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『カイジ ファイナルゲーム』ネタバレ感想・解説・考察!高倉のゴールドジャンケンどうした…

映画「カイジ ファイナルゲーム」のあらすじ・内容

映画「カイジ ファイナルゲーム」は2009年に公開された1作目「カイジ 人生逆転ゲーム」、2011年に公開された「カイジ2 人生奪回ゲーム」の続編となり、9年越しの新作になります。

カイジの見所といえばクズ達によるハラハラするゲームの数々ですが、今作はゲームの数は多かったものの、1作目にあったようなEカードや鉄骨渡りのような心理戦やハラハラ感は少なく、個人的には残念な印象を受けました。

ただ、2020年の東京オリンピック後の日本を描くリアリティさ、俳優陣の演技力の高さなどいい部分も多くありました。今回は「カイジ ファイナルゲーム」のネタバレを含む感想や解説、考察を書いていきます。

目次

映画「カイジ ファイナルゲーム」を観て学んだこと・感じたこと

・東京オリンピック後に衰退していく日本はリアル
・ハラハラ感のあるゲームは少なめ
・俳優陣の演技力が高く、舞台を見ているようだった

映画「カイジ ファイナルゲーム」の作品情報

公開日2020年1月10日
監督佐藤東弥
脚本福本伸行
徳永友一
原作福本伸行
出演者伊藤開司(藤原竜也)
高倉浩介(福士蒼汰)
桐野加奈子(関水渚)
廣瀬湊(新田真剣佑)
黒崎義裕(吉田鋼太郎)

映画「カイジ ファイナルゲーム」のあらすじ・内容

映画「カイジ ファイナルゲーム」のあらすじ・内容

2020年、東京オリンピック後の日本の景気は悪化。失業率が高くなり、日本国内ではハイパーインフレが起きてしまい、ビール一杯が1,000円を超えるなど衰退の一途を辿っていました。

そして、日本政府は衰退した日本を立て直すため、国民が銀行に預けているお金を「預金封鎖」し、日本の1000兆円以上ある借金にあてて新規通貨を発行しようとしていました。

一部の政治家や権力者は事前にその情報を知っていて、預金封鎖を逃れようとしていましたが、カイジはそれを止めるため大きな戦いに巻き込まれていきます。

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映画「カイジ ファイナルゲーム」ネタバレ感想

2020年東京オリンピック後の日本の姿はリアル

2020年東京オリンピック後の日本の姿はリアル

今作では2020年の東京オリンピック後の日本が描かれていますが、あそこまでのハイパーインフレにはならなくても、景気が悪くなってしまう日本の姿には妙なリアリティがありました。

現在の日本は少子高齢化が進んでいますし、2020年現在、女性の50%は50歳以上であると言われているので少子化はこれからも続くことが予想されます。

カイジに登場する命をかけたゲームや地下労働施設といった設定と比べてみると、今作は現実にも通じる部分があるなと感じました。

カイジって全然クズじゃないよね

カイジって全然クズじゃないよね

カイジと言えば「クズ」という印象があるのですが、よくよく考えてみるとカイジはお金に縁がないだけで性格的には全くクズではないんですよね。原作を見ていないのでカイジがどんな人物か詳しくは分からないのですが、1,2作目の映画でも人を蹴落とすようなことはせず、仲間思いの面があります。

カイジの周りにクズが多いせいで、カイジもクズっぽい印象を受けてしまうのですが、本当は優しい人間なんですよね。

そして、今作では国が画策している預金封鎖から日本国民を救おうとするカイジが描かれていて、その姿はヒーローそのものでした。ただ、映画の1,2作目ではギャンブルに勝利したのにも関わらず、3作目でも一文無しのところはカイジらしかったです。

【解説】預金封鎖は実際にありえるのだろうか

【解説】預金封鎖は実際にありえるのだろうか

「カイジ ファイナルゲーム」の日本社会は国の借金が膨らみ、ハイパーインフレーションが進んでいました。それを止めるために銀行預金を預金封鎖して引き出せないようにし、国民の貯金を国の借金に当てて、そのあと新規通貨を発行するという陰謀がありました。

実際、本当にそんなことがあるのか?というと、アルゼンチンやウルグアイでは引き出し可能な金額の上限を下げるなど、預金封鎖的なことが行われたことがあるみたいですね。

では、日本で起きることはないんじゃ?と思うかもしれませんが、1997年には大蔵省の中で預金封鎖の検討が行われたという報道もあるので、ハイパーインフレーションが進むことがあれば、実際に日本国内で預金封鎖が行われることもあり得るのかもしれません。

 

映画のラストではカイジが高倉に勝利し、預金封鎖を止めることができました。

手段に問題はありますが高倉も高倉なりに日本を救おうとしていたので、結局カイジは預金封鎖を止めることができたものの、このハイパーインフレが進み失業率が高くなった日本社会をよくする手段は見つかっていません。

カイジは国民一人一人が自分で決断をしていくんだ的なことを言っていましたが、これからも何も変わらない日本社会であることを考えるとバッドエンドともとれますね。

【解説】ゲームの種類は多いがハラハラするものはなかった

【解説】ゲームの種類は多いがハラハラするものはなかった

今作では「バベルの塔」「最後の審判」「ドリームジャンプ」「ゴールドジャンケン」など多くのゲームが登場しますが、1作目にあった「鉄骨渡り」「Eカード」のようなハラハラする展開のゲームはありませんでした。

「バベルの塔」はただ棒に登り、頂上に置かれたパネルを入手するというゲーム性の無いものでしたし、本作で一番長く描かれていた「バベルの塔」は心理戦の要素は皆無で資金力で戦うゲームでした。

「ドリームジャンプ」に至っては腰にロープをつけた10人が高所から飛び降り、生き残った一人が賞金を貰えるというものでした。9/10の確率で死んでしまうゲームを誰がするんですかね…。劇中では一応、自殺願望のあるものがゲームに参加していましたが。

 

そして、心理戦要素が唯一含まれていたのが「ゴールドジャンケン」でした。ただ、「ゴールドジャンケン」については後で詳しく語りますが、腑に落ちない部分もあったので、純粋にゲームの面白さで言うなら1作目が個人的に好きでしたね。

カイジといえば心理戦ゲームが面白いという印象があるので、1作目のようなゲームを期待していた方にとっては残念な内容かもしれません。

坂崎(生瀬勝久)や遠藤(天海祐希)、班長(松尾スズキ)が再登場していたのは良かった

坂崎(生瀬勝久)や遠藤(天海祐希)、班長(松尾スズキ)が再登場していたのは良かった

過去作に登場した坂崎や遠藤、班長が今作でも登場していたのは個人的に嬉しかったです。

カイジのピンチを助ける坂崎、カイジに助言をするも最終的には金を全て持っていってしまう遠藤など、過去作と同じようなキャラクター設定で再登場していたのはとても良かったですね。

個人的には利根川(香川照之)だったり、議員をやっているので絶対に出ることはない船井(山本太郎)も出演することがあれば最高だったのですが、それはさすがにありませんでしたね。

【考察】ゴールドジャンケンでの高倉のアホさ…。ゴールドを握らずグーを出すこともあるでしょ

【考察】ゴールドジャンケンでの高倉のアホさ...。ゴールドを握らずグーを出すこともあるでしょ

本作で描かれた「ゴールドジャンケン」は互いに袋の中に3つのゴールドの玉を入れます。その中に手を入れ、ゴールドの玉を手に握るか握らないかを決めてじゃんけんをします。

じゃんけんは3回するのですが、そのうち最低1回はゴールドの玉を握ってじゃんけんをする必要があります。ゴールドの玉を握ってじゃんけんをするということは、必然的にグーしか出せないということになりますね。

そして、ゴールドの玉を握った状態でじゃんけんに勝利した場合は、このゴールドの玉を持ち帰ることができるというルールになっています。

預金封鎖をして新規通貨を持ち逃げしようとしている国会議員たちは倉庫内に閉じ込められていて、その解除キーをかけてカイジと高倉は戦うことになります。

 

カイジと高倉はこのゴールドジャンケンで勝負をするのですが、初手はカイジがグーを出し負けてしまいます。2戦目もカイジが負けてしまい、3戦目はカイジがゴールドを握らずグーを出して勝利をします。

今までゴールドジャンケンで負けたことがない高倉は心底驚いていました。高倉の勝利の秘訣は、ゴールドを手に持っているとゴールドの重さで肩が下がってしまうので、相手がゴールドを握っているか握っていないかが分かるというものでした。

これって通常のゴールドジャンケンであればわかりますよね。そりゃ誰だってじゃんけんで勝利してゴールドを持ち帰りたいですから。ただ、カイジの目的はゴールドではないので、ルールに従って1回目でゴールドを手に握ってグーをだしているわけですから、それ以降はゴールドを握ってじゃんけんをする必要がありません。

負けた高倉は「ゴールドを握らずグーを出すやつを初めて見た」的なことを言うんですね。「影の総理」とも言われている賢い高倉が、こんな程度の低い負け方をしてしまうのかと少し残念でしたね…。

伏線や展開が簡単に読めてしまう

伏線や展開が簡単に読めてしまう

映画を見ていて廣瀬が東郷の子供では?と思ったり、「ドリームジャンプ」で加奈子が下から番号を伝えるもうまく伝わらず、「キュー!」という口癖で正しい番号が伝わったりと、伏線や展開が少しわかり易かったですね。

加奈子とカイジが初めて対面した時もずっと「キュー!」と言っていたので、さすがにおかしいというか怪しすぎるというか…。

しかも、カイジが「ドリームジャンプ」で正しい答えを選んだ理由を一から説明するシーンがありました。そのシーンを見て「わざわざ説明しなくても視聴者は理解できてるよ!」と感じてしまいましたが、少し丁寧に描きすぎかなと感じてしまいましたね。

吉田鋼太郎や真剣佑の演技力は良かった

吉田鋼太郎や真剣佑の演技力は良かった

適役の吉田鋼太郎の憎らしい演技、真剣佑の執事の演技は良かったです。「最後の審判」では舞台のような演技で、映画「光のお父さん」を見たときにも感じたのですが、吉田鋼太郎って本当に演技が上手いですよね。

脚本に若干穴があったようにも感じましたが、出演者の演技力が高かったので演技で補ってる感がありました。

ツッコミどころが多いがこれもまたカイジ

ツッコミどころが多いがこれもまたカイジ

ツッコミどころの多かった3作目ですが、1作目の人がバンバン死んでしまう鉄骨渡りや地下労働施設、2作目のパチンコなど、カイジはシリーズを通してツッコミどころが多い作品なので、そういった部分も含めて楽しむことがカイジなのかもしれません。

ハラハラするゲーム展開や泥臭いカイジの姿は今作ではあまり見られませんでしたが、若干のリアリティと出演者の演技力の高さは必見の作品です!

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