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映画『バーフバリ伝説誕生』のネタバレ感想・解説・相関図!ツッコミながら見る作品?

映画「バーフバリ伝説誕生」のあらすじ・内容

映画「バーフバリ伝説誕生」はインド歴代最高額という巨額の製作費を投じ、インド映画史上初となる数々の記録を打ち立てたマサラムービーで、全2部構成、長編叙事詩映画の前編です。

日本でもムーブメントを巻き起こした「バーフバリ伝説誕生」のあらすじやその魅力、ネタバレ感想、解説を紹介します。

目次

映画「バーフバリ伝説誕生」を観て学んだこと、感じたこと

・突っ込みながら観る映画。決して静かには見られない!?
・観るごとに面白さが増すまれな映画
・インドの奥深さを知るとさらに楽しめる

映画「バーフバリ伝説誕生」の作品情報

公開日2015年
監督S.S.ラージャマウリ
脚本S.S.ラージャマウリ
出演者シヴドゥ/マヘンドラ・バーフバリ、アマレンドラ・バーフバリ(プラバース)
バラーラデーヴァ(ラーナー・ダッグバーティ)
アヴァンティカ(タマンナー)
シヴァガミ(ラムヤ・クリシュナ)
カッタッパ(サティヤラージ)
サンガ(ロヒニ)

映画「バーフバリ伝説誕生」のあらすじ・内容

映画「バーフバリ伝説誕生」のあらすじ・内容

シヴドゥは川で泣いている所を子どものいない夫婦に拾われ、サンガの子として村でたくましく成長しましたが、村を流れる川の滝を登った世界に興味を抱きます。

ある日滝から落ちてきた仮面に興味をひかれ、禁じられたにもかかわらず危険な滝登りに挑みます。

とうとう滝の上の王国「マヒシュマティ」にたどり着いたシヴドゥは、さまざまな冒険を通して王国を揺るがす因縁の対決と、自分自身の思いもよらぬ数奇な運命を知ることになります。

父を裏切り、亡き者としたのはいったい誰なのか。愛と裏切りの復讐劇がここに幕を開けます!

映画「バーフバリ伝説誕生」の感想

ここから「バーフバリ伝説誕生」の考察、感想を解説していきます。

細かいポイントやネタバレを含んでいるので、一度作品を視聴した後に解説をみると、より楽しめる内容になっています。

前半シーン1:引いたら負け。大声で突っ込みを入れながら観ると楽しさ100倍

前半シーン1:引いたら負け。大声で突っ込みを入れながら観ると楽しさ100倍

映画の冒頭部分は、壮大な滝のふもと、高貴な女性が赤ちゃんを抱いて落ち延びるシーンで始まります。おそらく滝の上の土地から逃げてきたと思われる女性は、剣で追っ手をかわしつつ大きな滝つぼを横切って逃げていきますが、足を滑らせて川に落ちてしまい流されます。

この女性は非常に高貴な女性の設定で、ラムナ・クリシュナという女優さんが演じています。まず、とにかくこのお方の激烈な目力が凄い!このシーンでは「シヴァ神よ!私の命を持っていくがよい!しかしこの子は生きねばならぬ!バーフバリ!!」というセリフを残し、赤ん坊を掲げたまま川に沈みそのまま息絶えます。まるでターミーネーター2のラストを思わせるこのシーン「そんなバカなっ!」という言葉が思わず口を突いてでることでしょう。

 

そこに付近の村人達が通りかかり、赤ちゃんを助け出します。村人が川の真ん中まで泳いでいき、赤ん坊を受け取ると、なんとまだ生きているのか女性の手が川の上流の滝を指さし、その後下流へ流されていきます。村人が呆然と見守る中、女性はゆらゆらと流されていきます。

このシーンを見てる人は「助けないのかい!」と心の中で突っ込んだと思います。流される女性に対して誰も気にとめることはなく、今後の映画の展開に必要ない(?)からといってあんな悲しい素振りも見せないのはどうなんでしょうかね…。

そして、その村人たちの中に子供がいない夫婦がいて、妻のサンガは滝の上の世界に赤ちゃんを返さず「私の子にする!」と言い張り滝の上に通じる洞窟を閉ざしてしまいます。これもまた急すぎる話ではありますが、赤ちゃんは「シヴドゥ」と名付けられ、夫婦に育てられます。

バーフバリは物語の序盤からツッコミどころ満載です。とにかく話を進めるためにテンポが早くて、映画の中の話といえ違和感を感じるシーンもわりと多いですが、そこは目を瞑って見進めた方が良いでしょう。

 

母サンガに再三禁止されても滝登りをやめないシヴドゥも、やがて25歳のマッチョな青年に成長します。青年らしい遊びには一向に興味を示さず、毎日毎日滝登りに挑戦するシブドゥ。村の青年たちも「今日もあいつ登るのかな?」「30mが限界だろ~」などとあきれ顔ですが、ひるむことなく滝登りに挑戦します。

毎日毎日しつこく滝を登るシヴドゥですが、滝の高さは見たところ200~300mはありそうです。時には高さ数十メートルから滑り落ち、時には10階建ビル相当の高さから岩肌にたたきつけられ、ありえない角度を飛び越えるシヴドゥには地球の重力は全く関係なし。何十回滝つぼに落下しても生きています。

シヴドゥが滝登りをやめるよう岩に川の水を1000回かける願掛けをしていたサンガに代わり、1トンはあるであろう神の岩を一人で担ぎ上げ、ムキムキの筋肉を存分に見せつけながら川に飛び込み(石ごと!でも沈まない)、振りそそぐ滝の下に置いて「これで永遠に川の水が降り注ぐせ!」ときらり白い歯を見せて爽やかに笑うとサンガは拝み、村が謎の感動に包まれるシーンにももはや驚きませんが遠慮なく突っ込みましょう。そういうノリで楽しむのがコツです。

 

神の岩を滝下に置くと、滝の上から木製の仮面が流れてきます。岩を滝の下に置くとアイテムが落ちてくるというゲームの様な設定ですが、今度はその仮面の顔に恋をしたかのように、毎日飽かず仮面を見て過ごす日々が始まります。

砂で仮面の型をとってゴージャスなロングヘアーを描き足してうっとりとする入れ込みようで、ふと顔を上げると美しい蝶が舞っています。蝶はシヴドゥを誘うように滝へ入ると、蝶の飛んでいく先には謎の美女が背中を向けて誘うように立ち、蝶を体にまとわせて踊りだします。一目見るなり目がハートマークになったシブドゥは美女に誘われるように断崖絶壁の滝を登り始めます。

ここで流れる音楽が印象的でリズムが良いんですよね。インド映画はあまり観ないのですが、ミュージカル映画とも違っていて、ハリウッド映画では観たことのないストーリー構成になっています。そこがツッコミたくなる部分でもあるのですが、「今までにない映画を観たい」という方にはオススメの作品です。

 

余談ですが、この謎の美女の体がものすごく魅力的です。決して太ってはいないのに、うっすら脂肪をまとった絶妙なお体。やわらかそうでふわっとしてて女の私でもお腹のあたりをフニフニしてみたいっ!と思うほど素晴らしい体つき。私的に序盤の一番の見所はここですね。

というわけで、常識外のシーンの連続ですが「ありえない」とか思っちゃいけません。たとえ一人で映画を観ていても遠慮なく声に出して突っ込んでください。それがこの映画を最大限楽しむコツです。

前半シーン2:冒頭に勝る突っ込みどころ!なんておちゃめなシヴドゥ

前半シーン2:冒頭に勝る突っ込みどころ!なんておちゃめなシヴドゥ

映画中盤になるといよいよシヴドゥの抜きんでた神技が光ります。美女は蝶になって消えますが、無事滝の上にいざなわれたシヴドゥは雪景色の山林を歩くうち、兵に追いかけられている女戦士と遭遇します。どうやら女戦士はこの国におけるレジスタンス勢力の一味で、待ち伏せしていた仲間とともに敵兵をばったばったと倒していく女傑なのでした。実はこの女性、滝登りを色香で誘った美女と同一人物のタマンナーが二役を演じています。

女性の色香を集結したような絶世の美女と、たくましい女傑のアヴァンティカは全く同一人物には思えません。メイクの違いでここまで変わるって女性って怖いですね。

ところでこの女優さん、決してアクション女優ではなく普段は完全に美女枠なのでしょうね。アヴァンティカが走るシーンでは失礼ながらちょっとどんくさい!足が超遅いです。それはさておき、表情も変えず敵兵を切り殺していく豪傑ぶりをシヴドゥは陰ながら観察し「なんて女だ」と呆れます。

アヴァンティカのアジトではたくさんの同志が集会を開いています。皆同じお面をかぶって戦う決意の雄たけびを上げます。仮面とはもちろんあの日滝の上から流れてきた仮面です。
ちなみに、このレジスタンス勢力は、どうやら城にとらわれているデーヴァセーナ妃を救出し、祖国を取り戻すことを悲願としているようです。

 

舞台は一転して、王国の武器工場では、工場長であり奴隷の身分のカッタッパが王国に使えています。カッタッパは老人ですが剣の腕では一流で、忠誠心の熱い信頼できる家臣でもあります。

ところが、そんなカッタッパが使える国王バラーラデーヴァは全く信頼には当たらない暴君で圧政を敷いています。カッタッパは、内心は中庭に鎖でとらわれているデーヴァセーナ妃を逃がしたいと思っているものの、忠誠を誓った奴隷という身分上、国王バラーラデーヴァに妃の釈放を進言するくらいしかできずにいます。

 

一方、シブドゥはやりたい放題です。アヴァンティカを一目見た時から気になって仕方ないシヴドゥは、彼女が川に手を浸して眠っている隙に、川に潜って接近しニヤつきながらアヴァンティカの手に鮮やかなタトゥーを施したり、勝手にタトゥーを入れる不届き物を殺そうと、矢をつがえる彼女の背後から忍び寄り、またしても肩にタトゥーを入れたりいたずらの限りを尽くして楽しみます。

アバンティカはまたしてもタトゥーを入れられ「キーーッくやしい!」となりますが、いや、気づかないアンタもどうなのって思わず突っ込みます。兵士としてはかなり優秀なのですが、完璧ではなく抜けている部分もあるということなのでしょうか?映画中盤はとにかくシヴドゥの無駄な神業が光ります。

前半シーン3:雪国?楽園?気候を無視して急展開な二人

前半シーン3:雪国?楽園?気候を無視して急展開な二人

インドのイケメンとして大人気のプラバースですが、この映画の撮影時は身長189㎝、体重85㎏。バラーラデーヴァ国王役のラーナー・ダッグバーティは身長192㎝、体重95㎏で、二人ともこの役のために20~30㎏も筋肉を増やしたんだそうです。インドではマッチョな男性の人気が高いようですね。

カッタッパは深夜にこっそりデーヴァセーナの鎖を切ろうとしますが、妃本人に止められます。「いつかきっと私の息子が助けに来る」と。作中ではこの女性が何者なのかまだわかりませんが、身分の高い高潔な人物であったということがうかがえます。

 

そのころシヴドゥは、森の中でアヴァンティカに見つかり命を狙われます。矢を撃たれながらも必死で自己紹介しつつ滝を登ってきたといいますが、アヴァンティカは問答無用で矢を放ってきます。剣でやり合ううち、いつの間にやら雪景色からの一転、南国楽園チックな庭園に早変わりしています。

なぜ急に楽園!?という視聴者の疑問を置いてきぼりにして、戦いながらもシヴドゥは剣でアヴァンティカの戦闘服を一枚ずつ脱がしていき、とうとうブラジャー的な下着と腰巻だけの姿にしてしまい、アバンティカを憤慨させます。そこでおもむろに滝の下に行き、とりあえずびしょぬれになるシヴドゥ。マサライケメンのキメポーズはびしょ濡れになってからの、首を振って髪の水滴を払う仕草のようです。この仕草、ことあるごとに出てきますので注目してください。滝登りのシーンでも「ここぞ!」という時には必ずこの決めポーズをしています!

 

さらに赤い実を握りつぶし、殺陣の合間にアヴァンティカに唇に塗ると、たちまち滝に誘ったあの時の美女に大変身するアヴァンティカ。なんという強引さでしょうか。我らがシヴドゥも意外とエロいことが判明しました。

美しく変身したアヴァンティカですが、怒りをあらわにしてシヴドゥに襲い掛かり、水鏡に映った自分の美しい姿を見て「え!あたしってこんなにきれいだったの?」とハッとします。おもむろに木の仮面を取り出すシヴドゥ。「私がなくした仮面だわ。それじゃあ本当に滝を・・・?」てなことを言って、すっかり目がハートマークになった後、いきなりの熱い抱擁です。突然の急展開。この時点からアヴァンティカはシヴドゥ大好き。とうとう我らがシヴドゥの魅力に陥落させられました。

映画に深みを与える壮大なスケール!後半の感想

後半シーン:デーヴァセーナを助け出すシブドゥ!彼はいったい何者なのか

後半シーン:デーヴァセーナを助け出すシブドゥ!彼はいったい何者なのか

シヴドゥはアヴァンティカの使命であるデーヴァセーナ妃救出を自分の使命とし、城に潜入します。この頃から、敵兵がシヴドゥを見たとたん「バーフバリ・・・」とつぶやきひれ伏したり、初対面のデーヴァセーナ妃を見たとたん涙があふれたり、シヴドゥにも理解ができないようなことが起こり始めます。

この日は奴隷たちが黄金の国王像を建てる作業をしていましたが、建立中、事故が起きて像が倒れかけてしまいます。危険な状態になった時、奴隷に変装したシヴドゥが一人で像を支えて奴隷たちを助けるシーンでは、シヴドゥの顔を見た年老いた奴隷が「バーフバリ・・・」とつぶやきます。そこからは奴隷たちのバーフバリコールの渦が起こり一丸となって像を建て直すのでした。

ちなみに、このシーンですが1度目に映画を観た時は特に何も思わず、2度目に見たら「おお!やはりバーフバリは死してなお民衆の心に…!」3度目には「うおおおおお!シヴドゥかっちょええ~~~!!」となりました。

 

その後、無事デーヴァセーナ妃を助け出したシヴドゥですが、逃走途中であえなく敵兵につかまってしまいます。王国の武力担当カッタッパが槍を振り上げ走り寄ったその瞬間!今まさに槍を振り下ろすと見せかけてからのスライディング土下座!

やはりというべきか「バーフバリィーーー!!!」とひれ伏すのです。そして、シヴドゥはカッタッパに問いかけます。「俺はいったい何者だ」と。

前半以上の見ごたえ!複雑な相関図も確認!

前半以上の見ごたえ!複雑な相関図も確認!

ここまで映画1作分くらいの見ごたえがある「バーフバリ伝説誕生」ですが、ここからの後半戦はさらに見ごたえがあります。ここからはネタバレ要素が濃くなっていきますのでご注意ください。

それは50年前、シヴドゥの祖父に当たるヴィクラマデーヴァ国王がマヒシュマティ王国を建国したことから始まります。国王には兄がいましたが、左手が不自由な兄のビッジャラデーヴァには人格的にも国王の器がなかったため弟が国王になったのです。

そんなある日、生まれたばかりの赤子を残し国王夫妻はこの世を去ります。国王の座が空席となっていたため、国政は兄のビッジャラデーヴァの妻、シヴァガミ妃が代行していました。

 

この場合、国王が死去したら兄のビッジャラデーヴァが国政を執るのが自然だと思いますが、その嫁さんが執政するとは、ビッジャラデーヴァはよっぽど無能な人物なんでしょうね。この兄は作中にちょくちょく登場しますが、いたるところで小物ぶりを発揮していてちょっと笑えます。

ところで、その時点でシヴァガミ妃にも実の子供がいます。シヴァガミ妃は「我らの子を国王に!」と主張するビッジャラデーヴァを「二人の赤ん坊に等しく王位継承権がある!」と突っぱねます。この肝っ玉母さん、凄いです。自分の子を王様にと庶民の私なんかは真っ先に考えますが、二人を平等に育て、より賢く、より強い方が王になると宣言し2人に帝王学を学ばせて育てます。

バーフバリ伝説誕生の相関図

2人の子の名はバラーラデーヴァとアマレンドラ・バーフバリです。それぞれ同じくらいに賢く、強く成長しましたが、青年になったある時王国に危機が迫ります。それは、部族の小国がマヒシュマティ王国に攻め入ろうとしてくるというものです。シヴァガミ妃は両王子に制圧を命じ、族長のカーラケーヤの首を打ち取った方が王になると宣言します。

この取り決めにより武器は両王子軍に同じだけ分配すること、という決まりが言い渡されましたが、ビッジャラデーヴァは我が子バラーラデーヴァの方にたくさんの武器を分配し、バーフバリにはわずかな武器を与えました。そのことに気が付いたバーフバリは抗議をせず、知恵を絞ってわずかな武器で戦う方法を考えます。

 

いざ戦闘が始まると、両王子の戦い方は対象的でした。戦いに犠牲はつきものと考え人質にとられた民衆を巻き込みながら敵兵を倒していくバラーラデーヴァ。民衆を救いつつ、敵兵を倒していくバーフバリ。そんな戦の様子をシヴァガミはじっと見守ります。

そしてとうとう、首長カーラケーヤをとらえ、今こそ打ち取ろうと剣を構えたその瞬間、離れた位置にいたバラーラデーヴァが鉄球でカーラケーヤにとどめを刺してしまいます。そうです、横取りです。やることがセコい!

バーフバリは一瞬驚いた顔をするものの、討ち取ったのがバラーラデーヴァと知るとにっこり笑って大きくうなずきます。もう、バーフバリったらイケメンすぎるんですよね。

 

このあたりの戦闘シーンの迫力は目を見張るものがあります。CGを駆使して製作されたという「バーフバリ伝説誕生」ですが、本物と区別がつかないほど精密なCG処理というわけではありません。そして、バーフバリの戦い方は鬼神のようであり、現実感が乏しくまるで神話の世界のようです。

その事実を差し引いたとしても、この映画の素晴らしさは壮大なスケールで大迫力の戦闘シーンとバーフバリの強さやかっこよさ、これに尽きます。ぐるぐる回る刃がついたメカチックな馬車に乗るバラーラデーヴァに対して、馬に乗って剣や槍で戦い敵陣に突っ込んでいくバーフバリ。敗戦の色が濃くなり味方の兵が死を恐れて逃げ出し始めたのを、矢に貫かれながらも兵を鼓舞し奮い立たせるバーフバリ。これぞ男の中の男!本当のイケメンです。前半では「なんだこりゃ」と思ったありえないアクションも、いつの間にやら「おおさすがバーフバリ!」と素直に納得していました。

 

戦闘が終わり、シヴァガミ妃の前に進み出る両王子。ビッジャラデーヴァは「バラーラデーヴァがカーラケーヤを打ち取った!王はバラーラデーヴァに決まった!」と叫んで兵たちを見まわしますが、バラーラデーヴァの所業を知っている兵たちはしら~っと白けた雰囲気に包まれます。そこにシヴァガミ妃が進み出て「「バラーラデーヴァの武勇は後世まで語り継がれ、壁画となって描かれるでしょう・・・。バラーラデーヴァは・・・軍の最高司令官に任じます!!」そしてバーフバリは国王に任命されます。

シヴァガミ妃は続けます。「王の真価を図るのは敵を殺す力ではなく、民を救う力です!」このシヴァガミ妃の目力と言ったら!画面のこちらでも思わず触れ伏しました。そして、ここからはもう民衆一丸となってのバーフバリコールですよ。傷付いた兵も年老いた兵も立ち上がり、「バーフバリ!バーフバリ!」と力強く叫びます。いつしか画面の前のわたしも「バーフバリ!バーフバリ!」と叫び出しそうになりました。

そんな非の打ちどころのない英雄バーフバリですが、なぜ死んでしまったのでしょう。シヴドゥの問いかけにカッタッパは答えます。「裏切りによって殺されたのだ。そしてバーフバリを裏切ったのは・・・この私だ。」ここで映画は終わります。狂おしい展開で次作に続いてしまうのです・・・。

知るとさらに楽しい豆知識「ハーフバリ黄金伝説」考察

さて、この映画はフィクションですが、実際にあった場所やインド神話といったインドの価値感と深く結びついています。

予備知識なしに見ても楽しめる「バーフバリ伝説誕生」ですが、知っているとさらに楽しめる豆知識を集めました。

インド神話を知ると映画の奥深さがわかる

インド神話を知ると映画の奥深さがわかる

インドにはバラモン教、ヒンドゥー教、仏教などさまざまな宗教があり、その宗教に結び付いたそれぞれの神話があります。中でもヒンドゥー教はインド国内でも81%前後の信者を抱える宗教です。

作中でたびたびあがめられている「シヴァ」はヒンドゥー教の3つの主神の一人で、ヒンドゥー教の中の一派「シヴァ派」では最高神の地位にいます。シヴァは破壊や再生、創造の神で、作品の中で主にシヴァ神があがめられている点を見ると、憶測ではありますが、この映画の登場人物は主にヒンドゥー教のシヴァ派なのかなと思います。

 

ヒンドゥー教といえば切っても切れないのが「カースト制度」です。ヒンドゥーでは4つに分けた階級をヴァルナと呼び、上の階級からバラモン、クシャトリヤ、ヴァイシャ、シュードラとなっています。(他にアウトカーストであるダリットと呼ばれる人々がいますがここでは割愛します)。

バラモンは宗教を司る最高位、クシャトリヤは王、王族、戦士などの階級、ヴァイシャは豪商含む職人や商人の一部で教育を受けた者、シュードラは労働者である奴隷階級です。かつては結婚、立ち入る場所、居住地などが階級によって制限されていましたが、現代では表向きは差別、または差別的な呼び方を禁じています。ですが、裕福な家庭のメイドや運転手はシュードラの人が従事することが多く、当たり前のように同じ食器を使う、同じテーブルに座るなどを禁じていますし、それが普通の価値観として生きています。

カッタッパはヴァルナの最下層、シュードラの身分なのですね。カッタッパが食事をとっているところに少年のバーフバリが無邪気に近寄って「僕にもチョーだい」というのを固辞するシーンがありますが、それはカースト制度のしきたりが色濃く反映されているシーンです。

 

また、武器工場のシーンで工場長のカッタッパが来賓の武器商人と剣を交え、カッタッパの剣の腕に感服し、ぜひ食事を共にと誘うと「奴隷の身分で来賓と食事など・・・。ご容赦ください」とここでもカッタッパは固辞します。すると「あなたのような大きな工場の長がなぜ奴隷の身分なのだ!」と客が憤慨すると「そうです!間違っています!」と周りの使用人たちが声を上げます。

この映画は、あくまでも前後編の前編で全体像はわかりませんし、複雑なインドの身分制度事情を分析する力はとてもありませんが、少なくともインド国内では近年この制度に疑問を投げかける映画が散見されるところを見ると「バーフバリ伝説誕生」にもそういった視点が入っているのかなと思います。

サンガが水をかけて願をかけた岩が象徴するのは?

前半部分で、シヴドゥの育ての親サンガが滝登りをやめさせるために、シヴァ神と崇められる岩に1000回の水をかけて願掛けするシーンがありますよね。この岩、何を表しているかというと、なんと男根と女性器だそうです!

これはシヴァ・リンガと呼ばれるもので、性交時の様子を子宮内部から見た構図になっています。シヴァ神の本尊としてインド各地で信仰で拝まれているもので、このシヴァ・リンガに香油やミルクを注いでお祈りをするそうです。その象徴を「えいやっ」と持ち上げて滝の下まで運んだシヴドゥ。そういう視点で見ると村人やサンガの驚きが納得できますよね。

凄い迫力のシヴァガミ妃!目で演技するのはインド舞踊由来

冒頭と回想シーンに登場する女傑シヴァガミ妃の目力には、多くの人が度肝を抜かれることでしょう。あの目力でにらまれて「この宣言を法と心得よ!!」なんて言われたら、どんな無茶ぶりだって「はい・・・」というしかありません。

あの強烈な目力、実はインド舞踊のアビナヤという技法のひとつらしいんですね。インド伝統舞踊では非常に重要な表現方法で、体の動きや顔の細かい表情で、表現する感情が決められています。カッと目を見開くあの表情は「戦いに挑む」や「恐れない勇気」を表現していて、インドの俳優さんは習得している人も多いのだそうです。

日本の歌舞伎にも独特な表現方法がありますが、国によって様々な表現があるのですね。

とにかく観るべし!1度目より2度目、2度目より3度目にハマる不思議

とにかく観るべし!1度目より2度目、2度目より3度目にハマる不思議

個人的に、この映画は1度観ただけだとハマり度はさほどではなかったですね。前半部分の「何だこりゃ感」は後半部分で「おお!意外にも壮大なスケールと迫力の戦闘シーン!」という感想にはなりましたが。

でも2回目にはシヴドゥ(マヘンドラ)やアマレンドラの超人的なアクションやイケメンぶりにすっかり魅了され、ちょっと複雑だった人物の相関図もしっかり理解できます。

そして3度目に見る頃にはすっかりバーフバリファン、いえマヒシュマティ王国の民になってバーフバリの復活を心から願い「バーフバリ!バーフバリ!」とこぶしを振り上げる自分に出会えるかもしれません。

まるで連続ドラマのような狂おしいラストで、後編作品の「バーフバリ王の凱旋」も見たくなるハズです!

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