『セントラル・インテリジェンス』は、2017年に公開されたアクション・コメディ映画です。出演しているのは、人気作『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』でもコンビで出演していた、人気俳優のドウェイン・ジョンソンとケヴィン・ハート。
本作は、このゴールデンコンビが共演するアクション・コメディ作品なので、ハチャメチャで楽しい作品と仕上がっていました。
そんな映画『セントラル・インテリジェンス』の個人的な感想や解説を書いていきます。ネタバレを含む内容となっていますので、映画を未視聴の方はご注意下さい。
目次
映画『セントラル・インテリジェンス』を見て学んだこと・感じたこと
・誰でも楽しく見れる古き良き痛快ドタバタコメディ映画
・いじめなどの辛い過去を克服するために必要なこと
・今を受け入れて、前に進むために必要なこと
映画『セントラル・インテリジェンス』の作品情報
公開日 | 2017年11月3日 |
監督 | ローソン・マーシャル・サーバー |
脚本 | アイク・バリンホルツ デヴィッド・スタッセン |
出演者 | ドウェイン・ジョンソン(ボブ・ストーン/ロビー・ウィアディクト/景浦大輔) ケヴィン・ハート(カルヴィン・ジョイナー/西谷修一) |
映画『セントラル・インテリジェンス』のあらすじ・内容

かつて高校生の時、カルヴィン・ジョイナーは人生の黄金期を迎えていました。反対に、ロビー・ウィアディクトは太った体型から他の生徒にいじめられていて、全校生徒が集まる体育館の中に全裸で放り込まれてしまいます。そんなロビーを労ったのは、カルヴィンとその彼女であるマギーだけでした。
その後、カルヴィンは大人になり、会計士として働きながらマギーと結婚していました。しかし、カルヴィンは仕事やマギーとの仲がうまくいっておらず不平不満の毎日です。
そんな中、かつていじめられていたロビーから連絡がきます。ロビーは訳あってボブ・ストーンと名乗っているとのことでした。そして久しぶりにカルヴィンはロビーと再開しますが、ロビーはかつての面影がないほど筋骨隆々に成長しており、しかもCIAのエージェントになっていました。だが、段々と話がきな臭くなってきて…。
映画『セントラル・インテリジェンス』のネタバレ感想
【解説】ドウェイン・ジョンソンとケヴィン・ハートのコンビが最高!

「セントラル・インテリジェンス」を鑑賞すると、昔の午後のロードショーなどで放映されていたような、ドタバタアクションコメディのバディものを彷彿させられると思います。本作に近い映画でいったら、「バッドボーイズ」や「ラッシュアワー」ですね。誰でも楽しく鑑賞できる古き良き王道映画という感じでした。
本作の魅力といえばドタバタコメディですが、それを超えるくらいにドウェイン・ジョンソンとケヴィン・ハートのコンビが面白くて良かったですね。
ドウェイン・ジョンソンとケヴィン・ハートといえば、人気映画『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』で共演していましたし、2019年12月に公開される「ジュマンジ/ネクスト・レベル」でも共演を果たします。今ではハリウッド映画にもよく出演するマッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンと、人気コメディアンのケヴィン・ハートが組んだ映画となると、これだけで鑑賞したくなった人も少なくないはずです。
実際に映画の中でも息の合った演技や、このコンビならではのコメディシーンは思わず声を出して笑ってしまいました。
人懐っこさを感じさせるドウェイン・ジョンソンとケヴィン・ハートの笑えるやり取りを見ているだけで、日頃の疲れや鬱憤を忘れさせてくれます。エンディングのクレジットでNGシーンがいくつか流れていましたが、そこでも二人は仲良さそうにしていましたね。
【解説】シナリオ的に粗い部分もあるが、充分に楽しく鑑賞できる

『セントラル・インテリジェンス』はドウェイン・ジョンソンとケヴィン・ハートのやり取りが醍醐味の映画なので、ストーリーやシナリオ設定が少し粗いなと感じる部分も多々ありました。
例えば、悪役であるフィルはインパクトも少なく、何故あんなことをしたのか全くわからないので、黒幕として出ても微妙な印象しか抱きませんでした。
他にも人工衛星の機密コードの何がヤバイのかイマイチ伝わってきませんでしたし、2人にとってはほとんど関係のないものなので、どうしても他人事のような出来事に感じられます。
ロビーが味方なのか敵なのかも最後あたりまで引っ張っていましが、これもサスペンスとしては少し弱いです。ロビーが裏切るような雰囲気を全くだしてないので、必要な要素だったのだろうか?と個人的には疑問に思います。
映画『セントラル・インテリジェンス』ではこういったシナリオや設定の粗さがありましたが、しつこく何度も言っているように、本作の魅力はドウェイン・ジョンソンとケヴィン・ハートのやり取りが一番なのです。
2人のやり取りがシナリオや設定の粗さを充分にカバーしていると思いますし、それほどに本作における2人の魅力というものは、安定的かつ強烈に映りました。シナリオや設定の粗さがあまり気にならなくなるほど、ドウェイン・ジョンソンとケヴィン・ハートの魅力が強い作品でした。
【考察】ロビー・ヴィアディクトにとっての物語。いじめを克服する物語でもある

『セントラル・インテリジェンス』をロビーの視点だけで見ていくと、この映画はロビーの成長物語であったことが分かります。
ロビーはいじめられっ子から、CIAのマッチョな凄腕エージェントになりましたが、本編を見ていても分かるように、ロビーはいじめを完全に克服したわけではありません。そのことは、昔ロビーをいじめていたトレヴァーと再会したロビーの態度からみてもわかりますよね。ロビーのいじめに対するトラウマは消えておらず、ずっと心の中に恐怖や恥辱が残ったままだったのです。
しかし、映画のラストシーンである同窓会では、ロビーはトレヴァーを思いっきり殴って気絶させます。この時、ロビーはようやく完全にいじめを克服したのでしょう。その後のロビーの行動を見ていても明らかです。
確かに本編中のロビーは明るいキャラクターで通っていましたが、実は心にとても深い傷を負っていたキャラクターでした。本来であれば学校や同窓会のことにはあまり関わりたくないと、ロビーは考えていたことも想像できます。
トラウマや嫌な思い出が詰まった学校に、夜忍び込もうなんて気はおきませんよね。しかし、それでもロビーが夜の学校に忍び込む気になったのは、カルヴィンという存在がいたからです。ロビーはかつて自分に唯一優しくしてくれたカルヴィンが一緒にいれば、学校での嫌な思い出に負けずに学校に忍び込めると思っていたのかもしれません。
とは言っても、いじめの主犯であるトレヴァーが目の前で再会した時はカルヴィンがいても駄目でした。もうすでにいじめを克服したとロビーは思っていたのでしょうが、完全には克服していなかったのです。それでも、ロビーはカルヴィンと一緒に行動することで、より強くなりついにはトレヴァーを殴ることに成功します。この時にロビーは、完全にいじめを克服したのです。
これらの経緯を考えると、本編の物語はロビーにとっていじめを完全に克服する物語であり、成長する物語でもあったのだと思います。あの明るい演技とドタバタコメディのせいで本筋を忘れがちですが、ロビーは過去に負った深い心の傷をカルヴィンと一緒に克服していったのです。ロビーにとってのこの物語は、勇気づけられる話であり、感動的な物語でもあったと思います。
【考察】カルヴィン・ジョイナーにとっての物語

『セントラル・インテリジェンス』のもう一人の主人公・カルヴィン。同じようにカルヴィンだけの視点で見ていくと、彼にとっても成長の物語だったと言えると思います。
カルヴィンは学生時代、昔の栄光を思い出しながら、ぱっとしない自分の現在を嘆いていました。過去の幸せだった記憶を辿ってため息をついてしまうというのは、現実にもある光景ですよね。どちらかと言えば、カルヴィンの現状に共感したという方もいるかと思います。
そんなカルヴィンがロビーと一緒に事件に巻き込まれていきます。映画の最後にカルヴィンがCIAに転職。そして、さわやかな顔で終わりを迎えているので、この物語の中でカルヴィンにも心境的な変化があったということになります。
カルヴィンから見てみると、CIAのマッチョエージェントとなったロビーは眩しく感じられたのかもしれません。ぱっとしない自分の人生と比べて、卑屈になっていたのでしょうね。カルヴィンはロビーに巻き込まれていくことを嫌がっていましたが、心の奥では人生がうまくいっていると感じられるロビーに、嫉妬のようなものを覚えていたのではないかと思います。そんなロビーと比べてしまうのが嫌なので、ロビーから離れたいとカルヴィンは思っていたのかもしれません。
しかし、ロビーがトレヴァーと再会していじめを克服しておらず、今でも心に大きな傷を負っていることをカルヴィンは目の当たりにします。そこからカルヴィンもロビーに感化されて、自分のできることをやっていこうと思い始めたのかもしれません。実際にカルヴィンの行動は、ロビーとトレヴァーが再会した後あたりから変化していきます。
例えば、駐車場のシーンで激しい銃撃の中カルヴィンは自らの危険も顧みずに銃撃の中に飛び込んでいきますが、映画序盤のカルヴィンのことを考えると驚くべきほどの変化です。いじめで受けた心の傷を負いながらも、真っ直ぐに困難に立ち向かっていくロビーを見て、カルヴィンの心境も変化していったのかもしれません。
ロビーと同じように、カルヴィンにとっても成長物語でもあったのです。ロビーほど大きな変化は感じられないですが、カルヴィンの心境もしっかりと変化しました。現在に不満で愚痴ばっかり言って、何も行動を起こさずに過去の栄光を懐かしんでいるカルヴィンはもういません。自分で現状を変えていこうと行動する、力強い1人の大人にカルヴィンは成長したのです。
【考察】ラストシーンの同窓会と本作のテーマについて

『セントラル・インテリジェンス』のラストの同窓会シーンには、本作のテーマとなるメッセージが含まれていると思います。
特に一番印象に残るセリフが、ボブの同窓会でのスピーチです。「全てを曝け出して、自分を磨くんだ」と言って全裸になったスピーチですね。このスピーチには全てが詰まっています。
映画の冒頭で、トレヴァーにいじめられていたロビーは、学校のシャワー室1人で全裸のまま踊っていました。ですが、ラストシーンの同窓会でのスピーチ後では、いじめを克服してムキムキになったロビーはスピーチ後に全裸になります。
実はこの全裸になるということは、映画の冒頭と繋がっていて、ロビーが人前でも恥ずかしがらずに自分の姿を曝け出し、過去を乗り越えて、内面も外見も変わったという意味とも取れます。全裸で始まって全裸で終わる。笑える要素でもあるのですが、メッセージ性のある伏線ともとれます。
『セントラル・インテリジェンス』で言いたかったこととは、まさに辛い過去や冴えない現在を嘆くよりも、全部曝け出して自分を成長させていくことが大事なんだということです。
そして、カルヴィンの心境の変化はバク転にも表されていると思います。作中でカルヴィンは3回バク転を披露していますよね。1回目のバク転は黄金の学生時代、2回目はロビーと再会した時の夜の学校、3回目はラストでロビーを救った時です。
1回目は綺麗にバク転を決めますが、現在に不満だらけの2回目は派手に失敗していました。このバク転の成否は、カルヴィンの人生そのものを象徴しているかのようでした。3回目のバク転は綺麗に成功はしませんでしたが、ロビーを救うことには成功しています。3回目のバク転は、現状をなんとかしようと足掻いたカルヴィンの心境が感じられないでしょうか。
カルヴィンはロビーのように成長するのに長い時間をかけたわけではないので、どうしても小さな出来事になっていますが、このバク転の変化に注目すると、カルヴィンも成長しているとも取れます。カルヴィンの3回のバク転は、カルヴィンの心境の変化と成長を描いた部分だと感じられました。
また、ロビーは全てをさらけ出すことで、カルヴィンという唯一無二の親友を得ることができました。そして、カルヴィンもロビーの弱いところを含めた全てを曝け出して戦う姿に影響を受けて、カルヴィンの心境が変化し、前向きに人生を歩けるようになったのです。
そして最後にロビーは、大人になったクラスメートとも向き合うことができ、いじめの主犯であるトレヴァーともきっちりと決着をつけることにも成功します。映画として文句のないフィナーレと言えます。
映画の内容的にどうしてもコメディよりになってしまうので、少し共感しづらいかもしれませんが、ロビーが学生時代に受けた心の傷は相当なものです。もし、現実でロビーのような体験をしたら全く笑えないですし、トラウマにもなりかねませんよね。
『セントラル・インテリジェンス』を全体的に見ればドタバタコメディ映画にジャンル分けすることができますが、「辛い過去のいじめを克服して成長する」というテーマを意識して鑑賞すると、また違った面が見えてくると思います。もう一度視聴する場合は、そう言った部分も意識してみてください!
映画「セントラル・インテリジェンス」の動画が観れる動画配信サービス一覧
配信状況 | 無料お試し | |
Hulu![]() | × | 2週間 |
Netflix | × | 30日間 |
FOD![]() | × | 1ヶ月 |
U-NEXT![]() | × | 31日間 |
auビデオパス![]() | × | 30日間 |
※2019年9月現在の情報です。