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映画『ビッグ・フィッシュ』ネタバレ感想・解説・考察!ラストの作り話の意味や理由について考察

映画「ビッグ・フィッシュ」のあらすじ・内容

作り話ばかりする父親とその息子を描いた映画『ビッグ・フィッシュ』。独特な世界観とストーリーの映画なので人によって好みが別れそうな部分は多いのですが、非日常な男の冒険譚の中に温かな家族愛が溢れている魅力的な作品になっていました。

今回はそんな『ビッグ・フィッシュ』についての詳しい感想と考察をご紹介していきます。感想と考察ではネタバレを含みますので、映画ご視聴前の方やネタバレを避けたい方はご注意ください!

目次

映画「ビッグ・フィッシュ」を観て学んだ事・感じた事

・作り話をメインにした独特な世界観とストーリー
・親子の絆や和解を描いたラストに心温まる

映画「ビッグ・フィッシュ」の作品情報

公開日2004年05月15日
監督ティム・バートン
脚本ジョン・オーガスト
出演者ユアン・マクレガー(若き日のエドワード・ブルーム)
アルバート・フィニー(エドワード・ブルーム)
ビリー・クラダップ(ウィル・ブルーム)
ジェシカ・ラング(サンドラ・ブルーム)
ヘレナ・ボナム・カーター(ジェニファー・ヒル/魔女)
スティーヴ・ブシェミ(ノザー・ウィンズロー/詩人)

映画「ビッグ・フィッシュ」のあらすじ・内容

映画「ビッグ・フィッシュ」のあらすじ・内容

おとぎ話で有名になった人物・エドワード。未来を予見する魔女、一緒に旅をした巨人、人を襲う森と美しい町、大きな沼の主のこと…彼の話す若かりし頃の夢のような冒険譚には誰もが楽しくなり、幸せな気分になっていました。

しかし彼の一人息子のウィルだけは、エドワードの話す作り話が大嫌い。本当のことを話さずにおとぎ話という名の作り話ばかりする父親を避けたウィルは実家とは距離を取るようになり、長い間すれ違い続けていました。

そんなある日、長いこと患っていたエドワードの容体が悪化したという知らせを受けたウィルは実家に戻り、残り少ない時間で父子の関係を取り戻そうとしますが…。

映画「ビッグ・フィッシュ」のネタバレ感想

個人的に好きなキャストばかり登場しますし、まるでマンガ『ワンピース』に登場するウソップの話す冒険譚のようなストーリーで面白いとは思うのですが、非日常的な作り話をメインに展開していく独特な世界観・ストーリのため、人によって好みは別れやすい作品というようにも感じました。

魚と結婚指輪は名言だった

魚と結婚指輪は名言だった

映画冒頭で話されている魚と結婚指輪の話はエドワードという人物について、ウィルの父親に対する想い、親子の関係を知るためエンディングの展開に繋げるために重要な話になってくるのですが、個人的にはそれを除いても名言だったなと思います。

「魚も人間も同じ。釣り上げられない女性を吊るには結婚指輪が一番だってこと。」

ウィルは少年期に何度も何度も話されているためにうんざりしていますが、妙なトンチとオチまでついた結婚式にピッタリな面白話でしたし、日本でいうところの『3つの袋』の話と近い感じがいたしましたね。

なかなか自分の元に来てくれない意中の女性には贈り物をすれば良いというだけの話ではなくて、女性に振り向いてもらうためには自分にもそれ相応の覚悟や努力が必要だということを教えてくれるようなセリフだと感じました。

釣り上げるという強い意志。
金の指輪を買うための財力。
釣竿を垂らした後はじっと待つ忍耐力。
大魚を釣り上げるための筋力。
魚がヒットするよう竿を操る知力。

なかなか釣り上げられない魚や女性を手に入れるためには、むやみやたらにアタックすれば良いというわけではなく、男性側の努力や戦略が必要。そして釣った魚をキープするためにはエサをあげなければならなくて、エサがなければ魚は死んでしまうかその男の元を去っていくというところまでオチがついているのかなと思いました。

ちょっと行き過ぎた捉え方かなと思わなくもないのですが、今作は自由な解釈や世界観が魅力的な映画ですから、これくらい自分好みに自由な解釈をしても良いのかもしれません。

【解説】マンガ『ワンピース』のウソップのよう

マンガ『ワンピース』のウソップのよう

面白おかしく夢のような冒険譚を語り、周りの人は作り話と分かっていながらもその話や人物に引き込まれていくようなキャラクターが、マンガ『ワンピース』のウソップに似ているなと感じました。

多少本当の部分はあるものの、明らかに話を盛っていることが分かるような夢物語であり、人を貶めるような部分は一切ないし、その嘘には自分を良く見せようとする以上に他人を楽しませようとしていることが感じ取れるような人柄がまさにウソップでしたね。

 

ただウソップと違うのが、エドワードは父親ということ。小さい頃は面白い話をしてくれる父ということで喜ばれるかもしれませんが、どんなに他人から好かれていても自分が大人になっても作り話ばかりして、小さい頃から何度も何度も聞き続けた話を自分の結婚式の時にまで持ち出されて…子供にとっては複雑ですよね。

さらに子供の頃からほとんど家にはおらず、たまにいると思ったら作り話ばかりしていたわけですから、幼心にはトラウマに近い物が残りますし、大人になってからも遺恨が残ってしまうというのも理解できます。

病気でもう長くはないからと向き合おうと真面目な話をもちかけても、作り話を始めてしまうかペラペラと妙な話でまくし立ててきますし…。

最終的には丸く収まっているので良いのかもしれませんが、父親ということを考えるともう少し違った話し合いができれば良かったのに…とどうしても思ってしまいました。

懐かしく豪華なキャストたち

懐かしく豪華なキャストたち

ティム・バートン監督作品ということで、監督の作品に何度も出演されている俳優・女優陣、有名作品の俳優さん、古くからの俳優さんまで豪華なキャスティングになっていました。

おとぎ話の主役として度々登場する若き日のエドワード・ブルームは『トレインスポッティング』のマーク・レントン役の方。

トレインスポッティングが1996年の映画で今作は2003年の映画と7年の期間が開いていること、2作品で演じているキャラクターが違い過ぎることもあり、映画視聴中には同一人物だとは全く気付きませんでした。そして同一人物であると知ったうえで観返してみても、本当に同じ人だろうかと疑ってしまうくらい受ける印象が全然違います。

演じるキャラクターによって、ここまで別人に見えるくらい演じ分けをされているのはスゴイなと驚くばかりです…。

 

そしてエドワードの死に際を見せた魔女、エドワードに恋をしていた娘・ジェニファーは『アリス・イン・ワンダーランド』の赤の女王役、『チャーリーとチョコレート工場』のチャーリーの母・バケット夫人役の方です。

不思議な町で出会った町長の娘・ミルドレッドは『チャーリーとチョコレート工場』のガムっ子バイオレットの母・ボーレガード夫人役の方であり、サーカスにいたピエロの弁護士は『チャーリーとチョコレート工場』の小人ウンパ・ルンパ役の方です。

3人とも印象的なお顔立ちをされている方なのでどこかで観たことある気がするなとは思っていましたが、皆さん同じくティム・バートン監督作品のチャーリーとチョコレート工場に出演されていたキャスト陣でしたね。

 

そして謎の詩人・ウィンズローが『スパイキッズ2 失われた夢の島』の科学者・ロメロ役の方です。

個人的にスパイキッズシリーズが大好きでウィンズローが登場した瞬間にロメロだ!と気付きましたが、スパイキッズ以外で私が観ている作品にはあまり出演されない俳優さんなので、今作でお見かけするとは思わずすごく驚きましたね。

ロメロといい今作のウィンズローといい、独特な雰囲気を醸し出して主人公を振り回すのですが最後には主人公助けてくれるようなキャラクターがピッタリで、今作中で1番好きなキャラクター、俳優さんです。

日本の映画『有頂天ホテル』のように豪華なキャストということで皆さん演技が自然で安心感がありますし、自分の好きな作品に出演されていた女優・俳優さんが数多く登場していたので、キャラクターにも感情移入しやすかったですね。

独特な世界観とストーリー

独特な世界観とストーリー

自分の経験を元にした数多くのおとぎ話、すれ違っていた父子の親子愛とテーマは面白いのですが、世界観とストーリー展開がかなり独特な映画なので、人によって好みが別れやすいような気がしました。

基本的には病気で弱りゆくエドワードが自分の経験を元にした冒険譚を話すという形でストーリーが進んでいくので、世界観・ストーリー共にかなりファンタジーな話が多いです。

しっちゃかめっちゃか何だけど最後には誰も傷つかないハッピーエンドで終わるような感じが、少年漫画のような非日常的な冒険譚と、ディズニー映画のようなメルヘン・ファンタジー感と背景の闇をミックスしたような話だなという印象でしたね。

 

そんな非日常を求める男の夢が詰まった冒険譚で面白おかしく進みながら、現実世界では病気に弱りゆくエドワードと仲違いし続ける親子という2つのストーリーが同時進行されていくのですが、物語がどこに向かっていくのか、結局何が言いたいのか分かりにくい部分がありました。

本筋にあるようで常に脱線していて、おとぎ話の中には得るものがあるようなないような何とも独特な世界観とストーリーで、最終的には親子の和解というハッピーエンドで終わるものの、ついていけないという方もいらっしゃるかと思います。

特にエドワードの話すおとぎ話には男性の夢や憧れが詰まったものが多いので、女性からするとくだらないで終わってしまう話も多いかなと。

カッコいい・笑える・怖いといった分かりやすいリアクションのしやすいジャンルではないせいもあるのかもしれませんが、じっくり観なければ面白さのよく分からない映画なのでぼーっと観たいときの映画としては不向きかもしれません。

どちらからと言えばエドワードの想いやラストの展開についてじっくりと考察したい方、独特な世界観の映画がお好きな方におすすめな映画ですね。

恋愛部分だけはイマイチ…

独特な世界観やストーリーも嫌いではないので、エドワードのおとぎ話も好きな物が多かったのですが、女性との恋愛ストーリーだけはどうしても理解できない、納得できない部分が多くてイマイチだなと思ってしまいました。

サーカスで出会った女性に一目惚れする、その女性のことを知るためにサーカスで働くということ自体は良いと思うのですが、出会ってすぐに「愛してます」と告白したり、3年間探し続けていましたとか、女性側の事情も聞かずに「僕らは結婚する運命です」とかストーカーにしか思えなくて普通に怖いです。

婚約者がいるからと断った後も諦めずに学校で愛してますってアピールし続けて、家の前に突然大量の水仙を植えこんだり…普通に怖いし迷惑だしストーカー。

そこに婚約者が現れて、その男を殴り続ける姿を見て婚約破棄するというところまでは理解できるのですが、だからと言ってその殴られているストーカー男の方を選ぶというのは理解できませんでした。

 

そしてそんなストーカー行為をされ続けて喜んでいる様子のサンドラ、ロマンチックだと言うジョセフィーンが同じ女性として一番理解できません。

また、自分に好意を寄せているジェニファーを振るときに、自分が愛しているのは妻だけだと奥さんとの仲の良さを強調するエドワードも気になりました。

誠実な対応と言えば聞こえは良いのですがジェニファーに対する配慮が足りないようにも感じてしまいますし、もし「あなたは私と結婚する運命にある」「奥さんさえいなければ私の方を振り向いてくれる」と昔の自分の様に粘着質に思い込んでしまう女性だった場合、自分や奥さんにも危害が及びかねませんし…。

もう少し良い言い回しや振り方があったのではないかなと思わなくもないです。

男性が主人公の映画で、男性視点での恋愛ストーリーだからしょうがない部分もあるのかもしれませんが、今作の恋愛ストーリーに関しては特に理解できない部分、納得できない部分が多かったですね。

映画「ビッグ・フィッシュ」の考察

映画「ビッグ・フィッシュ」の考察

エドワードが息子や他人に作り話をする理由について、ラストにウィルが話していたエドワードの死に際の話の意味について、エドワードの話に登場していた双子や巨人について考察していきます。

あくまでも個人的な考察なのでこれが正解というわけではありませんが、参考程度に見て頂けると幸いです!

エドワードが作り話をする理由

エドワードが作り話をする理由

エドワードは家族や知人に度々おとぎ話をしていますが、それはただ人を楽しませたい、元気付けたいためだと思います。

息子に話していたら楽しそうにしてくれた、息子の友人に話していたら楽しそうにしてくれた、知人に話していたら楽しそうにしてくれたとどんどん広がっていき、楽しそうにしてくれたから話続けていたのではないでしょうか。

自分の経験談をありのまま話していてもつまらないから、話の根底には自分の経験や本当の話があるものの、登場人物や話の展開について大げさに話していたり脚色することで、面白おかしい冒険譚にしています。

エドワード自身は潰れかけた町を救っていたり、多くの人から好かれていたり、それだけで十分スゴイ人なのですが、それはエドワード本人とってはスゴイことでもなんでもなくて、当たり前のこと。だからそれだけではつまらないと思い、尾ひれを付けて話しているのだと思われます。

ラストの死に際の話の意味

エドワードはいつものように死に際の話をしようとしたけれど、いつものように話し出すことができませんでした。もしかしたら自分の死を身近に感じて、死に関する話をすることに恐怖してしまったのかもしれません。

そこでそんな父親に元気を出してもらおうと、息子が歩み寄ろうとして死に際の話をしたのではないでしょうか。

父親が自分のために話してくれたおとぎ話を元に、父親のおとぎ話で登場したキャラクター達も受け継いで、自分も父親のためにおとぎ話をしていく…。そうすることで、父親が人のためにおとぎ話をしていた理由を理解できて、やっと親子が分かり合えたというラストだったと思われます。

そして、今度は生まれた自分の子供におとぎ話を引き継いでいました。肉体的には死んでしまったけれども、おとぎ話の中では大きな魚として生き続けている父親のために。

双子や巨人について

双子や巨人について

エドワードのおとぎ話の中に登場していた双子や巨人は確かに存在していました。

しかし、双子は1つの下半身に上半身が2つという状態ではなく、それぞれが独立している同じ顔をした女性という世間一般でいうところの普通の双子でした。

そして巨人は自分の倍以上はある大男ではなく、普通の人よりもいくらか背が高い程度の長身の男性であり、魔女は存在していましたが、眼帯はしておらず未来を予知する力もない普通の人です。

このことから父親の話は完全な嘘ではなかったものの、脚色されていたものであるということが分かりました。それでも父親の葬儀にそれらの古い知人が何人も来てくれたことから、エドワードが間違いなく人々から愛されている人物であるということも分かりましたね。

「ビッグ・フィッシュ」は独特な映画がお好きな方に

「ビッグ・フィッシュ」は独特な映画がお好きな方に

人を元気づけたいと思う父親とそんな父親のことをやっと理解できた息子の温かな親子愛、父親の話してくれる夢のような冒険譚が魅力的な作品になっていました。

ただ世界観やストーリーがかなり独特なので、好みは別れやすい作品かなと思います。王道の親子愛映画やファンタジー映画を求めている方よりも、独特な世界観がお好きな方におすすめな映画です!

映画「ビッグ・フィッシュ」の動画が観れる動画配信サービス一覧

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