映画「シュガーラッシュ:オンライン」はゲームの中の世界を描くディズニー映画で、2012年に公開された「シュガー・ラッシュ」の続編です。
「シュガーラッシュ:オンライン」にはソニックや「ストリートファイター」のリュウ、春麗、ザンギエフなども登場します。また、白雪姫やシンデレラ、エルサなど、ディズニープリンセスが集結して登場するシーンもあるので、ディズニー好きにはたまらない映画になっています!
今回は人気映画の2作目「シュガーラッシュ:オンライン」の個人的な感想や解説を書いていきます。若干のネタバレも含むので注意してください。
目次
映画「シュガーラッシュ:オンライン」をみて学んだこと・感じたこと
・現状維持、チャレンジをする2つの人生
・親友であっても別の人生
・ネットの描き方が上手い!他のディズニーキャラも多く登場
映画「シュガーラッシュ:オンライン」の作品情報
公開日 | 2018年12月 |
監督 | リッチ・ムーア フィル・ジョンストン |
出演者 | レック・イット・ラルフ(ジョン・C・ライリー/山寺宏一) ヴァネロペ・フォン・シュウィーツ(サラ・シルバーマン/諸星すみれ) シャンク(ガル・ガドット/菜々緒) イエス(タラジ・P・ヘンソン/浅野まゆみ) |
映画「シュガーラッシュ:オンライン」のあらすじ・内容
「フィックス・イット・フェリックス」の主人公であるラルフは、レースゲームの主人公で友達のヴァネロペが、同じコースばかり走ることに飽きていることを知ります。
ヴァネロペのために新しいコースを作りますが、そのせいでゲーム機のハンドルが壊れてしまい、ゲームが廃棄処分されてしまいます。
そんな中、ネットオークションでシュガーラッシュのハンドルが販売されていることをしったラルフたちは、ゲームセンターに設置されたばかりのWiFiを使ってネットの世界に入り込み、ハンドルを手に入れようとします。
しかし、ネットの世界を知ったヴァネロペと、今までの世界で十分満足しているラルフの間に溝ができ始めます。
映画「シュガラーラッシュ:オンライン」のネタバレ感想
この映画の伝えたいこととは?現状維持か新しいことへの挑戦か
ディズニー映画はアニメ映画ではありますが、映画の中に現実とも繋がるテーマや伝えたいことがあると感じています。「シュガーラッシュ:オンライン」に伝えたいテーマがあるとすれば「現状維持と新しい事への挑戦」「親友でも好きなもの目指すものは異なる」ということでした。
ラルフはいつもと同じ日常を送ることに不満をもっておらず、ヴァネロペは変わらない日々の生活に飽き飽きしています。そんなところにWiFiが設置され、ネットの世界に飛び込んだヴァネロペは自分の住む世界を見つけたわけです。
新しい事や物に触れることは不安で、現実世界に住む私たちも未知への恐怖や、チャレンジすることに対して不安を感じることは多いと思います。この映画はそれが見事に描かれているんですよね。
そして、「新しい事への挑戦」を描く映画にありがちなのが「現状維持が悪い事(愚かな事)」として描かれることです。現実世界に当てはめて考えてみると、携帯をスマートフォンに変えていない人が「まだガラケー使ってんの?」と言われてしまうようなあれです。
しかし、「シュガーラッシュ:オンライン」では新しい未知の世界にチャレンジする事の素晴らしさを伝えながらも、平凡な毎日を送る現状維持の暮らしを否定することはしていないんですよね。「みんな違ってみんな良い」という多様性を認めるような、いかにもディズニーらしい作品だなと思いました。
ちなみに「シュガーラッシュ:オンライン」の原題は「Ralph Breaks the Internet(ラルフがインターネットを壊す)」というそのままのタイトルです。
親友でも好きなものは異なる。引き止めてはいけない
元のゲームセンターの生活に戻りたいと思うラルフと、ネットゲームの「スローターレース」の世界にとどまりたいと思うヴァネロペですが、ラルフはゲームセンターの世界でヴァネロペたちと楽しく暮らすことが幸せだと感じています。
なのでラルフは、長い間一緒に同じ世界で暮らしていた親友のヴァネロペも、当然ゲームセンターの世界に戻りたいはずと思っています。しかし、親友といっても感じていること、思っていることが異なるのは当然で、ヴァネロペはスローターレースの世界にとどまりたいということをシャンクに打ち明け、それをラルフは聞いてしまいます。
自分が幸せだと思うことは、ヴァネロペの幸せでもあると思っていたラルフにとって、それは信じ難いことでした。そしてラルフはスローターレースの世界にウィルスをバラマキ、ゲームをフリーズさせようとするわけです。
この時のラルフの気持ちって理解できなくもないんですよね。ヴァネロペとは長い間生活を共にしてきたわけで、お互いにそれなりの信頼関係があります。その信頼関係から、相手の気持ちを分かったつもりになってしまいますが、もちろん相手の心の内なんて実際にはわからないんですよね。
「スローターレースの世界にいたい」という言葉を聞いたラルフはウィルスをばら撒こうとしますが、ラルフの中にヴァネロペを傷つけようとする意図は全くないように感じました。この言葉を聞いてとにかくショックを受け、ヴァネロペがそう考えるのは何かの間違いだと思って行動しているように見えます。
ヴァネロペが「スローターレースの世界にいたい」と言って親友ができることがあるとすれば、引き止めはせずに「頑張れよ」と応援するしかないですよね。しかし、離れ離れになってしまうことを考えれば、引き止めずに受け入れ、応援することが難しい事だというのがわかります。
最終的にはヴァネロペの考え、人生の選択を認めたラルフ
最終的にラルフはヴァネロペの考えを尊重し、別の道に進むことを決めます。
ゲームセンターとネットの世界で別々に暮らす二人ですが、二人の今までの思い出は消えることなく、別々に暮らしたからって親友でなくなるわけではないのです。別の世界で暮らしたくらいで不仲になる関係であれば、親友なんて言えないですしね。
ただ、ゲームセンターの世界で一人になってしまったラルフは、ゲームセンターに暮らすキャラクターたちと楽しく交流していますが、少し寂しげでした。もしかすると、いつかラルフもネットの世界に自分の居場所を見つける時が来るのかもしれません。それもまた人生ですからね。
「シュガーラッシュ:オンライン」で好きなシーンはいくつもあるのですが、個人的に一番好きなのが別れの時にヴァネロペとラルフがハグをするシーンでした。あのシーンが感動するんですよね。
一度割れてしまったヴァネロペのメダルでしたが、ラルフがペンダントにして渡します。そして、二人がハグをした時に割れたハート型のペンダントがくっつき「私のヒーロー」の文字が繋がるシーンは本当に名シーンでした。一度離れた友情関係が、再びくっつく様なこの映画の印象的なシーンで良かったです。
ネットの世界の描き方が上手!Google、ebay、Pinterestなど
シュガーラッシュ:オンラインはネットの世界を描いているので、GoogleやYouTube、ebay、Pinterestなど実在している企業やサービスが多く登場しています。
GoogleやYouTubeは日本でも馴染み深いですが、ebay(イーベイ)についてはあまり聞きなれないですよね。ebayはアメリカの企業で、日本でいうところのヤフオクやメルカリの様なものです。世界で1.6億人以上が利用しているので、アメリカ国内ではGoogleやYouTubeくらい知名度の高いサービスです。
また、ラルフが増殖した大きなラルフウィルスと戦うシーンがありますが、Pinterestの会社に吹っ飛ばされたラルフが近くにあった画びょうを振り回して戦います。Pinterestも実在する写真共有サービスで、お気に入りの写真にピンを刺して保存することができます。
他にも、青い鳥が呟いているシーンはTwitterを連想させますし、ネット企業やサービスが細かく描かれていたので、子供だけでなく大人も楽しむことがでる映画でした。
個人的に好きだったのが、ポップアップ広告主のスパムリーが通り過ぎる人に広告を見せているシーンです。しつこいくらいに広告を宣伝するスパムリーですが、ウェブサイトを見ているとしつこいくらいに表示されるネット広告がありますよね。あれが上手く描かれているシーンでした。
中にはポップアップブロックを入れている人もいて、フフっと笑えるシーン満載で良かったです。
10年、20年後にシュガーラッシュ:オンラインを観たらどう思うだろう
スティーブン・スピルバーグ監督の映画「レディ・プレイヤー1」は未来のVR世界を描いているので、10年、20年後にこの映画を観たとしてもあまり古臭さを感じないと思うんですよね。
「シュガーラッシュ:オンライン」はどうだろう?と考えた時に、GoogleやYouTubeという「現在(2018年)のネットの世界」を描いているので、10年後、20年後にYouTubeやPinterestが存在しているのかというと「あんなサービスもあったよね」という程度になっている気がします。
バズチューブに動画をあげてお金を稼いだり、イイネを貰って喜ぶ姿は正に今のネットを描いているなぁと感じました。
ディズニーの「シンデレラ」は1950年に制作された作品ですが、童話のシンデレラは今観ても十分楽しめますよね。そういった意味でも「シュガーラッシュ:オンライン」を10年後、20年後の子供達は楽しめるのかどうかが気になるところではあります。
ディズニープリンセスが多く登場!他のディズニーキャラも
1人でも主役をはれるキャラが多く登場する映画「アベンジャーズ」が私はめちゃくちゃ好きなのですが、「シュガーラッシュ:オンライン」にはディズニープリンセスがかなり多く登場します。
確認できただけでも白雪姫やシンデレラ、エルサ、アナ、アリエル、ベル、ジャスミン、メリダ、ラプンツェル、モアナなどが登場していましたね。エンドロールで声を確認してみると、松たか子や中川翔子など吹き替え声優の名前もしっかりと表示されていました。
ディズニープリンセスがラルフを救うシーンは、アリエルが水を使ったり、エルサが氷を使ったりと、それぞれが特徴のある技を使用して救います。このシーンはそのキャラの音楽が流れていたりと、細かいところも作り込まれていました。
また、他のディズニーキャラも多く登場していて、バズやベイマックス、イーヨー、ニックもいましたね。MARVEL作品からはアイアンマンやグルートも登場していて「おぉ!このキャラも!」と何度もなりました。スターウォーズからはC-3POも出演していましたしね。
こういった小ネタを探すのも「シュガーラッシュ:オンライン」を観る上で面白いところなので、細かいシーンも集中してチェックしてみるのもいいですね。
あなたはラルフ、ヴァネロペどちらのタイプ?
現状維持のラルフとチャンレジすることが好きなヴァネロペですが、あなたはどちらのタイプでしょうか?
どちらのタイプにも良さがあり、悪い点があります。例えば、現状維持でいることは何の問題はありませんが、親友のヴァネロペがチャンレンジをする時にラルフはそれを阻止しようとしました。これは現状維持タイプかどうかではなく、ラルフの性格的なものが原因ではありますけどね。
一方、新しいことにチャレンジすること自体は問題はありませんが、ネットの世界で生きることを決めたのであれば、長い間生活を共にしてきたラルフに対して、一言伝えるべきだったと思います。ここはヴァネロペの悪い点ですね。
それぞれが自分の想い、自分の好きなことを伝えておけば争う必要はなかったと思いますが、結果的に二人の絆が修復されてよかったなぁと感じる作品でした。