映画「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」はシリーズ3作目にあたり、前作の「トランスフォーマー/リベンジ」の続編です。主人公のサムが登場する映画としてはこれが最後となり、初めは三部作構成が予定されていたので、1作目を見た方はとりあえず今作まで視聴することをおすすめします。
アポロ計画など史実をストーリーに組み込みながら、トランスフォーマーと人間の関係を描き、地球規模の戦いが描かれた作品です。今回は「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」のネタバレ感想や解説を紹介します。
目次
映画「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」を観て学んだこと・感じたこと
・危険を取り除きたい人間、自分たちで何も解決できない人間を描く
・1,2作目と比べてギャグ要素は少なくシリアスな展開
映画「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」の作品情報
公開日 | 2011年 |
監督 | マイケル・ベイ |
脚本 | アーレン・クルーガー |
出演者 | サム・ウィトウィッキー(シャイア・ラブーフ) カーリー・スペンサー(ロージー・ハンティントン=ホワイトリー) シーモア・シモンズ(ヨン・タトゥーロ) ウィリアム・レノックス(ジョシュ・デュアルメ) センチネル・プライム(レナード・ニモイ) オプティマス・プライム(ピーター・カレン) |
映画「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」のあらすじ・内容
トランスフォーマーたちが住む惑星・サイバトロンでは、オートボットとディセプティコンの争いが激化し、劣勢になったオートボットは一隻の宇宙船で惑星を脱出しようとしますが、ディセプティコンの攻撃によって撃墜され、宇宙の彼方に消えます。
そして現代、オートボットと政府の特殊部隊であるNESTはロシアでサイバトロン星に関わる情報を入手し、オートボットの伝説の戦士センチネル・プライムが月に眠っていることを知ります。
センチネル・プライムを助け、オプティマスが持っているマトリクスで蘇生しますが、センチネル・プライムとディセプティコンが裏で繋がっていて、センチネル・プライムが開発した「スペースブリッジ」によって、地球にディセプティコンの軍団が現れ、人類は危機に瀕します…。
映画「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」のネタバレ感想
ミカエラを演じたミーガン・フォックは降板
1作目の「トランスフォーマー」から出演していたヒロインのミカエラですが、今作には出演していません。劇中ではサムがミカエラに振られてしまったというセリフが一言あっただけで、ミカエラについて触れられることはありません。
降板した理由は、監督のマイケル・ベイや制作スタッフと揉めたことが原因と言われています。2作目の「トランスフォーマー/リベンジ」が公開するにあたって、インタビューを受けたミーガン・フォックスは「監督は独裁者の様に振舞っている」と発言し、これに対して制作総指揮を務めたスティーブン・スピルバーグなども怒り、降板に至ったそうです。
DVDの特典映像では、ミーガン・フォックスを起用するつもりだったが、スクリーンテストを行ったところ作品とのイメージがかけ離れていたので、新しい風を吹き込むためにヒロインを変更したと制作側は発言しています。
ミーガン・フォックスの不用意な発言が悪い様にも思えますが、サム役を演じたシャイア・ラブーフも今作で降板を自ら申し出ていて、4作目の「トランスフォーマー/ロストエイジ」には出演していません。これは個人的な憶測ではありますが、映画を撮影するにあたって出演者は何かしらの不満があったのかもしれませんね。
監督のマイケル・ベイは撮影方法が独特で、自分が思い浮かべている撮影の仕方を製作陣に伝えるも、理解されないことが度々あったそうです。今までとは違った撮影の仕方で、常に斬新でスケールの大きいものを作っている天才なだけに、理解できない言動があったのかもしれません。
とは言え、1,2作目の主要キャラとして登場していたミカエラが三部作の完結編として登場しないのは、物語的に少し違和感がありました。大人の事情ではありますが、今作には出演し、サムと同様に4作目から出演しないという方が作品的には良かったと思います。
もちろん、新ヒロインのカーリー・スペンサーの演技やキャラは良かったのですが、人類の危機を二度も乗り越えた二人がそう簡単に別れてしまうのか?とも思ってしまいました。恋愛関係はどうなるか分からないということで良いのでしょうか。
【解説】オプティマスではなくセンチネル・プライムを信じる人間たち
今作ではディセプティコンと裏で繋がっていたセンチネル・プライムの発言によって、アメリカ政府がオートボットをアメリカから追放することを決め、オートボットとアメリカ軍の同盟が終わります。
前作でもオートボットが地球にい続けることに疑問を持つ人間がいましたが、彼らの言い分はオートボットがいることによって、敵のディセプティコンが地球に現れ、人間を危険にさらしているのではないかというものです。
しかし、元を辿ってみるとオートボットとディセプティコンの争いは昔から存在していて、強大な力を持つキューブが地球にあることで、オートボットとディセプティコンの争いが舞台を変えて地球で行われています。
センチネル・プライムやディセプティコンは、自分の惑星のためであれば他の惑星の生物がどうなっても構わないという考えを持っているので、センチネルとオプティマスを比較して見ると「自分たちの惑星のためであっても、他の惑星の生物を傷つけてはいけない」という考えを持つオプティマスを信じる方が正しいと思うのですが、人間達はそれをしないんですよね。
センチネル・プライムが人間側に提示した「邪魔なオートボットを地球から追放すれば、地球を侵略しない」という約束を守る可能性はあったわけですが、今まで何度も地球を襲ってきたディセプティコンと手を組んでる時点で、センチネル・プライムは信用できません。
それにも関わらず、今まで何度も人類を救い、軍とも連携を取ってきたオプティマスたちが追放されてしまうのは考えられませんでした。自分がオプティマスであれば「人間バカなの?!」と思ったことでしょう。
とは言っても、全ての人間がオプティマスたちを追放することに賛成しているわけでなく、サムやレノックスといった軍関係者は反対の立場を取っています。やはり、オートボットと共に最前線の現場で戦った人たちであれば、オプティマスたちが信用に値するロボットであるとわかっているのです。
そして、地球から追放されることが決まったオプティマスたちは宇宙船に乗り込みますが、空中で敵に破壊されてしまいます。これが敵の狙いだったのですね。しかし、撃ち落とされることが分かっていたオプティマスたちは事前に逃げ出していました。
約束を守るハズのないセンチネル・プライムたちは、地球をどんどん侵略していきます。そこで人間達は「俺たち騙されたんだ…。」と気づく訳です。オートボットの追放を決定した政府関係者は間違った決定をしたわけなので、総辞職するべきですね…。
暴露本を執筆して金持ちになったシモンズ
1作目ではセクター7の捜査官として登場し、2作目では実家お店を手伝っていたシーモア・シモンズですが、3作目にも登場しています。個人的にこのキャラが好きなんですよね。
シモンズは地球外生命体とアメリカ軍の軍事同盟について暴露をした本「コードネームヒーロー」を執筆し、かなりの大金持ちになっています。家はかなり豪華で、テレビのインタビューを受けたりサイン会の予定が入ってるほどです。
サムに声をかけられることで再びオートボットの戦いに巻き込まれます。1作目の初めは嫌な奴だと思っていましたが、ピンチの時に仲間を助けてくれる頼もしいキャラであり、シモンズが登場するシーンはギャグ要素があって面白いですよね。
また、一癖ある国家の情報長官シャーロット・メアリングとも以前に何かしらの関係があったようです。
メガトロンの寝返りによってセンチネルは倒される
カーリーにそそのかされたメガトロンは、センチネルを裏切って背後から攻撃をします。オプティマスを助けるような形になった訳ですが、センチネルの下につくくらいであれば倒すことを選んだのですね。
その後、オプティマスとメガトロンは1対1の対決を行い、オプティマスが一瞬で勝利してしまいます。さっきまでボコボコにされていたオプティマスはどこに行ったんだ!というくらい強いです。
トランスフォーマーの中では、「強い敵であっても倒される時はあっという間」ということがよくあるので、メガトロンがやられる描写も一瞬で終わってしまいました。それにしても、あのメガトロンを焚き付け、センチネルを裏切るように仕向けたカーリーの勇気がカッコいいですね。
今作ではギャグシーンが少なめ
トランスフォーマーといえばロボットの戦いや変形、人間との共闘を描き、ギャグ要素も含まれているのが特徴的な作品ですが、3作目はギャグ要素が少ない印象でした。
理由として3作目は過去の作品と比べ、内容が現実的でシリアスなものになっていました。1作目では、オートボットは人類の味方でディセプティコンは人類の敵という位置付けでしたが、世界中の人々がトランスフォーマーの存在を知ることになり、徐々に「ロボット自体が悪」という風潮になってきます。
初めは仲間だったオートボットが敵視されることもあり、オートボットと共闘して敵を倒すというワチャワチャ感がなくなったことで、ギャグシーンが少なくなったのかもしれません。
個人的にトランスフォーマーシリーズのギャグ要素が好きだっただけに残念なのですが、4,5作目を見てみるとオートボットは完全に敵扱いされ、このシリアスな展開は加速します。
1,2作目の深いことを考えずに見れる作品から、徐々に「人間とロボット(未知の世界のもの)」との関係について、考えさせられることになります。映画の好みは別れると思いますが、そこういったストーリーの転換もシリーズを通した楽しみ方です。
「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」はトランスフォーマーシリーズ第一部の完結編にあたるので、過去の作品を視聴した方はここまでは絶対に見ておきましょう!
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