映画「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生(ファンタビ2)」は世界中を虜にした「ハリー・ポッター」シリーズの前日譚的作品の続編となっています。
ホグワーツ魔法魔術学校の教科書「幻の動物とその生息地」を執筆したニュート・スキャマンダー教授が主人公となっており、今作ではアメリカ、イギリス、パリを訪れます。
今回は映画「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」の個人的な感想やネタバレ解説を書いていきます!
目次
映画「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」を観て学んだ事・感じた事
・好きな映画は何度も観るべき
・若き日のダンブルドアとグリンデンバルドが渋くてかっこいい
・登場人物達の恋の行方が気になる
映画「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」の作品情報
公開日 | 2018年 |
監督 | デヴィッド・イェーツ |
脚本 | J・K・ローリング |
出演者 | ニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン) アルバス・ダンブルドア(ジュード・ロウ) ゲラート・グリンデンバルド(ジョニー・デップ) ティナ・ゴールドスタイン(キャサリン・ウォーターストン) ジェイコブ・コワルスキー(ダン・フォグラー) クイニー・ゴールドスタイン(アリソン・スドル) |
映画「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」のあらすじ・内容
ホグワーツ魔法魔術学校の卒業生である主人公ニュート・スキャマンダーは、シャイな魔法動物学者。世界中を旅するお供に持ち歩いているトランクの中は不思議な空間になっており、そこで魔法生物達が暮らしていました。
前作で捕らえられた“黒い魔法使い”グリンデンバルドが脱獄し、かつての恩師ダンブルドアに「彼を倒せるのは君だけだ」と告げられます。
魔法界と人間界の支配を目論むグリンデンバルドを追ってパリへ向かうニュート。前作「魔法使いの旅」から引き続き登場する魔法省で働くティナや、読心術の心得があるクイニー、ノーマジ(人間)のジェイコブ、謎に包まれた魔法使いクリーデンスらも巻き込んだ魔法と冒険が描かれた作品となっています。
映画「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」のネタバレ感想
ハリポタでお馴染みのアイテムが懐かしい!
「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」の予告が公開されてからというもの、「ハリー・ポッター」シリーズに登場したアイテムが多数使われていると、全世界で話題になりました。
「賢者の石」で登場したニコラス・フラメルや彼の持つ石。映された者の心の奥底に秘めた望みを映し出す「みぞの鏡」。
そして、若き日のダンブルドアの登場など、「ハリー・ポッター」シリーズからのファンにとってはとても期待値の上がる予告で、実際本編も1秒たりとも目が離せない内容となっていました。ただ、ハリポタにあまり詳しくない人からすると、「何が起きているのかわからない」ストーリーでした。
主人公ニュート・スキャマンダーは、「幻の動物とその生息地」というホグワーツ魔法魔術学校の教科書を書いた人物です。この本はハリポタシリーズに登場しており、実際マグル(非魔法使い)の書店でも売られているため、読んだことのある人も多いはず。
彼は動物に対してはとても優しく接し、魔法生物の知識は豊富なのに対し、人間と接するのが苦手です。そんな彼に、ホグワーツ時代の恩師アルバス・ダンブルドアはグリンデンバルドを倒すのを手伝わせようとするのです。
この若き日のダンブルドアが、とても渋い!白い髭もじゃの姿からは想像できないほど、イケメンでした。
ニュートがパリへ向かう道中、惚れ薬や瞬間移動できるポートキーなどのお馴染みのアイテムが登場。特定の人物に変身できるポリジュース薬をニュートが飲むシーンもあり、ハリポタファンにとってはこれまでの作品をしっかりと観てきたかテストされているような気分でした。
ハリポタシリーズでは、学校内で使われる呪文がメインで登場しましたが、ファンタビでは大人が実戦で使う呪文が炸裂します。しかも、無言呪文(呪文を唱えずに発動させる)ばかりのシーンも多いため、何の呪文を使用したのか推測するのもまた一興です。
ファンとしての知識量が試され、「この呪文、あの時ハリーが使ってたやつだ!」とわかると、何度も観て良かったと思いました!
ニュートの学生時代の回想シーンもあり、まね妖怪ボガートを退治する際「リディクラス」と唱えていました。「アズカバンの囚人」で「闇の魔術に対する防衛術」のルーピン先生が行った授業を、若き日のダンブルドアが生徒達に教えていたのです。
こうして授業内容が継承されているんだ、ルーピンはダンブルドアを尊敬していたんだなと、わかるシーンでした。マクゴナガル先生も登場しています。
なぜだか、あの先生がいるだけで安心してしまいますが、ホグワーツのシーンはファンサービス満載の場面となっていました。
今作で度々登場するニコラス・フラメルは、賢者の石を発明した魔法使いです。どんな知識人が出てくるんだろうと思いきや、まるでどこかの校長先生の様なお茶目なおじいさんでした(笑)
今にも折れそうな腕で本を抱えたり、200年ぶりだという魔法大戦に参加し老体ながらも活躍したり。ダークな内容の映画ですが、こういったコメディ部分もハリポタから引き継いでいます。
登場人物達の恋の行方が気になる
もちろんストーリーも魅力的な映画となっています。
シャイな魔法使いニュートは、前作「魔法使いの旅」で出会ったアメリカの魔法省に勤めている闇祓いティナと少しづつではありますが距離を縮めていきます。ただ、ニュートは動物に対してはとても親身に接することができますが、対人間は苦手です。なかなか上手い口説き文句すらも思いつきません。
気の強いティナの瞳を「暗い水底で燃えるサラマンダーのようだ」と例える始末……。ジェイコブから、その口説き文句は止めるようにと再三注意を受けました。
ティナはティナで、リタ・レストレンジとニュートが結婚すると勘違いしてしまい、ニュートがパリまでやってきたというのに不機嫌。観ていてとてもじれったかったです。
ティナを演じたキャサリン・ウォーターストンは、今作で少しおしゃれになった彼女を演じたそう。ニュートという気になる男性ができたのも理由の一つですが、魔法省に実力を認められ自信がついたからだとか。
そういった少しの変化を観るのも、登場人物達の人柄がわかるようで楽しいですよね。
ティナの妹で、人の心が読めてしまう読心術の使い手クイニーは、お姉さんとはまた違った魅力のある女性。ノーマジのジェイコブが好きですが、この時代の魔法界では魔法使いとノーマジとの結婚は認められていませんでした。
映画冒頭では、ジェイコブに惚れ薬を飲ませるという暴挙に出ていて、彼女の必死さが見て取れます。物語終盤、演説の上手いグリンデンバルドにそそのかされ、闇の陣営についてしまいました。今後の展開が気になりますよね。
また、メインキャラクター以外の恋も描かれています。オブスキュラスに囚われてしまっているクリーデンスと謎多き美女ナギニ。この2人は怪しげなサーカス団から逃げ出していましたが、蛇に姿を変えられるナギニはヴォルデモートの蛇と同じ名前です。ハリポタとどう繋がっていくのかも気になってしまいました。
ニュートの兄であるテセウスは、かつてのニュートの同級生であったリタと結婚の約束をしていましたが、グリンデンバルドに彼女を焼き殺されてしまいます。
闇の魔法使いの一族レストレンジ家出身のリタが、どのようにしてニュートと仲良くなったのか。どうしてテセウスと婚約するまでに至ったのか。そういったストーリーを観客が知る前に、舞台から姿を消してしまったのです。
ただ、ストーリーテラーであるJ・K・ローリングの脚本なので、もしかしたら彼女が実は生きていたという展開もあり得ます。第3弾の公開は、クオリティを重視するため延期が発表されましたが、期待以上の作品になるんじゃないかと今から楽しみです。
二大魔法使いダンブルドアとグリンデンバルドの確執が面白い!
今作には、2人の強大な力を持つ魔法使いが登場します。一人はホグワーツの校長となるアルバス・ダンブルドア。もう一人は、かつてダンブルドアの親友であったゲラート・グリンデンバルド。
2人は青年時代、死の秘宝を探すことに熱心になっていました。死の秘宝とはハリポタシリーズにも登場しますが、ニワトコの杖、蘇りの石、透明マントです。
この3つを手に入れると、死から逃れられる最強の魔法使いになれるという伝説がありました。若者2人は家族を顧みず、この秘宝を探しますが、ダンブルドアの妹アリアナが亡くなり、彼は改心するのです。グリンデンバルドと仲違いした後も、「みぞの鏡」に映るのはかつての友の姿でした。
作者も明言している通り、ダンブルドアはゲイです。グリンデンバルドへ恋い焦がれるダンブルドア役に、渋くてかっこいいジュード・ロウが選ばれたのも頷けますね。
この2人はとても対照的に描かれています。ダンブルドアはホグワーツの教師として堂々と、若き生徒を相手に教鞭をとっていますが、グリンデンバルドはこそこそと大人を勧誘します。
ダンブルドアは人の良いところを見つけ伸ばすことが得意ですが、グリンデンバルドは人の弱みに付け込みます。しかし、両者共に魔法の腕は確かです。
「黒い魔法使いの誕生」冒頭、グリンデンバルドが脱獄するシーンがありますが、あのシーンだけでも彼が凄腕の魔法使いだということがわかります。
そしてハリポタシリーズでの闇の魔法使いヴォルデモート卿と異なるのは、彼が人の心を操るのが上手いという点です。他人を魔法で操っていたヴォルデモート卿と違い、グリンデンバルドは話術で誘惑します。
その口の上手さは、それまで反対派だった魔法使い達が彼の意見に賛同するほど。かつて実在した独裁者がモデルなのではないかと言われています。
このグリンデンバルドのどこか妖艶的な悪役っぷりを、ジョニー・デップが見事に演じてくれています。ジョニーはわりとコミカルな役や、エキセントリックなキャラクターが印象的ですが、今回は徹底的に悪です。
どこか滲み出る優しさなどもありません。「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのジャック・スパロウ船長は一応海賊のため“悪”であり、口も達者で人をたぶらかしてばかりですが、今作品では彼のようなコミカルさもありません。
そして物語のラスト、自分が何者なのか知らなかったクリーデンスにこう告げるのです。「君はダンブルドアの弟だ」と。
クリーデンスって何者?
前作「魔法使いの旅」で、子供の頃に魔法の力を押さえつけられたことが原因で魔法が暴走してしまったクリーデンス。彼は孤児院で育ち、魔法使いの一族だが魔法を使うことができない「スクイブ」だと思われていました。
しかし、幼少期から続いたであろう大人からの虐待や裏切りを経験し、それまで閉じ込めていた魔力を暴走させてしまいます。その強さは、グリンデンバルドが欲しがるほどでした。
今作でクリーデンスは自分の本当の親は誰なのか探す旅をしています。その様子はまるで、若者が自分探しの旅に出かけているかのよう。
同じように悲惨な境遇のナギニという蛇に変身してしまう女性を連れ、さまよっているのです。「死の秘宝」でハリー達がホグワーツを離れ、隠れながら旅をしていましたがその姿と重なって見えてしまいました。
映画中盤、クリーデンスはリタ・レストレンジの弟では?と語られますが、彼女の弟は既に亡くなっていました。じゃあ、誰の子なの?という話を引っ張ります。観客が「クリーデンスの出生の話しつこいな(ニュート達の冒険をもっと観たい)」と思うほどです。そして、物語最後にここまで引っ張った理由がわかるのです。
クリーデンスは、ダンブルドアの弟アウレリウス。この重大発表にハリポタファンは大騒ぎ!
ダンブルドアにはアバーフォースという弟(「死の秘宝」で、隠し通路からハリー達をホグワーツに連れて行ってくれました)と、既に亡くなっているアリアナという妹がいるということはわかっています。アウレリウスなんていう弟の存在はハリポタシリーズにも登場しませんでしたが、グリンデンバルドの言っていることは本当なのでしょうか?
一応、ダンブルドア家の人間が窮地に立たされた時に現れる不死鳥フェニックスは登場。そして、10歳までには亡くなってしまうはずのオブスキュリアルなのに、成長した今でも生きながらえているという魔力の強さから納得はできます。
しかし、ダンブルドアの両親はだいぶ昔に亡くなっており、クリーデンスの年齢的にありえないのです。ひょっとして、グリンデンバルドは嘘をついているのでは……?
グリンデンバルドはかつて、ダンブルドアと活動を共にしていましたが仲違いしています。そんなダンブルドアをなき者にするための“道具”を求めていました。彼への復讐として“弟”に殺させる。悪知恵の働くグリンデンバルドなら、思いつきそうなことです。
この2作目のタイトルが「The Crimes of Grindelwald(グリンデルバルドの罪)」ということから、この罪は「クリーデンスに嘘をついたこと」では?と指摘するメディアもあるほど。
もし仮に嘘だとすると、本当にクリーデンスって何者なんでしょうね。
数々の伏線に続編への期待が高まる
ハリポタシリーズで暗躍する死喰い人ベラトリックス・レストレンジの血縁者だと思われるリタ・レストレンジが味方側の魔女として登場したり、蛇であるはずのナギニが人間の姿をして活躍したり。
「え、レストレンジ家ってあの……?」
「ナギニって、ヴォルデモート卿の……?」
そんな驚きを与えてくれました。さすがはJ・K・ローリングですね。謎が謎を呼ぶストーリー展開で目が離せません。
ファンタビ1作目である「魔法使いの旅」は、将来ヴォルデモート卿になるトム・リドルが生まれた年に始まります。これだけで、何か裏がありそうです。そして、今作「黒い魔法使いの誕生」でナギニの登場。彼女はどのようにしてヴォルデモート卿と出会い、完全に蛇の姿となって彼に仕えるのでしょうか。
先の展開は、監督や俳優陣達にもわからないと言います。確かに、世界中の人達が待ちわびているローリング氏の作品です。秘密が漏れでもしたら大騒ぎですからね。演じている役者さん達も、1人のファンとして作品作りに取り組んでいるんでしょう。
映画「ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生」を観終わった直後に、早くも続きが気になる映画です!