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映画『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』のネタバレ感想!数日間の旅、死を描くクライムムービー

映画「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」のあらすじ・内容

映画『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』は1997年にドイツで公開され、350万人も動員したクライム・ロードムービーです。

主演・脚本・制作はティル・シュヴァイガーで、ゲスト出演(大物ギャング役)にはなんと映画「ブレードランナー」でレプリカントを演じたルドガー・ハウワーが登場します。

オファーした際は1日10万ドルという高額なギャラをルドガーのマネージャーから要求され、絶対に払えないと断念してしまいますが、本人が脚本にほれ込んで「マネージャーの言うことは気にするな。出ると決めている」と出演を決めてくれたそうです。

今回はそんな男のロマン溢れる名作『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』の個人的な感想やネタバレ解説を紹介していきたいと思います!

映画「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」を観て学んだ事・感じた事

・人生とは偶然と多くの人の縁で出来ている
・人間の温かさを感じることができる作品
・どう死んでいくかではなく、どう生きて行くかで人間の価値は決まる

映画「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」の作品情報

公開日1997年(ドイツ)
1999年(日本)
監督トーマス・ヤーン
脚本トーマス・ヤーン
ティル・シュヴァイガー
出演者マーチン・ブレスト(ティル・シュヴァイガー)
ルディ・ウルリツァー(ヤン・ヨーゼフ・リーファース)
アブドゥル、アラビア人(モーリッツ・ブライプトロイ)
ヘンク、ベルギー人(ティエリー・ファン・ヴェルフェーケ)
フランキー・“ボーイ”・ベルーガ(フープ・シュターペル)
カーチス(ルトガー・ハウアー)

映画「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」のあらすじ・内容

映画「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」のあらすじ・内容

脳腫瘍でわずかな余命を宣告されたマーチン(ティル・シュヴァイガー)と骨肉腫のルディ(ヤン・ヨーゼフ・リーファース)。たまたま同室へ入院させられた見ず知らずの二人は、偶然にも棚の中にあったテキーラを片手にキッチンで酒盛りを始め、海を見たことが無いというルディにマーチンは「天国で流行っている海の話を知らないと相手にして貰えない」という話をします。

その話を信じたルディはマーチンと共に、地下駐車場に止めてあった『ベンツ 230Slベイビーブルー』を酔った勢いで盗み、わずか数日間の旅にでます。

しかし、そのベンツにはギャングの大物に渡す大金が積み込まれていて、それを知らない二人は強盗で警察にも追いかけられてしまいます。

映画「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」のネタバレ感想

映画「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」のネタバレ感想

余命わずかなルディとマーチン、死という重たいテーマが描かれていますが、それらを感じさせない派手で爽快な出来事が次々に起こるロードムービーです。しかし、最後は人間の終わり方とは儚く、切ないものだと考えさせられるとても深い内容に仕上がっています。

そして、ルディとマーチンだけではなく、アブドゥルとヘンクのデコボココンビの活躍もたまらなく面白いんです!

今一度言いますがネタバレを含む感想もあるので、まだ視聴していない方は注意してください。

運命の出会いと男たちのロマンによって創られた映画

トーマス・ヤーン監督は数多くの人たちを魅了する力を持っている人だと思います。この映画は驚くことに、トーマス・ヤーン監督のデビュー作であり出世作です。

えキレが良くて派手なアクション、斬新なユーモア感覚と観客の心をギュッと掴むサウンドテクニックなど、撮影の仕方も素晴らしいです。

彗星のようにあらわれた彼はドイツの「クエンティン・タランティーノ」と称され、これまでのドイツ映画の『芸術』のイメージを破って『娯楽映画』としてのパワーを見せつけ、現地の映画界の話題を独占してしまいました。

では、どうして彼はここまで有名になれたのでしょうか?

 

トーマス・ヤーンが監督になる前、彼はただの映画マニアでタクシーの運転手として生計を立てていました。そこへ俳優のティル・シュヴァイガーがお客として乗り込んできて、彼らは映画トークで大盛り上がって意気投合をします。

彼を大変気に入ったトーマスは、ティルに今まで書き溜めた脚本の全てを大胆にも送ってしまうのです。

ティルはその中でボブ・ディランの名曲「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」に影響されて作ったものを気に入り「どうしてもこれを映画にしたい!」という熱意の下、なんと製作、脚本、主演の3役をも引き受けてしまったそうです。

自らがプロデューサーとなったティルの動きは、大手映画会社ブエナ・ビスタまでも興味を示しました。そこで彼はそこの制作者を説得させるべく、ホテルのバーで2時間半もかけて脚本の朗読と演技までもやって見せて、大変喜ばれたそうです。

熱意をもってやり続けていけば、誰かがちゃんと見てくれるんだということが伝わってくるエピソードですよね。

 

そして、それを支えたスタッフたちも錚々たるメンツです。

美術は『Uボート(’81)』『第五惑星(’86)』などを手掛けたドイツの人気デザイナー、モニカ・バウアートが担当し、トウモロコシ畑のカーチェイスシーンの撮影は、映画やCMなどで活躍中のゲーロ・シュテフェンが手掛けています。

テーマ曲はドイツ本国で有名なバンド「SELIG(ゼーリッヒ)」がこのためだけにカバーしたバージョンで、フィルムを直接見ながらのライブレコーディングだったそうです。

この曲の感動は本当に聴かないと分からないと思うので、ぜひ聴いてみてください!

余命幾許の二人が織り成す人間ドラマ

余命幾許の二人が織り成す人間ドラマ

車を奪った二人は川原で一夜を過ごし、ガソリンスタンドへ給油しにいくわけなんですが、マーチンは金が払えないので、裸足とパジャマ姿で店主へと拳銃をつきつけます。

そこへ強面の警官がパトロールしに来るのですが、まあこの警官のキャラが濃いです。仕事中にも関わらず、店内を見回した後、小瓶の酒を一気に飲む行為をします。思わず吹き出してしまう程キャラの強い人物です。

しかも、マーチンと話しこんでいくうちに彼は見逃してしまいます。

 

次に高級な洋服店に行くのですが、またお金が足りず、マーチンが銀行強盗をしに行って無事に成功します。

時間差でベンツを盗まれたギャングコンビも銀行強盗をしに行きますが、銀行員が「一分遅かったわ」と一言言いました。この作品の良さの一つが全面に押し出されたシーンでした。

その後二人はベンツのトランクから大金を見つけ、高級ホテルのスウィートルームへ宿泊し、ルディがホテルのボーイに多額のチップを渡します。

上機嫌になった彼はそのままホテルを抜け出そうと当然の如く、ボーイは支配人からどこへ行くと引き留められますが「辞めるんだ!」と言って去っていく姿は、爽快感があっていいものです。

登場するモブキャラですら、人間性がしっかり描かれている作品で好感が持てますよね。

 

そして、物語の展開は変わり「ルディは一度に二人の女とセックスすること、マーチンはエルビス・プレスリーの大ファンである母親にピンク色のキャデラックを買う」という目標を達成するためにストーリーは進みます。

道中のあるでき事で気が小さかったルディに変化が訪れます。マーチンは旅路の途中で脳腫瘍の悪化で痙攣を引き起こすことが何回かあり、それを抑える薬の底がつきてしまいました。

それを見かねたルディは薬局へと急いで駆け込み、これと同じのをくれないかと懇願しますが、店主は劇薬なので売れないと断ると彼は後ろの棚をめがけて弾丸を撃ち込みました。

あのルディが!と驚くこの展開は心を動かされますし、何よりも熱くならずにはいられませんでした!

 

しかしこれもマーチンの仕業とされてしまい、その上マスコミにまでもが現場に現れて全国にテレビ中継される展開へと発展してしまいます。

マーチンの発作が収まり二人は近くのトルコカフェに立てこもりますが、なぜかトルコ人の店員と客はのんびりとしています。彼らは迷惑料としてギャングのお金を置いていき、トルコ人たちはテンション爆上がり。トルコの人たちって割と陽気なのかもしれないですね。

パトカーとマフィアに追われピンチ!そしてカーチェイス

パトカーとマフィアに追われピンチ!そしてカーチェイス

車を加速させ、後方には大勢のパトカー、前方には大量の銃火器を携えたマフィアたちにへと挟み撃ちにされ絶体絶命のピンチに陥りますが、警察もマフィアも思いがけない突然の出会いにどうすれば良いか分からず、一人のギャングがマーチン達を狙ったことによって激しい銃撃戦となります。

そこからトウモロコシ畑のカーチェイスが繰り広げられますが、このシーンは全部本当にやってるようで本当に迫力がありカッコいいです。

ここから小話になりますが、これを撮影したときは3月の半ばだったそうです。時期的な問題で撮影する畑を見つけるのは難しく、ほかの作物を植えたので畑を使うんだったら賠償金を払ってくれとせがまれたり、いい場所を見つけても役所が絡んできたりと選定に難航を極めました。

それでも良心的な農家の方がいて、なんと植え付け済みのジャガイモ畑を耕し直してトウモロコシを植えてくれみたいです。その撮影のあと、ある程度の賠償金を払わなければいけなかったそうですが、その後モニカは自分で作ったセットを食べるという珍しい体験談もあります。

 

そうして彼らはそのまま逃げ切ったと思いきや、その下は採掘場で車が真っ逆さまに落ちます。ヘリコプターのことをコプターと呼ぶ刑事と張り切り隊長な刑事が現場へと駆けつけますが、車はもぬけの空で誰一人いませんでした。

ルディとマーチンはどうしていたか?というと、ボロボロで擦り傷を作ったのまま中古車ショップで例のキャデラックを買います。

良く生きてたな二人とも……と感心をしますが、彼らはそのままそのキャデラックをマーチンの母親に雨の中プレゼントし、母親は泣き崩れます。その瞬間張り込んでいた警官達がマーチンを取り囲みます。

中古車ショップの店主は新聞に載っていたマーチンの顔をみて通報していました。この男何気にちゃっかりしていますね。

 

それでまた発作を起こして倒れてしまいますが、ルディは「友達なんだぞ!」と憤慨して警官から助けてもらわず、一緒に救急車に乗っていきますがあれはマーチンのブラフでした。

こうしてルディも自身の願いを叶えますが、ここの売春宿はあの落ちこぼれギャングが経営している所だったのです。二人共々地下へと連れて行かれ、落ちこぼれギャングの上司フランキーは「金を返せば命だけは助けてやる」と拳銃をつきつけます。

しかし、もうお金をすべて使いきってしまい、マーチンは「もう死ぬんだ。撃てよ!」と意気軒昂にフランキーへと迫ります。彼の気迫に押されたのか、それとも元来の性格で気が小さいのかおどおどしながら引き金を引こうとしているので、不覚にも笑ってしまいました。

その微妙な空気を一変させるかのようにエドガー・ハウワー演じるボス、カーチスがやって来ますが、渋くてめっちゃくちゃカッコいいんですよね。優しそうな雰囲気なんですけども、どこかしら風格があります。

それはもう名作「ゴッドファーザー」と言ってもいいくらいの本物感がありました。

カーチスは二人の話を落ち着いて聞いたあと、「時間がないんだろ。早く行け」と無罪放免にし「天国で誰もが話題にするのが海だ」と諭しているシーンは感動モノでした。このシーン「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」の個人的名シーンでした。

 

エンディングを迎え、最後にマーチンは海を見たあとルディだけを残して静かに息を引き取ります。そこへルディはそっとマーチンの横に寄り添う姿は、もはや友情を越えた何かを感じさせますよね。

この二人の関係はとても尊いものだと思いますし、この二人は天国に行っても海の話をたくさんするのかもしれません。来世であろうとあの世であろうとも、二人にはずっと幸せであり続けてほしいと感じました。

登場するキャラがアホでイライラすることも多い

登場するキャラがアホでイライラすることも多い

「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」を視聴した型であれば、登場する大多数のキャラクターは馬鹿で間抜けというのはご存知ですよね。

ストレートに言い切ってしまいますが、この映画を見ていると「なぜここでこんな事をするの?」とつっこみたくなりますし、見る人によってはイライラして見るのもやめたくなると思います。

その中でずば抜けて、お前馬鹿だなと思うキャラが、ギャングでドイツ語が下手クソなアラブ人のアブドゥルです。彼はまずジョーク一つで喧嘩します。

冒頭でヘンクは『医者が患者のタマを見て言った。信じられないもので出来ている、木と金属だ。子供はいるのか。二人だ。一人はピノキオで、一人はターミネーターだ』とどうしようもなく阿呆な会話をアブドゥルに言います。

でもアブドゥルはピノキオのことを全く分からず、それを本気で真に受けてしまい、ヘンクはもういい!と話を切り上げてしまいします。

 

その後、ヘンクが運転をしているのですが、途中相棒が運転を代わるのを渋っただけで拳銃を突き付けて変わるという、瞬間湯沸かし器のごとく沸点が低いです。

結局むりやり変わったアブドゥルは道中、道路に飛び出してきた小生意気なスケボー少年を軽くはねてしまいます。少年は当然の事ながら病院に連れて行けと、ぶっきらぼうにせがみます。

するとアブドゥルは自然な流れで「バナナ食うか?」と問いかけ、少年はいらねぇよ!と華麗な突っ込みを繰り出して、バナナを平手で弾き飛ばします。

登場する出演者、シーン全てがアホで、イライラを通り越して逆に可愛くなってしまいます。

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドアのレビュー評価は様々

ノッキン・オン・ヘブンズ・ドアのレビュー評価は様々

「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」のレビューや評価を見てみると「展開の都合が良すぎ」「キャラが間抜け」と否定的な意見もありますが、それがこの映画の魅力と見どころだったりします。

「マーチンとルディVSアブドゥルとヘンク」というのがこの映画の大半の見所で、視聴前に「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」のポスターを見た時の印象は重々しく、どこか哲学的な要素があるのかと感じていました。

しかし、映画を見てみると程よいスピード感と絶妙なギャグセンス、心に染みわたる数多くの名曲がとても心地よかったです。細部にいたるまで良くて、これがデビュー作とは思えない出来でした。トーマス・ヤーンは天才ですね。

ちなみに、2019年1月9日には「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」のスペシャルプライスのDVD版とBlu-ray版の両方が発売されます。

クライムムービーでありながら優しい物語

この映画はクライムムービーではありますが、トウモロコシ畑のシーンで滅茶苦茶激しい銃撃戦があるのにもかかわらず、道中で人が死ぬことはありません。

その代わり、二人がラストに死んでしまったことによって、死というものがとても悲しく厳かなものだと強く感じさせます。

また、行動自体は悪いことなのですが、マーチンはトランクに入っていた大金を見つけた後、警官経由(脅し込み)ではありますが、ガソリンスタンドと銀行で強盗したお金を全部返したり、道中助けてくれた人や迷惑をかけた人にはお金を配ったりなど、完全には憎めない性格をしています。

登場する映画のキャラクターの大半は優しくて、この映画を見終わった後にはため息が出ると思います。安堵だったり悲しみだったり、人それぞれ違うと思いますが。

 

そもそも、この映画自体「死」という逃れられないものに対する逃避行動と「人間ただでは死なない」という反骨精神、そして「人は誰だって死ぬ」という死の怖さなどを描いています。

奥が深いテーマではありますが、この映画は「死」というものを誰にでも分かりやすく示してくれるます。この映画を見て感じたのは、自分自身もやりたいと思ったことをすぐ実行できる、そんな人生を送っていきたいなぁと思いました。

スタッフロール後の「ベルントに捧ぐ」というラストの意味

最期に余談ではありますが、スタッフロールの後のおまけの映像が終わったあと『ベルントに捧ぐ』とあります。その男はティル・シュヴァイガーが出演した多くの作品をプロデュースした『ベルント゚・アインヒガ―』なのです。

映画のシーンでは、ガソリンスタンドに来た強面警官が取り調べをしている男がその人です。

 

他にも同じようなシーンがもう一つあります。それは最初の売春宿のシーンです。

従業員が床に落ちていた吸い殻を掃除をし、そこから売春婦たちが「U-Stay With Melina」がカバーする「I Will Survive」と共にダンスの練習をしています。ここのダンスシーンの指導は映画『アクセルの災難(日本未公開)』の監督『ゼンケ・ヴォルトマン』が担当しています。

この映画はティルが主演した映画の一つで、ドイツで大ヒットした映画です。つまり、ティルは最初と最後のシーンを使って、恩人に御礼を込めたということですね。なんとも粋な行いです。

 

結果、ティルはこの映画で97年モスクワ映画祭最優秀主演男優賞と大変輝かしい功績を残しています。

最近の映画だと『ガン・ドッグ』というバリバリのバディアクション映画にも主演で出演しいて、当時のカッコよさとワイルドさは色あせません。

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