日本映画/邦画の感想

映画『火花』ネタバレ感想・解説・考察!ピース又吉の小説原作!夢を追い求めることのカッコ良さ

映画『火花』のあらすじ・内容

映画『火花』はお笑いコンビ・ピースの又吉直樹の小説が原作です。

auのCMでもおなじみの菅田将暉と桐谷健太がW主演でお笑い芸人を熱演し、監督は『ダウンタウンのごっつええ感じ』で人気を博した板尾創路です。

日の目を見ないお笑い芸人の心の葛藤など、業界の裏側も描いた映画「火花」の感想や解説、考察をネタバレも含めて書いていきます。

映画『火花』を観て学んだ事・感じた事

・夢を追い求めることの恰好よさ
・夢を途中であきらめても今までの努力は今後の自分の糧になる
・「何かに向かって努力している人や夢を諦めたくなっている人」にオススメ

映画『火花』の作品情報

公開日2017年11月23日
監督板尾創路
脚本板尾創路
豊田利晃
出演者徳永(菅田将暉)
神谷(桐谷健太)
真樹(木村文乃)
山下(川谷修士)

映画『火花』のあらすじ・内容

映画『火花』のあらすじ・内容

売れないお笑い芸人の10年間を描いた『火花』。カリスマ的お笑いのセンスをもつ神谷と、お笑いに人生をかける徳永の2人を主人公にした作品です。2人は世間から認められず、作家や同僚から見下されつつも、もがき進んでいきます。

徳永が組んでいるコンビは一時的に注目を集めますが、人気も長続きしません。芸人として生きるか安定した生活を手に入れるかの選択を迫られます。

芸人だけでなく、起業やフリーランスなど、夢を追いかけている人や諦めそうになっている自分に自己嫌悪している人に観てもらいたい内容です。

新作映画も見れる!
U-NEXT31日間の無料お試しはこちら

映画『火花』のネタバレ感想

関西弁の主要キャストはネイティブな関西人

関西弁の主要キャストはネイティブな関西人(C)2017「火花」製作委員会

映画やドラマで関西弁を話す役柄なのに、関西弁がネイティブではない俳優さんが起用されていることってありますよね。本作に登場する関西人役の主要キャストは、ほとんどが関西弁ネイティブです。

関西の人のなかには「関西弁と違うイントネーションの関西弁は苦手」という方もいると思いますが、本作はネイティブ関西人でも楽しめます。原作者の又吉が「キャストはもともと大阪弁が話せる人」を希望したそうですね。

主演の菅田将暉は大阪府箕面市出身で、桐谷健太は大阪の天神橋6丁目出身、菅田の相方役は二丁拳銃の川谷で兵庫県神戸市出身です。菅田将暉のツッコミは勢いがあっても目が笑っているので怖くありません。菅田はコンビを組んでいるときはボケ役で、神谷とからむときはツッコミ役になっていましたね。

徳永の財布のベキベキなど小ネタも豊富

徳永の財布のベキベキなど小ネタも豊富(C)2017「火花」製作委員会

徳永が使用している財布がマジックテープのベキベキととめるタイプで、小ネタも盛り込まれています。個人的にベキベキの財布はありだと思うのですが、笑いどころとしてネタに使われるアイテムですよね。この様なちょっとしたネタが随所に盛り込まれています。

公園の自動販売機で財布を出してジュースを買うシーンは、後半の伏線にもなっています。芸人をやめて会社員になった徳永が同じ公園の同じ自動販売機でジュースを買うのですが、そのとき取り出した財布は皮財布でした。芸人を辞めたかわりに収入を手に入れたことを象徴しているようでしたね。

ほかにも、映画の冒頭で海の砂のなかに埋められた神谷がたばこを吸っていて、そばにたばこの「ピース」の箱が置かれています。又吉のコンビ名のピースとかけているのでしょうね。

監督の板尾創路を見たことがある

本作の監督は板尾創路です。映画とは関係ないのですが、私は子どもの頃、板尾創路を大阪の難波で見かけたことがあります。当時、板尾はお笑い芸人で一斉を風靡していてかなりの人気でした。

劇場から出てきたところだったのか、たまたま買い物に来ていてファンに見つかったのか分かりませんが、10代くらいの女性たちにキャーキャーいわれて取り囲まれ人だかりができていましたね。かなりの数の女性からサインをねだられていて、ニコニコと嬉しそうに応じていた姿を覚えています。

板尾は「ダウンタウンのごっつええ感じ」でも頭一つ抜けて面白かったと思います。一時活動を休止していましたが、復帰してからは以前のような活躍はみられていません。いつの間にか映画監督路線にシフトしましたね。ビートたけしたダウンタウンの松本人志など、映画監督に挑戦する芸人は一定数います。

火花の映画版はつまらないし酷いとのレビューも?

火花の映画版はつまらないし酷いとのレビューも?(C)2017「火花」製作委員会

「火花の映画版はつまらない」「ひどい内容」と感じる人もいるようです。漫才のかけあいのシーンはやっぱり本物の芸人と違いますし、最初の漫才シーンは観ていてちょっとハラハラします。

主役を演じる菅田将暉と桐谷健太の2人は、最初のころはセリフを言わされている感が少しあり、タイミングを見計らって掛け合いしている印象です。しかし、それでも充分に面白くて上手で、あくまで本物の芸人と比べてぎこちないというだけでした。

そのため「さも今思いついたように面白いことを言う芸人さんはすごいな」と改めて思いました。芸人は舞台やカメラの前に立って「3、2、1、スタート!」と号令をかけられ、漫才を披露します。それなのに、テンポよくナチュラルにしゃべれるのは、相当の練習量と度胸が必要なのでしょうね。

 

そして、本作は実際の芸人から観ても「芸人あるある」が結構あるようで、テレビでお笑いをするときは、一般視聴者が分かりやすいようなネタを選ぶことはあるみたいですね。昔、ダウンタウンも「ボケたとき視聴者がどこでボケているか分かりにくいようだから、テロップを入れるようにした」的なことを言っていたと記憶しています。

お客さんのレベルに合わせてネタを変えるというのは、芸人あるあるなのかもしれません。今はお笑い業界も契約書やコンプライアンスの問題が明るみに出て転換期にありますが、本作では、これまでの芸人の上下関係や生き方などもみてとれます。

作品中にはコメディアン深見千三郎の有名なセリフ「笑われるな、笑わせろ」という「芸人は笑われるのでなく人を笑わせるもの」という考えについて、神谷と徳山が持論を展開するシーンもあります。

名言「お前に神谷さんの何がわかんねん」

神谷を批判する人に向けて徳永が発する「お前に神谷さんの何がわかんねん」は名言だと思いました。芸人や有名人が一般人に向けて言いたいことのような気もします。

名前が知れ渡っている人は、ネット上でいろいろ言われたりしていますよね。本当はいい芸人なのに批判されていたり、悪口を書かれたりしている人は多いと思います。芸人をはじめほとんどの有名人が胸に抱えている思い「お前に何がわかんねん」を主演の徳永に代弁させた気がしました。

スパークスのラストライブは感動

スパークスのラストライブの漫才は感動しました。「思っていることと逆のことを言う」という設定でトークをするのですが、山下の間合いがよくて、漫才として面白くてもっと見ていたいと思いました。

徳永は途中から、お笑いや相方、お客さんに対する想いを逆の言葉で熱く叫びます。山下は聞いていなかった内容だったようで、あぜんとしながら声をはさめず聞きいっていました。徳永の「僕はこの10年間を糧に生きません!!」と叫びます。思っていることと逆のことを言っているので、「僕はこの10年間を糧に生きます!!」という意味です。

この叫びを聞いて「芸人さんは結果がでなくても、過程が素晴らしかったらそれを糧にしてずっと生きていけるんだな」と思いました。「芸人さんのみならず、私たちがしていることの結果が実を結ばなくても、過程がいいものならそれで充分なのではないか」と感じましたね。

世間の声を聞きながら笑いをつくる

世間の声を聞きながら笑いをつくる(C)2017「火花」製作委員会

神谷は笑いを取るために、胸にシリコンを入れて巨乳整形をします。巨乳になった神谷に対して、徳永は「それは笑えない」と語ります。「笑わせるために世間は完全に無視できない」と伝えるシーンは、芸人の心の叫びのようでした。

不特定多数の人を笑わせるためには、色々なジェンダーの人や様々な悩みを持っている人に配慮して笑いを作らなくてはいけないということだと思いました。

人を傷つけてまで起こす笑いってあまりよくないですよね。昔は、そういう笑いも多かった気がします。とんねるずの「保毛尾田保毛男」という身体が男性で心が女性のキャラクターも当時は人気でしたが、2017年に地上波で登場するとバッシングを受けました。

様々な人に配慮することで笑いが面白くなくなるという声もあるかもしれませんが、自分自身が「笑われるでなく笑わせる芸」を目指すのであれば、誰かを傷つけて笑いものにする芸もまた、本当のお笑いではないと思います。

主題歌は菅田と桐谷がビートたけしの曲をカバー

エンディングにも使われている主題歌は菅田と桐谷が一緒に歌っています。ラストに「やろうや漫才」「やりませんて」と笑う菅田が映ったあと、ドーンと曲が流れて交互に2人が歌います。2人が交互に歌う曲は、かなわなかった2人の漫才を観ているようで感動しました。

でも、歌詞に「浅草〜」と出てくるので違和感もありました。関西出身の2人なので、もっと関西よりの地名が出たほうがしっくりくると思ったのですが、エンドロールを観ていると、主題歌のタイトルは「浅草キッド」で作詞・作曲ビートがたけしでした。「ビートたけしが作ったの?!」とかなり驚きましたが、ビートたけしが作った曲をカバーしたそうですね、

関西風漫才なのに、なぜここでいきなりビートたけしが出てきたのでしょか。たけしが作った曲であれば「浅草」が出てくるのも納得です。映画のなかでお笑いのシーンが関西風なのか関東風なのかはっきりしない理由は、こういうところにも原因があったような気もします。曲の内容としては、売れる日を夢見てもがく芸人を歌っているので、映画のテーマと合致していますしね。

エンドロール後のワンシーンも見逃すな!

エンドロールが終わったあとに、数秒ほどのワンシーンがあります。このシーンには監督の板尾創路や原作者である又吉直樹の想いが込められているような気がします。

仕事を夢中でしている人は、仕事道具や仕事の光景に熱い想いを抱いていると思いますが、映画の最後の最後にそのシーンを持ってくるということは、きっと2人も漫才の舞台が好きで情熱を注いでいたのだと思いました。

又吉は知的芸人キャラに移行しているのかと感じるときもあったのですが、心の奥底にはお笑いにかける熱い想いがあるのだと思いました。

映画「火花」の裏話を解説

映画「火花」の裏話を解説(C)2017「火花」製作委員会

映画「火花」はエンディングの解散ライブに向けて、漫才シーンを順撮りしていったそうです。そのため、最初は下手な漫才が少しずつ上手くなっていく姿がリアルです。

二丁拳銃の川谷は最初からうまいのですが、ラストライブは菅田と本当に息が合うようになって面白くて泣き笑いできます。映画の終盤で菅田と桐谷が電車に乗ってしゃべるシーンは、息がぴったりで面白かったですし、冒頭のようなぎこちなさやセリフを言わされている感がありませんでした。

「撮影をしていくうちに仲良くなっていったのかな」と感じさせられました。これも映画製作者側の作戦かもしれません。

映画とドラマはどっちが面白いか比較

映画とドラマはどっちが面白いか比較(C)2017「火花」製作委員会

『火花』は映画公開のあと、Netflixでドラマ化もされています。ドラマ版の主演は滋賀県出身の林遣都が演じています。

映画版とドラマ版を比較すると、焦点をあてている人物とエピソードが違います。ドラマ版には映画版にない人物描写のおもしろさが魅力なので、違った視点から楽しめるドラマ版もおすすめです!

【考察】笑いで真樹との別れ、火花が伝えたいこと

【考察】笑いで真樹との別れ、火花が伝えたいこと(C)2017「火花」製作委員会

神谷は同居女性の真樹との別れのシーンでつらい気持ちにのまれないように、徳永に笑わせてもらうよう依頼します。また、悲しいシーンでも真樹は変顔してふざけたりします。

笑いは悲しみを乗り越える力を与えてくれたり、つらい気持ちに飲み込まれないようにしてくれる力があると思いましたね。「お笑いにはいろんな逆境を乗り越える力がある」というメッセージが込められていると感じました。

 

そして、『火花』が伝えたいことは「夢をあきらめるな」と「ある程度のところまでひたむきに生きたら違う人生を選んでもいい」だと感じました。

主人公2人はお笑い芸人としての道を選び、生活よりもお笑いを優先しています。収入は低く生活は安定しませんが、それでも夢をつかむために努力し続けます。お笑いの神髄を求める情熱は熱く燃えていて美しかったです。でも、芸人として一時的に売れてもまた人気が下降してしまいます。邁進し続けたお笑いの道をあきらめなくてはいけない時期がやってくるのです。

目標を途中でかえることは「負け」のようで悲しい気持ちにもなりますが、違う人生を選択しようかと悩むスパークスを見て、別の道を選ぶことは負けではないと思いました。違う道の先に続く幸せを選んだだけです。道をかえる直前に、熱く燃えていた火が最後にひときわ明るく輝く様を描いたのが本作『火花』だと思いました。

【考察】火花の結末の解釈

【考察】火花の結末の解釈(C)2017「火花」製作委員会

神谷が「1人では漫才できないねん」と言って徳永を漫才に誘い、マッチに火をつけます。火花のように燃えるマッチに引き込まれましたね。「芸人さんは、このマッチのように一瞬の火花を何本も積み重ねて生きているのかな」と思いました。

神谷が「やろうや漫才」と徳永を誘い「やりませんて」と笑顔で返して映画は幕を閉じます。きっと2人は大売れすることはないのだろうけど、一生「自分にしかできない笑い」を考えて生きていくのだろうと思いました。

 

今後、2人は飛び入り参加できる漫才のステージに立つこともあるかもしれませんが、テレビで出るような本格的な活動をしたり、日の目を見ることはないのかもしれません。

それでも、10年間で培ったお笑いの技術は一生自分の身についていて、今後の人生でも活かせると解釈しています。私たちも時間をかけて努力してきたことが実を結ばなくても、得た技術は消えません。火花は消えてしまうけど、一瞬の熱い想いと努力は一生自分の身を彩っていくと思います。

芸人の芥川賞受賞作品を芸人が映画化した『火花』

『火花』の感想と解説を紹介しました。『火花』は、お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹の小説を菅田将暉と桐谷健太がW主演で映画化した作品です。

お笑い芸人の板尾創路がメガホンをとったことで、ところどころに差し込まれるお笑いに対する真剣なまなざしやセリフは「原作者又吉と監督板尾創路の想いが込められているのかな」と思いました。

火花のように一瞬きらめいて散っていく芸人は多いと思います。しかし、その一瞬のきらめきを手に入れるために積み重ねたものは、一生消えずずっと身を助けるのだと思いました。芸人のみならず、私たち一般人も努力し続けたことが実を結ばなくても、それまでの努力は身を助けます。

「夢をあきらめるな」と「夢に莫大な時間と労力を使ったからといってほかの夢を見つけるのは悪いことじゃない」と相反することを同時に教えてくれる作品だと思いました。目標を持って努力している人、志半ばで心が折れそうな人はぜひ見てみてください。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です