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映画『SCOOP!』ネタバレ感想・解説・考察!福山雅治の汚れ役が新鮮!1人のカメラマンの生き様を描く

【解説】静という1人のカメラマンの物語と生き様

『SCOOP!(スクープ)』は2016年に公開された日本映画です。監督は『バクマン。』や『モテキ』でメガホンをとった大根仁さんが担当しています。

本作は福山雅治が普段とは想像がつかないような、ちょっと汚れているような役を担当していることで話題になりました。

そんな映画『SCOOP!』ですが、この記事では本作の個人的な感想や解説を書いていきます。ネタバレを含む内容となっていますので、映画を未視聴である方はご注意下さい。

目次

映画「SCOOP!」を見て学んだこと・感じたこと

・福山雅治の汚れ役が新鮮すぎる
・どんな仕事にも何かしらの想いがある
・1人のカメラマンの生き様が強烈に印象に残る

映画「SCOOP!」の作品情報

公開日2016年10月1日
監督大根仁
脚本大根仁
出演者都城静(福山雅治)
行川野火(二階堂ふみ)
チャラ源(リリー・フランキー)
横川定子(吉田羊)

映画「SCOOP!」のあらすじ・内容

映画「SCOOP!」のあらすじ・内容(C)2016「SCOOP!」製作委員会

昔は伝説的なスクープを撮っていた、凄腕のカメラマンである都城静。彼はあることがきっかけで、今では芸能人のスキャンダルを追いかける中年パパラッチとして毎日走り回っている日々を送っていました。

そんな静はひょんなことから、若い新人女性記者である行川野火とコンビを組むことになります。最初は最低の仕事とぼやいていた野火でしたが、静と一緒に行動するにつれ、仕事に夢中になっていきました。

やがて、静と野火は日本中が注目している凶悪事件の記事を扱うことになりますが…。

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映画「SCOOP!」のネタバレ感想

【解説】静という1人のカメラマンの物語と生き様

【解説】静という1人のカメラマンの物語と生き様(C)2016「SCOOP!」製作委員会

映画『SCOOP!』で描いていているのは、カメラマン静という1人の男の生き様でしょう。彼の最期は誰もが強烈に印象に残ったはずです。ここでは、そんな静という人物について解説したいと思います。

静という男はロバート・キャパという伝説のカメラマンの写真から、カメラマンを志した男です。しかし、かつての情熱はどこにいったのか、今では芸能人のスキャンダルを追い回し、下品な記事の写真を取り続ける日々を送っています。

そんな日々を繰り返している内に、静はかつて自分がカメラを手にした時の気持ちなどすでに忘れてるようでした。実際に映画を見ていても、すごいカメラマンであることはわかりますが、立派な人とは思えませんでしたよね。

そんな静が最後にかつて自分が手にしていたカメラを手にして、狂ったチャラの元へ向かい、野火が写真を撮って死んでしまいます。静は確かに、かつての情熱を思い出せなくなっていましたが、それでもカメラだけは手を離すことができずに死ぬまで手に持ち続けました。

思い入れのある古いカメラを持ち続けていたのは、忘れていても彼の心の原点でもあるからだと思います。そして、静にとって思い出深く、静の原点であるカメラは野火へと受け継がれました。

 

このような人生を送った静という男は一体なんだったのか。それは終盤の定子のセリフが一番よく静という男をよく言い表していると思います。そのセリフのシーンは、定子が静の死んだ瞬間の写真を記事に使おうとした時、「撮ることしか出来なかった男の尊厳はどうなるの!」と編集長と言い争いになったところです。静はカメラを撮ることしかできない人間であったことが、上記の定子の発言でほのめかされていると思います。

静は最期に野火に「撮れ」とだけ語りかけているシーンがありました。静には自分がカメラマンである理由も、何故カメラマンを続けているのかもわかりません。静のセリフで「自分は何者にもなれなかったから」という発言があったことを考えると、カメラマンの仕事を続けることに、強い動機などは静の中にはなくなっていたと思います。

しかし、彼はカメラを手放すことはなくカメラで撮り続けました。このことから、きっと静はカメラで撮り続けることが、彼の生き様だったのではないかと思います。そう考えると、上記の定子のセリフも納得がいきます。

 

そして、そんな静から野火は一体何を受け継いだのでしょうか。人によって色々と意見が別れるところであるとは思いますが、個人的に静が遺したものはかつての夢や情熱などではないと思います。

静はすでにカメラを手に取っていたかつての情熱を思い出せません。しかし、それでも静はカメラを手放せませんでした。これは、ある意味静の本能とも言えると思います。静がカメラを手に取ることに理屈はなく、静はただカメラを撮ること以外には何もなかったのです。でないと、スキャンダルや低俗なネタを追いかけ回しながらもカメラを離さなかった理由がありません。

静にとって、カメラを撮ることは自分の全てであったのだと思います。彼はカメラを撮ることで全てを語る。それが静という1人のカメラマンの生き様というものだったのです。

その生き方は恐らく野火に引き継がれていると思います。野火が静の原点のカメラを受け取り、ラストシーンでまた夜の街でスクープを追いかけているのはそういう意味でしょう。野火も静が特別な何かを受け取ったわけではなく、ただ撮り続けることを決心したのだと思います。今後、野火がどのような仕事をしていくのかはわかりませんが、静の魂は確かに野火に根付いたのです。

【解説】静とチャラ源の裏設定について

【解説】静とチャラ源の裏設定について(C)2016「SCOOP!」製作委員会

本編の『SCOOP!』では、明確に静とチャラの関係について描写されたシーンはありませんでしたよね。作中でも静はチャラには大きな借りがあるというセリフもありました。加えて、定子は静の人生をチャラが狂わせたとも発言しています。しかし、作中では静とチャラの関係、その過去までは描かれていません。実は静とチャラの関係には裏設定があります。この裏設定はなんと雑誌で掲載されたのです。

簡単に静とチャラの過去と関係を解説すると、静とチャラは元々スクープを撮るためにコンビを組んでいた仲です。ちなみに、チャラは元ボクサーでしたが、ボクサーを引退した後は、裏社会の情報屋を営むことになります。静はボクサー時代のチャラのファンであり、スクープの仕事を通じて情報屋のチャラと知り合うことになりました。

静とチャラのコンビは抜群で、2人は次々と大きなスクープをモノにしていきます。しかし、チャラが大物政治家のスキャンダルをネタにしようとした際に、とある違法行為を働いてしまいました。そのことから、チャラは刑務所に入ることになりますが、一緒に行動していた静のことをチャラは黙秘します。

 

つまり、チャラが静のことを庇って、1人で罪を背負ったということ。これが静とチャラの関係と過去です。

元プロボクサーなら、チャラがあんな簡単に不良達をやっつけてしまったシーンも納得がいきますし、定子が静にチャラとの関係を断ち切ってほしいと言っていたことにも頷けます。そして、静にとってはチャラは一線を超えた行為をしてしまったと言っても、恩人でありながら、ファンであったことに変わりはありません。静がいかにチャラに対して、複雑な気持ちを抱いていたがわかりますよね。

本編で何故このような静とチャラの過去と関係が描写されなかったのかはわかりませんが、これらのことを知った上で本編をもう一度鑑賞すると、最初鑑賞した時には納得がいかなかったことも納得ができるかもしれませんね。

本編で公開できなかった設定を、後日に雑誌でまるでスクープのように扱うのは、あまり他の映画ではみられないことだと思います。ある意味粋な計らいとも言えなくもないですが、個人的にはやはり本編で少しくらいは静とチャラの関係について、描写が欲しかったかなと感じました。

【解説】福山雅治を始めとする役者・キャストの意外性

【解説】福山雅治を始めとする役者・キャストの意外性(C)2016「SCOOP!」製作委員会

『SCOOP!』の見どころの1つと言えば、何と言っても福山雅治の意外な役にあります。福山雅治と言えば知っての通り、シンガーソングライターなど様々な方面で活躍されている人気俳優です。ヴィジュアルも良いので、女性の方にも人があります。

そんな福山さんが、本作のようなゲスい役を演じられるは今までになかったことです。ほとんどがヴィジュアル的に良いものが多かったと思います。そんな福山さんが、本作ではあまりにも型破りである汚れ役を福山さんが演じていたことに、驚かれた方も少なくないのではないでしょうか。

 

個人的にはまず冒頭のシーンで驚きました。いきなり女性の喘ぎ声から始まり、福山さんが車の中で性行為をしているシーンは、演技とはいえかなり衝撃的だったのではないでしょうか。普段の福山さんの役からは想像もつきませんよね。映画の事前情報を全く頭に入れてなかったら、これだけでも驚きであったはずです。さらには冒頭だけではなく、セクハラ発言などでそのゲスい役っぷりは存分に発揮されていました。

個人的にこういう福山さんのゲスい役も刺激的で面白いなと思っていますが、福山さんのファンの方やきれいな役の福山さんが好きな方にとっては、本作を鑑賞していてきついと感じるところもあったのではないでしょうか。

しかし、そういう福山さんの普段見られない役を見ることができるのも、本作の魅力の一つであることは間違いないと思います。

 

他にはリリー・フランキーさんの怪演も注目です。リリー・フランキーさんも様々な役をこなされていますが、本作のチャラ役はその中でも強烈なものだったのではないでしょうか。

リリー・フランキーが演じるチャラというキャラは、最初は気の抜けたおっさんみたいな人物でしたが、終盤にかけて一気にネジが外れたキャラに変貌しました。その狂気の演技は、終盤あたりなど特に、主演の福山さんを食っちゃているかのようなほど強烈に感じます。

様々な役をこなしているベテラン俳優、リリー・フランキーさんだからこそできた凄まじい演技です。

このように『SCOOP!』は福山さんやリリー・フランキーさんなどの、役者の演技が意外性に富んでて非常に面白いと思います。人によっては、見てられない幻滅するなどあるかもしれませんが、そこも含めて魅力的だと個人的には感じました。

もう二度と福山さんがこのような役はやられないかもしれないので、しっかりと目に焼き付けておきたいですね。

【解説】映画の構成がよく練られていて、鑑賞してて飽きない

【解説】映画の構成がよく練られていて、鑑賞してて飽きない(C)2016「SCOOP!」製作委員会

『SCOOP!』を鑑賞していて個人的に思ったことが、構成が非常に良く計算されていて、観客が飽きないような作りになっていることです。

序盤では福山さんの普段では考えられないような下品でゲスな発言を楽しみつつ、政治家のスキャンダルからカーチェイスというエンタメに富んだかのような内容でした。

ここまでは楽しい映画なのですが、中盤あたりから話は登場人物の心情も含めて、シリアスなものになっていきます。野火が仕事を通じて悩み成長していくところや静の心情。そして、静達がでかい事件を扱うことで、話が盛り上がるという王道な内容でもあると感じました。最後はリリー・フランキーが演じるチャラの暴走から、静の死までの緊迫感と余韻が残るラストで盛り上がりをみせます。

 

以上のことを踏まえると、構成ごとに作品の雰囲気がガラリと変わることが分かると思います。そして、構成ごとに雰囲気が変わっても決して違和感なく話が続いていくというのも、また映画の構造がうまいと思わせられた要因です。

序盤のハチャメチャな展開でエンタメ性を意識しつつも、中盤からキャラクターを掘り下げていき、最後に一気に盛り上げる。各構成ごとにメリハリがはっきりしていて、テイストがそれぞれ違う構成が組み合っても、ほとんど違和感なく映画が展開されていたと思いました。それに加えて登場するキャラクター達も、構成ごとにしっかりと心情が変わっていっていることも丁寧に描かれています。

例えば、野火のセリフです。序盤の野火は静と一緒に仕事をして、「この仕事最低ですね」と本当に嫌そうな顔で喋っていますが、中盤の殺人犯の顔をカメラで撮ろうとしている時は、笑いながら「最低ですね」と静に向かって言っています。

これは最初は軽蔑していた静とスキャンダルの仕事を、野火が快く受け入れていることがわかりますよね。野火の心の変化がはっきりと表れているシーンです。このように、キャラクターの心情描写も、本作はしっかりと丁寧に描かれていると思います。

 

また、日常的なシーンもリアルさを深めていて映画に入り込みやすい要因です。スキャンダルという仕事のゲスさも日常的なように描き、実際にあるロバート・キャパの写真を使用するというところも、作品にリアルさを与えていると思います。こう言った部分も、映画を退屈に感じさせない工夫なのではないでしょうか。

『SCOOP!』は構成からリアルな描写まで非常によく考えられているので、もう一度鑑賞する際は、映画の構成やリアルさを演出する細かなアイテムや背景なども気をつけてみると、作品の面白さが増すかもしれませんね。

【考察】『SCOOP!』とジャーナリズムについて

【考察】『SCOOP!』とジャーナリズムについて(C)2016「SCOOP!」製作委員会

映画『SCOOP!』ではジャーナリズムについても触れられるシーンがあります。個人的にではありますが、ジャーナリズムを本作で語るのは非常にナンセンスなことです。

まず、本作で野火がジャーナリズムについて編集長たちと言い争うシーンがありました。そこで野火は、ジャーナリズムが何なのか分からないと言っています。売上を守る編集長も定子だってジャーナリズムが何かを語れるとは思いません。二人がジャーナリズムについてどうあるべきかなんてほとんど語っていないですし、二人の興味がそこにあるとも言えないはずです。

 

そして、自分が死ぬことによってレジェンドカメラマンとなってしまった静も、ジャーナリズムが何なのかなどといった問いに対して、明確な答えをもっているわけではありません。つまり、作中ではジャーナリズムを強く意識しているような登場人物など、主人公や野火を含めて誰もいないのです。

静が死んでしまい、残ったカメラを手にとっていつも通りに夜の街にスクープを求めて駆け出していく野火とその後輩の姿は、どこか静の面影を感じさせます。そこにジャーナリズムが何なのかなどという話題は入り込まないと思いますし、個人的には無粋とも感じました。

なので「SCOOP!」という映画ではジャーナリズムについて語るようなことは特にありません。本作は、カメラで撮ることしか存在意義を見いだせないような1人のカメラマンの話なのです。

おそらく静の死後でも野火がジャーナリズムは何なのか?どうであるべきか?などと問うても何も答えないでしょう。野火が静から受け継いだものは、どんなことであろうが、カメラで撮り続けることをやめない、という静の生き方なのですから。

以上のことから、『SCOOP!』という映画ではジャーナリズムは語るようなことではないと思います。仮にそのようなものがあるとしたら、それこそまさに「撮り続けること」が答えなのではないでしょうか。

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