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『スターウォーズ エピソード3/シスの復讐』ネタバレ感想・考察!アナキンの葛藤と暴走を描き新三部作では一番の出来

大迫力の映像や音楽は健在も、アナキン役ヘイデンの演技力は相変わらずで…

映画『スターウォーズ エピソード3/シスの復讐』は世界的SFオペラ映画「スターウォーズ」シリーズの第6作目であり、ルーク・スカイウォーカーの父アナキン・スカイウォーカーが生きた時代を描く「過去編」にあたる作品です。

本作は過去編、ないしは新三部作の「最終作」にあたる物語であり、「エピソード2」に比べて圧倒的な実力を手にするようになったアナキンの葛藤と暴走が中心に描かれています。

ストーリーは以前に公開されている「旧三部作」に連結するよう設計されているので、その内容も抑えておくとなお映画を楽しめるでしょう。

今回はそんな『スターウォーズ エピソード3/シスの復讐』の個人的な感想や考察を書いていきます!なお、ネタバレには注意してください。

目次

映画『スターウォーズ エピソード3/シスの復讐』を観て学んだこと・感じたこと

・アナキンの闇落ちには一見の価値アリ
・映画全体が醸し出す「暗さ」は比較的好印象
・ヘイデンの演技や翻訳の問題など、欠点もないわけでは…

映画『スターウォーズ エピソード3/シスの復讐』の作品情報

公開日2005年7月9日(日本)
監督ジョージ・ルーカス
脚本ジョージ・ルーカス
出演者アナキン・スカイウォーカー(ヘイデン・クリステンセン)
オビ=ワン・ケノービ(ユアン・マクレガー)
アミダラ(ナタリー・ポートマン)
パルパティーン(イアン・マクダーミド)
メイス・ウィンドゥ(サミュエル・L・ジャクソン)

映画『スターウォーズ エピソード3/シスの復讐』のあらすじ・内容

映画『スターウォーズ エピソード3/シスの復讐』のあらすじ・内容

遠い昔、はるか彼方の銀河系で…。

銀河を揺るがしたクローン戦争の勃発から3年が経過し、戦局は共和国有利の状態にありました。

しかし、抵抗を続ける反共和国派の勢力により、共和国の最高権力者であるパルパティーンが囚われるという事件が発生。彼を取り戻すべくオビ=ワンとアナキンが敵艦への潜入を果たすが、そこで彼らを待ち受けていたのはかつて手痛い敗北を喫したシスの暗黒卿・ドゥークー伯爵でありました。

 

ところが、アナキンは以前に比べて段違いの戦闘力を有しており、まさしく歯が立たなかったはずのドゥークーをアッサリと打倒します。

この光景を見たパルパティーンは、無抵抗になったドゥークーと対峙するアナキンに対し「とどめをさせ」と彼の殺害を迫りました。

ここでアナキンはパルパティーンの言葉に従って、ドゥークーを殺してしまったのです。強大な力を手にする一方で、アナキンはしだいに心を闇に侵されるようになっていきました…。

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映画『スターウォーズ エピソード3/シスの復讐』のネタバレ感想

大迫力の映像や音楽は健在も、アナキン役ヘイデンの演技力は相変わらずで…

大迫力の映像や音楽は健在も、アナキン役ヘイデンの演技力は相変わらずで…© Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.

まず、新三部作に共通する大迫力の3DCGグラフィックや、ジョン・ウィリアムズの手掛ける「スターウォーズらしさ」が光る音楽群は健在です。このあたりの技術はやはり新三部作の長所と断言できる部分ですし、約15年も前の映画ではありますが現代の技術に引けを取らない確かなクオリティの高さがあります。

さらに、後述するように本作は大規模な戦闘シーンが増加したため、それに伴って映像面の長所が発揮されやすい映画に仕上がっています。特に「エピソード1」や「エピソード2」の前半部分に関しては「戦闘シーンの少なさ」を不満点として挙げている方も少なくないので、この点は本作で解消されていると考えてもよいかもしれません。

 

また、キャストの顔ぶれにはほとんど変化がないものの、相変わらずの豪華キャストには目を奪われます。個人的には、最愛の弟子が悪に落ちていく様子を眺めるしかなかったオビ=ワンの哀愁が印象的で、演じたユアン・マクレガーは素晴らしい演技を披露していたように思えます。

ただ、前作のエピソード2でも言及しましたが、ある程度英語ができる方にとってはアナキン役を務めるヘイデンの演技が苦痛かもしれません。筆者はそこまで気にもならなかったのですが、実際前作に続いて今作でもヘイデンはアメリカで最低の映画を決めるゴールデンラズベリー賞を受賞してしまっています。さらに、彼が受賞したのは助演男優賞であり、本来であれば主役であるはずの彼にこの賞を与えることで「お前は主役に相応しくない」と皮肉を言っているのだと思われます。

もし彼の演技が耐え難かった場合、やはり吹き替え版で視聴されることをオススメします。外見は非常にハンサムなので、演技を度外視すれば素晴らしい俳優に見えますからね。

戦闘シーンがかなり多く、特にジェダイの絶滅は分かっていても衝撃的

戦闘シーンがかなり多く、特にジェダイの絶滅は分かっていても衝撃的© Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.

これは先にも多少触れたことなのですが、本作はこれまでに比べて段違いに戦闘シーンが多く、それに伴ってライトセーバーも数多く登場します。

戦闘シーンを振り返っていくと、まず印象に残るのは「アナキンの圧倒的な力」でしょうか。これまで1では純粋な少年であり、2では恋にかまける未熟なジェダイといった印象でしたが、本作における彼は序盤から既にシスの香りを漂わせています。

パルパティーンに背中を押されたとはいえドゥークーを殺害すると、ジェダイマスターになれないことやパドメの予知夢などで精神を犯されていき、ついにはメイスや罪のない子供たちを殺害して周るなど、文字通り暗黒卿になり果ててしまったのです。

もちろん、旧三部作を知っている我々からすればアナキンがベイダーになるのは確定している未来であり、全くもって予想通りな結末に他なりません。しかし、一方で幼少期からジェダイとして成長するまでの姿を目の当たりにしていることで、我々もまたオビ=ワンが感じているのと同等の喪失感を味わうことになるのです。

 

さらに、これに関連して言うと、同じく確定的な未来であった「ジェダイの絶滅」も個人的には大きなインパクトがありました。映画終盤、これまでジェダイのサポーターであったトルーパーたちがパルパティーンの発した司令、オーダー66により突如として反旗を翻し、事実上ジェダイが絶滅することになります。

これも、エピソード4以降の世界観を考えれば当然の演出であることは間違いありません。未来の世界ではジェダイが滅び去っており、そこでルークが新たな希望として人々に祭り上げられることになるからです。

しかし、やはり1から銀河中を駆け回ってその力を誇示してきたジェダイが、トルーパーの波に飲み込まれて次々死んでいく姿は衝撃的という他なく、映画全体の暗い雰囲気と相まって絶望的な気分にさせられました。

こうした状況下でジェダイが絶滅したというのは、個人的に納得のいくものでした。確かに、ジェダイともあろう歴戦の戦士がアッサリやられてしまいすぎなのではという見方もあるでしょう。とはいえ、いくらジェダイであっても「悪意のない」かつ「突然の裏切り」にあってしまっては、大半がなすすべなく敗れ去ってしまうのも道理でしょう。

実際、ヨーダやオビ=ワンといった凄腕のジェダイが生き残っていることを考えれば、ごく一部の優秀なジェダイのみが生き残れた理由としても納得できます。

【解説】ラストは「地の利を得たぞ」という有名な珍訳が足を引っ張るも、師弟対決は熱い

【解説】ラストは「地の利を得たぞ」という有名な珍訳が足を引っ張るも、師弟対決は熱い© Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.

映画全体が非常に暗い雰囲気に包まれる中、そのクライマックスにあたるのが暗黒面に落ちたアナキンとオビ=ワンの師弟対決です。ここでオビ=ワンは、アナキンをどれほど大切に思っていたかと叫びますが、彼の心に届くことはありませんでした。

メキメキと力を伸ばしていたアナキンですが、ここでは師として・ジェダイとしての意地を見せ、アナキンをいよいよ追い詰めました。

しかし、この後のシーンで日本人だけに影響する問題の場面が登場してしまうのです。なぜ日本人に限定されるかといえば、それは作品の「日本語訳」に大きな問題が発生していたことが理由です。

 

オビ=ワンは、アナキンに対し”It’s over, Anakin”と語り掛け、その後”I have the high ground ”と告げます。この場面を、映画の日本語訳では「地の利を得たぞ!」と訳したことにより、その訳が物議をかもすことになりました。

しかし、筆者のような英語弱者がこの原文を見ても「終わりだ、アナキン!」という訳が省略されているだけで、オビワンは高所にいたこともあり「地の利を得ている」という訳も間違いではないように思えます。そこで、なぜこの訳が散々揶揄されているかを調べてみると、その答えは”It’s over, Anakin”という箇所にあることが分かってきました。

この場合、「終わりだ、アナキン!」に”I have the high ground ”と続くと、「場所」の高さではなく「立場」の高さを意味するようなのです。つまり、本来の訳として適当なのは「終わりだ、アナキン!私の方が有利だ」ということになるそうです。

つまり、ここの訳では「場所」の意味で直訳してしまったことが問題ということですね。ただ、この点に関しては正直「取り立ててツッコむほどでもないような」と感じないでもありません。まあ誤訳といえば誤訳なのですが、意味が通らないわけでもありませんし。

 

しかし、結論から言ってしまえば本作を訳した戸田奈津子という翻訳家はこの一場面だけでなく、本作中はおろか今まで担当してきた数々の作品でも「疑惑の訳」を連発する翻訳家だという事情が大きく関係しています。ここの誤訳はスターウォーズの師弟対決という、知名度も重要度も高いシーンで発生したからこそネタにされているという側面があるのでしょう。

ここまでは翻訳ネタの解説が大半になってしまいましたが、シーンそのものとしては三部作の集大成として高い完成度を誇ります。現行のDVDやBDでは誤訳も修正されているそうなので、気になる方は最新のもので視聴されるとよいでしょう。

【評価】新三部作の中では、間違いなく一番の傑作かと

【評価】新三部作の中では、間違いなく一番の傑作かと© Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.

さて、ここまで本作の内容について評論してきました。そこで全体の評価をまとめると、間違いなく良作の部類に入る作品で、さらに新三部作の中では間違いなく一番の出来を誇っているといえそうです。

作品全体を暗く陰鬱な雰囲気が支配しており、悪に落ちていくアナキンの様子が非常に説得力をもって描かれています。さらに、ヨーダの活躍などを含めたアクションシーンも非常に充実しており、「ダースベイダー誕生」の物語としてはよくまとまっていると感じました。

 

もっとも、本作に没頭できた理由としては、言うまでもなく前二作の存在が欠かせません。本文中でも言及しましたが、アナキンの成長を眺め続けてきたからこそ本作の内容が心に響くのであり、ここまでの積み重ねは必要なものであったと証明されました。

確かに映画単体として見た時に、1と2は見どころが少ないという意見もよく分かります。もう少し上手な脚本家であれば「アナキンの成長」を描きつつ、魅力的な作品に仕上げられたのかもしれませんが、三部作単位での都合からやむを得なかった措置だとしておきましょう。

そう考えていくと、新三部作については「終わりよければすべてよし」に近い感想が思い浮かびました。残念ながら旧三部作を超え得るような作品にはなり得ず、話の広げ方にもいくらかの問題はありましたが、締めとなる本作をキッチリと料理したことは大きいと思われます。

もちろん、旧三部作ファンの方にとって新三部作の存在がなかなか受け入れがたいのは理解できます。そもそものテーゼとして「銀河を救う」という分かりやすい冒険譚の色彩が強かった旧三部作と、アナキンが闇に落ちるという人間ドラマの色彩が強い新三部作では、支持層が異なるのも無理のないことですから。

 

さらに、「無理矢理アナキンが落ちる過程を描くくらいなら、はじめから過去編など作らなければよかったのでは」という意見にも一理あると思います。いくら最後で挽回したとはいえ、前二作があくまで伏線としての描き方に終始してしまっていたのは否めないからです。

ただし、最後で述べるように7~9の「続三部作」と比較して新三部作の評価も見直されつつあり、9までの作品がすべて公開された頃にはかつて失敗作の烙印を押された新三部作の評価も一変しているかもしれません。

【考察】7~9の新作は、1~3のようにここからファンの支持を得られるか

【考察】7~9の新作は、1~3のようにここからファンの支持を得られるか© Lucasfilm Ltd. & TM. All Rights Reserved.

先にも述べたように、幸か不幸か新三部作の評価が見直されつつあるのは、近年になって製作が開始された続三部作の内容に大きな問題があったことの副産物ともいえます。7はあくまで設定の顔見世程度であったため、それほど非難には晒されなかったものの、8は映画内のありとあらゆる点が猛批判の対象になりました。

実際、個人的にも映画館で頭を抱えた記憶があり、誰の目にも失敗作であることは明らかでしょう。にもかかわらず評論家がこぞって8を高く評価したことにより「評論家と制作会社はグルなのではないか」と、この点も非難の対象になりました。

こうした状況下で、皮肉にも新三部作の評価が見直されていくことになります。考えてもみれば、徹頭徹尾褒めるところのない8に比べると旧三部作には見どころも多く、問題点もあれど相対的には間違いなく上位に列せられる作品でしょう。

 

つまり、両者に寄せられている非難を分かりやすくまとめてみると、新三部作に対する批判が「私たちの求めているスターウォーズじゃない」という類の「スターウォーズという作品の一種であることへの批判」が多かったのに対し、続三部作は「そもそも映画としてつまらない、成立していない」という類の「映画というエンタメの作品として一定の水準を満たしていない」という根本的な批判が多いという違いがあります。

こうした批判の性質から考えても、残念ながら現状では続三部作がスターウォーズの名声を失墜させていることは認めなければならないでしょう。それは興行収入の面からも明らかであり、賛否両論ありつつも興行成績を残し続けてきた新三部作に比べて、8の時点で『ローグワン』にも満たないような興行成績の低調さを示していました。

したがって、続三部作をめぐる環境には非常に厳しいものがあると考えます。しかし、我々が忘れてはならない事実として、続三部作の完結編となるエピソード9は2019年の末にようやく公開されるということがあります。

本作のレビューでも指摘した通り「終わりよければすべてよし」という評価が付与され、8で示してきた数々の伏線を上手に処理できれば、作品全体としての評価を回復することもできるのではないでしょうか。

もちろん、筆者を含め前作に失望したファンは数知れないと思われますし、そこから汚名を返上するのは簡単でないことも事実でしょう。しかし、そこは数々のヒット作品を生み出してきたJ・J・エイブラムスの腕の見せ所だと思いますし、希望を捨てずに日本での公開を待ちたいと思います。

(Wrtten by とーじん)

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