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映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』ネタバレ感想・考察!老人から赤ちゃんになっていく切ない物語

映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」の考察

主人公が老人から子供になっていく映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』。斬新なテーマから始まる出会いと別れ、子供になっていく主人公の生き様・心情・行動に切なさを感じるような映画になっていました。

今回はそんな『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』についての詳しい感想と考察をご紹介していきます。感想と考察ではネタバレを含みますので、映画ご視聴前の方やネタバレを避けたい方はご注意ください!

映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」を観て学んだ事・感じた事

・若返っていくことが切ない
・すれ違っていく恋模様
・人生を見守るような人間ドラマが好きな方におすすめ!

映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」の作品情報

公開日2009年02月07日
監督デヴィッド・フィンチャー
脚本エリック・ロス
出演者ブラッド・ピット(ベンジャミン・バトン)
ケイト・ブランシェット(デイジー)
ティルダ・スウィントン(エリザベス・アボット)
ジェイソン・フレミング(トーマス・バトン)
ジュリア・オーモンド(キャロライン)
タラジ・P・ヘンソン(クイニー)

映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」のあらすじ・内容

映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」のあらすじ・内容

終戦の日、老人のような姿で生まれたことで実の父親に置き去りにされた赤ん坊、ベンジャミン・バトン。

生まれたばかりでありながら肉体は80代の老人とほぼ同じで、すでに死に向かっている状態でしたが、心優しき女性・クイニーに拾われたことで、彼女の働く老人ホームで老人のような穏やかな日々を過ごすことになりました。

長くはないと言われていましたが彼は生き続け、入れ替わりの激しい老人ホームで個性豊かな人々と出会うことで、見た目は老人でも心はどんどん豊かに、少年らしく成長していきます。

そして動けなかった身体は杖を付くことで歩けるようにまでなり、ベンジャミンは初めて外の世界へと飛び出しましたが…。

映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」のネタバレ感想

映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」のネタバレ感想© 2008 – Paramount Pictures

生まれた瞬間から老人、歳を重ねるごとに若返っていくという斬新なテーマから始まります。

少年なのに老人、老人なのに少年だからこそ周りの人々とすれ違っていくストーリーに惹き込まれる魅力的な映画になっていました。

【解説】最初の時計職人の話の意味は?

死を身近に感じたとある老婆が娘に過去の思い出話をする形でスタートするのですが、本筋のベンジャミンとは関係なさそうな時計職人の話にはどんな意味があったのでしょうか?

逆回しの時計をつくった時計職人ということで、老人の姿で生まれどんどん若返っていくベンジャミンと全く関係ないとは思えないのですが、冒頭とラストに時計が出てくるもののストーリー的にそこまで深く関わってこなかったので、あのストーリーの意味がイマイチ分かりませんでした。

若返る身体を持つベンジャミンの話に繋げるための導入ストーリーだったのか、時を遡る時計でベンジャミンを表現するためのアイテムだったのか…。

考察によってはベンジャミンの若返る身体の謎を紐解くための重要なストーリーにもなりそうなのですが、時計職人の話は冒頭のみで後半は時計しか登場しないので、本当に関係があるのかは不明のままです。

よく出来た面白い話だったので、もっとエンディングにガッツリ絡めてベンジャミンの身体について、あの話の解まで用意されていても良かったのにな…と思いました。

身体は老人でも心は少年

身体は老人でも心は少年© 2008 – Paramount Pictures

見た目は老人でも心は年相応の少年で、成長に合わせて外の世界に興味を持ったり年相応の欲求を持つようになっていく姿が面白く、そして切なくもありました。

老人ホームで老人のように穏やかで刺激のない日々を送っていたけれど、同年代の子供たちが外で遊んでるのを羨ましそうに眺めていたり、外の世界に興味を持ったり、親に内緒の初めての冒険を楽しんでいたり。

今まで自分に付きっきりだった母親に子供が出来たことで、赤ちゃんの方に付きっきりになった母親を羨ましそうに寂しそうに眺めていたり…老人でも心は年相応の少年というのが印象的でしたね。だからこそ、切ない部分も多かったですけど…。

せっかくベンジャミンにとって初恋と言える少女と出会うことができたのに、見た目が老人であることによって端から見ると幼子に手を出そうとする老人の恋、犯罪行為のように見られてしまって…一緒に遊ぶことすらままなりません。

 

そして老人として老人ホームにいるからこそ、幼くして何度も周りの人を見送り続け、自分もいつ死ぬんだろうと死を身近に感じていて…身体は老人でも心は少年だからこそ、成長して少年になっていくほどに切なさが増すというのが切なかったですね。

そういった意味では、老人ホームに置き去りにされたのは幸福なことでもあり不幸なことでもあったのかもしれません。

老人ホームで育ったからこそ見た目を気にすることなく、周りの子供にいじめられることもなく穏やかにのびのびと育つことができたけど、老人ホームで育ったからこそ大人になるのが早すぎた感じもして…。

幸せであり不幸でもあり、ストーリーとしては何とも切なさ溢れる絶妙な子供時代だったと思います。

周りの人とすれ違っていく

周りの人とすれ違っていく© 2008 – Paramount Pictures

幼い頃は見た目が老人で心は少年であることですれ違い、成長してからは見た目が少年で心は老人だからこそすれ違っていく姿が切なかったですね。

老人のように老人ホームにいて世話をされる側だったのに、若返っていくことでホームを手伝う側になり、やがて老人ホームを出て船乗りとして働きだし、世界で生きていくためにお金がいかに重要なのかを知り、女性という楽しみを知っていき…。

見た目が老人なだけに少年が知ってはいけない大人の世界を知ってしまったからか、付き合う友人関係は完全に大人に限定されてしまいました。

自分が若返っていくのに友人たちはどんどん老いていくので、出会った時に大人だった彼らはどんどん老人になっていき、年老いた友たちはベンジャミンを置いて先立ってしまいます。

 

そして自分は若返っていってるとは言えまだ老人のままなのに、初恋の女性はどんどん魅力的な大人の女性に成長していき、若い時からどんどん自分の世界を広げていて、思うように関係を発展させることが出来ない…。何とも不思議で切ない…すれ違っていく恋模様でしたね。

時の進む方向性が違うから、共に過ごせば過ごすほどお互いの時間がすれ違っていき、交わっても必ずどこかですれ違ってしまうというのが、映画『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』と似ていました。

ずっと一緒にいたいのにいられなくて、必ず訪れてしまう別れという関係性がよく似ていたので、あの映画が好きな方であれば今作も気に入るかと思います。

吹き替え声優が山寺宏一さん!

吹き替え声優が山寺宏一さん!© 2008 – Paramount Pictures

吹き替え版で老人から若返っていく主人公・ベンジャミンの声を、山寺宏一さんが担当されていたのがすごく良かったですね!

年老いた少年という特殊なキャラクターと山寺宏一さんの印象的な声がよく合っていましたし、若返っていく経過に合わせて微妙に声の張り具合が変わっていく細かい演じ分けもあったためか、最初から最後まで違和感なく観ていくことができました。

幼い時の見た目は老人なのに中身は無垢な少年という感じ、そして見た目は若いのに中身が老人という感じが、映像からだけでなく声からも伝わってきて、ストーリーの中に入り込むように没頭できる声だったと思います。

こういっては何ですが、イケメン!という声ではなかったのが良かったです。

見た目がどんどん若返っていくという変わった肉体を持っているものの、印象的な声だけど普通の男という感じがする声だからこそ、心情や行動は普通の男なんだと感じられて共感しやすかったかなと思います。

男の人生を見守るストーリー

男の人生を見守るストーリー© 2008 – Paramount Pictures

今作は老人として生まれた赤ん坊が成長し、どんどん若返っていく身体に悩まされながらも普通の男として生きていく、男の人生を見守るようなストーリーになっていました。

老人として生まれた赤ん坊、どんどん若返っていく身体と普通とは違った生まれではあるものの、母親・老人ホームの老人たち・職員に愛されてのびのびと育って…、大人の男と出会って外の世界に興味を持ち、妹に母親を取られて拗ねて…。

大人になってからは戦争が絡んでいるから特殊な人生に見えますが、仕事関係で出会った男性に憧れたり、旅先で出会った女性に恋したり、初恋の女性と再会して再び恋に落ちたり…見た目にこそ衝撃があるもののその人生は普通の男性という感じがしました。

 

そんな風に普通の人生に感じられるのは、ベンジャミンの周りにいる人々が彼を普通に愛し、信頼してくれたためだと思います。

そんな人々に囲まれていたからこそ彼は普通の人生を歩むことができたし、だからこそ普通の男になることができて、新たな出会いを繰り返すことで狭まっていた世界を広げることができて、どんどん大人になっていって…。

目まぐるしく動き回る人生の中で出会いと別れを繰り返して、普通の子供、少年、男性へと移り変わっていくその生き様を見守るようなストーリーでしたね。

故人の日記を読みながら過去を振り返っていくストーリーは映画『君の膵臓を食べたい』と似ていて、死を身近に感じた人がファンタジーのような話を語っていく流れは映画『ビッグ・フィッシュ』に、悪さもする男の人生を見守っている雰囲気は映画『トレインスポッティング』と似ていましたね。

父親と同じように娘を置いていく

父親と同じように娘を置いていく© 2008 – Paramount Pictures

ベンジャミンの父親が彼を老人ホームの前に何も言わずに置き去りにしたように、ベンジャミンもまた何も言わずに娘を置いて去ってしまうというのが切なく、印象的でした。

ベンジャミンは父親のことをよく知らないだろうし、自分を置いていった父親を嫌っていたのかもしれませんが行動が父親と被っていて、血で繋がった親子なのだなというのを感じましたね。

父親が何年も経ってから父親とは告げずに様子を見にきたり話しかけたり、死ぬ前に父親であることを告げて全財産を譲ろうとしていたように、ベンジャミンも財産を売り払って娘にお金を残し、父親とは告げずに様子を見に来て話し、日記を残すことで父親と伝わるようにしていたこととか…。

行動もさることながら、状況こそ違えど2人ともベンジャミンの身体のことを考えて子供を手放すという点が同じことも、2人が親子であることを表していて印象的でしたね。

最後には愛した人が赤ちゃんに…

最後には愛した人が赤ちゃんに…© 2008 – Paramount Pictures

老人で生まれて親に置き去りにされたこと、子供時代を老人として過ごしたこと、周りの人とすれ違うという切なさももちろんあるのですが、個人的に1番切ないと感じたのはデイジーとの恋模様でしたね。

少年の時には見た目が老人のために周りから冷たい目を向けられて恋することも許されず、青年になってからも中身と見た目のギャップのためか恋のスピードが合わず、そして中年になってやっと見た目が若返った頃には愛した人が老い始めていて…。

ベンジャミンは見た目に関しては気にしていないようなことを言っていましたが、女性にとってはパートナーが若々しいのに自分だけが老いていくというのはどうしても気になってしまうもので…最終的には2人はすれ違うことになります。

 

そして最後には自分の愛した人が赤ちゃんになっていくというのが…また切なかったですね。

自分のことも分からず、見た目だけでなく内面まで少年、赤ちゃんへと退行していって…、年老いた自分が赤ん坊になった愛した人をあやしながら過ごすというのには、何ともやり切れないものがあります。

見た目が老人で認知症であれば、歳を重ねたということで心的ダメージは少ないのかもしれませんが、赤ん坊の見た目になっているからこそ切なさが増しているように感じましたね。

映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」の考察

映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」の考察© 2008 – Paramount Pictures

ロシアのホテルで出会った女性・エリザベスについて、ベンジャミンが老人に生まれどんどん若返っていく理由について考察していきます。

あくまでも個人的な考察なのでこれが正解というわけではありませんが、参考程度に見て頂けると幸いです!

ロシアのホテルで出会った女性・エリザベス

彼女はなぜ何も告げずにベンジャミンの元を去ったのでしょうか?

ベンジャミンと会った最後の夜、彼女は名残惜しそうにキスをして足早に部屋を去っていましたから、元々その日にホテルを去る予定が決まっていたのだと思います。

去ることを告げなかったのは、「絶対に愛していると言わない」というルールを自分で設けていたために、彼の元を去る前に伝える言葉を持ち合わせていなかったためか、人妻である自分がベンジャミンを求めても自分のものにはならないと諦めていたためかもしれません。

彼女は誇り高く、自分からは行動に移せないタイプでしたから自分で決めたルールを破ること、他の男性を自ら求めるということに抵抗があったのだと考えられます。

 

そして彼女はなぜ年老いてから遠泳に再挑戦しようと思ったのでしょうか?

ベンジャミンと話しているときに、死を恐れていたけれども最後は悟ったように穏やかな死を迎えた父親の話をしていたけれど、自分も年齢を重ねて死を感じた時にそのことをふっと思い出したのだと思われます。

自分はこのまま死んで後悔しないだろうか、やり残したことはないだろうかと考え、自分も父親のように悟ったような穏やかな死を迎えるために遠泳に再挑戦しようと考えたのではないでしょうか。

ベンジャミンが老人から赤ちゃんになる理由

ベンジャミンが老人から赤ちゃんになる理由© 2008 – Paramount Pictures

突然変異・原因不明の難病という考え方もできますが、映画冒頭の時計職人の話を考慮するのであれば、戦争で失った息子を取り戻したいという願いがベンジャミンに取り憑いていたからだと思われます。

彼にとって巻き戻したい時のスタートが息子を失った原因となる開戦日。そしてその戦争が終わった終戦日というエンドラインに立ったから、巻き戻しの呪いが発動し、時を遡る子供が生まれたのではないでしょうか。

 

ベンジャミンがその呪いの対象となったのは、父親が軍服をつくっていたから。

息子が最後に身に纏っていたものをつくった会社の男、戦争にある意味加担していた人物の子供だからこそ、恨みの矛先が向いたのではないかなと思います。

お前さえ軍服をつくらなければという恨み、息子を取り戻したいと願う父親の悲しみと苦しみ、戦争さえなければと願う虚しさが詰まっての呪いだったのではないでしょうか。

【評価】斬新なテーマの切ない映画

【評価】斬新なテーマの切ない映画© 2008 – Paramount Pictures

老人で生まれた子供、どんどん若返っていく男という他では観たことのない斬新なテーマの元、そんな身体だからこその悩みを抱えた男が苦しみながらも幸せを掴んでいく、そんな切ないストーリーの映画になっていました。

すれ違う切ない恋模様、男の人生を見守る映画が好きな方におすすめな映画になっているので、興味のある方はぜひチェックしてみてください!

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