高校生2人の恋模様を描いた映画『たまこラブストーリー』。
純粋で甘酸っぱい高校生2人の恋模様を見守るような映画で、どちらかと言えば自分の時代を懐かしみながら美しい恋愛を楽しみたい方におすすめな作品になっていました。
今回はそんな『たまこラブストーリー』についての詳しい感想と解説をご紹介していきます。感想と解説ではネタバレを含みますので、映画ご視聴前の方やネタバレを避けたい方はご注意ください!
目次
映画「たまこラブストーリー」を観て学んだ事・感じた事
・アニメを知らなくても楽しめる映画
・ピュアな恋模様がお好きな方におすすめ
・普段アニメや恋愛映画を観ない大人、男性にもおすすめ!
映画「たまこラブストーリー」の作品情報
公開日 | 2014年04月26日 |
監督 | 山田尚子 |
脚本 | 吉田玲子 |
出演者 | 洲崎綾(北白川たまこ) 田丸篤志(大路もち蔵) 金子有希(常盤みどり) 藤原啓治(北白川豆大) 西村知道(北白川福) 立木文彦(大路吾平) |
映画「たまこラブストーリー」のあらすじ・内容
お餅のことばかり考えている高校3年生・北白川たまこ。高校最後の年ということで、卒業前の思い出作りとしてバトン部でお祭りに出場することになったり、お店の手伝いで忙しいものの、ずっと変わらずにお餅のことばかりを考え、卒業後は実家の餅屋を継ぐと決めていました。
しかし、彼女の友人たちはまだ悩み中なものの地元を離れる選択をしている子が多く、今のままではいられないということを知ります。
そしてたまこの幼馴染・もち蔵も、進学のために地元を離れて東京に行く決心を固めていました。卒業前までには進路のことと自分の想いを伝えなければ…と思ったもち蔵は、何度も回り道をしたもののついに意を決してたまこに告白したのですが…。
映画「たまこラブストーリー」のネタバレ感想
高校生2人幼馴染同士の恋愛映画ということで、観てるこちら側が恥ずかしくなるくらい甘酸っぱい青春ストーリーになっていて、自分が高校生の頃と重ね合わせながら、2人の王道な恋模様が楽しめるような映画になっていました。
どちらかと言えば、懐かしみながら美しい恋愛映画を楽しめる大人におすすめな映画です!
水彩画のような映像がキレイ
最近のアニメ映画らしいシンプルながら細かくキレイな映像で、アニメをあまり観ない大人の方でも観やすいようなアニメ映画だったと思います。
特に光の柔らかさ、青空や緑の鮮やかさ、水の透け感がとても魅力的で、鮮やかなんだけどゴチャゴチャすることなくシンプルで、シンプルなんだけど細部までこだわりがあって、アニメ好きな方からアニメが苦手な方にまでとっつきやすい映像美になっていました。
そして2人の気持ちによって印象の変わる街並みや、たまこがもち蔵に告白されたときの水彩画のような背景も良かったですね。
モヤモヤしているけどキラキラもしていて、まだ上手く受け入れられてはいないものの嬉しいと思っていることが伝わるような独特な背景で、セリフがなくてもたまこの感情が良く伝わっているような気がいたしました。
人物はさすがにアニメっぽいキャラクターにはなっているものの、主人公の2人に関しては映画『君の名は。』に近いシンプルなキャラクターになっていますし、友人には内面・見た目共に特徴的な子がいたりしますがそこまで悪目立ちするわけではないので、比較的受け入れやすいと思います。
なのでアニメ映画はな…と思っている方にも、ぜひチェックしていただきたい映画です!
ラストまで活躍する糸電話という演出
恋愛ストーリー自体も良いのですが、同時期に生まれたお向かい同士の幼馴染だからこその糸電話という演出がとても良かったですね。
小さい頃には好きな子だからといじわるしてしまった時期もあったものの、夜でもお向かい同士でお話ができるようにと、幼き頃の彼女がつくってくれた糸電話だけは大切に持ち続けていて、高校生になってもそれを投げておしゃべりし続けているというのがなんとも甘酸っぱくて…。
現代では携帯電話・スマホという便利な機械ができているにも関わらず、高校生になった今でも糸電話という若干不便にも感じるアイテムを大切に持っていて、告白をするのならば2人の思い出の糸電話でと引っ張り出してくるのが幼馴染特有の演出という感じがして、甘酸っぱさと相まって青春を感じましたね。
ラストのたまこからの告白シーンでは新幹線のりばで物を投げるな、遊ぶなと思わなくもないですが、今しかないからこそ人目も気にせずに想いを伝えられるというのは、高校生を主役にして映画らしくて良かったと思います。
面白い青春ストーリー
恋愛をメインにしたストーリーではあるものの恋愛だけを描いているわけではなく、高校3年生らしい青春ストーリーもしっかりと描かれていたのが良かったです。
たまこラブストーリーというタイトルから、たまこという女性キャラを主役にした恋愛映画ということは分かっていたのですが、思っていたよりも恋愛だけをメインにした話にはなっておらず、部活動や進学などの青春要素がバランス良く盛り込まれていました。
学生から離れている自分にとっては懐かしいなと思う部分がありつつ、自分もこんな風に思い切り楽しんでみれば良かったなと羨ましく思う部分もあり、実に良い高校3年生らしい青春ストーリーだったと思います。
個人的にはたまこの所属するバトン部の活動に特に青春を感じましたね。
高校時代の思い出のために皆でお祭りに参加しようと苦手を克服するために練習して、練習では上手くいかなかったバトンキャッチも本番では上手く出来て、最後のバトン部の活動が上手くいって良かったと思うだけでなく、「良かったよ!」とキャラクターに言いたくなるような達成感がありました。
バトン演技中に流れる曲が『上を向いて歩こう』という渋いチョイスだったのもGOOD!
高校時代の青春として部活動が描かれている作品が好きなので、今作でもそういった要素が組み込まれていたのは個人的に嬉しかったです。
親友・みどりの好きな人がもち蔵…
恋愛映画に欠かせないライバルキャラクターが、たまこと同じバトン部の部長・みどりちゃんというのも良かったですね。
もち蔵を見つめてももち蔵の視線は常にたまこの方にあって、そしてそんな分かりやすいもち蔵の気持ちを分かっているからこそ告白することも出来なくて、本人の口からたまこが好きだ、告白するつもりだと聞くと落ち込んで…主人公たちに負けず劣らずの青春を感じました。
しかしそんなみどりの気持ちにたまこは気付いていなくて、もち蔵の告白に悩んでいることを相談してきても自分の気持ちを打ち明けることはなく、たまこに幸せになってほしいという願いを優先しているのが良かったです。
そしてラスト。もち蔵が東京に転校するとたまこに言った時はすぐに嘘だと気付いたのですが、それすらもたまこのためを想って、たまこが自分の気持ちを素直に言えるようにと想っての嘘というのには驚きましたね。
個人的には嘘をついてたまこを学校から遠ざけて、その隙にもち蔵に自分の気持ちを伝えると想っていたのですが良い意味で期待を裏切られて、みどりちゃんが負い目を感じることなく良いキャラで終わる幸せなエンディングで良かったと思います。
告白出来なかったという意味ではバッドエンドなのかもしれませんが、自分の意志で恋よりも友情を選択した優しいハッピーエンドという感じでしたね。
恥ずかしくなるくらい甘酸っぱい恋愛ストーリー
大人には恥ずかしくなる青春恋愛アニメとして人気の映画『カントリーロード』と近いものを感じ、観ていてこちらが恥ずかしくなるような甘酸っぱい青春恋愛ストーリーになっていました。
進学を機に地元を離れるから幼馴染に想いを伝えなければと思いながらも、小さい頃からの長い付き合いだからこそなかなか言い出せなくて、大切だからこそ壊さないようにと慎重で…なんとも純粋で美しい恋模様だったと思います。
そしててっきりエンディングで告白すると思っていたのですが、映画序盤で告白は済ませてしまうのが印象的でした。
告白までをただモヤモヤと過ごすだけで映画が終わるのではなく、告白したからこその悩み、思ってもいなかった幼馴染の告白にアタフタと悩むたまこ…今まで仲良かったのにどう接すれば良いのかも分からなくなるという姿がメインだったのが新鮮でしたね。
とにかく新鮮で甘酸っぱい青春恋愛映画がお好きな方、告白からの展開がある映画がお好きな方におすすめな映画です。
そして今作はたまこがメインではあるものの、もち蔵の告白への悩みなども描かれていたので男性も共感しやすい映画だと思います。恋愛映画がお好きな男性もぜひチェックしてみてください!
たまこの父・豆大が良い!
高校生の主人公たちをメインにした映画ではあるものの、個人的に1番好きなキャラクターはたまこの父・豆大でした。
娘に気がある様子のもち蔵に対してちょっとした敵意がありつつも、2人の異様な雰囲気を察してか何かアクションを起こすこともできず。気難しいんだけど父の救急搬送では心配して弱弱しくなったりするような、意外と繊細なところもあるおじさんというのが良かったですね。
娘に対しても職人気質なために分かりやすく優しい言葉をかけたり、悩みを直接聞いたりすることはありませんが、それでも娘の様子がおかしいことにはしっかりと気付き、不器用ながらにちゃんと娘を気遣ってくれるような良い父親キャラだったと思います。
声優さんがアニメ『クレヨンしんちゃん』シリーズのひろし役・藤原啓治さんというのがまた良くて、ひろしのようなギャグっぽいキャラもよく似合うのですが、今作のような職人気質の気難しそうなキャラというのも良い味を出していて…お父さんへの思い入れがさらに深まるようなステキな声でした。
そして、たまこ父とたまこ母・ひなこの恋もなかなかに甘酸っぱかったですね。
手作りの曲をカセットに収録してプレゼントして、そのお返事として裏面に自分も歌を入れるというのが今は懐かしいカセットならではで、たまこたちの糸電話と似た懐かしさと甘酸っぱさがありました。
ひなこは既に亡くなっているようなのですが、たまこ父がまだ奥さんを愛している様子が伺えたので、何とも安心してしまったというか恋愛が美しい愛情になっている感じがして良かったです。
もち蔵の両親も良い夫婦だな
たまこ父ほどではありませんが、もち蔵の両親も良いキャラクターでしたね。
もち蔵の東京進学には反対している父親ですが恋愛面に関しては2人ともかなり協力的で、様子のおかしい2人がゆっくりと話せるようにと気を回して、恋愛に反対派のたまこ父を引きずりつつたまこの妹を連れて病院を後にしたり。
母親は改めて自分から告白しようとするたまこのために、こっそりもち蔵の大切な糸電話を持ち出してくれたり、2人の恋愛に対して口出すことはないけど良いアシストをしてくれるような、大人の余裕のある良い夫婦だったと思います。
そしてもち蔵の進路に反対している父親も、大切な息子が1人で東京に行ってしまう事に拗ねているだけで、基本的には明るく人の良いお茶目なおっちゃんという感じがしましたね。
お茶目な父親と冷静な母親という2人の取り合わせがちょうど良くて、恋に悩むもち蔵とたまこをアシストするキャラとしてピッタリだったと思います。
高校生を支える大人チームが良い
恋に悩む2人の周りを固める人物として、両親だけでなく先生・商店街の人々も良いキャラクターをしていました。
先生はかなりちょい役というか、ストーリーの中で登場するシーン・セリフ自体とても少ないキャラなのですが、個人的にはもっと出て欲しかったなと思う魅力的なキャラでしたね。
「インフルエンザが流行っているようなので気を付けるように」と言いながら、「ちなみにうちの奥さんは毎日毎日、朝昼晩と欠かさずうがいをしているのでとっても元気です!おかげで僕も毎日美味しいごはんを食べられてとても幸せです!」とちゃっかりのろけまでしているのが面白くて、奥さん大好きな先生の話をもっと聞きたいなと思ってしまいました。
そして、商店街にもステキな夫婦が多かったですね。
休日には映画に行こうかとデートの予定を立てるお魚屋さんの夫婦。
休憩をもらって旦那に投げキッスをするお肉屋さんの夫婦。
恋に悩むたまこの憧れとなるような奥様を大事にする旦那、旦那大好きな奥様、2人で支え合って店を切り盛りしている夫婦というのが、何とも恋愛に対して前向きになれるような良いきっかけとなるような夫婦ばかりでした。
個人的には雰囲気の変わった2人にピーンっときて、コロッケをもう1つくれたおばちゃんが特に好きでしたね。
恋に悩む2人を支えるキャラクターとして良かっただけでなく、学校帰りにはかならずお帰りと声を欠けてくれるような昔ながらの商店街というのが、アットホームな雰囲気を感じるというか、商店街全体で家族という感じに安心感があって良かったなと思います。
映画「たまこラブストーリー」の解説
今作は『たまこまーけっと』というアニメ作品の続編映画ということで、アニメを観ていなくても話が分かるだろうか?と不安な方が多いようですね。
今回はそんな方向けにアニメを全く知らないけど今作を観た私が、映画だけでも話が理解できるのかについて詳しく解説していきます。あくまでも個人的な解説ですが、参考程度に見て頂けると幸いです!
アニメを見てない人でもOK!映画だけでも大丈夫
個人的にはアニメを観ていなくても十分に楽しめる映画でした!
アニメの方が何をメインにしている作品なのかは分かりませんが、今作はあくまでもたまこともち蔵という2人の高校生の恋愛をメインにした映画なので、アニメの情報がなくても大体のことは理解できますし、少し分からない部分があったとしてもストーリー的には特に問題はありませんでしたね。
映画だけでは分からなかった・気になったのは3点。
最初に登場するトリが何なんだろう…。
トリと一緒にいる異国の王子たちは何なんだろう…。
花屋の店主さんはお姉さん・お兄さんどっちなのだろうか…。
気にはなるもののメインキャラというわけではないですし、ストーリー上は特に問題ない点なので映画を観る上では支障ありません。
どうしても気になる方は、ぜひアニメ作品の方をチェックしてみてください!
青春・恋愛映画がお好きな方におすすめ!
映画『カントリーロード』を彷彿とさせるような甘酸っぱい青春・恋愛をテーマにした映画で、こちらが照れてしまうような恥ずかしさがありながらも、ついつい見守りたくなるような魅力的な作品になっていました。
普段は恋愛映画を観ないという大人の方、男性の方にもおすすめな映画なので興味のある方はぜひチェックしてみてください!