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映画『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』ネタバレ感想・解説・考察!正統派ホラー映画で恐怖に震える体験を!

【解説】ラ・ヨローナって何者?都市伝説がリアル

「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」はホラー映画は映画館で見ると、より怖く感じるということを改めて教えてくれました。

ホラー映画の演出によくある怖がらせ方を、実力派の製作陣によって恐怖が最大限にまで増幅させられています。久々にしっかりとしたホラー映画を見たなと感じました。

今回は映画「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」のネタバレ感想・解説・考察を書いていきます。

目次

映画「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」を観て学んだ事・感じた事

・ホラー映画のイロハを体感させてくれる
・ジェームズ・ワンによる手練れの恐怖演出がすごい
・呪術師レイモンドが本当に頼もしい!

映画「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」の作品情報

公開日2019年5月10日
監督マイケル・チャベス
製作ジェームズ・ワン
出演者アンナ(リンダ・カーデリーニ)
エイプリル(マデリーン・マックグロウ)
クリス(ローマン・クリストウ)
パトリシア(パトリシア・ヴェラスケス)

映画「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」のあらすじ・内容

映画「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」のあらすじ・内容

中南米から古く伝わる怪談話「ラ・ヨローナ」。中世のある女性が夫に浮気されたことをきっかけに夫が大事にしてきた息子二人を溺死させます。嫉妬と後悔が入り混じるなか川に身を投げ死んでしまいます。

現代では、児童のソーシャルワーカーを務めていた女性がある家庭に訪問します。そこでは、不気味な室内で鍵のかけられた部屋に閉じ込められた2人の男の子がいました。アンナは2人を保護し、母親から引き離すのですが、ラ・ヨローナによって息子たちが殺されてしまいます。

その後、アンナの子供が次のラ・ヨローナのターゲットになってしまい、彼女たちに恐怖が降り注いでいきます。

映画「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」のネタバレ感想

映画「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」のネタバレ感想(C)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

観終わった後の率直な感想としては、「正統派でド直球のホラー映画を観た」という感想でした。正統派なホラー映画でしっかり恐くて楽しめる作品です。

何ら新しい要素がある映画というわけではないのですが、これまでのホラー映画で培われきた技術が集約しています。ホラー映画の中には、いわゆる「B級ホラー」というジャンルがあり、作りが粗い分コミカルな要素が含まれて面白いのですが、映画「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」は単純に怖いホラー映画です。

そういった意味では本当に質が高く、観客を怖がらせるための演出が多分に盛り込まれた映画といえます。

ここでは、映画「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」の個人的な感想やネタバレ解説を書いていきます。

【解説】ラ・ヨローナって何者?都市伝説がリアル

【解説】ラ・ヨローナって何者?都市伝説がリアル(C)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

ホラー映画だったり怪談話のような創作物には、実際に言い伝えられている伝承や都市伝説が元になっていたりしますよね。映画内で触れられていたラ・ヨローナ伝説については、本当にある都市伝説のような信憑性を感じさせるほど良くできていました。

簡単に、ラ・ヨローナの怪談をまとめていきます。

 

中世に愛で結ばれた2人の男女がいました。2人の息子を授かり永遠の愛を誓ったのもつかの間に、夫が浮気をしてしまいます。嫉妬と怒りに打ち震えたラ・ヨローナは、夫が世界で一番愛している息子を川で殺してしまいます。

ラ・ヨローナが正気に戻ったころには、2人の息子は溺死しており、そのショックからラ・ヨローナ自身も川に身を投げ死んでしまいました。この出来事から、ラ・ヨローナは現世をさまよい、自分の息子の代わりになるような子供を見つけるとさらっていくという内容です。

また、ラ・ヨローナは息子を失った悲しみで泣いていて、その泣く声を聞いてラ・ヨローナの涙に触れてしまった子供は、ラ・ヨローナのターゲットになってしまいます。

このような内容の怪談話が実際に起きてしまったという映画なのですが、実はこの話には元ネタがあります。

【解説】ラ・ヨローナの元ネタ?「ラ・ヨローナ伝説」とは

【解説】ラ・ヨローナの元ネタ?「ラ・ヨローナ伝説」とは(C)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

劇中で登場したラ・ヨローナの怪談話は、実際に存在する伝説が元ネタになっています。英語版のwikiが見つかったので、簡単に訳して分かりやすく書いていきます。

『ある農村にマリアという若い女性が住んでいました。貧しい家柄に育った彼女でしたが、持ち前の美しさは村でも評判になっていした。ある日、旅をしていた貴族の男性が村を通りかかり、マリアを目の当たりにします。男はマリアに魅了され結婚に至ります。

しかし、男の父親は息子の嫁が貧しい家庭出身である事を嘆き、結婚を認めなかったため、2人は村に住むことになりました。マリアは2人の息子を産み幸せな家庭を築いていたのですが、夫はいつも旅ばかりで家族と過ごす時間をとりませんでした。

そんな中、夫が若い女性を連れて村に帰ってきました。浮気をしたことを認めた夫はマリアに別れを告げました。当然マリアは激怒します。怒りのあまり子供たちを川に連れていき、溺れさせてしまいます。

自分のしたことに気が付いたマリアは自ら川に身を投げ、死体になったところ発見されました。

子供を殺した彼女は天国の門に入ることが許されず、来世にもいけない中、生者と死者の間をさまよいます。彼女はいつも子を想い泣いていたため「ラ・ヨローナ」と呼ばれるようになりました。

そして、ラ・ヨローナは夜に現世を彷徨い、死んだ息子たちの代わりとなる子供を連れ去り天国に許しを懇願するのですが、その代わりに誘拐された子供は死んでしまいます。

彼女の泣き声を聞いたら反対側の道を走らなければなりません。さもなければ不幸や死が訪れるでしょう。』

 

これがおおよその内容なのですが、怪談話として捉えることもできれば、実際に同じような誘拐事件が起きて、怪談話として伝承化されたとも考えられますね。

また、この話は親が子供に対して、遅刻などを防止するために多用する物語であると書かれています。よくできたストーリーな上に怖さもあり、この話だけでもメインストーリーとして成立しそうなぐらいです。

このような内容は劇中で語られるものですが、日本で言うところの「口裂け女」のような感じですね。世界中にはこのような怪談話が数多く語り継がれていることを考えると、非常に興味深いです。

【解説】しっかりと手順を踏んで確実に怖がらせる手法

【解説】しっかりと手順を踏んで確実に怖がらせる手法(C)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

映画「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」を観て改めて感じたのが、ホラー映画はフォーマットがしっかりしていてハズレがないということでした。ホラー映画の目的は「観客を怖がらせる」ことなので、その方法としてこれまで様々なノウハウが蓄積されてきたのだと思います。

そういった点をしっかり踏襲しておけば、質の高いホラー映画はかなりな確率で制作できると思いましたし、興行収入の面でも手堅いのかなと思いました。

 

そして、映画「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」では、ホラー映画でよく観られる恐怖シーンを高いテクニックで披露してきます。身構えてもその演出の前には太刀打ちできず、思わず目をおおってしまいたくなるほどの恐怖感がありました。

特筆すべきは、ラ・ヨローナの登場シーンです。おぞましい顔をしたラ・ヨローナはそれだけでも十分恐いのですが、あらゆるシーンでいきなり登場します。

また、登場するとわかっていても、そこで観客の意識を一瞬だけ反らして、油断した瞬間に現れるという演出が多く、ここでもう怖がらないことを諦めました。イメージ的には「来る」と「来ない」の2パターンがあり、その組み合わせによってラ・ヨローナを登場させるのですが、来ないと思わせて来る、来ると思わせて来ない展開が続きます。

来ない、

来ない、

来ない、

来た!!!

来ない、

来ない、

来ない、

来るかも?

あれ、来ないのかな・・・?

来た!!!!

みたいな感じです。文章だけだと伝わりづらいと思いますので、未視聴の方はその演出がよく現れている予告動画をご覧ください。

そして、ラ・ヨローナが登場するときには一定のパターンが現れます。

泣き声が聞こえてきた時や水に近づいた時、不自然な現象が起きたときなど、わかりやすくこういったパターンが説明されていくのですが、わかったところで怖いものは怖いですし、むしろそのパターンが分かってしまったためにより怖くなります。

【解説】説明すればするほど怖くなっていく演出

【解説】説明すればするほど怖くなっていく演出(C)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

劇中に登場するラ・ヨローナは超自然的な存在であるため、ある程度映画の中で説明を加えないとストーリーが理解しづらい部分があります。

例えばラ・ヨローナの行動パターンや能力、弱点など、対峙する側の行動と整合性を持たせるために劇中で説明を加えていきます。しかし、それが説明に止まらず、さらなる恐怖に繋がっていきます。

 

ラ・ヨローナの特徴として、家の侵入口に何かの種を巻いて防衛線を作っておくと、ラ・ヨローナは家に入ることができず、襲われないという設定になっています。

逆に言えばその防衛線を崩してしまうと、ラ・ヨローナが侵入可能になって襲われることになりますが、アンナの娘がドアの外に投げ出された人形を取ろうとして、そのラインを崩してしまいます。

それによって、ラ・ヨローナが侵入してくるのですが、「人形が取れる/取れない」「ラインが崩れる/崩れない」の間での緊張感が半端なく伝わってきます。

 

さらに、この次あたりのシーンでは、ラ・ヨローナが種を乗り越えて家の中に入ってきます。「ラインを作っておけば入れないじゃないの?」と思ったのですが、実はその人物は最初の犠牲者でもある息子の母親パトリシアでした。

ソーシャルワーカーのアンナから息子を引き離され、その結果息子をラ・ヨローナに殺されてしまったパトリシアはアンナに恨みを持っており、彼女らに銃を突きつきます。

「本当に恐いのは悪霊ではなく、人間だったのか!!」と思いましたが、この一連の流れの中で事前に説明を加えておくことによって、それぞれの演出の緊張感がより高まっており、より効果的に恐怖が感じられました。

【解説】ラストシーンでは不穏な空気が流れる

【解説】ラストシーンでは不穏な空気が流れる(C)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

ラ・ヨローナを退治し一件落着で映画は終わるのですが、ラストシーンではなぜか不穏な空気が流れます。家の中に入っていくアンナたちをバックに水たまりが映り、不気味なBGMが流れ幕を閉じていきます。

「ハッピーエンドなのにどうして?」と思ってしまったのですが、この水たまりがもしかしたらラ・ヨローナの涙と関連があり「今作がヒットすれば続編も製作するかも?」という製作陣の意図がラストシーンで描かれていたのかもしれません。

ホラー映画といえば、同じ題材のシリーズ作品が数多く作られますし、当然続編を作るにはヒットさせることが条件になります。そういったことを踏まえると、続編を制作することを前もって想定した終わり方なのかもしれませんね。

製作にはジェームズ・ワンの名が!

製作にはジェームズ・ワンの名が!(C)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」はホラー映画として必要な要素を全て盛り込んだ作品ですが、製作陣の名前をみていくと、そこには「ジェームズ・ワン」の名前があります。

ジェームズ・ワンといえば、最近では「アクアマン」の監督をしていたことが話題になりましたが、元々はホラー映画を得意とする映画監督です。最初のブレイク作でもある「SAW(ソウ)」シリーズや「死霊館」シリーズなど、大人気ホラー映画を数多く手がけています。

大人気作品を手がけてきた監督が製作陣に加わっていることを知り、「そりゃ怖いはずだ」と納得してしまいました。ジェームズ・ワン自身が積み上げてきた、ホラー映画のテクニックが遺憾なく発揮されています。

【解説】劇中にアナベルが登場!

【解説】劇中にアナベルが登場!(C)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

ジェームズ・ワンの人気シリーズに「死霊館」がありますが、映画「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」には、劇中に「死霊館」シリーズのスピンオフ作品「アナベル 死霊人形の誕生」に登場するが出てきます。

映画「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」と「死霊館」シリーズは、繋がった世界観の映画なのかもしれませんね。ホラー映画好きにはおなじみのキャラクターが登場するので、注目して観てみてください!

【考察】神父と呪術師の違い

【考察】神父と呪術師の違い(C)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

この映画にはペレスという神父と、レイモンド・クルスという呪術師が登場します。レイモンドは元々神父だったのですが、呪術師に生まれ変わり活動を続けてアンナたちをラ・ヨローナから守るために奮闘します。

映画「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」では、この神父と呪術師の存在感の違いが興味深く見えました。神父はあくまで祈ることをアンナたちに求め、十字架のペンダントをプレゼントし、安心感を与えようとします。しかし、これ自体に効果はありませんでした。

呪術師は実際のノウハウからラ・ヨローナを抑え込もうと、あの手この手を尽くしていきます。

ここにスタンスの違いと限界を感じてしまいます。宗教では、祈ることを求められますが、祈ったところで神が救ってくれるとは限りません。映画「沈黙 -サイレンス-」のように、どれだけ祈っても神は沈黙を続けるという解釈もできます。

 

一方で呪術師は具体的な手を尽くしながら悪霊と対峙していきます。呪術師のレイモンドは元神父ではありますが、神父として人を救うことに限界を感じたため、呪術師になったのかもしれません。

また、呪術師レイモンドが登場することで、観客側も「なんとかしてくれる・・・!」という安堵感が沸き起こり、恐怖感が緩和されていきます。そんな頼もしい存在に見えた呪術師が印象的でした。

映画「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」はホラー映画の全部乗せ

映画「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」はホラー映画の全部乗せ(C)2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

映画「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」は、ホラー映画を楽しめる人ならどんな人がみても及第点は堅い映画だと思いました。ラ・ヨローナを駆使した恐怖の演出は一見の価値があります。

本格的なホラー映画がみたい人、映画館で恐怖を味わいたい人はお化け屋敷に入るような感覚で、映画「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」を見に行ってみてください!

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