映画「メリー・ポピンズ リターンズ」は、1964年に公開されたミュージカル映画「メリー・ポピンズ」の続編です。
「メリー・ポピンズ」はアカデミー賞で13部門にノミーネート、5部門で受賞という輝かしい功績を収めた名作でもあり、本作では54年ぶりとなる続編となっています。
主役のメリー・ポピンズを演じるのは、「プラダを着た悪魔」や「オール・ユー・ニード・イズ・キル」などにも出演しているイギリス人女優「エイミー・ブラント」が務めます。
今回は映画「メリー・ポピンズ リターンズ」の個人的な感想やネタバレ解説を書いていきます。
目次
映画「メリー・ポピンズ リターンズ」を観て学んだ事・感じた事
・大人の中にある子供の純粋な心を思い出させてくれる
・ファンタジーな世界観に心が踊る
・エイミー・ブラントが演じる美しく気品に溢れたメリー・ポピンズが魅力的
映画「メリー・ポピンズ リターンズ」の作品情報
公開日 | 2019年2月1日 |
監督 | ロブ・マーシャル |
脚本 | デヴィッド・マギー |
出演者 | メリー・ポピンズ(エイミー・ブラント) ジャック(リン=マニュエル・ミランダ) マイケル・バンクス(ベン・ウィショー) ジェーン・バンクス(エミリー・モーティマー) アナベル・バンクス(ピクシー・デイヴィーズ) ジョン・バンクス(ナサナエル・サレー) ジョージー・バンクス(ジョエル・ドーソン) |
映画「メリー・ポピンズ リターンズ」のあらすじ・内容

舞台は前作から25年後の大恐慌時代のロンドン。マイケルとジェーンは大人になり、マイケルは3人の子供を持つ父親となっていました。
ある日、銀行から我が家を差し押さえるという悲劇が舞い込んできます。
悲しみのあまり一家は明るさを失い絆も薄れていく中、彼らの喜びを取り戻すために再びメリー・ポピンズが姿を現します。
映画「メリー・ポピンズ リターンズ」のネタバレ感想

ファンタジーな世界観と、大人の中にもかすかに残っている純粋な心をくすぐってくれる本作。非常にたくさんの魅力に溢れている作品となっています。
原作の「メリー・ポピンズ」を知っているファンにはたまらない要素も散りばめられていますし、知らない人でも、エイミー・ブラント演じる新しくも変わらないメリー・ポピンズに魅了される事でしょう。
大人も子供も楽しめて最後にはハッピーな気持ちにさせてくれる「メリー・ポピンズ リターンズ」。ここでは、個人的な感想やネタバレも含んだ解説をしていきます。
大人になっても忘れない子供の心を見事に表現

原作でも続編でも「メリー・ポピンズ」が訴えかけているのは「子供の心」です。大人になると現実的な問題と向き合う中で、ついつい忘れてしまうものでもあります。
しかし、そんな中でもメリー・ポピンズは子供の心を思い出すことの大切さをポップに説いていると思います。
「メリー・ポピンズ リターンズ」の中では、原作にてメリー・ポピンズと触れ合ったマイケルとジェーンが大人になったところからストーリーがスタートします。二人も子供のころはメリー・ポピンズが振りまく魔法に純粋に心を踊らせていました。
しかし、大人になってみると、マイケルは負債によって家を差し押さえられそうになっており、ジェーンは労働運動に参加をしています。それぞれ歳をとって現実的な問題に向き合う中で、純粋な心を思い出すことはできません。
マイケルの子供たちともうまくコミュニケーションが取れない中、メリー・ポピンズが凧を持ちながら空から舞い降りてくるのですが、彼女が見せる魔法の数々は子供たちを夢のある世界に連れていき、人生において大切なことは何かを学んでいきます。
最終的には、マイケル自身も自分の問題を解決し、子供の頃にメリー・ポピンズから学んだ重要なことを思い出していきます。
「メリー・ポピンズ リターンズ」では、繰り返しに渡って子供の頃のような純粋な心を思い出すことの重要性を訴えています。
「表紙だけではなく中身をみて」や「見方を変えて物事を見る」など、大人になってからも結構重要なことをメリー・ポピンズは伝えてくれているのです。言葉にすれば、確かにそうだなと思うことはできますが、現実的に私たちの心には忘れているものばかりでもあります。
表面的な文章に一喜一憂したり、凝り固まった価値観で物事を判断してしまっていることばかりです。もっと柔軟に考えたり、色々な角度から物事を捉えることによって、本当は簡単に解決できることばかりなのかもしれません。
「メリー・ポピンズ リターンズ」は、原作から54年という月日が経過してから制作された続編でもありますが、当時も現代も変わらずメリー・ポピンズが伝えているのは、人生における重要なことでもあります。むしろ現代において最も重要なことかもしれません。
そして、それらを大人が見てもワクワクするような演出で盛り上げてくれるのですから、見応えがありますよね。
エイミー・ブラント演じるメリー・ポピンズが最高!

「メリー・ポピンズ リターンズ」で主演のメリー・ポピンズを演じたのは実力派イギリス人女優のエイミー・ブラント。原作のメリー・ポピンズを演じたのが、イギリス人のジュリー・アンドリュースだったことからも、エイミー・ブラントの起用は何か運命的なものを感じますね。
さて、メリー・ポピンズといえば上から目線でエレガント、なんでも完璧にマジカルに解決してくれるスーパー・ヒューマンです。不思議な魔法で私たちをファンタジーの世界に連れて行ってくれます。
原作「メリー・ポピンズ」は世界的なヒットを記録した名作でもあります。その分、キャラクターに対するイメージを再び構築するのは大変です。少しでも間違えば原作と比較される羽目になりますし、原作の真似をしただけではリメイクをする必要がありません。
エイミー・ブラントにはあくまで彼女らしさを取り入れたメリー・ポピンズを演じきる必要があったのだと思います。世界的なキャラクターを演じる難しさは、見ているだけでも伝わってくるほどだと思いました。
そんな中、エイミー・ブラントは原作のメリー・ポピンズを模倣するようなことはしたくないという思いから、起用後、原作を見返すことはしなかったそうです。原作となっている小説を見直しながら、メリー・ポピンズというキャラクターを1から見直して行ったそうです。
「プラダを着た悪魔」「オール・ユー・ニード・イズ・キル」などでも抜群の演技を誇ってきた彼女らしい仕事ぶりで生まれた新しいメリー・ポピンズは原作の魅惑的な部分を踏襲しながらも、エイミー・ブラント自身の魅力も存分に現れていました。
高慢さとユーモア、そして、周りの人たちへの共感も持ち合わせ、マジカルな方法で問題を解決していく、クールかつコミカルでスタイリッシュだけど見栄っ張り、そんな複雑なキャラクター像を見事に演じきっています。
ミュージカルでは華麗なダンスシーンも見せているエイミー・ブラント。俳優としての底知れない実力を見せられた作品となりました。
ファンタジーな世界を作り出すための演出が魅力的

「メリー・ポピンズ」といえばディズニーが送る魅力的なファンタジー作品でもあります。
そのなかで、作中の演出は非常に重要となってきます。メリー・ポピンズが連れて行ってくれる幻想的な世界に見る人は胸を踊らせ、夢のような体験を過ごすことができます。
「メリー・ポピンズ リターンズ」では、作品のファンタジーな要素をあらゆる手法で表現しています。
お風呂の中に飛び込むと、広大な海が広がっていたり、花瓶に描かれている絵の世界に入り込んで、現実とアニメーションを融合させた演出が含まれていたり、歌と踊りを交えながら幻想的な世界へと私たちを導いてくれます。
ファンタジー作品はいくつになっても見る人を幸せな気持ちにさせてくれますよね。「メリー・ポピンズ リターンズ」で行われた演出の数々は、見た人を自然と笑顔にさせ、気持ちの良い読後感を与えてくれる作品となっています。
そして、魔法の世界の描き方も素晴らしかったと思います。現代の映像技術であれば、あらゆる方法でファンタジーの世界を再現することができるでしょう。しかし、「メリー・ポピンズ リターンズ」に感じるのは、必要な部分でCGなどを使い、場面によってはアナログな手法で表現をしているということです。
魔法を表現しようと思えば、いくらでも選択肢があっと思うのですが、やはりCGが見えてしまうと、見てる側としては少し嘘くさく見えてしまいかねません。ファンタジーとはいえど、「やっぱり嘘なんだ」と思わせてしまっては興ざめになってしまいます。
「メリー・ポピンズ リターンズ」では、アナログな手法を取り入れることによって、現実感のある魔法を表現していたと思います。その中で、アニメーションやCGを駆使することで、見ている側も魔法の世界に入り込むことができたのだと感じました。
前作「メリー・ポピンズ」は見ておいた方がいい?

「メリー・ポピンズ リターンズ」は前作「メリー・ポピンズ」の続編として描かれています。
なので、「メリー・ポピンズ リターンズ」を見る前に原作の「メリー・ポピンズ」を見ないといけないのではないか?と思う人もいるでしょう。
ちなみに私は原作の「メリー・ポピンズ」は見たことがなく、なんとなくキャラクター像を知っている程度の前知識で見に行ったのですが、私の感覚から言えば、原作を見た方がより楽しめる要素が散りばめられていますが、原作を見ていなくても十分に楽しめる作品ではあります。
確かに、マイケルやジェーンといったキャラクターは、原作の「メリー・ポピンズ」で子供として登場しており、それが大人になった姿が描かれているなど、原作と地続きになっている設定も数多くあるので、もちろん映画の入りやすさから言えば、原作を見た方がいいでしょう。
しかし、原作を見ずに「メリー・ポピンズ リターンズ」を見た私としては、原作を見なくてもメリー・ポピンズの魅力は十分に感じることができましたし、映画としての面白さも十分です。
ただ、原作を踏まえたシーンやセリフなどもありますので、そういった細かい部分も素通りせずに楽しみたいという人は原作を見てから「メリー・ポピンズ リターンズ」を楽しんだ方がいいでしょう。
ここでは、原作の「メリー・ポピンズ」と「メリー・ポピンズ リターンズ」の似ている点をいくつか紹介していきます。
①メリー・ポピンズのカバン
メリー・ポピンズが子供たちをお風呂に入れるシーン。準備としてカバンからあらゆるものを取り出して、風呂の中に放り込んでいきます。カバンの中に入っているのは、おおよそカバンのサイズからは考えられないような大きなもの。帆船やパラソル、アヒルのおもちゃなどです。
そんなコミカルなシーンも原作通りということで、ファンは胸踊ったのではないでしょうか。
②鏡のシーン
鏡の中に映ったメリー・ポピンズが別の動きをするというシーン。原作を思い出した人も多いと思います。
魔法使いということがわかる名刺がわりのシーンでもありますね。
③階段の手すり
メリー・ポピンズが階段の手すりに座って自動的に登っていくというシーン。こちらも原作通りのシーンでした。
ミステリアスでクールなメリー・ポピンズが階段の手すりをスーッと上がっていくのは、ギャップがあって非常にコミカルなシーンになっています。
④2ペンス
原作では、鳩に餌をあげるために子供たちがお小遣いの2ペンスで餌を買おうとしましたが、父親に叱られ銀行に預けられてしまうというシーンがありました。
「メリー・ポピンズ リターンズ」では、その2ペンスがきっかけとなり、バンクス家の借金を完済することに成功するというストーリーになっており、こちらも前作とのつながりを感じさせる演出となっています。
その他にも、原作をオマージュしたようなシーンはたくさん見られています。
もちろん見なくても楽しむことはできますが、「メリー・ポピンズ リターンズ」をより楽しむためにも、これから見る人は原作「メリー・ポピンズ」を見ておいてもいいかもしれません。
元祖「ジュリー・アンドリュース」のカメオ出演は・・・?

映画の中でよく使われる手法として「カメオ出演」というものがあります。これは、劇中に俳優や歌手、監督、アスリートなどをゲスト出演させるというもので、映画のアクセントとして親しまれています。
「メリー・ポピンズ リターンズ」で注目されたのは、原作の「メリー・ポピンズ」で主演を務めた元祖メリー・ポピンズこと「ジュリー・アンドリュース」のカメオ出演でした。
エイミー・ブラント演じるメリー・ポピンズとジュリー・アンドリュースが同じカットに並んだとなると、かなり粋な演出にもなりますし、ファンとしては感動する事間違いありません。
そんな、「メリー・ポピンズ リターンズ」でのジュリー・アンドリュースのカメオ出演に関してですが、残念ながらありません。
これに関しては、ジュリー・アンドリュースが公式にコメントを発表しており、「エイミーのショーになってほしい」という思いから出演を断っていたそうです。なんとも愛のあるコメントですね。
エイミー・ブラント自身もメリー・ポピンズのイメージ像を踏襲しながらも、自分らしい演技を構築していただけに、それを邪魔する必要もないとの判断だったのでしょう。
正直なところ、私は原作の「メリー・ポピンス」を観たことがない状態で「メリー・ポピンズ リターンズ」を観ましたが、ラストシーンの風船売りのおばあちゃんのことを完全にジュリー・アンドリュースだと勘違いして観ていました。
観た後にネットで調べて勘違いだったと気づかされましたが、このようなエピソードの裏には、役者自身が持つメリー・ポピンズというキャラクターに対する愛が多分に含まれていたようです。
映画「メリー・ポピンズ リターンズ」は原作を知らなくてもOK

大人も子供楽しめるディズニー映画「メリー・ポピンズ リターンズ」。主演のエイミー・ブラントの活躍はもちろん、今の時代にこの作品が公開されていることの意味を考えると、メリー・ポピンズが発するメッセージを考えさせられてしまいます。
幻想的な世界観で見る人を幸せにする映画でもありますし、原作を知っている人でも知らない人でも、現代に蘇ったメリー・ポピンズを見ておく価値はあるのではないでしょうか。
ぜひ「メリー・ポピンズ リターンズ」見てみてください!