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映画『コラテラル』ネタバレ感想・解説・考察!様々な解釈ができるラストが良い!男の成長を描いた人間ドラマ

【考察】冷酷な殺し屋ヴィンセントは本当に最後まで冷酷か

「コラテラル」は2004年に公開されたトム・クルーズ、ジェイミー・フォックス共演のクライムアクション映画です。

それまでのさわやかなイメージから一転、トム・クルーズが冷徹な殺し屋という徹底した悪役を演じたことで新境地を開いたと話題になりました。

ここでは映画「コラテラル」の感想と考察を書いていきます。ラストのネタバレまで含んでいるので注意してください。

映画「コラテラル」を観て学んだこと・感じたこと

・2時間でコンパクトにまとまった良作
・クライムアクションと思ったら駄作。これは男の成長を描いた人間ドラマである
・トム・クルーズのイケメン補正でつい冷酷な殺し屋に肩入れしてしまう

映画「コラテラル」の作品情報

公開日2004年
監督マイケル・マン
脚本スチュアート・ビーティ
出演者ヴィンセント(トム・クルーズ)
マックス(ジェイミー・フォックス)
アニー(ジェイダ・ピンケット=スミス)
ファニング(マーク・ラファロ)

映画「コラテラル」のあらすじ・内容

映画「コラテラル」のあらすじ・内容

マックスはリムジンサービスの会社設立を夢見るタクシードライバーです。ある晩、訴訟を控えた女性検事アニーを乗せ友達になったのですが、その後殺し屋ヴィンセントを客として乗せるハメになります。

殺し屋とは知らずに一晩700ドルで5人の暗殺巡りに巻き込まれたマックスですが、ヴィンセントの最後のターゲットがアニーとわかり、マックスはアニーを救うべくヴィンセントに立ち向かいます。

冷徹な殺し屋から人生で必要なことを学んだマックスはアニー救えるのでしょうか・・・。

映画「コラテラル」のネタバレ感想

映画「コラテラル」のネタバレ感想© 2004 Dreamworks, LLC. All rights reserved.

「コラテラル」は2時間弱のクライムアクションですが、最後まで飽きることなく、どうなっていくのか展開が楽しみな映画でした。この作品を未見のまま最後まで記事を読むと、ストーリー展開の魅力が半減しますので、ぜひ映画をご覧になってからお読みください。

ストーリー自体はさほど難しい所がなく、非常にストレートな流れの映画ですので、本記事には難解で複雑な考察はありません。

また、終わり方に納得がいかない方、細かい個所に突っ込みを入れたくなる方が読むと、映画全体の流れを「まあ、そうか」と納得する手助けになるかもしれません。ここでは完全なネタバレを含め感想を書いていきたいと思います。

この映画の良い点は全体的にコンパクトにまとまったストーリー。1点腑に落ちないのはファニングの存在意義

この映画の良い点は全体的にコンパクトにまとまったストーリー。1点腑に落ちないのはファニングの存在意義© 2004 Dreamworks, LLC. All rights reserved.

住む世界も性格も全く違う2人の男が主人公のこの映画。たった一晩の出来事をテンポよくまとめています。クライムアクション映画ですが、その視点で映画のストーリーを追ってしまうと案外矛盾点があったり、設定に無理があったりする個所が出てくるのは否めません。ですがシンプルなストーリー、最後の切れの良い終わり方など2時間で堪能できる娯楽としてきれいにまとまっています。

コンパクトにまとまったストーリーでサクッと観られる点はいいのですが、大きな不満点も1つありました。話はマックスとヴィンセントの「殺人ツアー」を主軸として進んでいきますが、同時に進行する出来事として、刑事ファニングがこの殺人事件を追っていきます。しかも麻薬裁判の証人ばかりが狙われていることに気が付き、刑事の勘で殺し屋ヴィンセントとその依頼人にあたりをつけ、4人目のターゲットの殺人現場でマックスを救いかけます。

ファニング刑事とヴィンセントは、4件目のナイトクラブの現場以前にもマックスの母親の病院のエレベーターで乗り合わせたりして「これは何かの伏線では?」と思わせる場面もありますよね。ファニング役がマーク・ラファロという割と好きな俳優さんなので、この刑事がストーリーにどう関わってくるのか楽しみに観ていたんですが・・・。

なぜか4人目のターゲットの現場であっけなくヴィンセントに殺されます。反撃も銃撃戦もなし。遠くから数発撃たれて終わりなんです。

一体何のためにこのファニング刑事を登場させたのでしょうか。防犯カメラに写っていたタクシー運転手のマックスが暗殺犯だと思われて、FBIやら市警に追われる中、このファニングだけは「何かがおかしい」とマックスの無実を信用していました。なのにストーリーに一切からむこともなく、ヴィンセントと戦うこともなく、あっさり死んでしまいます。病院で2人とすれ違っている偶然まである中で、なぜ何の役にも立たず死んでしまったのか、この点だけはモヤモヤとして残ってしまいました。

映画の冒頭で、ヴィンセントが依頼人の使い走りから資料の入ったアタッシュケースを受け取る場面がありますが、このセリフすらない使い走り役は、なんとジェイソン・ステイサムなんですね。ここまでわずかな出演なら有名人が出ていてもかえって「シャレ」で済むのですが、ファニング刑事の中途半端さだけは本当に腑に落ちなかったです。

【考察】冷酷な殺し屋ヴィンセントは本当に最後まで冷酷か

【考察】冷酷な殺し屋ヴィンセントは本当に最後まで冷酷か© 2004 Dreamworks, LLC. All rights reserved.

ヴィンセントは最後まで冷酷だったという感想が多いのですが、ここでは殺し屋ヴィンセントについて考察してみたいと思います。

ヴィンセントはラストで執拗にマックスとアニーを追いかけ、感情抜きに殺そうとします。マックスとアニーは地下鉄に乗り、車内を逃げまどいますが、ヴィンセントはどんどん近づいてきて2人を追い詰めます。車両間のガラスドア越しに向き合って撃ち合うヴィンセントとマックス。とはいえマックスの方は銃に慣れていないのでやみくもに撃ちまくっている感じですが、偶然ヴィンセントに当たり、恐ろしい殺し屋はあっさり死んでマックスとアニーは助かります。

 

このシーンで、やっぱりヴィンセントは冷酷な殺し屋であり、心が通ったように思えたマックスを執念深く殺そうとしたというのが一般的な感想としてあります。ですが、本当は、ヴィンセントにマックスを助けたい思いがあった?というのは大げさにしても、決して冷酷一辺倒だったわけではなく、無意識下でマックスを殺さずに済むような行動をとっていたのでは?とも思えます。

その理由の1つ目は、4人目のターゲットがいるナイトクラブに向かう車中のシーン。ヴィンセントは「女(アニー)に電話はしないのか?」とマックスに聞きます。「わからない」と答えるマックスにヴィンセントは「人生は短い。明日の朝生きていたら電話しろ。そうしろよ」といいます。マックスは答えませんが、その時不意に車を停車させます。何事かとあたりを見回すヴィンセント。そして道路を横断するオオカミの夫婦だか、コヨーテだかに気が付きます。マックスは安全に2匹が道を渡れるように停車したのですね。

この時、後部座席からマックスを見つめるヴィンセントの目は非常に印象深いです。最初は不思議なものを見つめるような目で、次第に感嘆のまなざしでマックスの後頭部を静かに見つめます。この時流れる挿入歌がまた最高で、これはオーディオスレイブというバンドの「Shadou On The Sun」という曲なんですが、夜明け前の静かな時間帯に、それぞれ全く別のことを思いながら同じ車に乗っている男2人にぴったりの雰囲気で、とってもいいシーンでした。

この時ヴィンセントは、マックスのような生き方を理解できないながらも「この男は自分なりに自分の道を全うして生きてきたのかもしれない」と思ったのではないでしょうか。それはヴィンセントにしてみればつまらない生き方には違いないのですが、やっぱりマックスなりに筋の通った一貫した生き方をしているのだと、そのことに心底驚いた顔をしますよね。

そして静かに曲が流れ、夜明け前の空やパームツリー、タクシーの表示灯などが映ります。それらはマックスが根を張って地道に生きている世界そのものです。殺される側の理不尽さなどは全く意にも解さないヴィンセントですが、ここで初めてマックスという他人が、今までどんな生き方をしてきたのかを目の当たりにして、少なからず衝撃を受けたようにも思います。

 

さらにもう一つ、4人目のターゲットがいるナイトクラブでの銃撃戦の時、ヴィンセントはまるで当然のようにマックスを守ります。もちろんこれはマックスが必要だからという解釈もできますが、その後の会話で「お礼もなしか?」と言っているあたり、親切心というか親愛の情の現れみたいなものだったのではと思います。

また、その後の車中で「どんな風に育ったらそんなハートのない人間になるんだ」とマックスに言われ、ヴィンセントは少なからずショックを受けたような顔になります。歪んでいるとはいえ友情に近いような気持ち(一方通行の独りよがりですが)をわずかに感じはじめたからこそマックスの言葉がこんなに堪えるのではないでしょうか。

ヴィンセントはマックスまで平気で殺そうとする冷酷な殺し屋であるとする説になんとなく違和感があるのは、ストーリーの端々にわずかながらヴィンセントの感情を感じ取れる箇所があるからなのです。

だから最後マックスと撃ち合った時も、無意識の中で手加減しちゃったのかなあ~なんてことも思いました。トム・クルーズの悪役があんまりダンディでカッコいいので、ついつい肩を持ってしまうのかもしれませんけどね。

【考察】最後の最後でやっと主導権を握ったマックス。でも実は最初から主導権はマックスにあった

【考察】最後の最後でやっと主導権を握ったマックス。でも実は最初から主導権はマックスにあった© 2004 Dreamworks, LLC. All rights reserved.

一方、マックスですが、やはり悪役ヴィンセントに比べるとやや影が薄いというか、魅力が少なく思えます。

マックスは優しくて真面目で誠実。女性の語る理想の結婚相手に出てきそうな特徴ばかり持っています。現に女検事のアニーもマックスのやさしさについホロっときちゃってますよね。でもね、アニーは疲れているんです。疲れてるときはこういう男性についホロっと来ちゃいますが、数か月たって元気になれば「何か物足りない・・・」と言って去って行ってしまうのが世の常。アニーだって気力体力が充実している時なら鼻も引っ掛けなかったのではないでしょうか。

というわけで、やっぱりリムジン会社設立の夢は持っていてもヴィンセントの言うように自分で夢をかなえる力は無かったのではないかと思います。マックスもそんな夢は実現しないってうすうす気が付いていた。だから病気の母親に夢を実現したと嘘をついていたのでしょう。

毎日の仕事で忙しいから、資金がたまらないから・・・。そんなさまざまな理由で夢の実現を伸ばし伸ばしにしてきたマックス。唯一の慰めはモルディブ諸島のポストカード。それを見て南国でリフレッシュした気分になる。なんかちょっとケチ臭いというか、やっぱり自分が彼女なり奥さんなりだったりしたら尻を蹴飛ばしたくなるかもしれません。

そこへ乗り込んできたのが行動力・実行力バリバリのヴィンセント。彼の行動力にマックスはタジタジですが、いつの間にやらヴィンセントの行動力が乗り移って、書類ケースを歩道橋からぶん投げてみたり、殺しの依頼主のところで即興で演技をしてみたり、まあ、色々と行動していきます。

 

そして最後の最後、ターゲットの5人目の所に向かう車中で、とうとうマックスがキレます。ヴィンセントに対して「人間として大切な何かが欠けている」と指摘したマックスは「ある夜、目を覚まして思う。夢はかなうことなく年を取りすぎたと。お前は本気でやっていない。」「リムジンの手付け金くらい払ったらどうだ?」とヴィンセントに反撃されます。

もう、本当におっしゃる通り。痛いところを突かれてぐうの音も出ないマックスはここで初めてキレるんですよね。赤信号を無視してぐんぐんスピードを上げていきます。焦る顔のヴィンセント。マックスに銃を突きつけるも「殺せよ、一緒にあの世に行こうぜ」などと言われてしまいどうすることもできません。マックスはこの終盤に来て初めて主導権を握ったんです。

でも実は、主導権は最初からマックスにあったはずだと思いませんか?運転しているのは彼なんですから。言うことを聞かされて仕方なく、なんてずるずるここまで来ましたが、最初からこの行動に出ることもできたはず。マックスの「やろうとしない」性格ゆえにこんなに長引いたわけですよ。そうです。マックスはここでも言い訳というぬるま湯に心地よく身を任せていたにすぎません。

そのことにようやく気付いたのかどうかはわかりませんが、行動はいつでも起こせるということに気が付いたマックス。事件が片付いた暁には、まずリムジンの手付金だけでも払ってほしいものですね。

やっぱりそこは突っ込みたくはなる!クライムアクションとしてはイマイチの出来?

やっぱりそこは突っ込みたくはなる!クライムアクションとしてはイマイチの出来?© 2004 Dreamworks, LLC. All rights reserved.

「コラテラル」は人生の教訓や人間の生き方についてコンパクトにまとめた良作であるだけに設定やストーリーに多少の無理は生じてきます。

特に、ジャンルでいえばクライムアクションですから、そこは綿密な計画をたてろよ!みたいな個所もあります。

だいたい殺しを請け負うのにタクシーって・・・という所から、やや無理が生じるような気がしますよね。運転手がいる時点で目撃者となるリスクは避けられないですし、人相だって乗車した瞬間からバレちゃいます。第一さっそうとタクシーに乗って出掛ける殺し屋なんて見たことないですよね。まあ、殺し屋自体見たことはないですが。

しかも、1人目のターゲットを銃で撃ったのはいいものの、被害者が窓から吹っ飛んで、待機しているマックスのタクシーの上に落っこちてしまうなど、もう完全に初歩的ミスです。1人目ですから夜も早い時間ですし、どうやら現場はマンションのような建物なので相当な数の人に見られてますよ。

 

そして、遺体をトランクに積み込んで屋根についた血をペットボトルの水でサササーっと洗い流し、フロントガラスが割れたままGOですよ。怪しいことこの上ない。無理に解釈するとすれば、ヴィンセントくらいデキる殺し屋なら足がつく間もなくサクサク5人の殺しが完了するってことなのかもしれませんが。

もちろんヴィンセントに出会ったマックスがどう変わっていくかに焦点を当てる映画なので、設定上どうしてもタクシーに乗る必要があったのですが、クライムアクション映画としてその点を突っ込んでしまうと、もうすべてがつまらなくなって最後まで楽しめないので要注意です。そこは「まあ、そういうもんだ」という感覚で観ることをおすすめしておきます。

賛否両論評価の分かれるラストシーンはあっけなさすぎるヴィンセントの死が原因?

賛否両論評価の分かれるラストシーンはあっけなさすぎるヴィンセントの死が原因?© 2004 Dreamworks, LLC. All rights reserved.

映画のラストはマックスとヴィンセントの直接対決となり、結局やみくもに銃を撃ちまくったマックスがヴィンセントを殺すという落ちですが、プロの殺し屋なのにマックスに一発も当てることなく自分が撃たれてしまうのはどうしてなのか疑問が残ります。

もちろんターゲットであるアニーについては本気で殺す気満々だったと思うのですが、もともとマックスは殺すつもりがなかったし、彼はチンピラや刑事は撃ちまくっていますが、狂乱のナイトクラブでも確か一般人は撃っていないんです。そこにヴィンセントなりの美学もあったりするのかな、なんて思います。

 

ヴィンセントは、タクシーに乗り込んですぐにマックスと交わした会話と同じセリフを吐いて死にますよね。タクシーで「ロスでは地下鉄で男が死んでいても6時間誰も気が付かなかった。こんな街が好きか?」という問いかけをマックスにするのですが、マックスに撃たれた死に際に「マックス、地下鉄で死んだ男がいる。でも誰も気づかない・・・。」と言ってこと切れます。

この時、すごくヴィンセントが寂しそうなんですよね。トム・クルーズのイケメン補正も入っているとはいえ。もし自分が脚本家ならマックスに「俺が見てるさ」と言わせたかったですね!その方がなんかちょっと救いがある終わり方なのにと思ってしまいました。この救いのなさが「終わり方があっけなさすぎる」という悪評価の原因なのではないでしょうか。

でも、この映画でもしもヴィンセントとマックスの間に明らかな友情が芽生えたり、ヴィンセントが銃を構えたけれど結局マックスを殺せなかったりするようなベタな展開だったら、きっとものすごくシラけたことは確かです。ヴィンセントはマックスを撃てなかったのかな?どうなのかな?というこの終わり方が、この映画としてはベストだったのではないかと思います。

映画「コラテラル」の動画が観れる動画配信サービス一覧

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※2019年8月現在の情報です。

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