映画「デッドプール2」は、アメリカのマーベルコミックスに登場するキャラ「デッドプール」の活躍を描いた2作目の映画です。
コメディーシーンやブラックジョークに目がいきがちですが、作品冒頭に宣言があるように実はファミリー映画の側面もあります。(映画はR15指定です。)
今回はアンチヒーロー映画の代表的作品である「デッドプール2」のあらすじやネタバレ感想、解説を紹介していきます。
目次
映画「デッドプール2」を観て学んだこと、感じたこと
・ブラックジョーク盛りだくさんで笑える
・ド派手なアクションシーンで気分爽快
・ヴィラン(敵)にも正義があり正義について考えさせられた
映画「デッドプール2」の作品情報
公開日 | 2018/6/1 |
監督 | デヴィッド・リーチ |
脚本 | レット・リース ポール・ワーニック ライアン・レイノルズ |
出演者 | ウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ) ケーブル(ジョシュ・ブローリン) ドミノ(ザジー・ビーツ) |
映画「デッドプール2」のあらすじ・内容

前作『デッドプール』で、宿敵フランシスを見事打倒したデッドプールことウェイド・ウィルソンは、最愛の人ヴァネッサと同居しながら傭兵として生活していました。
しかし、ウェイドが殺しそこねた麻薬カルテルの残党によりヴァネッサを失ってしまいます。
傷心のさなか、ミュータントと呼ばれる超能力を持った少年(ラッセル・コリンズ)が孤児院で暴れまわる事件にX-MEN見習いとして駆けつけます。
少年を取り押さえる際に首元に虐待の痕を見つけ、ラッセルの復讐を手助けしてしまい、共にアイスボックス(ミュータント収容所)に収監されてしまいます。
精神世界でヴァネッサから助言をもらい、未来からきた戦士ケーブルからラッセルを守ることを決意しX-フォースを結成しますが……。
映画「デッドプール2」の感想・解説・ネタバレ
とにかく規格外なデッドプールの2つの能力

デッドプールの能力はとても強く、能力を持つことになった経緯は1作目で語られていますが、軽く押さえておきましょう。
ウェイド・ウィルソンは末期がんと診断され途方にくれていところ、親友が経営する酒場で出会ったリクルーターにがんの治療の引き換えとして、人体実験に被検体となることを持ちかけられます。
そこで行われていた人体実験は、DNAの中に潜むミュータント(超能力者)遺伝子を活性化させる血清を投与し、厳しい環境化に置くことで突然変異を誘発させられるという極めて非人道的なものでした。
このときに覚醒したのが1つ目の能力「超回復による不死身」です。このときの副作用として、全身にがん細胞が行き渡ってしまい顔がアボカドのように醜くなってしまいます。
シンプルで最強にも思える能力ですね。作中ではこの能力を活かして肉を切らせて骨を断つような戦い方を繰り広げ、アクションシーンをド派手に盛りあげています。
2つ目の能力は、デッドプールの人気の秘密である「第四の壁を破壊することができる」という能力です。
第四の壁とは、フィクション世界と私達が生活している現実世界との境界のことで、デッドプールはスクリーンの向こう側に人がいること、つまり私達視聴者に見られていることを自覚しているのです!これがデッドプールという映画に、ギャグ要素が多い理由でもあります。
作中では視聴者に対して話し始めたり、原作であるコミック版では、作者と喧嘩し結末を書き直させたりしています。
このようなルール無視能力を持つキャラクターを演じるためには、用意されたセリフをただ読みあげるだけでは務まりません。
ライアン・レイノルズは脚本担当のレット・リース氏に、「ギャグ製造マシーン」と言わしめるほどの大のギャグ好きで、沢山のアドリブシーンがあるそうです。まさにデッドプール役にぴったりな役者さんですね!
センスが光るメタ発言・オマージュ

上述の通り第四の壁を破壊できることから、デッドプールはいわゆる大人の事情を無視してやりたい放題です。このオマージュはかなり細かいものまで数が沢山あり、全ては紹介できませんが、個人的にお気に入りのものを3つ紹介します。
1つ目は、オープニングからいきなり007シリーズのオープニングのオマージュから始まることです。
名刺代わりのオマージュで、映画好きでないと気づけないギリギリを狙ったいいネタだと思いました。オープニングの曲は、セリーヌ・ディオンの『Ashes』です。とてもいい曲なのでぜひ一度聞いてみてくださいね!
2つ目は、オープニングの直後デッドプールの一人語りのシーンです。マーベルつながりの別作品『ローガン』のネタバレをしながら文句をつけていましたが、これがかなり笑いました。
実はライアン・レイノルズは、この『ローガン』の主人公のウルヴァリンが活躍する『XMENシリーズ』でも、全く別世界線のデッドプールを演じています。
『XMENシリーズ』を知っていると笑える小ネタも理解できるので、X-MENもぜひ視聴してみてください。
3つ目はX-フォースが飛行機からパラシュートで降りるシーンです。この時にかかる曲がAC/DCの『Thunder struck』です。同じマーベル作品の『アイアンマン2』のオープニングシーンが彷彿させられ、音楽も良いんですよね。
個人的に、デッドプールはよくアイアンマンがする三点着地を「スーパーヒーロー着地」と揶揄しているので、是非披露してもらいたかったですが…。
他にも、『アナと雪の女王』『ハリー・ポッター』『スター・ウォーズ』のネタも含まれています。他の作品の話題を出して笑いをとる映画はそこまで多くないですが、こういった部分がデッドプールの面白い点です。
ヴィラン達は完全に悪ではない?キャラが魅力的!

よくヒーロー映画のできは、バッドマンにおけるジョーカーのように、ヴィランのできに左右されると言われています。ヴィランとは悪役のことで、今作では中盤までをケーブルと言う未来から来た戦士、後半はラッセル・コリンズがファイヤーフィストとして敵対してきます。
今回のヴィランの共通点は「自分の中の正義を貫き戦っている」ことが挙げられます。
ラッセルは、施設で虐待してきた理事長のことを恨み殺すことを企みます。殺そうとする方法は褒められものではありませんが、元は理事長側施設が悪でそれに対する正義としては成立すると思いました。
ファイヤーフィストが理事長を殺すことで快感を覚え殺人鬼となり、未来のケーブルの家族を殺してしまいます。
ケーブルは子供のうちにファイヤーフィストを殺すことで過去を変え、未来の家族を救うことを計画し、未来から現代にタイムリープしてきます。
こちらも方法は悪ですが、家族を救うためならばなんでもする気持ちは理解できます。このように、正義の反対は悪ではなく「別の正義」という構図は考えさせられ、ヴィラン側の考えにも一部理解できるところがあります。
悪役なのに共感できるヴィランは、まさにいいヴィランと評される典型で彼らが『デッドプール2』の人気を支えているのかもしれません。
頼もしすぎる新チーム!ブラッド・ピットも出演?

デッドプールはラッセルを救い出すために、アイスボックスから新しい収容所へ輸送するところを襲撃することを計画し、新チームX-フォースを結成するためにヒーロー求人を出します。
面接シーンはコメディタッチで描かれて、テンポよく紹介されています。
実はこのシーン、テレビCMでも繰り返し放送された『デッドプール2』を代表するシーンなのですが、なんと今回主役級キャラのドミノ以外が雑に死んでしてしまいます。
中でも私のお気に入りはバニッシャー!バニッシャーは登場からずっと透明人間なのですが、パラシュート降下のシーンで、電線に引っかかって死んでしまう数秒の間だけ姿を見ることができ、なんとその俳優さんがあのブラッド・ピットなのです!
ブラピといえばいまや主役級が当たり前の俳優さんですが、なんとお子様がデッドプールのファンと言うこともあり、最低賃金とコーヒーのみで出演してくれたそうです。
生き残ったドミノの能力は「幸運」!デッドプールは、幸運は能力じゃなく映画映えもしないと消極的でしたが、彼女の能力は本物でただ目標に向かってひた走るだけで全てが彼女に都合よく働きます。
ラッセルが乗った護送車を奪取するシーンでは、デッドプールの心配はよそにド派手に能力を活かして大活躍します。
個人的に一番欲しい能力がこの「幸運」です。自分の幸運を能力と言い切るほど信頼しているドミノは、何をするにも自信満々で本当に格好良かったです!
終盤は前半敵対していたケーブルがX-フォース加わりケーブル、デッドプール、ドミノの3人体制になります。デッドプールに勝るとも劣らないルール無視の能力で、X-フォースが今作のヴィランに負けない魅力たっぷりなチームになっていますね。
XMENには日本人も出演?忽那汐里演じるユキオ

デッドプールは『XMENシリーズ』からの派生作品ということで、今作にもX-MENが何人かでてきます。
今作新たに実写化したジャガーノートは、原作でも大人気のキャラクターなので個人的に本当に嬉しかったです。デッドプールもファンと公言していて、体を真っ二つにちぎられてもどこか嬉しそうで笑いました。
ネガソニックは、前作で準主役級の重要キャラクターですが、なんと今回の彼女のパートナー役のユキオは名前から想像できるよに日本人キャラクターです!
ユキオを演じているのは忽那汐里です。1992年生まれの女優さんで、活動は日本でしていますが、ハリウッド作品に次々と出演されています。日経オーストラリア人3世ということで、とても英語の発音がよく違和感なく演技されていました。
XMENファミリーに入ったことで、他のシリーズ作品にも登場することが予想されます。これからの活躍に注目です。
カメオ出演とエンドロールを見逃すな!
マーベル映画の共通の楽しみ方として、作中スタン・リーがカメオ出演しているシーンを探すというものがあります。スタンリーは『アイアンマン』『ハルク』『スパイダーマン』などの原作を手がけた伝説的なクリエイターです。
カメオ出演とは映画やドラマ、アニメなどの作品にサプライズ出演することで、彼はほとんど全てのマーベル作品にカメオ出演しています。
惜しくも昨年2018年の11月にスタン・リーは亡くなられてしまいましたが、『デッドプール2』はもちろん、2019年公開予定のアベンジャーズ4(仮題)の出演部分も撮影済みであり、出演が予定されていますのでぜひ探してみてください!

また、マーベル映画の共通の楽しみ方で、もう一つ有名なのがBパートやCパートとよばれるエンドロール中のおまけ映像です。
おまけ映像とは言いますが、実は次回作に対する大切な伏線が含まれていることも多く、とても重要な内容であることがあります。『デッドプール2』では、エンドロールの中盤と終盤の二回に分けてあるので、見逃さない様に最後までチェックしてください。
ラッセルを救ったのはヴァネッサのためだったのか?

デッドプールは、自分自身を粉々に爆破したり激しい打撲を伴いながら雪山の池に落ちることで、精神世界でヴァネッサに出会います。
そこで受けるアドバイスを頼りにし、ラッセルを救うことを決めるのですが、本当に彼はヴァネッサのためにラッセルを救ったのでしょうか?
マーベル作品にはいくつもの世界線が存在し、死後の世界を描いた作品もあり、一度死んだキャラが復活することも多いのですが、映画版のデッドプールにおいては違うのかもしれないと思いました。
前作『デッドプール』でトラブルシュートをした際、依頼者がベビーシッターをしている女学生だからと報酬を断るシーンがあります。
同じく前作で、自分の容姿が醜くなってしまっても彼女の愛は変わらなかったことを経験することで、映画版のデッドプールは原作のコミック版ではあまり描かれない慈悲の側面を持っているのではないかと思いました。
映画のラストシーンでは、ラッセルを改心させるために、特殊な首輪で能力を封印することで命をかけて自分の思いの真剣さを伝えています。
このシーンは、今まで常に冗談を言いながら適当に行動しているように見えたデッドプールが、本気でラッセルを救いたいことが伝わり思わず目頭が熱くなりました。
日本語版ならではの楽しみ方

英語で作られた作品を日本語で視聴する際、ギャグシーンの翻訳は本当に難しいことだと思います。
英語では韻を踏んでいるフレーズでも、日本語に直すと語感がわるくなってしまったり、生活環境も大きく異なるため常識が異なっていることがあり、そもそも成立しないギャグも少なくありません。
さらに吹き替え版では、口の動きとセリフ大きくずれるととても見づらくなってしまいます。
『デッドプール2』の字幕作成をしたのは前作に続き松崎広幸さん、私自身『アイアンマン』以来のファンなのですが、今作も原文に忠実に日本人にあった見事な字幕作成がなされていると思いました。
他にも『パシフィック・リム』『スパイダーマン』『メン・イン・ブラック』の字幕作成にも携わっているので、これらの作品を視聴する際はぜひ気にかけてみてください!吹替版では、テンポとわかりやすさを重視した翻訳が多く感じられました。
声優にはデッドプール役に加瀬康之さん、ケーブル役に大塚明夫さん、ドミノ役に佐古真弓さんと、実力派声優のみなさんを採用していて吹き替えであることを忘れて視聴することが出来ました。
日本版作成者のスタッフロールは、エンドロールの最後に流れるので是非注目してみてください。
前作と比べ進化した点・残念だった点

デッドプール2で一番進化した点は、アクションシーンだと感じました。前作の制作費5800万ドルから1億1000万ドルとほぼ倍になったおかげで、CGパートが壮大になっていました。
ケーブルは未来からやってきた戦士ということで、武器や盾がホログラムのようなCGで描かれていますがどちらも違和感なく、現実とのギャップを感じません。
また、『デッドプール2』はニューヨークが舞台だと言われていますが、撮影地をカナダのバンクーバーにすることで更にコストを抑え、よりアクションシーンの充実につながったのかもしれません。
しかし、アクションシーンの規模が大きくなった分、道路が破壊されるシーンのCGっぽさが少し気になりました。
ストーリーは概ね全てのキャラに共感できる動機があり、違和感なく楽しめました。
新キャラたちも原作コミックスで大人気のキャラで期待値がとても高かったのですが、ケーブル役のジョシュ・ブローリン、ドミノ役のサジー・ビーツともに高い演技力と脚本陣の溢れ出るキャラ愛で、うまく実写化に対応できていたと思います。
ラストシーンで、ヴァネッサを生き返らせたシーンは賛否両論で、主役兼脚本のライアン・レイノルズも本当は反対していたそうですが、個人的にはテンションが高い今作にはハッピーエンドが似合うと思ったため生き返らせてよかったと思っています。
前作はラブストーリーで今作はファミリー映画(家族愛)という、どちらも愛を描いた作品ですが、ブラックジョーク山盛りで少し人を選ぶかもしれません。
また、メタ発言・オマージュは前作とネタがかぶるものも多くありましたが、繰り返されることで逆に面白く感じました。
ヒーロー映画といえばアクションシーンと言われる時代が終わってから久しいですが、今作はまさに笑いあり涙ありの素晴らしいヒーロー映画でったのでおすすめです。
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