映画「リメンバー・ミー(原題:Coco)」はディズニー/ピクサーのアニメーション映画で「家族」や「音楽」が大きなテーマの作品です。
劇中では映画のタイトルにもある「リメンバー・ミー」という曲の他にも様々な音楽があり、見終わった後には家族って良いもんだなぁと感じることのできる作品でした。
今回は映画「リメンバー・ミー」を観たネタバレ感想や解説、考察を書いていきます!
目次
映画「リメンバー・ミー」を観て学んだ事・感じた事
・先祖や家族がいて今の自分があるということ
・自分の夢ややりたいことは誰にも止められない!
・音楽はいつになっても心に残り続ける
映画「リメンバー・ミー」の作品情報
公開日 | 2018年 |
監督 | リー・アンクリッチ |
脚本 | エイドリアン・モリーナ |
出演者 | ミゲル・リヴェラ(石橋陽彩) ヘクター(藤木直人) エルネスト・デラクルス(橋本さとし) ママ・イメルダ(松雪泰子) エレナ・リヴェラ(磯辺万沙子) |
映画「リメンバー・ミー」のあらすじ・内容

ママ・イメルダの夫は音楽家を目指すため、家族を捨てて家を出ます。
残されたママ・イメルダは音楽を嫌うようになり、靴職人として家計を支え、娘のママ・ココを育てます。
音楽を嫌うようになったママ・イメルダは家庭の中で音楽を禁止し、一族の中では「音楽禁止」の掟が代々守られ、靴職人として働くことが当たり前になっていました。
月日は流れ、年老いたママ・ココは認知機能が低下して記憶が薄れてきています。そんな中、音楽が好きなミゲル・リヴェラはひそかにミュージシャンになる事を夢見ていました…。
映画「リメンバー・ミー」のネタバレ感想
音楽が好きでもミュージシャンになっても良いじゃん!

音楽家を目指すために家族を捨てた夫のせいで音楽が嫌いになったママ・イメルダ。
そして、ママ・イメルダの「音楽禁止」の掟を守り続けるリヴェラ一族ですが、僕が観てて感じたのは、音楽自体に罪はないんだから好きになっても良いじゃん!ということでした。
外で流れてる音楽を聞いても、ギターを少し弾いてもブチギレる家族たち。ここまで音楽を厳しく反対されてしまうミゲルは可哀想だなと感じました。
エルネスト・デラクルスの死に方ヒドくない?
「リメンバー・ミー」という大ヒット曲で有名になり伝説的なミュージシャンであるエルネスト・デラクルスですが、ステージ上の事故で死亡してしまいます。
その死に方がかなりヒドくて、ステージ上の上部にあった大きな鐘(?)が落ちてきて死んでしまうんですよね。
ミュージシャンの方がよく「ステージ上でぽっくり死にたい」なんて言いますが、あの死に方はさすがに笑ってしまいました。しかし、後ほど分かる彼の行いを考えれば、この死は妥当だったのかもしれません…。
リメンバー・ミーの死後の世界の描き方が素晴らしい!

ディズニー作品は大人が観ても十分面白い作品ですが、やっぱりメインの視聴層って子供だと思うんですよね。
子供の頃って布団の中で「死んだらどうなるんだろう…」なんてムダに死後の世界を考えて恐くなったり不安になることがありますが、リメンバー・ミーの中では死んでしまった人たちがガイコツ姿で生きていた時と同じように楽しく踊ったり音楽を楽しんだり、家族や好きな人と会話をしたりしています。
この描写がディズニーらしくてとても素敵だなと感じました。家族や親戚、友達が亡くなってしまった経験がある子供がリメンバー・ミーに描かれている死後の世界を見れば、何だか安心できるような気がしますし、死への恐怖が少し薄れますよね。
「死」というものもポジティブな表現にしてしまうディズニーはさすがです。
先祖を大切にする習慣はとても大切!
リメンバー・ミーの世界では1年に1度の「死者の日」に死んでしまった先祖たちが敷かれた落ち葉を辿り、死者の国から生者の国へとやってきます。
死者が生者の国に行くには「自分の写真が祭壇に飾られている必要がある」という条件があります。
祭壇に自分の写真が飾られていなかったヘクターは生者の国に行くことができなかったわけですが、1年に1度は先祖に思いを寄せるということはとても大切ですよね。
日本にも死者のために行う祭り事としてお盆がありますが、リメンバー・ミーを観れば子供達も先祖を大切にする意味が理解できるかもしれません。そして、オレンジ色に光り輝く落ち葉のシーンが圧巻でめちゃくちゃキレイです。
【解説】エルネスト・デラクルスの悪行の数々
ディズニー映画によくある、最初は良い奴だっと思ったら悪い奴だったという展開ですが、大人の僕もまんまと騙されてしまいました。エルネスト・デラクルスはわりとクズでしたね…。
過去に「トイ・ストーリー3」で同じような経験をしました。友達が映画館で「トイ・ストーリー3」を見る前に、作品に登場する可愛いピンクのクマ・ロッツォの大きなぬいぐるみを購入していました。
映画が始まってみると、劇中に登場するクマのロッツォは可愛い姿と真逆の性格の悪さで、映画を見終わった後に友達は「ロッツォ買わなきゃ良かった…」なんて嘆いていました。
そんなロッツォ以上にヤバいのがリメンバー・ミーに登場するエルネスト・デラクルスで、ヘクターの飲み物に毒をいれて殺し、ヘクターが作った曲を自分のものとして歌い有名なミュージシャンになります。
この悪行は死者の国でも生者の国でも知られることになり、エルネスト・デラクルスの祭壇には「忘れてやる」という看板が掲げられ、二度目の死があることを想像させます。
【考察】人に忘れられてしまった時が本当の死

リメンバー・ミーでは亡くなった人が死者の国で暮らしていて、死んだ人が集まる死者の国でも死があります。
これを「二度目の死」と言い、生者の国で生きている人達に自分の存在が忘れられてしまうと死者の国でも死んでしまいます。
人気漫画ワンピースにもこんな名言があります。
「人はいつ死ぬと思う…? 心臓を銃で撃ち抜かれた時……違う。 猛毒のキノコスープを飲んだ時……違う!!! …人に忘れられた時さ…!!!」
この「人に忘れられてしまった時が本当の死」という表現は哲学的でとても深いですよね。
病気や事故で”肉体的”に死んでしまったとしても、その人との楽しかった思い出や記憶というのは誰かの心の中でずっと生き続けるわけです。誰かの心の中で生き続けた思い出や記憶が消えた時、人は”精神的”にも死んでしまうというわけですね。
逆に言えば、家族や友人、大切な人が肉体的に死んでしまったとしても、心に残った思い出を思い返すことで、心の中でその人の存在を近くに感じることができます。大切な人とたくさんの思い出を作ることって本当に大事ですよね。
「リメンバー・ミー」には素晴らしい楽曲が多くある
この映画の代表的な曲でもある「リメンバー・ミー」は歌詞やメロディーがとても良いですが、ミゲル役の声を演じた石橋陽彩くんのキレイな歌声が曲をさらに良くしています。
彼は2004年生まれと若く声優も初挑戦だった様ですが、歌声を聴いた時は全身に鳥肌が立つくらいの上手さでした。ただ歌が上手いだけでなく、心に響く様な歌声でした。
エルネスト・デラクルスに会うためにはデラクルス主催のパーティーに参加する必要がありました。
デラクルスのパーティーに参加するには、音楽コンテストで優勝しする必要があるので、それを知ったミゲルは音楽コンテストに参加します。
ここでは「ウン・ポコ・ロコ」を歌うことになり、途中からヘクターと一緒に歌うことになります。結果的にミゲルの高祖父はデラクルスではなくヘクターだったわけですが、ここで息のあった歌を披露できたのは、二人が血の繋がった家族だったからなのかもしれません。
観客が大勢集まる会場に突然出されたママ・イメルダは「哀しきジョローナ」を歌います。
ママ・イメルダの声は松雪泰子さんが演じていて、フラメンコ調の曲にカッコいい声がマッチしていてめちゃくちゃ良いです。
そして映画を締めくくるのが「音楽はいつまでも」という曲です。
歌詞の中に「君の夢を見たんだよね」とあります。個人的な解釈ですが、死後の世界で出会ったヘクターやママ・イメルダとの出来事が、夢の様なひと時であったことを指しているのかもしれません。
そして、ミゲルはミュージシャンへの道へと進み、家族の皆んなもそんな彼を応援します。
エンディングで流れる「リメンバー・ミー」はシシド・カフカさんが歌い、東京スカパラダイスオーケストラが演奏をしています。
リメンバー・ミーはメキシコが舞台になっていますが、シシド・カフカさんの出身地もメキシコです。歌う人の選び方も細かくて良いですよね。
石橋陽彩くんの歌うリメンバー・ミーは静かで悲しげでしたが、シシド・カフカさんの歌うリメンバー・ミーは東京スカパラダイスオーケストラが演奏していることもあり、楽しげな音楽になっています。劇中の歌とエンディングで曲調が少し違っているので何度聴いても飽きません。
自分の心に残る音楽はありますか?

「音楽の好みは14歳の時に聴いていた音楽で形成される」と言われています。思春期の終わり辺りに聴いていた曲調やジャンルの音楽を、大人になっても聴いている人が多いそうです。
受験勉強中に聴いていた曲、失恋の時に泣きながら聴いた曲など、曲によっては聴くことで当時の記憶を思い出すことがありますよね。
また、卒業式や結婚式などで流れる音楽は、その場の悲しかったり嬉しかったりする感情をさらに強く表現してくれます。
年老いたママ・ココは徐々に記憶が薄れてきていますが、ミゲルが「リメンバー・ミー」を歌うことでママ・ココは当時の幸せな家族との記憶を思い出します。あのシーンが本当に感動的なんですよね。
ヘクターが家に帰れなかった理由、そして娘を想う気持ちを知った上で、ママ・ココの為だけに作られたママ・ココを想う「リメンバー・ミー」を聴くと目頭が熱くなります。このシーンを見た時にこの映画を観て良かったなぁと感じることができました。
【考察】映画「リメンバー・ミー」で一番伝えたかったメッセージは何?

ディズニー映画はただのアニメ映画と違って、ストーリーには現実ともリンクする様なリアリティがあり、隠れたテーマやメッセージ性があると思っています。
「トイ・ストーリー3」では大人になったアンディがおもちゃで遊ぶことが無くなり、新しい持ち主への元へと渡りますが、アンディの成長とおもちゃが辿る結果はとてもリアリティがありました。
「ズートピア」では肉食動物と草食動物の隠れた差別、男性が多い警察官という仕事に挑戦する女の子が描かれています。
では「リメンバー・ミー」ではそんなメッセージ性があるのだろう?と考えてみると「家族の大切さ」と「自分の好きなこと、夢を追うことの良さ」を訴えていると僕は感じました。
リメンバー・ミーのキャッチコピーは「それは、時を超えて―家族をつなぐ、奇跡の歌。」というものです。これを見ると一番伝えたいテーマは「家族」ということになりますが、家族を繋ぐことができたのも、ミゲルがミュージシャンになる夢を追い続けたからこそでした。
ミゲルがミュージシャンになりたいことを知った家族はとにかく否定し、ミゲルを応援する人は誰一人といませんでした。
しかし、ミュージシャンになりたい!音楽をやりたい!というミゲルの気持ちは抑えることはできず、反対されながらも音楽を追い求めていきます。そして、最後のシーンではママ・ココに歌を歌い、ママ・ココは涙を流しました。
このシーンで感動した人は僕を含めたくさんいると思いますが、反対していた家族一同もミゲルの歌を聴いて心が震えたに違いありません。そして、人の心を感動させたミゲル見て音楽を続けることが認められるわけです。
反対している人もいつかは応援してくれる様になるかも
リメンバー・ミーに隠された裏のテーマがあるとするなら「夢への挑戦」かもしれません。
夢に否定的な人がいたとしても、夢を追い続けていればその人たちもいつかは応援してくれる様になる。人の意見は気にせず自分のやりたいことをやってみよう!というメッセージがある様に感じました。
自分の「してみたい」という気持ちを曲げずに夢を追うことでいつかは叶う。「リメンバー・ミー」なそんなメッセージを感じさせてくれる映画でした。
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