ホラー、オカルト映画の傑作として名高い、映画『オーメン』。映画をあまり見ないという方でも、その名前だけは聞いたことがあるのではないでしょうか。ダミアンという印象的な名前、そして悪魔の数字666にちなんだエピソードが有名ですね。
単なるホラー映画として楽しむだけでなく、ローマカトリックの世界観を垣間見ることができるストーリーに親と子の愛、アカデミー作曲賞を受賞した素晴らしい音楽を楽しむことができる作品です。
そして、2006年6月6日にリメイク版となる新しい映画『オーメン』が公開されたことで、オリジナルの映画『オーメン』にも再び注目が集まりました。公開から半世紀近い年月が過ぎても色あせないその魅力を、たっぷりご紹介したいと思います!
目次
映画「オーメン(1976年)」を観て学んだ事・感じた事
・今も色あせない!ホラー映画を代表する傑作
・悪魔って本当にいるのかも?と思ってしまうほど怖い
・CGなし!リアルでショッキングな死亡シーンの連続!
映画「オーメン」の作品情報
公開日 | 1976年 |
監督 | リチャード・ドナー |
脚本 | デヴィッド・セルツァー |
出演者 | ロバート・ソーン(グレゴリー・ペック) キャサリン・ソーン(リー・レミック) ダミアン(ハーヴェイ・スティーブンス) ミセス・ベイロック(ビリー・ホワイトロー) ブーゲンハーゲン(レオ・マッカーン) ブレナン神父(パトリック・トラウトン) |
映画「オーメン(1976年)」のあらすじ・内容

アメリカ人の外交官ロバート・ソーン(グレゴリー・ペック)は、妻キャサリンとともにローマに赴任。キャサリンはローマ滞在中に第一子を授かりますが、死産してしまいます。
ロバートは同じ時刻に生まれ、母親が亡くなったという男の赤ちゃんを引き取りダミアンと名付け、キャサリンには真実を隠したまま自分たちの子どもとして育てることにしました。
ダミアンの成長とともに、周囲には不穏な出来事がたびたび起こり始めます。そんなとき、ブレナンと名乗る神父(パトリック・トラウトン)がソーンのもとを訪れ、ダミアンが悪魔の子だと告げました。始めは信じなかったソーンも、第二子を妊娠中のキャサリンにまで危険が及びかねないことを知り、ようやくことの重大さに気づきます。
ソーンはローマの産院を訪れダミアン出生の謎を探りますが、ようやく見つけたダミアンの母親の墓には、山犬の骨が入っていました。
悪魔の子であるダミアンを殺すための短剣を持ってソーンは家に戻ります。しかし時すでに遅く、キャサリンだけでなくソーン自身にも恐ろしい事態が待ち受けていました。
映画「オーメン(1976年)」のネタバレ感想
オーメンとはどういう意味?原作はオリジナル?

ホラー映画やオカルト映画のランキングでは必ず上位にランクインする『オーメン』。とても古い映画なので、私が初めて観たのはもう何十年も昔のこと。でも、あのとき感じたゾッとするような印象は今でもよく覚えています。
決して派手ではなく、血しぶきが舞うわけでもなく、ギャーギャー叫ぶわけでもない。けれど、何かじっとりとした、ぞくぞくするような怖さのある映画なのです。
映画のタイトルになっている「omen」は予兆、前兆という意味です。何か恐ろしいことが起きる前触れということでしょうか。
次々と人が死に、ダミアンの周囲は悪魔の手先で固められていく様子は、まさにオーメン!そしてとうとうソーン夫妻に悲劇が訪れますが、それもまだこれから起きる本当に恐ろしいことの予兆でしかないというふうに考えると、さらにゾッとします!
映画『オーメン』はオリジナルの脚本をもとにした映画なので、原作はありません。小説も出版されていますが、これは映画のストーリーをもとに小説化されたものです。聖書をベースにした素晴らしいアイデアとストーリーを持った脚本があったからこそ、歴史に残る名作ホラー映画が誕生したのだと思います。
首が飛ぶ!衝撃的な死亡シーンの連続

映画『オーメン』が撮影された1970年代には、もちろんCGは無いので全て実写で描かれています。ホラー映画にしては人が死ぬシーンは少な目なのですが、一つ一つが結構衝撃的で、とても記憶に残ります。
最も有名でダントツに恐ろしいのは、カメラマンのジェニングスが亡くなるシーン。主人公のソーンと共に、ローマにダミアンの出生の謎を調べに行ったジェニングスは、坂道をバックしてきたトラックの積み荷のガラス板に首をはねられます。スパーンと切断されてガラス板の上を転がるジェニングスの頭部……。
このシーンがあまりにも衝撃的すぎて他がかすんでしまっていますが、ダミアンの子守をしていた女性が、大勢の目の前で「ダミアーン」と叫んで、お屋敷の屋上から首吊り。神父は、教会の屋根から落ちた尖塔の先でくし刺し。
どれもこれも、かなりショッキング!ホラー苦手な方にはちょっと厳しいかもしれません。
【解説】聖書にも書かれていた悪魔の数字「666」の秘密

さて、オーメンいえば「666」。悪魔の数字ですね!ソーンは、ローマでブーゲンハーゲンと呼ばれる男性に会い、悪魔かどうかを判断する方法を告げられます。それは、体のどこかに「666」と書かれているというものでしたが、ダミアンの頭部には666の形をしたアザがありました。
それにしても、悪魔の数字「666」とはそもそも何なのでしょうか?
まず、この数字については新約聖書(しんやくせいしょ)の一番最後の章、ヨハネの黙示録にはっきりと書かれていて、この悪魔の数字にちなんだエピソードはとても信憑性があるということです。このことが、映画『オーメン』を本格的なオカルト映画としての地位を確立させる大きな要因のひとつとなっています。
黙示録に具体的にどのようなことが書かれているのでしょうか?映画のモチーフとなっている悪魔の数字についての話は、13章18節に登場します。
“海と地から2匹の獣が現れ、天に向かって暴言を吐き、恐ろしい力で人々を支配。獣の像を作って、それを拝ませた。像を拝まない者は殺し、すべての人に数字を刻印した。刻印のない者は売ることも買うこともできなくなり、つまり飢え死にする。その獣の数字は666である”
おおよそ、このようなことが書かれています。「666」という数字を持った者は悪魔の子、悪魔のしもべであるという意味に受け取れますね。このエピソードが、映画『オーメン』のベースとなっています。聖書にも書かれている悪魔の数字、なんだかゾゾゾっと恐ろしいですね。
【考察】悪魔の微笑み!ラストシーンが意味するものと制作秘話

映画『オーメン』は、決して派手な作品ではありません。地味に怖いのです。その恐怖感の象徴ともいえるのが、ラストのダミアンが振り返るシーンです。
ダミアンはソーン夫妻の葬儀に出席します。この時のダミアン少年は5歳。金髪の巻き毛が愛くるしい幼い男の子、父と母を亡くしたかわいそうな男の子です。何が行われているのか理解できていない様子で、自分の父と母を見送る姿は涙を誘います。
孤児となったダミアンが手をつないでいるのは、なんと葬儀に参列したアメリカの大統領!大統領夫妻に手を引かれて歩いていくダミアンは、ふと振り返ります。そして、なんとも楽しそうな笑みを浮かべるのです。
天使のように愛くるしい笑顔ですが、映画を見ている人にとってはまるで悪魔のような微笑みに感じられます。
自分の養父母とするためにソーン夫妻の息子を殺し、邪魔者たちを次々と葬り去り、用済みとなったソーン夫妻も亡き者としたダミアン。次に、自分の庇護者として選んだのは、なんとアメリカ大統領でした。実際には、大統領夫妻の養子となるわけではありませんが、巨大な権力の持ち主に近づいたことで、ダミアンはこの先より大きなパワーを得ていくのでしょう。自分の意図した通りに…。
ダミアンの周囲にこの先訪れるであろう恐ろしい未来に、ゾッとせずにはいられませんね。ダミアンの「悪魔の微笑み」は、笑おうとして笑ったのではない、思わず出てしまった笑みであるという点がポイントです。
このシーンをどのように撮影したかというと、ダミアンを演じたハーヴェイ・スティーブンス君に、監督は「笑っちゃだめだよ!」と事前に伝えていたのだそうです。笑わないように何度も念押ししてから撮影をスタート。そして、ハーヴェイ君が振り返ると、スタッフが変顔をしたりおかしなポーズをしていたのです。それで思わず笑ってしまったというわけでした。
【考察】親子の愛を描いたドラマとしての側面

この映画の意外な魅力のひとつに「親子の愛」があります。養子とはいえ、愛情をこめて育ててきた我が子を殺せるのか?という葛藤を描いている点です。
妻が殺されて大勢の人が死に、自身にも危険が迫る中で、ソーンはついにダミアンを殺すことを決意します。ダミアンを本当の息子のように愛してしたソーンにとって、それはとても苦しい決断でした。
しかし、ダミアンの言葉に思わず躊躇してしまうソーン。そしてその一瞬のためらいによって、命を落としてしまうのです。もし、ソーンが無事ダミアンを始末することに成功していたら……。映画になりませんね!
オーメンの呪い?関係者が次々事故にあった謎

映画『オーメン』が最強のホラー映画として恐れられているのには、もうひとつ理由があります。それは、悪魔に呪われているという噂があること!
映画の撮影時に事故が起きて、役者やスタッフがケガをしたり亡くなってしまうというケースがときどき起こります。撮影時に限らず、関係者があり得ないような事故に遭遇したり、病気やケガにあったりすることもあります。このようなことが何度も起きると、この映画は呪われているのではないか?という話になるわけですね。
例えば、ホラー映画『ポルターガイスト』では公開後に4人の出演者が亡くなっており、映画の呪いだと言われています。映画『オーメン』でも撮影の前後に不可解な事故が続出しているのです。
・脚本家のデヴィッド・セルツァーの乗った飛行機が落雷にあう
・ソーンを演じたグレゴリー・ペックも飛行機で落雷にあう
・グレゴリー・ペックが乗る予定だった飛行機が墜落
・ペックが撮影中食事をしていたレストランで爆弾事件発生
・監督が宿泊していたホテルで爆弾事件発生
・山犬の撮影シーンで、犬が暴れてスタントマンが大ケガ
・動物園でのロケ中、飼育員がライオン(トラ?)に噛み殺される
・映画を撮影していた時期、グレゴリー・ペックの息子が自殺
・視覚効果を担当したジョン・リチャードソンの助手が事故で首を切断
・その事故現場には「Ommen 66.6km」という標識があった
・その事故が起きたのは1976年8月13日の金曜日だった
事故や落雷、爆弾事件、動物の事故はいろいろな場所で起こりうる出来事のように思えますが、映画公開の前後に集中してこれだけの事件や事故が起きるのは珍しいのではないでしょうか。
さらに、主役を演じたグレゴリー・ペックの息子さんの自殺、視覚効果を担当したリチャードソンの助手の事故死はかなり不可解な出来事です。
リチャードソンの助手は自動車事故で首を切断されて亡くなりましたが、彼が撮影で担当したのは、まさに、カメラマンのジェニングスがガラスの板で首を切断されるシーンでした。凄惨な事故が起きたのは偶然にも13日の金曜日であり、またその事故現場には、オランダのオンメンまで66.6km(Ommen 66.6km)という看板が立っていたということです。
これらの出来事を、悪魔の呪いと決めつけることはできませんが、あまりにも不可解な出来事が起こりすぎているということは、まぎれもない事実です。
オーメンの続編やリメイク版も多数登場!その評判は?

この大ヒットホラー映画には、もちろん続編があります。
もともと三部作として制作されており、映画『オーメン』の大ヒットから2年後の1978年、映画『オーメン2/ダミアン』を公開、1981年に、映画『オーメン/最後の闘争』が公開されました。オーメン2ではダミアンの少年時代、最後の闘争では青年となったダミアンが、悪を滅ぼそうとする者たちと戦うシリーズ完結編となっています。2作目と3作目は少し勢いが衰えましたが結構怖いです。
その後1991年に映画『オーメン4』、2006年にリメイク版となる映画『オーメン』を公開。2016年には、テレビドラマ『オーメン』がスタートしました。テレビドラマは残念ながらシーズン1で終了していますが、おどろおどろしい雰囲気よりもストーリーに重点をおいた作りになっているので、物語としてオーメンを楽しみたい方にはおすすめです。
大ヒット映画を多数手掛けるリチャード・ドナー監督

映画『オーメン』の大ヒットに大きく貢献したのは、リチャード・ドナー監督。映画監督としてだけはなく、プロデューサーとしても活躍しています。
監督作品には『スーパーマン』『トワイライトゾーン』『グーニーズ』『リーサル・ウェポン』ほか、たくさんの大ヒット作品がズラリ!プロデュース作品として『X-MEN』『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』など、関わった作品の半分以上が超メジャーなヒット作というとても優秀な方なのです。
奥様であるプロデューサーのローレン・シュラー・ドナーとともに、映画会社The Donners’ Companyを運営しています。
素晴らしい映画音楽にも注目してみて!

音楽を担当したのは、アメリカの作曲家ジェリー・ゴールドスミス。数え切れないほどの映画音楽を作曲し、アカデミー賞のノミネートは18回、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞、エミー賞など数々の賞に名前があがっている偉大な人物です。
代表作には『猿の惑星』『エイリアン』『ポルターガイスト』など大ヒット作がずらり!この他にも、たくさんのヒット作の音楽を担当しています。
おどろおどろしい雰囲気で物語を盛り上げた映画『オーメン』の音楽は、アカデミー賞を受賞!「Ave Satani」という曲は、有名なアヴェマリアを悪魔(サタン)に置き換えたものだそうです。2016年にオリジナル映画の40周年記念サウンドトラックが発売されているので、興味のある方はぜひチェックしてみてください。
オカルトホラー映画の傑作は40年以上経っても怖い!
公開から40年以上が過ぎ、もはや伝説にもなりつつある、オカルトホラー映画の傑作『オーメン』。
素晴らしいアイデアとパーフェクトな脚本、偉大な映画監督にハリウッドの名優、映画音楽の巨匠、プロフェッショナルのスタッフたちが作り上げたその輝きは、今も失われることはありません。オカルト、ホラー映画ファン必見の作品です!
映画「オーメン」の動画が観れる動画配信サービス一覧
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