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映画『タイムライン』ネタバレ感想・解説・考察!余計な感傷を残さない娯楽アドベンチャー!軽い気持ちで楽しめる!

映画「タイムライン」のあらすじ・内容

「タイムライン」は2003年にアメリカで公開されたSF歴史アドベンチャー映画です。

「ワイルド・スピード」でブレイクし、わずか40歳でこの世を去ったポール・ウォーカー主演の作品で、アメリカの大ベストセラー小説が原作です。

今回は映画「タイムライン」の感想・考察をネタバレを含みながら解説していきます。

映画「タイムライン」を観て学んだこと・感じたこと

・楽しみたいなら原作本を読まずに観るのがベター
・登場人物の突っ込みどころの多さも楽しみの一つ
・蒔いたら収穫!伏線の回収が気持ちいい軽めの娯楽アドベンチャー

映画「タイムライン」の作品情報

公開日2003年
監督リチャード・ドナー
脚本ジョージ・ノルフィ
ジェフ・マグワイア
原作マイケル・クライトン
出演者クリス・ジョンストン(ポール・ウォーカー)
ケイト・エリクソン(フランセス・オコナー)
アンドレ・マレク(ジェラルド・バトラー)
レディ・クレア(アンナ・フリエル)
ジョン・ゴードン(ニール・マクドノー)
ロバート・ドニガー社長(デヴィッド・シューリス)

映画「タイムライン」のあらすじ・内容

映画「タイムライン」のあらすじ・内容© 2003 Paramount Pictures.

最新テクノロジー会社ITCの出資により、ジョンストン教授率いる発掘調査の考古学者チームが、100年戦争真っただ中の1400年代フランスにタイムトラベルして現代に戻れず、イギリス軍に捕らえられているジョンストン教授奪還を試みます。

タイムスリップした7人に許された時間はたったの6時間。果たして戦火のフランスで無事教授の救出は成功するのでしょうか。教授とチームの運命は…?

映画「タイムライン」のネタバレ感想

映画「タイムライン」のネタバレ感想© 2003 Paramount Pictures.

「タイムライン」はフランスとイギリスによる100年戦争下の中世フランスと現代を舞台にした映画です。

タイムトラベルというSF的なテーマを軸として、ほとんどが中世の世界で繰り広げられるストーリーですので、先の見えないワクワク感を楽しみたい人は読むのを避けてください。

ここからは伏線の解説やラストまでのネタバレをガッチリ含んだ感想を書いていきます。

【考察】アメリカで大コケした理由は原作本のヒットにある?

【考察】アメリカで大コケした理由は原作本のヒットにある?© 2003 Paramount Pictures.

映画「タイムライン」の監督はリチャード・ドナーですが、この方は「オーメン」に始まり、「スーパーマン」「リーサルウェポンシリーズ」「陰謀のセオリー」などなど、名だたる有名映画の監督を務めています。主演も、当時「ワイルド・スピード」でブレイクした後のポール・ウォーカーですから大ヒットの要素はたくさんありました。

にもかかわらず、製作されたアメリカではどうやら評判がイマイチで、大コケと評す人もいるほどだそうです。確かにストーリーは王道路線の冒険映画で、取り立てて設定が素晴らしいわけではないのですが、酷評されるほどもないのでは?というのが私の感想でした。

 

辛い評価の理由は映画自体というより原作にあるのかもしれません。原作は1999年にマイクル・クライトンにより書かれたSF小説です。この作家さんはほかにも「ジュラシックパーク」や「ツイスター」などの原作を書いている人です。映画の序盤で、ITCの転送実験に協力していた教授が1357年のフランスに飛ばされて戻れなくなり、教授の息子や助教授たちがタイムワープして助けに行くのですが、ITCの研究室でざっくりとタイムワープの理論を説明されただけで、すぐに舞台は中世のフランスに移ります。

原作では興味深い量子論や、物理の理論が展開され、ITC内部の確執や教授が行方不明になった経緯などの描写がありますが、映画ではその辺は触る程度であっさり過ぎていきます。ITCの社長と研究員たちの温度差のようなものもかすかに感じますが、会社の内部事情などには踏み込んでいません。

映画ですから、もちろん短い時間にエピソードを詰め込まなくてはならず、そのために省略できるところはとことんそぎ落とした結果ですし、それでも映画として楽しむなら特に問題はないと思います。

ただし、アメリカで悪い評価が多かったのは日本よりも原作本を読んでいる人が多く、そのギャップのせいで評価が落ち込んだのではないでしょうか。日本での本作の評価は「まあまあ楽しめる」といったところです。日本国内ではそこまで原作本の知名度は高くなかったでしょうから、単なる娯楽映画として楽しめる人が多かったのではないかと思います。楽しみたいのであれば原作本を読まずに観るのがおすすめですね。

キャストがいい味を出してる!イケメン枠のポールとジェラルド!

キャストがいい味を出してる!イケメン枠のポールとジェラルド!© 2003 Paramount Pictures.

「タイムライン」の主人公クリス役には故ポール・ウォーカー。日本語の吹き替えは玉木宏が担当したことで話題になりましたが、ここはぜひとも字幕で鼻にかかったポールの肉声を堪能してほしい所です。学者肌とはいいがたい浮ついた感じや、何となくみんなにかわいがられてしまう末っ子気質の(本当に末っ子設定なのかはわかりませんが)教授の息子を演じるにはぴったりの俳優さんですね。ベビーフェイス枠イケメンとでもいいますか、甘ったれたような表情がたまりません。

一方、ポールとの対比でうまいこと輝くのがマレク役のジェラルド・バトラーです。この頃には十分キャリアを積んで人気もあったジェラルドですが、「タイムライン」の次の作品「オペラ座の怪人」で主役のファントム役に抜擢され、人気は不動のものになっていきます。

この映画でのジェラルドは「優しいけれど自己主張の強い俺様思考の持ち主」といったところ。周りの迷惑も顧みず心のままに突き進んでいくところと、彼の長身でタフな外見がよく合っています。もっとも助教授なのにあのタフさは不自然と見る向きもありますが、そこは娯楽映画なので、考古学の発掘は体力勝負ってことで納得しておきましょう。

 

個人的に注目したのはITCの社員ジョン・ゴードン役のニール・マクドノー。7名でタイムワープする際に中世の衣装に着替えていくのですが、このミッションを主導するはずの彼だけ中世の衣装が全く似合いません。数々の映画やドラマで存在感のある脇役を務めるニールですが、中世の映画だけは出演を断った方がいいかも…。

一人だけ動きやすそうな服装ではあるんですが、なんとなく顔周りのフードがピエロっぽいんですよね。映画の筋とは特に関係ないんですが、この違和感をぜひチェックしてみてください。

【解説】突っ込みどころの多いのは登場人物

【解説】突っ込みどころの多いのは登場人物© 2003 Paramount Pictures.

キャスティングは割とスマートにはまっていると思いますが、突っ込みどころが多すぎで笑えるのが登場人物です。

まず、主人公のクリス…のはずなのですが、本当に影が薄くなっちゃってますね。映画ではケイト(フランセス・オコナー)とクリスの恋模様も描かれ、考古学に全く興味のなかった教授の息子クリスが中世のフランスにワープし、さまざまな冒険を通して歴史や時間の流れの中にロマンを見出すといった小テーマがあるはず。それなのに一貫して影が薄いです。

これは完全にヒーロー枠をマレクに持っていかれているからだと思います。この映画でのタイムワープは一度細胞レベルまでばらばらに分解して、また現地で組み立てる的な方法で行うらしく、みんなが「ひええ~っ」てなっててもマレクは一人わくわく顔してるし、何なら楽しみのあまりちょっと笑っちゃってるんですよね。「俺はやるぜ!」的な。最後もレディ・クレアとの恋を貫くために中世に残る選択をしますし、アクションだって考古学の助教授とは思えないほどタフです。

それに引き換えクリスはあまり目立った活躍はなく、ひたすらケイトに主導権を握られっぱなし。ケイトとマレクの活躍ばかりが目立ちます。クリスは物語中盤までケイトに片思いしている設定ですが、教授が行方不明になった時、どさくさに紛れてクレアの肩を抱いたり、転送されるときもさりげなくクレアの手を握るなど、ちゃっかりおさわりしている所はかわいいんですけどね。

 

また、教授救出ミッションで過去に転送されるメンバーは、クリス、ケイト、マレク、フランシス、ITCの社員であるゴードン、ゴメス、バレットの7人なんですが、ゴメスとバレットはゴードンの海兵隊時代の後輩で護衛のような感じで参加したんですね。現にタイムワープ前には「俺たちが守ってやるよ」とか言って頼もしい感じなのですが、この2人、ワープしたら息をつく暇もなく死にます。1357年のフランスに到着して真っ先に死ぬのはゴメス。ワープした瞬間から1分20秒で死にます(計りました)。

バレットは、ワープ後わずか2分で矢が刺さり、パニクって現代に戻るボタンを押します。2分です(計りました)。挙句の果てに手りゅう弾のピンを抜いた状態で現代に転送されたもんだから、死体となって帰った途端タイムワープの設備を吹っ飛ばすというありさま。映画史上、もっとも役に立たない護衛だったかもしれません。

それに、登場人物へのつっこみではないのですが、第一、教授一人を助けるために何人死ぬんだと。当の教授は全く誰の役にも立っていないお粗末なキャラなので、余計そんな風に思うんですかね。そんなに重要な人物だったかな?あれ?教授って別にいなくてもよくない?

しかも、これまでのタイムトラベル映画の共通する設定として「歴史を変えてはいけない」というのがあると思います。この「タイムライン」でも現代の武器は持ち込み禁止だったり、眼鏡もない時代へ行くということから眼鏡を外されたフランシスが視界不良のままタイムワープすることになったり、いろいろ過去に干渉しないように気を使ってる場面があります。

そんな中、マレクはレディ・クレアを助けちゃうし、しまいには二人で石棺に現代に向けてのメッセージを刻んだりと割と大胆に歴史を変えてしまい、干渉しまくってます。それでいながら「イギリスを助けると歴史が~」みたいに躊躇をしてたりもしますし。ブレッブレなのも見どころの一つでしょうか。

 

それから、通訳として同行したフランソワ。通訳するチャンスも来ないうちに殺されてしまう悲しい人物ですが、フランソワが死ぬ前、死んだあと、どちらも全く言葉に不自由はなさそうです。マレクはフランソワを守るとか言ってなかったっけ?女にうつつを抜かして忘れちゃったんですかね。記憶によるとフランソワが殺害されるシーンは、イギリス軍の司令官に「私はスパイです」というフランス語を通訳させられて「やっぱり!グサーーッ!」みたいな感じだったと思うんですが、マレクは横から小声で「しゃべるな…しゃべるな…」と囁いただけだったような…。タイムワープを最後まで渋っていたフランソワ…。君、たぶんいらなかったよ。

あとね、細かい話、日本人あるあるかもしれないんですが、3文字の名前が多すぎで混乱するんですよ。クリス、マレク、クレア、ケイトって主要人物みんな3文字なもんだから、よくわからなくなる時があってですね。自分なりに登場人物にニックネームをつけて観るといいんじゃないかと思います。

もう一つ、物理学を専攻しているらしきスタンですが、この人は発掘チームのメンバーで、教授の過去からのメッセージを発見した人で、現場ではよれよれのTシャツを着ています。それがみんなでITCに乗り込んでいく時に、きれい目のシャツを着ているもんだから、どうもITCの社員とごっちゃになります。

あまりストーリーには関係ない部分だからどうでもいいんですが、もう一人ITCの社員で眼鏡の人(スティーヴン)がいるのでこれまた余計に混乱します。しかも、スタンの役名はデヴィッド・スターンらしいのですが、ジョシュと呼ばれることもあったりして人物像が特定できません。細かい所なので気にせず観ることは可能ですが私は最後まで気になっちゃいました。

【解説】娯楽映画なのは気持ちいい伏線の回収が理由

【解説】娯楽映画なのは気持ちいい伏線の回収が理由© 2003 Paramount Pictures.

原作本と比べると見劣りしてしまうストーリーや登場人物の突っ込みどころはあれど、この映画が娯楽映画としてまずまず成り立っているのは、数ある伏線の気持ちいい回収ゆえではないでしょうか。蒔いた種の収穫残しもなく、うまい具合にラストにつなげているため、観ている方はスッキリした気持ちで観終わることができます。

発掘調査に参加している学生に、助教授であるマレクが発掘場所であるカステル・ガールで起こった出来事を話すシーンで、ラロック城に立てこもったイギリス兵がフランス司令官の妹レディ・クレアを処刑したことによって、かえってフランス軍の士気を高め、戦いを勝利に導いたと説明します。そしてタイムワープしたマレクが恋に落ち、1357年に残る決意をさせるのがそのレディ・クレア。このシーンをぼさっと見てしまった人は「レディ・クレアってだれだっけ?」とわからないまま、映画を観終えることになります。

 

そして、マレクとクリスが発掘した石棺について語る場面。この石棺には、この時代には珍しく手をつなぐ男女が刻まれていますが、男性の方には耳がありません。マレクとクリスはこの二人はどんな歴史を刻んだんだろうと想いを馳せます。

これは、映画終盤の戦闘シーンでマレクがド・ケア(過去に置いてきぼりにされたITCの社員)に耳を切り落とされた時、初めて石棺の男女がマレクとクレアであったことが分かります。(耳を切り落とされたマレクが血をだらだら流しながら「俺だったんだぜ!ヒャッハー!」みたいになってアドレナリンってすごい)

また、クレアの発掘していた場所が地下通路のある修道院だったり、ゴードンがタイムワープを渋った背景にド・ケアを見殺しにした経緯があったり、ケイトが美しい壁画が壊されているのを見て憤慨したものの、実は壊したのが当の本人だったりと、各所にちりばめられた伏線をさくさく回収してくれる気持ちよさのある映画です。

難しいストーリーは無し!軽い気持ちで楽しめる娯楽アドベンチャー映画です

難しいストーリーは無し!軽い気持ちで楽しめる娯楽アドベンチャー映画です© 2003 Paramount Pictures.

原作本とのギャップとか、登場人物やストーリーに多少の突っ込みどころはありますが、全体的に娯楽アドベンチャーとしてのカテゴリーなら及第点ではないかと思います。

何しろ一番大きな伏線である「石棺の男女」の話の回収が非常に気持ちよく、ストーリーを1本にまとめてくれるおかげで全体的にこじんまりと、シンプルにまとまっているのではないかと感じました。

ストーリーの展開も、過去と現在の2つの視点のみなので混乱しませんし、基本的に過去の話が進んでいるときに現代の様子はほとんど出てこないので、おおよそ1つの視点で進んでいきます。話の前半で蒔かれた伏線にはあまり意外性がなく「やっぱりそうだよね」と予想できることばかりですが、それでもある種の快感というかスッキリ感があります。

 

SF感動巨編!にはとても届きませんが、教授、クリス、ケイト、スタンが石棺に描かれたマレクのメッセージを読むシーンがラストのシーンとなり、この部分は特にオチよし、音楽よし、カメラワークよしで「終わり良ければすべてよし」的な爽快感を残します。

予定のない休日や雨が降って出かけたくない休日などに、サクッと見ても楽しめるけど後を引かない、感傷的にならないという意味では「やや良」といえる映画なのではないでしょうか。

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