映画「アリータ:バトル・エンジェル」は「タイタニック」「アバター」などの作品で知られるジェームズ・キャメロンが脚本・制作を手がけました。
原作は「ビジネスジャンプ」に連載されていた、木城ゆきとの漫画「銃夢(がんむ)」です。映画はとにかくアクションシーンが多く、映像技術のレベルの高さに驚きました。
今回は映画「アリータ:バトル・エンジェル」を4DXで視聴したので、4DXで視聴した感想やネタバレ解説をしていきます。初めに4DXで視聴した感想を書いていて、そこには映画の内容のネタバレはありませんので、4DXで映画を見るかどうか悩んでいる方はそちらだけ読んでみてください!
目次
映画「アリータ:バトル・エンジェル」を観て学んだこと・感じたこと
・アクションシーンがとにかくカッコいい!
・サイボーグでありながら人間の心を持つステキな主人公
・映像がとにかくキレイ!VFX技術が凄い
映画「アリータ:バトル・エンジェル」の作品情報
公開日 | 2019年2月22日 |
監督 | ロバート・ロドリゲス |
脚本 | ジェームズ・キャメロン レータ・カログリディス ロバート・ロドリゲス |
原作 | 「銃夢」/木城ゆきと |
出演者 | アリータ(ローサ・サラザール/上白石萌音) ダイソン・イド(クリストフ・ヴァルツ/森川智之) ヒューゴ(キーアン・ジョンソン/島﨑信長) ベクター(マハーシャラ・アリ/鶴岡聡) ザパン(エド・スクライン/神谷浩史) |
映画「アリータ:バトル・エンジェル」のあらすじ・内容
2563年、大きな戦争によって地球は壊滅状態になり、大戦後の世界は天空に浮かぶ都市「ザレム」とザレムのゴミが堆積したクズ鉄町「アイアンシティ」に分断されています。
科学者のイドはアインアンシティのクズ鉄の中から少女の頭部を発見し、機械の身体をつけて「アリータ」と名付けます。
サイボーグであるアリータは様々な人と関わる中で人間のような心を持ち、支配するものと支配されるものに分断されたこの世界の秩序に立ち向かいます。
映画「アリータ:バトル・エンジェル」のネタバレ感想
【映画のネタバレ無し】4DXで見るべき!風がとにかく凄い!
「アリータ:バトル・エンジェル」を4DXで視聴しましたが、とにかく風が凄くて疾走感があり、自分自身が映画の中の映像とリンクしている様な感覚になりました。
私が視聴した映画館では4DXのチケットの値段が3,300円(3Dメガネ付き)だったので、通常の料金より値段が高くなってしまいますが、座席の揺れや振動、風や香り、水、熱などのギミックを体感することができ、個人的には満足でした。
4DXのシーンが際立つのが「モーターボール」のシーンです。モーターボールとはアリータたちが住むクズ鉄町で流行っているスポーツで、コースを走りながらボールを奪い合うモータースポーツです。
このレースはジェームズ・キャメロンが映画の中で一番描きたかったシーンだった様で、力の入れようが凄いです。レースのシーンで吹く風が強く、自分がレースを走っている様な気分になります。
最近公開された映画「アクアマン」も4DXで視聴しましたが、アクアマンは海中や水のシーンが多かったので、水のギミックが多めに使われていました。「アリータ:バトル・エンジェル」では水のギミックが使われることは少なく、風のギミックが多めに使われていましたね。
座席が動いたり振動したりでアトラクションに乗った様な感覚になるので、視聴後は少し疲れてしまうかもしれませんが、4DXで視聴する価値は十分にあります!
以下の内容からネタバレを含む感想・解説になるのでご注意ください。
アリータの目が大きくて怖い?徐々に可愛く見えてくる
「アリータ:バトル・エンジェル」の予告を見た時は「アリータの目が大きくて不気味」と感じましたが、実際に映画を見るとあまり違和感を感じないんですよね。
アリータはサイボーグなので、人間と機械の違いを出すための要素の一つだと思うのですが、アリータはフルCGで描かれているわけでなく、役者さんの動きや目線、演技にプラスしてCG加工をしているので、違和感を感じながらも人間ぽさがあります。
そして、この人間ぽさが描かれたシーンが随所にあります。お腹が空いてオレンジやチョコレートを美味しそうに食べるシーン、涙を流すシーン、ヒューゴに恋をするシーンなんかは人間の少女と変わりません。(アリータは実際300年以上前に作られています。)
サイボーグであるアリータにも「優しい人間の心」があるシーンが描かれることによって、徐々にアリータが可愛く見えてきます。
話は変わりますが、500年以上先の未来でもチョコレートやオレンジが食べられていて、美味しいと感じるシーンは良いですよね。きっと時代が変わったとしても、人間の味覚だったり、美味しいと思う食べ物は変わらないんだろうなぁと感じました。
アクションシーンがとにかくカッコいい!
イドに修理されたアリータは記憶が一切無く、自分がどういう存在なのか分かっておらず、敵と戦う中で少しずつ記憶を取り戻していきます。
そして、彼女は300年前の対戦で失われたテクノロジーで作られた最強兵器であることが判明し、パンツァークンストと呼ばれる格闘技術を身につけているため、とにかく身体能力が高くて強いです。
このパンツァークンストは気(気功)を使った武術の様なのですが、劇中ではそこまで多く語られていませんでしたね。原作の「銃夢」にも出てくる様なので、原作をチェックしてみたいところです。
アリータがベクターの配下にあるグリュシュカを倒すために、ハンターウォーリアが集まるバーで仲間を募るシーンがありますが、ザパンがアリータにボコボコにされたことで、可愛らしい見た目の少女にみんなビビってるんですよね。イカツイ賞金稼ぎ達がアリータに次々倒されていくシーンでは、彼女の強さが描かれています。
そして、倒すべき敵であるグリュシュカが自らバーに現れますが、ハンターウォーリア達は「彼には賞金がかかってない」と言って協力をしません。これもただビビっている様な気がしました。ハンターウォーリアはザパンといい、卑怯で汚いやつが多いんですよね。
ただ一人、アリータがグリュシュカにやられそうになった時に、イドとヒューゴと共に助けにやってきた、イヌ使いのハンターウォーリアのおっちゃんがカッコ良かったです。
アリータとヒューゴの関係性、様々な愛が描かれる
アリータはヒューゴに初めて会った時から好意を持ち一目惚れをします。どこに出かけても楽しそうなアリータを見ると、人間の少女と変わらないんですよね。
アリータがイドに対して、サイボーグが人間を好きになることについて尋ねるシーンがありますが、最強の戦士でありながら恋に悩む姿はギャップがあって可愛らしいです。人間であろうとサイボーグであろうと、誰かを好きになる気持ちの素敵だと気付かされます。
そして、アリータがヒューゴの事を好きなのと同じくらい、ヒューゴもアリータのことを愛しています。
ヒューゴはお金を貯めてザレムに行こうと考えていますが、アリータは自らの心臓を差し出し、心臓を売ってお金にしてと言います。これに対してヒューゴはキッパリと断ります。強い彼女を利用しようとする素振りは一切無く、純粋にアリータのことを大事に思い、愛していることが分かるシーンです。
アリータとヒューゴのキスシーンもロマンチックで素敵でした。
また、ヒューゴは裏でモーターボールで使用する部品をサイボーグから強奪していますが、アリータと出会った事でこの悪行をやめることにします。心から愛する人を見つけて、ダメな自分を変えなきゃと思ったのでしょうね。
ヒューゴが心変わりをした様に、イドの前妻で敵のベクターと共に行動をするチレンもアリータがピンチの状態の時に手助けをします。
アリータが亡くなった自分の娘に重なったというもありますが、アリータの真っ直ぐで素直な優しい心には、人を変える不思議な力があるんですよね。最強の少女であり、優しい心を持っているのがアリータの魅力です。
【解説】ザレムの住人や社会については描かれない。続編はある?
「アリータ:バトル・エンジェル」の映画の様に、支配する者と支配される者、富裕層と貧民など、2つに分断された世界を描いたSF映画は多くあります。
こういった映画の主人公は必ず支配される側の住人であり、最後には支配する側を打ち負かして平等な世界に戻るという結末が多いです。そして、支配する側の世界がいかに優雅で豊かな生活を送っているかが描かれることが多いのですが、この映画では支配する側のザレムの詳細が描かれません。
空中に浮かぶザレムが描かれるだけで、内部を映したシーンは無く、ザレムからアイアンシティに来た人の話を聞くことはできますが、どんな社会でどんな人たちが暮らしているかが分からないんですよね。
最後の最後にザレムの社会の様子が明かされたり、ザレムが崩壊するのか?と思いながら見進めていましたが、最後の最後にザレムを支配するノヴァの顔が映し出されるものの、支配する側と支配される側の関係は変わらないままです。
これは漫画が原作であり、今回映画化されたのは漫画の1巻〜4巻までの内容だからというのもあります。ラストのシーンはザレムからモーターボールを鑑賞するノヴァに対し、モーターボールでスターになっているアリータが刀を掲げるシーンで終わります。「そこで待ってろよ」というアリーたの強い意志を感じます。
内容的には続きが制作されることが予想されますし、続きが気になる終わり方で個人的には原作漫画である「銃夢」を購入したいなと思いました。私と同じ様な事を思った人は多いのではないでしょうか。
2作目が制作されるかどうかは映画の興行収入にもよると思うので、多くの人にぜひ観て欲しいですね!ジェームズ・キャメロン監督が脚本を手がけたというインパクトは強いですし、人間の様で人間じゃない主人公の姿は今までの映画にあまり無く、アクションシーンもカッコいいので映画を観たいと感じる人は多いと思います。
世界的にも好スタートな様なので、2作目に期待したいですね!
モーターボールの試合が映画の一番の見所!
前述した様に、この映画は2つに分断された世界を描くものの、世界の秩序は変わらないままラストを迎えます。
この映画がシリーズ化することを考えると、「2つに分断された世界を変える」というのはシリーズを通しての結末であり、「アリータ:バトル・エンジェル」という映画を単体でみてみると、「2つに分断された世界を変える」よりも色濃く描かれている(一番描きたかった)のは「モーターボールの試合」の様な気がします。
未来の世界を描くSF映画では、その世界や物、人々などは全て想像のものです。その想像の世界で流行っているスポーツもまた想像のものなので、初めてみるルールやスポーツの迫力に圧倒されます。
スポーツといってもモーターボールは命をかけて戦うバトルシーンが多く、とにかく疾走感が半端ないです。
ちなみに、モーターボールの試合を盛り上げる実況アナウンサーがいるのですが、吹き替えの声は古舘伊知郎が務めています。実況が上手いのと同時に、古舘伊知郎はザレムじゃなくてアイアンシティの住人か…と思うとクスッときました。
アリータとヒューゴの別れのシーンがつらい…
ザパンの罠にハマり、人殺しの罪を被せられたヒューゴでしたが、アリータとチレンのおかげでヒューゴはサイボーグの体を手に入れ、何とか命を繋ぎました。
サイボーグの身体を手に入れたヒューゴは工場の管を伝ってザレムに向かおうとしますが、アリータは過去の記憶で管に設置された大きなスパイクが着いた防御リングの存在を知っていて、ヒューゴを止めに行きます。
何とか説得して一緒に管を降りようとする2人でしたが、その場面を待っていたかの様に、ノヴァにとっては最高のタイミングで防御リングを発動します。ノヴァという人物は人を殺すことに何とも思いませんし、ただ殺すのではなく殺人を楽しむ様な人物で、とことん嫌な奴なんですよね。
防御リングを避けきれなかったヒューゴは身体がバラバラになり、管にぶら下がりながらなんとか腕を掴むアリータですが、徐々に腕が千切れていってしまいます。1度はヒューゴの死を覚悟したものの、サイボーグの身体で何とか命を繋ぎ、ヒューゴと再開できてすぐにこの状況になってしまうのは何とも切ないです。
腕を掴んだ時は何とか助かった!と思いましたが、徐々にちぎれていく腕にアリータは絶望します。そして、ここでヒューゴは自分が死ぬ事を覚悟してアリータに感謝の気持ちを伝えるんですね。
最後の最後まで「助けてくれ!」と言いながら死んでいくのでは無く、自分の命が尽きる事を受け入れ、アリータが自分を助けてくれた事に感謝を伝えます。この場面では、出会ってくれた事や自分を好きになってくれた事への感謝、今までの思いで全てへ感謝した様に感じました。
このシーンは切ないながらも、アリータの「2つに分断された社会を破壊する(ノヴァを倒す)」という気持ちをさらに強固にさせることになります。この出来事がきっかけで、アリー田はさらに強くなった事でしょう。
そして、ザレムから見つめるノヴァに対して地上から刀を掲げ、まるで宣戦布告するかの様なシーンに繋がり終わるわけですね。本当に続きが気になる作り方をします。
映画「アリータ:バトル・エンジェル」の声優が素晴らしい
主人公のアリータは「君の名は。」で主演の宮水三葉役を演じた上白石萌音です。芸能人とプロの声優の方では少し違和感を感じることもあったりするのですが、とにかくアリータの表情や感情に声がリンクしていて素晴らしかったです。
そして、ヒューゴの声を演じるのは島崎信長です。とにかく声がカッコよくて、アリータとヒューゴのキスシーンでは良い声も合間って、ロマンチックな雰囲気になります。
アリータに敵対心を持つザパンの声は神谷浩史が演じています。個人的には「進撃の巨人」のリヴァイを彷彿させる様な冷めた声を演じ、ザパンの冷酷で非道な性格と声が合っていました。
プロの声優の方達を起用しているので、字幕ではなく吹き替えで見るのもオススメします!
「アリータ:バトル・エンジェル」は映像技術も素晴らしく、アクションやそれに関わる人々の心、愛を描いた作品です。
アニメや漫画的なバトル要素が多く、ゲームの様なシーンも多いためアクション好きにおすすめのSF映画です!ぜひ視聴してみてください。