすらも認知していなかったものであり、彼女はエヴァという存在について非常に多くの知識を有しています。

 

さらに、まだ14歳の少女ながらゲンドウやレイ、シンジについて面識があることを匂わせる発言を行っているほか、まるでゲンドウとは昔馴染みの関係であるように見える言葉遣いを行うなど、明らかに異質な存在として描かれていることがわかります。

加えて、細かいことで言えばマリの口ずさむ歌はつねに「一昔前の流行歌」であり、語尾に「にゃ」をつける癖があるなど、趣味嗜好や性格の面でもその異質さは際立っています。

こうした点を見ていくと、やはりマリを「単なる新キャラ」とだけ評することは難しいでしょう。実際、製作陣も「マリは作品を破壊するために追加されたキャラクター」という旨の発言をしており、その言葉を鵜呑みにすれば今後の展開を大きく左右するようなキャラクターになることは間違いありません。

以上の点は本作の中だけでも推測可能ですが、この後に公開された映画や漫画において、そうした推測を裏付けるような重要設定が次々と語られています。このあたりに関しては後の作品の重大なネタバレになってしまうので、もし気になる方は読み飛ばしていただいて結構です。

 

まず、マリだけではなくエヴァパイロット全体に言えることとして、「エヴァに搭乗すると外見的に年をとらない」という、「エヴァの呪縛」なる現象が発生するということが明かされました。そのため、趣味嗜好が古めで、かつ大きく年の離れた人物に親しげな様子を見せるマリは、その実年齢が外見から類推できるものと大きく異なるという可能性が浮上しています。

また、この設定が新劇場版シリーズに生かされているかは不明ですが、旧作の世界線をコミカライズしたエヴァの漫画作品において、ゲンドウやユイの知られざる学生時代の様子が描かれていました。そこではなんと彼らと同じ大学に飛び級してきたマリがほぼ同年代の学友としてゲンドウやユイと交流している様子が確認でき、さらに彼女はユイに対して単なる尊敬以上の愛情を感じているような描写もありました。

これらの点が、仮に次作である「シンエヴァ」にてさらに深く明かされていくことになるのを期待したいところです。

【考察】アスカというキャラクターが「ヒロイン」から変化した?

【考察】アスカというキャラクターが「ヒロイン」から変化した?

上記で「マリが異質なキャラクターとして描かれている」ことは語りましたが、逆に「その割を食ってしまった」というキャラクターもいます。個人的にそう感じたのは本作におけるアスカの描き方で、こちらも意図的に旧作と差別化するために様々な工夫がなされています。

まず、明らかに分かるのが名前の変化です。旧作世界線では「惣流」アスカ・ラングレーが名称であったのに対し、本作では「式波」アスカ・ラングレーと、ファーストネームが変更されています。これはシンジやレイといった他の主要キャラクターに見られない特徴であり、個人的には「アスカであってアスカではない」という本作における彼女の存在を明確に指し示しているように思えます。

また、ストーリーにおける行動についても、ずいぶんと変更が多いです。第七使徒を倒すところは一見旧作と変わっていませんが「アスカ、来日」というサブタイトルで大々的に取り上げられていたことを思えば、本作の登場シーンはずいぶん地味なものに変更されています。また、アスカの見せ場であるマグマダイバー関連のエピソードは完全にカットされてしまっており、旧作に比べると存在感がやや控えめになっているのは否めないでしょう。

 

そして、極めつけは実験機に搭乗した際の暴走によってシンジ(ダミープラグ)の手で再起不能に追い込まれる役回りが、本作ではアスカに変更されています。旧作でこの際に選出されたのはシンジの友人であるトウジであり、アスカはこれ以後もパイロットとして活躍していました。

では、なぜ超重要キャラクターであるアスカが、わざわざ旧作を改変してまで犠牲者に変更されなければならなかったのか。ここには「アスカのシナリオにおける重要度を意図的に下げる」という目的があったのではないかと踏んでいます。

個人的に旧作の世界線は「シンジとアスカの物語」であったと解釈しています。これは旧劇のラストでシンジとアスカが生き残ったことからも推測可能で、彼らこそが主役であったといえるでしょう。

しかし、本作では「旧作とは違ってアスカを中心にしたシナリオを製作する意図はない」ということを目に見える形で表現した結果、アスカのキャラクター的な立ち位置が大きく変わったのではないかと思われます。

もちろん、アスカを中心から外した結果として誰が中心に据えられているか。こればかりは作品が完結してみないと断言できませんし、さらに私自身がアスカというキャラクターをかなり好んでいるあまり、出番が減らされたことを深読みしてしまっているのかもしれませんが。

【解説】庵野監督やスタッフの好みによる、数々のパロディやオマージュ、小ネタ

【解説】庵野監督やスタッフの好みによる、数々のパロディやオマージュ、小ネタ

さて、ここまでは登場人物に的を絞って解説を行ってきましたが、ここからは全く別の観点で本作を見ていきたいと思います。

この作品には考察しがいのある多数の伏線が仕込まれていますが、その一方で庵野監督やスタッフ陣の好みが全面に出ているだけにも思えるような、細かいパロディやオマージュが数多く存在します。

ただ、製作陣の年齢が割と高めで、かつアニメの領域に留まらない様々な分野の影響を受けている世代なので、元ネタが分からないという方も多いかもしれません。そこで、アニメ以外にそれほど興味がない方は見逃してしまいがちな小ネタを紹介していきます。

 

まず、本作には数多くの「特撮作品」からの影響を確認することができます。もともと、庵野監督はウルトラマンシリーズなどを製作する円谷プロの大ファンであることを公言しているほか、最近では新劇場版製作と並行して『シン・ゴジラ』の監督をも務めるなど、その特撮愛は業界随一のものです。

これを象徴する小ネタは「効果音・作中のモチーフ」などに多く採用されており、確認できるところでは『ウルトラマン』の無線着信音や作中に登場する車に『帰ってきたウルトラマン』の変身効果音などです。これらはあくまで作品の本筋とは関係のないところで、しかもさりげなく登場しているので、監督同様に特撮作品をよく見ていないと気づくことは難しいでしょう。

 

また、本作ではマリが頻繁に口ずさむ曲が一昔古いものであると触れたように「昭和の歌謡曲」がかなり多く採用されています。分かりやすいところではダミープラグによって使徒に乗っ取られたエヴァを破壊するシーンで使用される『今日の日はさようなら』で、他にも『ふりむかないで』『恋の季節』『三百六十五歩のマーチ』など、やはりそのチョイスは少し古めといえるでしょう。

マリの項でも触れたように、「昭和の歌謡曲」については一種の重要な伏線として機能している可能性も否めません。明らかに古い曲を採用することでそれとなく世代の違いを匂わせている可能性は高いですし、これが事実であれば本筋との関連性はかなり濃いことになります。

しかし、もともと旧作の時点でもエンディングテーマにジャズのスタンダードナンバーである「Fry me to the Moon」を起用しているあたり、単純に製作陣の好みが反映されているというのもまた事実だと思います。やはり、自分たちが若かったころの曲が一番印象に残っているものですからね。

【評価】コアなファンはともかく、普通のファンにとって最高傑作なのは間違いない

【評価】コアなファンはともかく、普通のファンにとって最高傑作なのは間違いない

ここまで、本作にまつわる様々な謎を解説・考察してきました。最後に本作の映画としての全体的な出来を評して、記事を締めたいと思います。

結論から言えば、本作は新劇場版で一番の出来にあるだけでなく、旧作を含めたエヴァシリーズの中でも屈指の出来にあると感じました。これは、エヴァシリーズにしては珍しく一つのエンタメ作品として完成されており、割と万人受けする内容になっていたためです。

これまでの作品では、やや芸術性が強めに出てしまうことも少なくありませんでした。特に旧アニメと旧劇場版はエンタメ的な見どころも多かったものの、後半に差し掛かるにつれてやや難解な作品に変化してしまっていました。

しかし、本作はいくつも熱い戦闘を経験した後にアスカを再起不能に追い込むことでいったん落とし、そこから味方の危機に覚醒して使徒へ立ち向かうという「起承転結」の流れが非常に見事です。もともと旧アニメの時点でも最も人気が高いであろう時期のエピソードをリメイクしているということもありますが、単純なエンタメとしては他の追随を許さない出来にあると思います。

 

このように一般的なファンには非常に評価の高いであろう本作ですが、あえて難点を挙げるとすればそれは「アスカの扱い」でしょうか。これに関しては個人的にかなりアスカ推しであるという嗜好も大きいとは思うのですが、旧作から比べるとずいぶん不遇な立場に置かれてしまっていたのは純粋に残念でした。

やはり、高画質で活躍するアスカの姿が見たかったという思いは否めないものの、シナリオ上彼女の存在感を意図的に落とさなければいけない理由は理解できたので、作品への評価は変わりませんね。

(Written by とーじん)

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※2020年3月現在の情報です。

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