タイムトラベルを題材にしたSF映画といえば、BTTFとも略される「バック・トゥ・ザ・フューチャー(Back to the Future)」!1985年の年間興行収入ランキングの第一位に輝く、大ヒット作です。
SF映画としての完成度も高く、ストーリーも抜群に面白い。そして何より、マイケル・J・フォックスが演じる高校生のマーティと、クリストファー・ロイド演じる科学者のドクとのコンビが絶妙!という、3拍子そろった名作映画です。
大人から子どもまで、誰が見ても楽しめる大衆向けの映画でありながら、これほど質の高いSF映画は珍しいのではないかと思います。
シリーズ3部作の中から、記念すべき第1作目となる映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』について、個人的な感想や解説、考察をご紹介したいと思います。ネタバレがかなり入っていますので、まだ見たことがない方はどうぞご注意ください。
目次
映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を観て学んだ事・感じた事
・間違いなく、タイムトラベル映画の最高傑作
・隅々まで行き届いたシナリオが秀逸!最初から最後まで目が離せない
・マイケル・J・フォックスが、やっぱり最高!!
映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の作品情報
公開日 | 1985年 |
監督 | ロバート・ゼメキス |
脚本 | ロバート・ゼメキス ボブ・ゲイル |
出演者 | マーティ・マクフライ(マイケル・J・フォックス) ドクター・エメット・ブラウン(クリストファー・ロイド) ロレイン・マクフライ(リー・トンプソン) ジョージ・マクフライ(クリスピン・グローヴァー) ビフ・タネン(トーマス・F・ウィルソン) |
映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のあらすじ・内容
舞台は1985年のアメリカ。高校生のマーティは父母兄姉の5人家族で、母のロレインは口うるさく、会社員の父ジョージは気弱で上司のビフに頭があがりません。マーティは父とは正反対の性格で彼女もいますが、短気なところが欠点です。
マーティは、街の人たちから変わり者扱いされている科学者のドクと仲良しで、ドクの実験を手伝っていました。ドクはタイムマシンを完成させますが、燃料となるプルトニウムをだまして手入れたことがバレ、過激派集団に襲撃されてしまいます。
その場面を目撃してあわててタイムマシンに飛び乗ったマーティは、なんと1955年にタイムスリップ!もとの時代に戻るため、マーティは1955年のドクに助けを求めます。
過去を変えてしまわなように誰にも会うな!と、ドクから念を押されるマーティでしたが、ロレインとジョージの出会いを邪魔して歴史を変えてしまいます。二人が出会って恋に落ちなければ、マーティは存在しないことになってしまうのです。
ロレインとジョージの仲と取り持つためにマーティは奮闘し、ドクはマーティを1985年に送り返すための作戦を立て始めます。
映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のネタバレ感想
Back to the Future(未来に戻る)という意味のタイトル、とっても興味深いですよね。未来は先にあるのですから、未来は目指して行くところであって戻ってくるところではないわけです。
しかし、タイムマシンが絡むとなると話は別。過去にタイムスリップしてしまった主人公がもとの(未来の)世界に戻ってくるという物語なので、Back to the Futureなのですね。タイトルも秀逸です!
マーティとドクのコンビの掛け合いが最高に面白い!
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の魅力は、なんといっても主人公のマーティと科学者ドクの名コンビ!
マーティはごくごく普通の高校生です。でも、大人たちから「かかわってはいけません」といわれている変わり者の科学者ドクと友達で、ドクの研究室に入り浸っている点が面白いですよね。だめと言われてもやらずにはいられないマーティの性格の一端がうかがえます。
マーティとドクは、基本的にどちらも真面目で誠実。ふざけたりジョークを言ったりすることはまったくないのですが、二人の掛け合いはどういうわけかユーモラスです。ツッコミや間合いの取り方が絶妙なのです。
実は、マイケル・J・フォックスは、アメリカのテレビドラマ『ファミリータイズ』に7年にわたって出演し、エミー賞のコメディ部門で主演男優賞を3回も受賞するという経歴の持ち主。マイケルはコメディのセンス抜群なのです。
マイケルの存在は、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にとっては欠かせないものでした。そして、マイケルと息がぴったり合ったクリストファー・ロイドとの奇跡のコンビネーションが、映画が大ヒットした大きな要因だったのですね。
マーティが引き起こしたタイムパラドックスとは?
過去の世界で何か余計なことをすれば、未来が変わってしまう可能性があるということは、皆さんよくご存じだと思います(ドラえもんでもおなじみですね)。
過去の世界では何もしてはいけないとドクにきつく言われているのですが、思いついたことはやらずにはいられないのがマーティ。若き日の父と母の姿を覗きに行って、二人の最初の出会いを邪魔してしまいます…。
父と母の出会いがなくなってしまったことで、二人が結婚するという未来が変わりはじめてしまうのですが、父と母が結婚しなければ当然、マーティがこの世に生まれてくることはありません。これは一大事です!
ちなみに、映画の中では、過去を変えたことでゆっくりと未来に影響が出てくるという設定になっているようで、すぐにマーティが消えてしまうわけではありません。
マーティが持っていた家族写真から、兄・姉・自分の順に姿が薄くなり、次第に消えていきます。兄が消え、姉が消え、次に消えるのは自分?よく考えるとかなり怖いですね。
【ネタバレ】「魅惑の深海パーティ」でマーティが大活躍!
過去の世界でジョージとロレインは、「魅惑の深海パーティ(ENCHANTMENT UNDER THE SEA)」と名づけられたイベントで初めてデートをしたことになっていました。
マーティは渋るジョージをパーティに誘い出し、ロレインと二人きりになるチャンスを作ろうとしますが、なかなか上手くいきません。
そもそも、ジョージは弱気になっているし、ロレインはジョージではなくマーティが気になっている様子。ジョージとロレインを車の中で二人きりにするはずが、マーティとロレインが車の中で二人きりになってしまい、ロレインにせまられるマーティの表情は必見です!
この後、パーティを盛り上げるためにマーティが舞台でギターを演奏することになるのですが、そこに至るまでの流れるようなストーリー展開が見事!BTTFのシナリオの素晴らしさが際立っている場面のひとつです。
ロレインを襲うビフを止めようとしたマーティは、逆に停めてあった車のトランクに放り込まれてしまいます。それは実はバンドマンたちの車で、バンドマンがビフの手下たちを追い払い、マーティを助け出してくれました。
一方ジョージは、マーティに指示された通りにロレインのもとに向かいます。するとそこでは、ロレインがビフに襲われそうになっていました。言い訳をしながら逃げようとするジョージでしたが、ビフに必死に立ち向かうロレインを見てこぶしを握りしめます。
ジョージの渾身の一発はタイミングよく振り返ったビフにクリティカルヒット!なんと、ビフをノックダウンしてしまいました。ロレインとジョージは仲良くダンスパーティーに向かいます。
しかし、マーティを救出するためにギタリストが指をケガしてしまい、演奏をすることができません。パーティーを盛り上げてほしいとマーティが必死に説得しますが、バンドマンたちは帰り支度を始めてしまいます。
「悪いが、無理だ。ほかに、ギターを演奏できるやつがいれば話は別だが…」
そう!ここに、いますね。ギターを演奏できるマーティが!こうしてマーティは、ギタリストのマーヴィン・ベリーの代わりに舞台でギターを弾かせてもらえることになるのです。
名曲「ジョニー・B・グッド」を作曲したのは、一体誰?
マーティはロックが大好きでミュージシャンになるのが夢ですから、プロのバンドと演奏ができるなんてすごいチャンスです。
マーティの演奏を気に入ったバンドマンがもう一曲やろうと誘い、そこでマーティは時代に合わせて古い曲をチョイス。1980年代に暮らすマーティにとっては30年も昔の名曲、チャック・ベリーの「ジョニー・B・グッド」です。
「ジョニー・B・グッド」は1958年に発表された曲なので、1955年の時点では誰もが初めて耳にするメロディーでした。マーティの演奏を聞いていたマーヴィンは衝撃を受け、急いでミュージシャンの従兄弟に電話をします。
「チャック!新しいサウンドを探してるんだろ?これを聞いてみろよ!」
こうして、電話口でマーティの演奏を聞いたマーヴィンの従兄弟のチャック・ベリーは、インスピレーションを受け、新曲「ジョニー・B・グッド」を書きあげるのでした。ものすごいタイムパラドックスが起きていますね。
【解説】タイムマシン「デロリアン」ってどんな仕組み?フラックス・キャパシターとは?
タイムトラベルに欠かせないものといえば、タイムマシンですね。
皆さんよくご存知のドラえもんに登場するタイムマシンは、空飛ぶじゅうたんスタイルですが、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場するタイムマシンは車タイプです。ステンレススチールのボディに上に向かって開くガルウイングドアがカッコ良く、デロリアン社のDMC-12という車が使われており、「デロリアン」と呼ばれています。
デロリアンの内部には、Y字型のチューブになったフラックス・キャパシター(次元転移装置)が設置されています。これがタイムトラベルを可能にする大発明で、ドクがトイレですべって頭を打ったときに思いついたのだそうです。
しかし、もちろん簡単に実現したわけではなく、家屋敷を売り払って全財産をつぎ込み、30年の歳月をかけてようやく完成したのが1985年だったというわけです。
SF小説やマンガなどに登場するタイムマシンは、入口からワームホールに入ってタイムトラベルをするケースが多いのですが、デロリアンはどこからでも移動できてしまうかなり高度なタイムマシンのようです。もちろん、これは想像上の産物であり、現在のところ、フラックス・キャパシターの実現はほぼ不可能といわれています。
ちなみに、デロリアン社は1975年設立されたアメリカの自動車製造会社です。DMC-12という、たった一台の車だけを設計・開発して1982年に幕を閉じたという伝説的な存在。その車が大ヒット映画に使われたことで、デロリアンという名前は世界的に知られるようになりました。
【解説】「デロリアン」がタイムトラベルするための燃料はプルトニウムだった!
フラックス・キャパシターは、デロリアンを時速88マイル(およそ140km)まで加速すると作動するという仕組みになっています。
デロリアンの動力はガソリンですが、キャパシターが作動するためには、速度に加えて1.21ジゴワットという大量の電力が必要になります。その発電のために必要な燃料は、なんとプルトニウム!簡単に手に入るものではありませんよね。
そこでドクが過激派集団からプルトニウムをだまし取ってきたことから事件が起き、マーティが誤って過去にタイムスリップしてしまったというわけです。
では、1955年から現在(1985年)に戻ってくるためにタイムスリップしたときは、一体どのようにして電力を得たのでしょうか?
プルトニウムによる発電は1回で使い切ってしまうので残っていませんし、1955年にプルトニウムを個人が入手することは不可能でした。そこでドクが考えたのは、落雷による雷の電力。マーティのポケットに入っていた1985年のチラシで、街の時計台に雷が落ちることがわかったのです。
時計台から電線をつなぎ、雷が落ちる瞬間にデロリアンが時速88マイルで走りながら電線に接触するように計画を立て、ドクとマーティは見事それをやりとげました。
その後改良されたデロリアンには、ミスター・フュージョン(架空の名前)という発電システムが設置されたので、プルトニウムは必要なくなりました。家庭ごみをなんでも放り込めば発電できてしまうという優れたシステムです。
ミスター・フュージョンが現実のものになったら、ごみ問題とエネルギー問題が同時に解決できますね!
ちなみに、映画の中にジゴワットという謎の単位が出てきますが、これはギガワットのこと。脚本を書いた作者が書き間違えてしまい、そのまま採用されてしまったようです。
1985年当時はコンピュータのメモリが16MB程度という時代なので、ギガという単位はまったく一般的ではありませんでした。そもそも、Windows1.0の発売が1985年11月、コンピュータは限られた人たちだけが扱える特別なものでしたから、ギガでもジゴでも、見る側にとってあまり変わりはなかったのですね。でも、「ジゴワット」という響きかわいくて好きです。
ドクはマーティからの手紙を読んだ?
プルトニウムを奪われて怒った過激派集団がマーティたちを襲撃、ドクは射撃され、マーティはデロリアンに乗って逃げるつもりが、過去にタイムスリップしてしまったことが、すべての始まりでした。
1985年のあの夜、撃たれて倒れたドクを何とかして救いたいと思ったマーティは、1955年のドクに未来に起きる危険を知らせようとします。しかしドクは、マーティの話を聞こうとしません。未来の出来事を知ることで、歴史が変わってしまうのを心配しているのです。
そこでマーティは、30年後のドクに起きることを手紙に書き、こっそりドクの上着のポケットに入れました。手紙の存在に気づいたドクは怒って手紙を破り捨てようとしますが、急いでいたためとりあえずポケットの中に…。
そして30年後。1985年のあの夜、1955年にタイムスリップしたマーティが戻ってきました。襲撃の少し前の時間に戻るつもりでしたが間に合わず、ドクは撃たれて倒れてしまいます。マーティは急いでドクのもとへ駆け寄ります。
ドクのポケットには古びた一通の手紙がありました。胸がちょっと熱くなる、私のお気に入りのシーンです。
「TO BE CONTINUED…」のテロップ
アニメ、ドラマ、映画などでもおなじみの、「TO BE CONTINUED…」というテロップ。皆さんもどこかで目にしたことがあるかもしれません。『ジョジョの奇妙な冒険』が元ネタだといわれていますが、実は違います。
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が1987年にビデオ化された際、ラストに「TO BE CONTINUED…」というテロップがこっそり挿入されました。もちろん、映画公開当時は続編の予定はまったくなく、ジョークのつもりだったのだそうです。大ヒットコメディ映画らしいおふざけですね。
ところが、このテロップが大反響を呼び、「PART2」「PART3」の制作につながったというから驚きです。
このビデオの「TO BE CONTINUED…」というテロップは大人気となり、あちこちで使われるようになりました。ジョジョでも、BTTFのデザインそのままで使われており、元ネタは、BTTFのビデオ版だったというわけですね。
SF映画やタイムトラベル物は難しいんじゃないの?と、思う方もいるかもしれませんが、この映画はとにかくわかりやすくて面白い!ごく普通の娯楽映画の感覚で、本格的なSF映画を満喫できる本当におすすめの映画です。
マーティとドクの活躍は、さらにまだまだ続きます(to be continued…)。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2 & PART3』と合わせて、ぜひお試しください!
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※2019年9月現在の情報です。