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映画『I am Sam アイ・アム・サム』ネタバレ感想・解説・考察!ベテラン俳優陣と天才子役の演技が光る感動作品!

映画「I am Sam アイ・アム・サム」のあらすじ・内容

「I am Sam アイ・アム・サム」は2001年公開のアメリカ映画です。

ビートルズの曲に乗せて描かれる感動ドラマ映画で、ショーン・ペンが知的障害を持つ父親の役でアカデミー助演男優賞にノミネートされたほか、子役のダコタ・ファニングの愛らしさが大きな話題となりました。

今回は映画「I am Sam アイ・アム・サム」の解説・考察をネタバレを含みながら書いていきます。

目次

映画「I am Sam アイ・アム・サム」を観て学んだこと・感じたこと

・サムのように子育てができたらイヤなニュースはなくなるよね!
・天才子役ダコタ・ファニングの爆誕!なんと実妹も出演
・自分の幸せの在り方を再確認するにはもってこいの映画

映画「I am Sam アイ・アム・サム」の作品情報

公開日2001年
監督ジェシー・ネルソン
脚本クリスティン・ジョンソン
ジェシー・ネルソン
出演者サム・ドーソン(ショーン・ペン)
リタ・ハンソン・ウィリアムズ(ミシェル・ファイファー)
ルーシー・ダイヤモンド・ドーソン(ダコタ・ファニング)
アニー・カッセル(ダイアン・ウィースト)

映画「I am Sam アイ・アム・サム」のあらすじ・内容

映画「I am Sam アイ・アム・サム」のあらすじ・内容

知的障害を持つサムは、周囲の協力を得ながらも生まれたばかりの娘ルーシーを一人で育てています。

しかし、ルーシーが7歳になった時、サムの知能を追い抜いてしまったことからソーシャルワーカーが介入することになってしまいました。サムは親権を獲得しようと敏腕弁護士リタの協力のもと裁判で争うことになります。

最初はイメージアップのためにいやいや弁護を引き受けたリタでしたが、次第にサム親子の純粋な愛情に心を動かされていきます。果たして強い絆で結ばれたサム親子の運命は・・・?

映画「I am Sam アイ・アム・サム」のネタバレ感想

映画「I am Sam アイ・アム・サム」のネタバレ感想© 2001 – New Line Cinema Productions – All Rights Reserved

感動の映画として名高いアイ・アム・サムですが、この映画の何がそんなに人を感動させるのかといったところに焦点を当てて観覧しました。

もちろんサム親子の絆には心を打たれますが、私が本当に胸を打たれたのは全く別の部分だったのです。ここで述べる解説や考察はネタバレを含みますので、映画を一見してからお読みいただくことをおすすめします。

サムの子育てに雑音は一切なし!愛とすばらしい音楽だけ

サムの子育てに雑音は一切なし!愛とすばらしい音楽だけ© 2001 – New Line Cinema Productions – All Rights Reserved

サム親子の純粋な愛が人々を感動させるこの作品ですが、私も映画の序盤が妙に泣けました。とはいえそれは多くの人が涙したポイントとは少々ずれているのかもしれません。

私が感動したのはサムの子育ての在り方です。サムとホームレスの女性が関係を持ちルーシーが生まれたのですが、女性にとっては望まない子どもだったようです。そのため女性はルーシーを産むと行方をくらましてしまいます。そんなルーシーをサムは精一杯育てているのですが、その子育ては神々しいほど愛情に満ちています。

生後間もないルーシーは昼夜に関係なくお腹が空いては泣き、おむつが濡れては泣きます。サムは夜中も容赦なく泣き声に起こされるのですが、新生児には2時間おきにミルクが必要な事などは知る由もなく、ルーシーを抱いて歩き回りながらただオロオロするばかり。隣家のアニーに助けを求めて、TV番組の時間に合わせてミルクをあげる、などのアドバイスをもらうと忠実にそれを実行します。

 

サムの子育てはぎこちないながらも愛情に満ちています。ルーシーの小さな手を見つめる目、買い物かごを片手にルーシーを抱く手、一緒に乗るブランコ、何度も読み聞かせる絵本。サムの子育てはとてもシンプルなんです。何時に寝かせなければいけない、何歳になったらこういう遊びを、好き嫌い無く食べさせ、できるだけ手作りの食事をなどの知識がほとんどないんですね。

あるのは尽きることのない愛と心の中で響く素晴らしい音楽。たったそれだけを使ってルーシーを育てていきます。そこに、神々しいほど尊厳に満ちた我が子とのかかわりが見えます。溢れる情報に惑わせられることなくサムのような子育てができれば、愛と素晴らしい音楽だけを頼りに幼い子の情緒を一心に育むことができたら、虐待だの、育児ノイローゼだの世の中のイヤなニュースが半分になるような気がしました。

とはいえ、そうはいかないのが現実です。適切な発育のために最低限守らなければならないことはあります。ただ、現代の私たちはそのことに縛られすぎてがんじがらめになっているようにも感じるのです。さらには、検診に行けば周りの子の成長と比べてしまったり、社会と隔絶された自分にとても不安になったり、情報が溢れすぎているのです。そんな「雑音」なしにする子育てが本当に幸せそうで、うらやましくて、不意に泣けてきてしまいました。

【ネタバレ考察】賛否両論に納得!世の中そんなに甘くない!

【ネタバレ考察】賛否両論に納得!世の中そんなに甘くない!© 2001 – New Line Cinema Productions – All Rights Reserved

多くのレビューにあるように、この映画の感動ポイントを究極的に言うと「愛は障害を越える」といったところでしょうか。サムのルーシーへの愛は強いですし、隣人などからサポートが得られるサムの状況では子育てが可能なように思えますが、ルーシーが7歳になった時、サムの知能を追い越してしまったことに危機感を感じたソーシャルワーカーがとうとう介入することになります。

ルーシーの誕生日のサプライズパーティの時、ゲストの少年に「早く隠れて」と肩を軽く押して促したことをソーシャルワーカーは「情緒不安定」と報告します。暴力をふるったのではないことは明らかですが、そう報告してサムとルーシーを引き離すソーシャルワーカーは明らかに悪者ですよね。

 

また、ルーシーと引き離されてしまったサムが有名弁護士を訪ね弁護を依頼するのですが、敏腕弁護士のリタは最初サムに門前払いを食らわせます。サムは知的障碍者でお金もなさそうに見え、しかも自分はといえば夫とは離婚寸前、息子にも嫌われて何一つうまくいっていないのです。しかしひょんなことから、社会奉仕活動の一環として無料で弁護を引き受ける事になってしまいます。もちろんいやいやですが、これもイメージアップのためと自分を納得させます。

そんな弁護士のリタはサムと長い時間を過ごすうちに愛とは何か、大切なものは何か、ということに気づき変わっていくのですが、ここでもサムとルーシーの絆がいかに尊く、それを引き離す社会がいかに無理解かという描かれ方をしています。でも、本当にサムとルーシーを引き離す社会が悪なのでしょうか。

サムの知能は推定7歳程度です。ルーシーが小さいうちは良くても小学校高学年にもなれば、逆にサムの身の回りの世話を焼かなければならなくなるでしょう。特に女の子ですから思春期には体の発育に伴う葛藤があります。いずれ年頃になってもサムを一人には出来ず婚期を逃し、父親の面倒を見ながら年老いていくルーシーが目に浮かぶようではありませんか。

「All you need is love(愛こそはすべて)」は理想ですが、現実とはまた別のものです。例えば、サムには同居している両親がいて全面的に子育てサポートを受けられるなどの場合なら話は別ですが、多少の福祉の介入程度では越えられない障壁がこの先いくつも出てくるはずです。サムがこの先待ち受けているルーシーの(経済的、身体的、情緒的な)さまざまな問題を解決していけるとは思えないんですね。家庭内での事故や病気の時のリスクもありますし、安全管理の問題もあります。もし生活が成り立つのだとしたら、それはルーシーの大いなる犠牲のもとに、ということでしょう。

 

この映画の感動に水を差すようで気が引けますが、サム親子にとってベストな状況は、ルーシーが里親のもとで暮らし、すぐ近くでサムがいつでも会えるような態勢を整えておくことでしょう。ソーシャルワーカーはルーシーの先の先の状況まで読んで、サム親子にとってベストな選択肢を用意したのだと思いますけどね。

もっとも映画では親権は誰にわたったのか、視聴者の判断にゆだねられるような終わり方をしていますから、親権は里親にありながら、普段はサムと暮らす方法がとられたのかもしれないですけど、暮らしも親権も里親さんに渡した方がいいような気がします。

【解説】天才子役ダコタ・ファニングの魅力が大きく開花した作品!天使か!

【解説】天才子役ダコタ・ファニングの魅力が大きく開花した作品!天使か!© 2001 – New Line Cinema Productions – All Rights Reserved

この作品で天才子役の名をほしいままにしたダコタファニングの演技は、長いキャリアを持つショーン・ペン、ミシェル・ファイファーなどベテラン俳優陣に一歩も引けを取りません。むしろ、子役にありがちなわざとらしさ、涙を誘うように仕向けた演技からは一線を画し、自然と視聴者を映画の中に引き込む役割を果たしています。

ダコタはそれまでに短編映画やカメオ出演などのキャリアしかなく、この映画が本格的な子役デビューとなったわけですが、この映画での彼女の演技はキャリアの少なさが逆に功を奏したのかもしれません。それほど自然で嫌味のないさわやかな演技をしています。

特に、サムが絵本を読んでルーシーを寝かしつけるシーンで、目が今にも閉じそうになりながらハンバーガー店のビックボーイに行きたいとサムにねだるルーシーの可愛いこと!あどけない表情でまるで天使が舞い降りたかのようです。本当に演技なの?普通の生活に潜入してこっそり撮影したのでは?と思うような間合いもすごくリアルなんですよね。

 

また、7歳の誕生会の日、同級生の男の子に「本当のパパじゃないって言ってた」と暴露されて、ルーシーが思わずその場から逃げ出すシーンがありますが、この時の彼女の顔がサムを傷つけたことへのショック、同級生への体面など、子どもながらにいろいろな感情が入り混じった複雑な表情をします。この表情がまた大注目!全編にわたり澄んだ瞳が印象的な映画です。

ちなみに、この作品にはダコタ・ファニングの実妹はエル・ファニングも2歳の時のルーシー役で映画にちょっとだけ出演しています。特に演技をしているわけではなくセリフもないのですが、こちらのかわいらしさにも注目してみてください。

ダコタ・ファニングは「オーシャンズ8」にも出演しています。こちらも是非チェックしてみてください!

【解説】好評を博した映画音楽はすべてビートルズのカバーー

【解説】好評を博した映画音楽はすべてビートルズのカバーー© 2001 – New Line Cinema Productions – All Rights Reserved

映画はすべてビートルズの曲に彩られています。そもそもルーシーの名づけの根拠となったのは「Lucy in the Sky with Diamonds」というビートルズの楽曲です。ルーシーはダイヤモンドと一緒にお空に・・・ですね。この楽曲はブラック・クロウズが担当し、他にも様々なアーティストが挿入歌を担当しています。

監督は映画製作当初、ビートルズのオリジナルナンバーを使おうとしましたが、さまざまな手続がスケジュール内では間に合わないと判断し、全編ビートルズのカバー曲を使用することになったそうです。映画製作はオリジナル曲に合わせて作られたので、カバーしたアーティストたちは曲の雰囲気や変えないことが求められました。

エディー・ウェダーの「悲しみをぶっ飛ばせ」などは、実際に映画を観ながら弾き語りで録音するこだわりようだったんだそうです。

製作側の都合から全編カバー曲となりましたが結果的にそれが功を奏し、サウンドトラックは2002年の2月にはゴールドディスクとなり、グラミー賞の最優秀コンピレーション・サウンドトラック・アルバム部門にノミネートされました。

ちなみに、サウンドトラックアルバム1曲目に収録されている「Two of Us」はエイミーマンとマイケル・ペンが担当しましたが、マイケル・ペンは主演のショーン・ペンのお兄さんだそうですよ。

【解説】ベテラン俳優陣の脂の乗った演技はさすが!サムの転び方にも注目

【解説】ベテラン俳優陣の脂の乗った演技はさすが!サムの転び方にも注目© 2001 – New Line Cinema Productions – All Rights Reserved

子役ダコタ・ファニングの演技もさることながら、この映画はベテラン俳優陣の演技があってこそ、芯の通った見ごたえも感じさせてくれます。サム役のショーン・ペンはこの映画で完全に演技の幅を広げたでしょう。この作品でアカデミー賞、ゴールデングローブ賞両方の主演男優賞にノミネートされています。

それまでにも「ギター弾きの恋」「デッドマンウォーキング」などで主演男優賞にノミネートされていましたが、同作品は全く毛色の違った難しい役どころであり、だからこそ評価され俳優としてのランクをさらに進めたのではないかと思います。サムの手つき、顔つきからは普段のショーンを思わせるような、ふとした表情さえ見当たりません。完全に7歳で時が止まったサム・ドーソンを演じきっています。

しかも映画はアドリブか多く随所に採用されています。ルーシーとサムがバスで逃げるシーンも即興の演技なのだとか。サムの友人4人のうち2人は実際に知的障害を持っていたため、セリフと違う会話になることも多々ありましたが、そこはさすがのベテランショーン、即興で会話を続けてそのまま映画に採用されています。

 

もう一つアドリブといえば、この映画の予告編にも繰り返し流されていたサムの転びシーンです。ルーシーとの面会の日にバスに乗り遅れたサムがケーキを持って面会の場に走り込んでいき、廊下でナイスな横滑りを見せた後、階段(数段ですが)の下まで派手に滑り込んでいくシーンがあります。

この転び方が映画史上に残るのではと思うほど素晴らしいんです!観ている私も画面に向かって「あっ!!!」と声が出てしまうくらいの転び方をするんですが、なんとこれもショーンのアドリブだそう。契約段階では転ぶことを禁止されていたにもかかわらずショーンがアドリブで転んでしまったそうで、これも結果的に予告編で「アイ・アム・サム」を象徴するシーンになりましたね。ショーン・ペンの役者魂おそるべし・・・!

 

他にも利己的な弁護士役のミシェル・ファイファーもいいですね。彼女は家庭がうまくいっておらず、お金はあっても時間と愛情が徹底的に不足している役どころで、忙しい時にスローなテンポのサムとからんでいるイライラ加減が笑えます。イライラしてヒステリー状態の女性なのに観ているこちらはクスっと笑ってしまうのは、いい意味での「おバカ」な雰囲気があるからでしょう。

サムの子育てに協力する外出恐怖症のアニーはベテラン俳優のダイアン・ウィースト、最後にはサムとルーシーの絆の強さを認めてくれる里親にはローラ・ダーンを起用しています。脇を固めるキャストの安定した演技も、この映画を見ごたえのあるものにしてくれているのは確実です。

現実は甘くない!だけど幸せの在り方を考えさせられる作品

現実は甘くない!だけど幸せの在り方を考えさせられる作品

この映画に出てくる登場人物は一筋縄ではいかない人たちばかり。いわば世間の常識からちょっと外れている人たちが出てきます。

サムは7歳程度の知能しか持ち合わせていません。ですが仲間に囲まれ幸せに暮らしています。地位もお金もある女弁護士はポルシェを乗り回し、社会的にはうらやましがられるような生活をしています。でも家庭は崩壊寸前。本人は、優しさや人生を楽しむことといった無駄なものをすべて捨ててきたような生活をしていて、お世辞にも幸せそうには見えません。

外出恐怖症のアニーは、サムやルーシーから必要とされたことで、世捨て人のような暮らしからようやく1歩を踏みだそうとします。彼女にとっては家の中だけが安全地帯で、その中にいれば幸せでしたが、人に必要とされたことで新たな力を得たのでしょう。外の世界に再び幸せを見つけられる日が来るのかわかりませんが、少しの光が見えたのだと思います。

実際に知的障害を持ちながら子供を育てるのは大変で非現実的かもしれません。でも、自分にとっての幸せの在り方や子どもの愛し方をもう一度確認するためには、最適な映画ではないかと思います。

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