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映画『インターステラー』のネタバレ感想・解説!宇宙を描いた超本格的なSF映画

映画「インターステラー」のあらすじ・内容

映画『インターステラー』はクリストファー・ノーラン監督によるSF映画です。

天才科学者と気鋭の監督が生み出した宇宙には、言葉では表現するのが難しい程の素晴らしさがありました。

今回はそんな『インターステラー』の個人的な感想やネタバレ解説を書いていきます!

目次

映画「インターステラー」を観て学んだ事・感じた事

・21世紀の学問が完璧に生かされていた。並みのSFとは格が違う
・とんでもない大風呂敷を、たった三時間で回収した手腕にはアッパレ!
・科学描写が濃密だからこそ、小学生にだって観て欲しい

映画「インターステラー」の作品情報

公開日2014年
監督クリストファー・ノーラン
脚本クリストファー・ノーラン
ジョナサン・ノーラン
出演者ジョセフ・クーパー(マシュー・マコノヒー)
アメリア・ブランド(アン・ハサウェイ)
ニコライ・ロミリー(デヴィッド・ジャーシー)
マーフィー・クーパー(ジェシカ・チャステイン、マッケンジー・フォイ、エレン・バースティン)

映画「インターステラー」のあらすじ・内容

映画「インターステラー」のあらすじ・内容

そう遠くない未来の地球。数々の異常気象によって、人類は存亡の危機に瀕していました。自然災害によって深刻な食糧難に見舞われていたのです。

主人公のジョセフ・クーパーはそうした状況から、意志に反して農業をやらされていました。

そんなある日、娘のマーフィーの部屋で怪現象が発生します。その暗号を解いたことが、ヒトの命運をかけた惑星間(インターステラー)航行の始まりとなりました……。

映画「インターステラー」の感想

ノーベル賞受賞者も関わった超本格科学映画

ノーベル賞受賞者も関わった超本格科学映画© 2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures Corporation.

『インターステラー』の原型は、そもそもキップ・ソーンという人物によるものでした。このソーン博士、実は2017年にノーベル物理学賞を受賞するほどの天才!最終的にも彼が科学コンサルタントを務めたこともあって、そんじょそこらの「本格」という表現では生ぬるいほど真に迫ったSFになっています。まさにガチです。

脚本を書いたジョナサン・ノーラン(監督の弟)も、執筆に伴いカリフォルニア工科大学で相対性理論を学ぶという気合の入りよう。その上で、莫大な製作費からワームホールの内部やブラックホールそばの惑星、ブラックホールそのものを描写してくれますから、まったく見たこともないような映像を叩きつけてきます。

「こんなこと本当にあるのか?」なんて思う余地を与えないような、重厚な科学の姿を見ることができる!紛れもなく、それが『インターステラー』の魅力でしょう。安心感が違います。

難しいからこそ、未来を担う子供に見せたい

難しいからこそ、未来を担う子供に見せたい© 2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures Corporation.

「子どもには子ども向けのものを」という風潮が、日本にはあると思います(この国だけのものか、それとも外国もそうなのかはわかりませんが)。子どもは朝のアニメや特撮ドラマを観て、任天堂のゲームやスポーツなど、直感的にわかるものをやっていればいい、というものです。

しかし、なんらかの分野をクローズアップした作品が、子どもの夢を大きく膨らませるということもありますよね。『キャプテン翼』や『スラムダンク』でスポーツを始めたり、『ブラックジャック』で医者を志したり、『信長の野望』で日本史の研究を始めたりといった話は、もはや珍しくもないでしょう。

21世紀に入ってからも、大河ドラマや『刀剣乱舞』の影響で日本史ブームへの関心が高まったという話はかなり有名です。もし『Fate』シリーズで西洋史学者、『逆転裁判』で弁護士、『けものフレンズ』で生物学者を目指す人が現れていたとしても、もはや驚くことではないでしょう。

映画「刀剣乱舞」のあらすじ・内容
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そしてそういった作品の中には、ディテールが並みの大人にもわからないようなものが含まれています。それこそ『ブラックジャック』は手塚治虫が若い時に医学生だったこともあって、手術の描写は非常に高度です。具体的に主人公が何をやっているのかは、実は素人にはよくわからないこともあります。今なお決着のつかない安楽死の問題を、哲学的に問いかけてくることすらあります。また『信長の野望』や『刀剣乱舞』『Fate』だって、高校の日本史・世界史の範囲よりはるかに深いところを突いたりしています。

そういった部分は必ずしも理解する必要がない場合が大半を占めています。すべて理解していなければ楽しめないのなら、『ブラックジャック』は医療従事者しか読めないことになりますからね。それでも理解しようとしたときは、時間をかけて調べることが、夢の道しるべになったりもするものです。

 

その点で言えば、『インターステラー』が物理学の扉を開くことも十分ありうるでしょう。先述したように、本作はノーベル物理学賞受賞者までもが製作に関わったほどの本格科学作品です。素人にはよくわからない用語・概念も数多く飛び出しますが、むしろそれは学術的である証拠でもあります。本当の物理学に子どもが触れるきっかけとして、本作を利用するのは、かなりオススメです。

……一応気を付けるべき点としては、やはりその長さでしょう。およそ三時間あるので、十歳未満だと一度には観きれないと思われます。また、「これどういう意味?」と訊かれても答えられない部分ばかりであることも、覚悟が必要です。

地球のヤバさも残った希望も最新鋭

地球のヤバさも残った希望も最新鋭© 2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures Corporation.

地球になんらかの問題が起きたために、人類の住処を地球外に求めるようになった……という作品は、すでにいくつもあります。けれど時代を経たことで、今ではそれらの非現実性が明らかになってしまったものもあります。

たとえば『ブレードランナー』は、度重なる都市開発や核実験によって人為的に荒廃したとされていました。けれど今のところは、それほど深刻になるほどの開発が行われる気運はありませんよね。その原作小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』では第三次世界大戦が勃発し、その影響が濃いということになっていましたが、これも起きることはなさそうです。『機動戦士ガンダム』だと人口爆発が進みすぎたために人を人工衛星に移住させていましたが、コストを考えると海を埋め立てたりした方がずっと安上がりです。合理的に考えれば考えるほど、「地球に住むことを辞める」という選択肢に現実味がなくなってしまったんですね。

 

『インターステラー』はそこをうまく回避しています。本作では、人間が太刀打ちできないほどの砂嵐と疫病によって、極度に深刻な食糧難が発生したという設定になっています。もしも新型のウィルスが世界中の植物を枯らしてしまい、かつ抗ウィルス剤が開発できなかったとすれば、ほぼすべての人間は死んでしまいます。現実に起きたら生物学者に頑張って欲しいところですが、想像はできますね。

結果として作中の人類は余剰作物をほとんど作れなくなってしまい、大多数が農業をする必要に駆られています。育てられるのはオクラ等のごく一部だけということですから、味気ないものです。「腹が減っては戦はできぬ」の言葉通り、軍隊も解体しているというのがまた重大さを物語っています。すでにジャガイモや小麦等も死滅しているということで植物の数自体が減ってしまい、酸素供給量さえ危険でした。

こうした、メインテーマにない設定まで学術的に考え抜かれているのが、『インターステラー』のスゴいところ!「大がかりな設定が好き」という人も満足できること請け合いです。

名脇役のお手伝いロボ

名脇役のお手伝いロボ© 2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures Corporation.

主人公たちの宇宙飛行には、かつて海兵隊で使われていたというAI搭載ロボット・TARSが同行します。コイツ(彼?)がまたいい働きをしてくれます。その性格はとても陽気で、ジョークまみれ。人類の存亡がかかっているということで宇宙飛行士たちは否が応にもピリピリしていますが、TARSがそれを時折和らげてくれます。

『2001年宇宙の旅』のロボットはまったくいけ好かない態度でしたが、まるで違う気さくさです。

 

けれどふざけるばかりではなく、人間が危険なときには全力で救出に向かったりします。そのときの動きが必見!平時でさえところてんのように奇妙なフォルムをしているのに、動き方はそれ以上に独特です。

ネタバレになるため書けないというのもありますが、百聞は一見に如かずとはまさにこのこと。絶対に見たことがない、衝撃的なロボットの動きをしてくれます。

【解説】なんとなく知っている概念を学び直させられる

【解説】なんとなく知っている概念を学び直させられる© 2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures Corporation.

本作の特徴として、理論物理学のさまざまな用語がポンと使われることがあります。それらは必ずしも知っている必要はなく、雰囲気さえ掴めていれば特に問題なく視聴が可能です。

だからこそ、一般的な認識が覆されることがあるのも確かです。ここでは、そういった用語を少し詳しく解説します。

タイトル「インターステラー」の意味

「インターステラー」は「星と星の間の〜」を意味する英単語です。形容詞なので、ふつうはなんらかの名詞を伴って使われます。劇中でもブランド教授から娘へのビデオレターの中で「interstellar travel」という風に使われていました。

interは「何かと何かの間」を表す接尾辞で、インターナショナル(国と国の間=国際的)、インターハイ(inter high school)などと同じ使われ方ですね。stellarの方は「星の〜」を表します。ラテン語由来ということもあってか、starよりも使われることは少ないです。

ワームホール

定められた他の場所へのワープを可能にする存在です。時空が歪んでおり、平時の空間のような距離感が狂っているわけです。ホールという名前から、トンネルのような黒い穴としてのイメージが定着していますが、必ずしもそうではありません。作中でも、ある座標とある座標を丸い点で繋いでいるために球のように見えるという描写がなされていました。

もっとも実用的なワームホールはいまだ確認されていないため、万が一今後発見された場合にこうした姿をしているかは一切不明です。

冬眠カプセル

数限りないSFで使われてきた概念ですが、ブラックホールやワームホールほど一般的ではないと思います。これは文字通り、人工的に人間の体温を低下させ、冬眠を促す道具です。

冬眠中は細胞の活動が低下すると同時に、カロリーや酸素の消費も抑えられることから、寿命・運搬物資の両面で宇宙航行に必要とされています。光の速度で飛行できたとしても、星から星への距離は何年もかかるほど遠いですからね。光よりも速いものが観測されていない以上、それこそ人の手でワームホールが完成できない限りは、この人工冬眠が宇宙航行のカギになっています。

ブラックホール

なんでも吸い込むものというのが一般認識かもしれませんが、違います。ブラックホールはとてつもなく強い重力のカタマリです。周りのあらゆるものを自分の方向に引っ張ってしまう存在です。

吸い込むだけならどこかに出て行ったり、分解されたりしますが、ブラックホールに飲まれたらどんなものでも消失してしまい、外部から観測されないとされています。

特異点、事象の地平面

ブラックホールに関する言葉です。ブラックホールは中心(または中央部のリング)に近づくほど重力が強くなり、遠のくほど弱くなります。中心には無限の重力をもつ特異点があるとされています。

そして、光さえ呑まれてしまうほど強い重力があるかどうかの境界線が、事象の地平面(イベント・ホライズン)と呼ばれています。

「生々しさ」の映し方はちょっと少ないかも?

「生々しさ」の映し方はちょっと少ないかも?© 2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures Corporation.

のちにノーラン監督が手掛けた『ダンケルク』もそうでしたが、主要人物の表情に若干厚みが乏しかったようにも思えます。主人公は終始同じような顔をしており、周囲のキャラクターも比較的日常的な反応に収まっていたように見受けられます。マーフの子役(マッケンジー・フォイ)だけはかなり鮮やかに演技をしていましたが、どうにも「役作り」というものが見えてこなかった印象です。

ただここは、賛否両論あるところでしょう。理由の一つとしては、作品全体のバランスの問題があります。終始SFの超大作として描かれる本作において、お金やアイデアや時間が割かれているのはやはり「広大な地球の外側の描写」です。そこに注目させるべく、人物の描写をやや薄味にすることで調和を図ったようにも思えます。宇宙とマシンと惑星と人間とが全部主張し合っていたら、さすがに画面がうるさくなる可能性もありますからね。わざとこうしたのだとしても不思議はありません。

 

また、外宇宙を描いた映画の系譜として、キャラクターを無機質にさせていたとも考えられます。同類として最も有名な映画『2001年宇宙の旅』は、人間も機械もなかなか表情が読みづらくされていました。何を考えているかが読めないということが、妙に「未知らしさ」を意識させる……そういった部分があったのは確かです。

言い換えれば、安易に感情をさらさないことが、(アクションに頼らない)SFらしさを増している、ということになります。

そうは言っても、映画に力強い演技力を求める方もいるでしょう。その場合、『インターステラー』はやや物足りないかもしれません。人間主義的ではなく、文字通りに次元が違うほど、広大な宇宙が舞台なのだということを意識して観ると良いでしょう。こと宇宙の描写という点で言えば、本作が期待を裏切ることはありません。絶対に!

【ネタバレ】重力の影響はどれほど大きいのか【解説】

【ネタバレ】重力の影響はどれほど大きいのか【解説】© 2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures Corporation.

本作では一貫して、重力が重要なファクターになっています。物語の始まりもマーフの部屋の重力異常であり、途中でもたびたび話題に上がっていました。それだけ物理学の中で重力というものが重要視されているということを暗示しているようでもあり、興味深いです。

特に印象的なのは、ミラーの星での一件でしょう。水に覆われたこの惑星では、地球とはまったく時間の流れが違うとされています。この星での一時間は地球の七年に相当するというのですから、とんでもない違いですね。

実際、それによって主人公一行はトラブルに見舞われることにもなります。この理屈を説明する上で必要になるのが、あの相対性理論。原理を説明するととてもこのページだけでは足りない、アレです。ただこれも、地球の三割増しという重力のせいであると言われてもいます。

 

あまり注目されていませんが、この惑星の環境を物語る演出がもう一つあります。それはあの大波!いったい高さ何百メートルあるのかと思わせるほどのものでしたが、これも決して荒唐無稽なパニックの演出ではありません。ミラーの星だからこそ発生したものでした。

そもそも地球での波はどのようにしてできているかを考えると、納得できると思います。もし地球の重力が他の何かからの影響を受けなかったら、海水が自然に持ち上がるはずはありません。しかし現実には、月の重力に海水が引っ張られることによって波が発生しています。月まではそれなりの距離があり、かつ地球寄りも小さいがゆえに重力が弱いにもかかわらずです。重力はそのような形で、相互に作用することがありえるわけです。

 

ここでもう一度ミラーの星の環境を考え直してみましょう。あの惑星の重力は、地球の三割増しでした。それだけなら、水が惑星から持ち上がることはなかったはずです。それにも関わらず波ができたのは、地球にとっての月に代わる存在があったから。お気づきの通り、途方もなく強い重力をもつブラックホール・ガルガンチュアがこれにあたります。地球よりも大きな惑星の重力と、月とは比べ物にならないガルガンチュアの重力……スケールの違う二つの力がせめぎ合えば、地球では絶対にお目にかかれないビッグウェーブもできてしまうんですね。新鮮でもありスマートでもある、なかなかニクイ演出です。

もっとも、こういった理屈がわからなくても、「デカイ波来た!ヤバイ!」と素直に驚けるように作られているのが、『インターステラー』のスゴイところ。製作陣には脱帽です。何よりその後のやるせなさ、絶望感もまた新しいのがたまりませんね。

【ネタバレ】ラザロ計画とはなんだったのか【解説】

【ネタバレ】ラザロ計画とはなんだったのか【解説】© 2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures Corporation.

序盤におけるブランド教授の説明では、人類を救う計画には二つのプランがありました。プランAは人が住める惑星を見つけてそこに移住するというもの。地球に生きる人類を地球から逃がす、文句なしに人を救うための計画です。

一方プランBは、パック処理した人間の受精卵を人工的に疑似出産するというもの。こちらはあくまで人類という種を別の惑星でが繁殖させるだけで、いま地球にいる人のことはまったく考えていません。なのであくまで保険であるという説明が為されていました。

 

しかし物語の後半になって、プランAが実は実現不可だったという話が飛び出します。物語の序盤では、計画に必要な方程式が解けていないことになっていました。けれど主人公一行が仕事を済ませるまでにはこれを解き終えてみせる……これがブランド教授の言い分でした。

彼はウソをついていたのです。本当は方程式は解けており、ブラックホールの内部データがなければ解決できないことが判明していたのです。とはいえ上記のように、イベント・ホライズンの向こう側は光さえ抜け出せないほど強い重力に満ちています。外側からデータを採取する手だてもなければ、内側からデータを送ることもできません。ゆえに人類にはどうしようもありません。

それでも人を生かすため、プランBの実現を前提に人材を投入しました。ただしプランBに魅力を感じる人はいないため、あたかもAに希望があるかのように見せかけ、かつBはついでのように思わせる必要がありました。そして実際、ブランド教授の遺言やマン博士の救助がなければ、そのままBだけが実行され、地球の人類は滅ぶはずでした。(罪の意識があったのか、最期になって打ち明けてしまいましたが)

 

その後プランAが不可能だと知った主人公一行は、さっさと地球に戻ろうとします。しかしマン博士だけはプランBを実現させるべく、強硬策に出ました。説得が不可能と直観したため、主人公を騙してしまおうと考えたんですね。

結果ロミリーは倒されてしまったものの、機械の都合で自滅するのでした。

【ネタバレ】時間を超越する斬新なラスト

【ネタバレ】時間を超越する斬新なラスト© 2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures Corporation.

マン博士の自滅後、主人公とブランド博士はなんとか母船とドッキングして生き延びますが、燃料を浪費した上にブラックホールに捉えられてしまいました。二人は地球への帰還を諦めながらも、ブラックホールの重力を利用(重力ターン)することでブランド博士を別の惑星に飛ばすことにします。

燃料の事情もあり、ブランド博士と最低限の荷物以外はブラックホールへ置き去りに。主人公も同じように吸い込まれ、事象の地平面の内側へと落ちていきます。

存在が重力に押しつぶされると思いきや、ワームホールを造った五次元的存在の「彼ら」の導きで、主人公も五次元的コミュニケーションを手に入れます(ただし、主人公は「彼ら」が五次元を操作する技術を得た未来の人類だと推測しています)。三次元をである空間が二次元平面を飛び越え、四次元を司る時間が三次元を超越するように、五次元である重力は時間を渡ることができます。それによって主人公は過去のマーフへと、本棚で言葉を伝えていきます。過去の主人公自身を引き留めることには失敗するものの、時計を介してブラックホール内部のデータを送信することには成功しました。

内部データがあれば、解決不可能だったプランAを解きなおすことができます。マーフがそれをこなし、最終的に人類は土星の軌道上のコロニーに移住を果たします。その中で主人公は、自身よりはるかに年老いたマーフとの再会を果たすのでした。

【考察】人間は次元を超えられないのか?

【考察】人間は次元を超えられないのか?© 2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures Corporation.

本作の人々は何度も重力に翻弄されながらも、最終的には重力によって人類を救うことに成功しました。三次元的存在に過ぎない我々は、五次元には太刀打ちできないかのようにも思えます。しかし作中でブランド博士は、重力の他にも時間を超越するものがあると発言しました。人間の愛は科学で解明できていないが、時間を超えると言うのです。そして『インターステラー』の展開は、愛が人を正しく導いていたという解釈も可能になっています。

劇中での愛というと、ブランド博士とエドマンズ、主人公と娘の結びつきが象徴的です。主人公の方は言わずもがな、二人が時計で通じ合ったことで人類は救われました。一方のブランド博士の方も、それをにおわせています。

というのは、ラストシーンにおけるエドマンズの星の描かれ方にあります。そこでのブランド博士は、ヘルメットも外してごく普通に過ごしていました。プランBを進めているのであろうテントも、照明が十分点いており順調そうです。つまり、人類が移住するのに文句なしの環境が整っていると考えられます。結果的に言えば、ワームホール通過後にミラーの星もマンの星も無視してエドマンズの星へ向かっていれば、より多くの人が救われていたということにもなります。

 

しかし中盤、主人公たちはブランド博士の言う愛の導きを否定し、他の惑星に行ったことでかなりの犠牲を払うことになりました。合理性を無視して愛に従っていれば、クルーや一部の地球人が救われていた可能性が非常に高いのです。さらに、隣人愛のないプランBを推進したブランド教授やマンは、どちらも途中で死んでいます。プロット上絶対必要な処置だったとは言い切れず、作為的なものを感じさせます。

ある種の深読みであり、決して絶対的な見方ではないことは、筆者も承知しています。しかし、時には難しい論理を捨てて愛を重んじることが、より正しい道へと導く……ノーラン兄弟がそんなメッセージを伝えようとした可能性もあると思うのは、私だけでしょうか。

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